異世界親父騒動記

第三章 親父たちの航悔（航海？）

親父たちの航海四日目 昼3

前回までのあらすじ
クラーケンに襲われた船から脱出する為に材料集めに奔放する教授、影、軍曹。
しかしそれと同時に船内の人たちに誤解という名のウィルスも撒き散らしていった。

　手当たり次第に家具などを解体と言う名の破壊工作する教授、軍曹、影。
　そんな中、豪華客船ダメダニック号の乗員乗客は集団パニックを起こしていた。
　原因は赤ワインまみれで、手にノコギリ、手斧、鉈を持った教授、影、軍曹が船内を歩き回っている姿を見た乗客が殺人鬼と錯覚し、パニックは伝染していった。
　そんなパニックが蔓延した船内で三人の親父たちは船から脱出する為の準備をマイペースに行っていた。
「うむ、かなりの材料が手に入った！」
「肯定であります！」
「他にも色々と手に入れたでござる！」
　完全に火事場泥棒なのは明白だが、親父たちに、その認識はなかった。
　そんな三人の親父たちの前にデッキに向かって上がっていく集団がいた。
「あ！あれは船長殿ではないでござるか？」
「うむ、確かにそのとおりだね！」
「肯定であります！乗客の避難は完了したんでありますか？」
「うむ、それはないと思うよ！」
「なぜでありますか？」
「うむ、それは私たちが残っているからだ！」
「は！確かに……」
「それに「聞き耳」を使ってみたでござるが、他にも乗客が残っているようでござるよ！」
「本当でありますか？」
「本当でござる！」
「うむ、これはまずいことになったかもしれないね！」
「教授！それはどういう意味でありますか？」
「うむ、簡単な話さ！もっと材料が必要になった！ただそれだけの話さ！」
「は！まさか…………」
「うむ、軍曹の予感が正しい思うけど、今は我々のできることをしよう！」
「了解であります！」
「二人とも何を言っているんでござるか？」
　教授と軍曹は察したが、影は船長たちの行動に気づいていなかった。
◇
　所変わって、デッキの上では村正とブドウがクラーケンと死闘を続けていた。
「ブドウ！」
「なんだ？村正！」
「あのイカに拙者たちの攻撃が効いていると思うか？」
「表情が変わらんから、効いているのか、効いていないのか、全くわからん！」
　村正とブドウがそんな会話をしている間にもクラーケンは二人に攻撃をしてくる。
　クラーケンの攻撃を二人は回避しながら、攻撃していた。
　そんな村正とブドウを見つめる者たちがいた。
　ダメダニック号の船長と船員たち。
　彼らはそれぞれ「あいつらは馬鹿なのか！」、「クラーケンに勝てるわけないだろうが……」、「なぜ戦えるんっだ？」と勝手な事を言いながら、救助ボートで船から脱出していった。
　豪華客船ダメダニック号に残されたのはクラーケンと闘う村正とブドウ、船内で解体と言う名の破壊工作をする教授、軍曹、影。そして、乗務員に置き去りにされた乗客だけになってしまった。