異世界親父騒動記

第三章 親父たちの航悔（航海？）

親父たちの航海四日目 昼4

前回までのあらすじ
クラーケンに襲われた豪華客船ダメダニック号で生きるために行動する親父たち。
そんな中、船長を含む乗務員が乗客を置いて、真っ先に脱出してしまった。

　船長達が逃げ出して、三十分後。
「うむ、待たせてしまったね！」
「任務完了であります！」
「ただいまでござる！」
　教授、軍曹、影はデッキの上でクラーケンと闘っている村正とブドウの元へ戻って来た。
「やっと、帰って来たか！」
「これで、少しはマシになる！」
　村正とブドウはボロボロの姿で、教授、軍曹、影に声をかけた。
「うむ、かなり苦戦したようだね！」
「いますぐ、準備をするであります！」
「二人とも、後少しの辛抱でござる！」
　そう言って、教授たちはある物を作り始めた。
「あいつら！何しているんだ？」
「わからん！だが、逃げる準備出ないのは確かだ！」
　そんな、村正とブドウが会話している間に、教授たちは作り上げた。
「完成したでござる！」
「うむ、組み立てしやすく部品を加工したのが、よかったね！」
「肯定であります！」
　教授たちは作った物は捕鯨銃。
「うむ、では射撃は任せたよ軍曹！」
「弾は一発しかないでござる！」
「了解であります！」
　そう言って、軍曹は捕鯨銃を手に取り、一呼吸とって捕鯨銃のトリガー（引き金）に指が触れた。
「ハ、ハクション!!」（大）
　そんな中、緊張の糸が切れるようなバカでかいクシャミをした者がいた。
　その名は教授。
　その結果、捕鯨銃から放たれた銛もどきは、あらぬ方向へと発射されてしまった。
「教授どの!!なんでくしゃみしたんでござるか!!」（怒）
「す、すまない……で、でも、生理現象にはだれも逆らえないから……」
「言い訳はいいでござる！あのバカでかいイカを見るでござる！目が「マヌケ」と言っているでござる！」
「肯定であります！」
　影の言うとおり、クラーケンは親父たちを馬鹿にしていた。
　しかし、その油断が致命的なミスになった。
　なぜなら放たれた銛もどきは跳弾でクラーケンの眉間に当たり、クラーケンは即死した。
「「そんな馬鹿な！」」
　その様子を見ていた村正とブドウは同時に声をあげた。
「この世界のイカも弱点は同じだったのか！」
「わしらの苦労は一体何だったんだ！」
　村正とブドウの感想をよそに教授を責める影、影に責められる教授、影を宥める軍曹の三人はクラーケンが倒したことにも気づかず、どつき漫才のような争いを続けていた。
　三人が争いをやめたのは、クラーケンが海に倒れて波しぶきを起きたあとだった。