異世界親父騒動記

第三章 親父たちの航悔（航海？）

親父たちの航海四日目 朝

前回までのあらすじ
モンスター対策のために船の中をあちこち動き回る親父たちであったが、何の準備もできずに四日目の朝を迎えてしまった。

航海四日目の朝。
「朝がきてしまった！」
「朝がきたでござる！」
「うむ、朝がきたね！」
「肯定であります！」
「酒――――！！」
「「「「酔っぱらいは黙っていろ（でござる）!!」」」」
　ブドウに対しては息の合ったツッコミを入れる親父たちだが、事態の深刻さを嘆いていた。
　モンスターと闘うための道具がない。
いざという時に脱出する為の船になる材料がない。
ないないづくしの親父たちであった。
「うむ、いざとなったら、救助ボートで逃げるしかない方法はない！」
「その案は無理があるでござる！」
「自分も右に同じであります！」
「影と軍曹！それはなぜだ！」
「村正どのも、まわりにある救助ボートを見てほしいでござる！乗員に対してあきらかに救助ボートの数が少ないでござる！」
「肯定であります！」
「それって……！」
「うむ、影と軍曹が言いたいのは、船の乗員が全員避難できないかもしれないと言いたいのだね！」
「そのとおりでござる！」
「肯定であります！」
「……ま、まさか、そんなわけないだろう！どこかに救助用ボートを設置しているはず……ないな！」
「うむ、我々がこの三日間、船の中を探索したが救助ボートらしき物体はデッキの上以外では見つけることができなかった」
「ど、どうするんだ!!救助ボートに乗れなかったら、この船と共に心中しろというのか？そんな心中はいやだーーー！」
「船と心中させるなら酒飲ませろーーー！」
「村正どの！落ち着くでござる！ブドウどのは、いいかげん酒への執着心を捨てるでござる！」
「肯定であります！」
　混乱しかけている村正と酒への執着心を捨てないブドウを宥めてる影と軍曹をそばで、教授はパイプに火を点けた瞬間、パイプから大量の煙が噴き出してきた。

　十分後。
「ようやく、煙が晴れてきたでござる！」
「肯定であります！」
「まさか教授も混乱していとは予想外でござる！」
「以外とポーカーフェイスがうまいようであります！」
　そう言って、影と軍曹が見つめる先は芋虫ではなく、頭天辺から足のつま先までロープで巻かれた村正、ブドウ、教授の三人の姿であった。
　その姿を見ていた影の頭の上の電球が光った。
「思いついたでござる！」
「？」
「軍曹どの！脱出のためのいい方法が見つけたでござるよ！」
「本当でありますか？」
「三人が目覚めたら、早速準備を始めるでござるよ！」
　暗闇に光が見えた親父たちであったが、危険がすぐそこまで迫っているとは気づいていなかった。