異世界親父騒動記

マサカド

文字の大きさ
上 下
65 / 284
第二章 親父たち大陸横断する

親父たち、船を造る

しおりを挟む
 河を占拠していた鮫の大群を倒した親父たちは川辺で日曜大工をしていた。
「なあ、村正!」
「なんだ!ブドウ?」
「わしら、なんでこんな所で大工のまねごとをしているんだ?」
「ブドウ……気持はわかるが仕方がないだろう。あの鮫の大群のせいで船が全部破壊されたから、自分たちで船を造るしかないんだ」
「だから、なんで船大工のまねごとをして船を造っているのかと、聞いているんだ。イカダを造って、それに水中モーターのような動力をつけてるだけではダメなのか?」
「うむ、ブドウの言うことにも一理あるが、今造っている船はもしもの時備えた仕掛けを作っているのだよ!」
「教授!もしもの時って?」
「うむ、鮫があの程度で全滅したとは考えにくい。だから、船にその対策を施した船が必要なんだよ!」
「対策を施した船?」
「うむ、それはできてからのお楽しみというやつだよ!」

三日後
 親父たちの船は完成した。
「こ、これが教授が言っていた船?」
「うむ、その通りだよ!村正」
「きょ、教授!この船って……」
「うむ、外輪(パドル)船だ!ブドウ」
「でも、教授!これ動力は足漕ぎでござる!鳥さんボートとさほど変わらないでござるよ!」
「うむ、それは違うよ影。これは鳥の形をしていない」
「教授、なぜ外観が鮫の形になっているんでありますか?」
「うむ、いい質問だね軍曹君。鮫たちを騙すための偽装だよ」
「「「「偽装(でござるか)?」」」」
「うむ、海でサーファーが鮫に襲わることがある。サーフボードに乗ったサーファーが鮫から見れば海亀に見えるからだよ。だからこそ、この船は鮫の形にしているんだよ」
「外観に関しては納得言ったが、なぜ足漕ぎボートにしたんだ?」
「うむ、河川で使うことを考えて喫水が浅く、船に関して素人の我々でも操船しやすさを考えて、これになったんだよ」
「「「「納得(でござる)」」」」
「うむ、では乗り込むとしよう」
 教授の一声と共にシャークボートに乗り込む親父たち。
「中はスワンボートと同じでハンドルがあるな」
「うむ、元の世界の車と思えばいいよ」
「じゃあ、ペダルを逆回転させて後進もできるのでござるか?」
「うむ、可能だよ」
「おまけに鮫の外装が直射日光をさけてくれる」
「左右に窓があるから換気も大丈夫であります」
「うむ、言い忘れていたが、暗い時にそこのスイッチを押すとライトが点くようになっている」
「「「「完全に車(でござる)!」」」」
「うむ、ではこの世界のアレゲニー川を渡ってニューヨークに行く事にしよう」
「「「「おーーー!!」」」」
 テンションが上がりまくりの親父たちはさっそくペダルを漕ぎ、それによって後方に取り付けられた円筒状の外輪が回転し前進し始めた。
 こうして親父たちはこの世界のアレゲニー川を進むのだが、この光景を目撃した現地人は巨大な鮫が現れたと驚き、その巨大鮫を倒して名をあげよとする輩(やから)によってますます現場は混乱するのだった。


外輪船
推進器として水車型の装置である外輪を使う船。

※スワンボート
ペダルを漕ぐことで後方に取り付けられた円筒状の推進器(外輪)を回転させることによって前進する。方向転換にはハンドルによって操舵される舵が使用されている。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...