異世界親父騒動記

マサカド

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番外編

番外編 親父たちのオヤジピック 100m走

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「読者の皆様、こんにちわもしくはこんばんわ。司会担当の冒険者パーティードリフターのリーダーをやっております村正です。オリンピックの花形競技と言えば陸上の100m走ですね。そこで今回は100m走に我らドリフター全員で挑戦したいと思います。どんな結果になるか、どうぞお楽しみください」

 親父たちは、元いた世界で言うところのセントラルパークにいた。
 そばには教授が作った自動スターターが設置されている。
「教授。このスターター大丈夫か?」
「うむ、何の心配もいらないよ。導火線に火をつけることによって、音が鳴る仕組みの単純な物だから何の心配もないよ」
「見たい目はどう見ても大砲でござる」
「肯定であります」
「ワシなんか心配になって来た」
 そんな親父たちの心配をよそに教授はスタート地点にスタンバイし、他の親父たちもそれぞれのスタート地点にスタンバイした。
 第一のコースは村正。
 第二のコースはブドウ。
 第三のコースは軍曹。
 第四のコースは教授。
 第五のコースは影。
 導火線の火は燃え尽き、いよいよ音が鳴るのだが、自動スターターからは音が鳴らなかった。
「教授!音が鳴らないがどうなっているんだ?」
「忍びの耳でも音はならなかったでござるよ?」
「合図はまだか?」
「肯定であります」
「うむ、おかしいね?確かに音がなるはずなのだが?」
 教授はスタート地点から離れて、自動スターターと名づけた大砲に不用意に近付いて行った。
 教授が自動スターターの故障個所を調べようとした時、爆発音が響き、教授はその音に気絶し、残った親父たちはその音を合図に一斉にスタートした。
 親父たちは、勝負事になると熱くなるタイプであったため、教授が気絶していることに気づいてはいたが、そんなことはおかまいないしにゴールを目指す。
 勝つためならスポーツマンシップもクソもない親父たち。
 当然100m走も普通に走ることはない。
 先頭に出た影が後方を走る親父たちにむかってマキビシをぶちまけ、そのままダッシュで逃げ切ろうとしたが、突然地面が爆発して、影はコース外に吹き飛ばされた。
 その様子を見た親父たちはストップ。
「一体何があったんだ?」
「地面が爆発したように見えたが……は!」
 村正とブドウは後ろを振り返ったが、後方を走っていた軍曹の姿はなく、前方を振り向くと軍曹はトップに躍り出ていた。
 この時村正とブドウは自分たちの仮説が正しかったことを確信した。
 影がコース外に吹き飛ばされたのは軍曹が爆発物をあらかじめコースの中に仕掛けておいたからに他ならない。
 まんまと軍曹に出し抜かれた村正とブドウは怒りという名のブースターで軍曹にタックルをくらわせた。
 転倒した軍曹はゴール直前に自分が設置しておいた爆発物によって、コース外に村正とブドウと一緒に吹き飛ばされた。
 こうしてオヤジピック100m走は誰一人完走することなく終わりを迎えたのだった。
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