異世界親父騒動記

マサカド

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第二章 親父たち大陸横断する

親父たち、河で立ち往生

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 親父たちはこの世界のニューヨークに向かうために河港のあるナッツバーグで立ち往生していた。
 原因は親父たちの目の前の河で起きていた。
「困ったことになった」
「うむ、村正の言うとおりだね!」
「確かにこの光景を見れは、それ以外何も言えないでござる!」
「肯定であります!」
「わしはどちらかと言えばこの町の名前がピッツバーグじゃなく、ナッツバーグということに驚いた」
「確かに第三者がいたら、「何その安直な名前は」と驚くでござる」
「うむ、諸君。そろそろ目の前の現実に目を向けるべきではないのかね?」
「教授の言うことも、もっともだが、拙者らには、目の前のことが現実とは思えないんだが?」
「確かに村正の言うとおりだ。わしらには夢でも見ているとしか思えない光景だ!」
 親父たちが現実から目を背ける理由、それは河がサメの大群で溢れていたからであった。
「なんで!河にサメがいるんだ?」
「サメがいるのは海だろうが!」
「異世界とはいえ、やっていい事と悪い事があるでござる!」
「肯定であります」
 村正、ブドウ、影、軍曹が叫ぶが、その意見にツッコミを入れる者がいた。
「うむ、諸君らの気持ちはわかるが、別にサメが河に居ても不思議ではないよ!」
「教授!それはどういうことだ?」
「うむ、元いた世界でのことだが、あるサメの腹の中を調べた所、カバの肉が見つかった実例があるんだよ!」
「カバって、あのアフリカの河にいる。あのカバでござるか?」
「うむ、その通りだよ!」
「サメが鮭のように河を上って来たのか?」
「うむ、理屈の上ではそういうことになるね」
「事実は小説より奇なりであります」
「軍曹が、「肯定であります」以外のセリフを言った!」
「珍しいこともあるでござる!」
「明日は雨が降るんじゃないのか?」
 村正、影、ブドウの三人が軍曹の発言に驚いている中、教授はアイテムボックスから弓矢を取り出していた。
「教授!軍曹の発言に驚きもせずに何をやっているんだ?」
「もちろん先に進むための準備だよ村正くん!」
「教授……頭大丈夫でござるか?」
「河がこんな状態なのに弓矢でどうにかできるわけないだろうが」
「肯定であります」
「確かに一本の矢程度で鮫の大群を退治することは不可能だが、この一本の矢が鮫の大軍を退治するキーパーソンになるんだよ!」
 そう言って教授は鮫の大群に向かって矢を放った。
 矢は偶然にも一匹の鮫に当たった。
「教授……やっぱり無理なんじゃないのか?」
「短気は損気だよ村正君。最後まで状況を見てみたまえ」
 やがて矢があたった鮫の体が爆発した。
「な、何が起きたんでござるか?」
「鮫が爆発したようだが……?」
「肯定であります」
「うむ、うまく機能したようだね」
「もしかして、あの矢の先端に爆弾でも仕掛けていたのか?」
「うむ、爆弾ではないが、それに近い仕掛けを矢に仕掛けておいたのだよ。これで鮫を退治することができる」
「退治すると言っても、鮫からすれば切り傷ぐらいにしかならないと思うんだが?」
「うむ、そう思うなら河の鮫たちを見るといい」
「鮫たちが急に興奮し始めたぞ!」
「教授の矢で怪我をした鮫に噛みついているでござる!」
「共食いであります!」
「も、もしかして教授が狙いって……」
「うむ、村正君の思っている通り、血で鮫を興奮させて共食いさせる為に矢を放ったんだよ。それじゃ、全員で矢のある限り、鮫に向かって射ようじゃないか!」
「わしらもやるのか?」
「五人でやった方が早く終わるのからね。弓矢なら心配いらないよ。こんなこともあろうかと、いっぱい作っていたからね」
「そういう意味で言ったんじゃないんだが!」
「あまり、気が進まないでござる!」
「肯定であります」
 教授に言われて親父たちは渋々弓を手にして矢を鮫に向かって放った。
 
 一時間後
「血の池ならぬ血の河になったぞ!」
「辺りに死臭の臭いが漂っている!」
「地獄絵図でござる!」
「肯定であります」
「うむ、諸君。三日もすれば死臭も消えて河は使えるようになるから心配知らないよ!」
「「「「そういう意味でいったんじゃない(でござる)!!」」」」
 この時、親父たちは自分たちの行動が、河の下流に住む住民達に悪臭をもたらすことになるとは気づいていなかったが、それはまた別のお話。
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