異世界親父騒動記

第二章 親父たち大陸横断する

親父たち、敵の存在を知る。

　朝日を浴びながら、親父たちはある看板を見つめていた。
　その看板には「ようこそ！ネオヨークに」と書かれていた。
「ここまでやっと来たな！」
「ああ、この大陸のゴール！」
「うむ、長い道のりだった！」
「ニューヨークについでござる！」
「肯定であります！」
　親父たちは元の世界でいうところのニューヨークに辿り着いた。
「ニューヨーク州に入ってからが長かった！」
「うむ、ここに来るまで十日もかかってしまった！」
「その半分はあの河での騒動による逃亡だったでござる！」
「肯定であります！」
　親父たちが河でサメと漁師に追いかけられた上に人身事故を起こし、捕まるのを恐れて逃亡し、身を隠していた。
「うむ、では早速町に入ろうではないか！」
「肯定であります」
　そう言って親父たちは町に入った。
「うむ、町の見た目は世界恐慌時代のニューヨークに近いようだね」
「教授、建造物の感想は後回し」
「まずは拠点になる宿屋を見つけることが先決であります」
「宿屋確保しておかないとこの町で行動できないでござる」
「酒場にもいけないしな」
「「「「また、酔っ払い（でござる）か!!」」」」
　まるで遠足の前の日の子供のようにはしゃぐ親父たちであった。
　そんな彼らの行く手を阻む如く道を占拠している者たちがいた。
「「「「待っていたぞ！冒険者パーティー〝ドリフター〟」」」」」
　そう言って親父たちに声をかけてきた五人。
　親父たちに逆恨みで復讐しようとするスペクター・リベンジャーズたち。
「貴様らのせいで金山が……」
上から下まで黒ずくめのジャック・マーヴィンことブラックパイソン伯爵は金山での恨みを。
「貴様らのせいでファミリーを……」
鷹のような鋭い眼と、がっしりした体格が特徴のアーネスト・クリーフことホーク将軍はファミリーを失った恨みを。
「貴様らのせいで名誉を……」
　丸い球体で全裸に近い体をした全裸騎士は決闘での恨みを。
「貴様らのせいで出世が……」
初老の元保安官ウィルことウォーギャレットは手柄の恨みを。
「貴様らのせいで、町が……」
そして彼らを束ねるスペクター・リベンジャーズのリーダー〝デストロイ〟が恨みを言い放った。
　しかし、そんな彼らに対して親父たちの反応は首を傾げて、「「「「「誰（でござる）？」」」」」であった。
　これがスペクター・リベンジャーズのメンツが粉砕された最初の一撃だった。