異世界親父騒動記

マサカド

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番外編

親父たちとこどもの日

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「読者の皆様、こんにちはもしくはこんばんは。今回の当番司会の冒険者パーティードリフターの軍曹であります。今日は子供の日。五月人形を飾っている家もあると思います。それで今回の番外編のテーマは鎧。パーティーメンバーがどんな鎧を身にまとったのか紹介いたします」
 そう言って軍曹は村正の元に移動した。

 村正は足軽の格好をして待っていた。
「村正は足軽に扮装しているんですか?」
「やっぱり、意外だったか?」
「職業が侍だから鎧武者だと思ったのですが!」
「この足軽は学生だった頃、映画のエキストラのバイトをしていた時に着た物を再現したんだ!」
「え!映画に出てたんですか?」
「ほとんど映像には映っていなかったがな」
「そうですか!ですが手に持っているそれは何ですか?」
「軍曹、自衛官なのにこれを知らないのか?」
「いや、知っていますが、なぜそれをもっているんですか?」
「足軽と言えばコレが標準装備だろう」
「足軽なら槍ですよ。どこの世界に六四式小銃を持った足軽がいるんですか!」
「拙者の出た映画ではこれを持っていたぞ」
「○国自衛隊のパクリ!」
 軍曹は次の出番待ちしているブドウの元に移動した。

 ブドウは三国志のコスプレをしていた。
「ブドウ!?なんで三国志のコスプレしているんだ?」
「なんでわしの時はコスプレなんだ?村正の時は普通の応対をしていたのに!」
「ブドウは職業は武闘家。なのになんで鎧を着ているんでありますか?」
「今日のテーマは鎧だろうが、お前の方が何を言っているんだ!まあいい、この鎧は筒袖鎧(とうしゅうがい)と言って、三国時代から南北朝の初期まで使われていた鎧だ」
「三国時代と言うとやはり三国志の?」
「そうだ。一説では名軍師として有名は蜀の諸葛亮孔明が開発した物をいわれている」
「ブドウ…………以外と学があるんですね!」
「なんだ?その意外だったと言う目は、ただの酔っ払いと思っていたのか?」
「では、次に行きましょう!」
「こっちを無視するな!!」

 軍曹が移動した先には大型のロボットが起動音を鳴らしながらその場にいた。
「三メートルはあるロボットが一台。教授はどこに行ったんですか?」
「軍曹君!」
「その声は教授!どこに居るんですか?」
「ここだよ!」
「ここって?」
「今君の目の前にいるよ」
「もしかして、このロボットの中にいるんですか?」
「そうだよ!」
「教授!!今日のテーマは乗り物ではありません。鎧ですよ!」
「何を勘違いしているのかね軍曹君?これは搭乗型のロボットではない。パワードスーツだよ」
「パワードスーツ?もしかしてアメリカンコミックによく出てくるアレか!」
「そうだよ!では前進してみようか!」
 そう言って教授は一歩歩いたが、その後は歩く所か、機械の起動音さえ止まった。
「教授!どうしたんでありますか?」
「うむ、軍曹君。困ったことになった!」
「困った事って?」
「電池切れだ!」
「一歩、歩いただけで!!」
「計算よりも待機電力をかなり使ったらしい。すまんが軍曹君……ってどこに行くんだ軍曹君。まってくれ一人ではこのパワードスーツは脱ぐことができないんだよーーーーー!!」
 教授の助けを求める声を無視して、軍曹は最後の紹介者である影の元に向かった。

 影の元へ向かった軍曹が見たのはプレート・アーマーを身にまとった騎士だった。
「異世界に来てから、よく目にする鎧。この中に影が入っているのか?」
 軍曹は騎士に近付いた瞬間、突然騎士が踊り始めた。
「新手のモンスター?」
「違うでござるよ!軍曹殿」
 動揺する軍曹の後ろから声をかける影。
「影がここにいるということは、やはり、アレはモンスター!」
「だから、違うでござるよ軍曹殿。あれは忍者のスキル『人形使い』の効果でござるよ!ある程度人の形をした物を操ることができるでござる」
「あれが?自分にはモンスターにしか見えないであります」
 鎧をまとった騎士はリズム感もなく、関節の無視した踊り方をしていた。
「これで一歩、伝説の忍者に近付いたでござるよ!」
「伝説の忍者?」
「そうでござる!」
「伝説の忍者って、誰のことでありますか?」
「軍曹殿!知らないのでござるか?」
「肯定です!」
「今日は子供の日でござるよ。子供の日で忍者と言えばあの人しかいないでござる」
「子供の日と忍者?」
「そう忍者ハットリくんでござる!」
「漫画!架空の人物!」
「失礼なことを言うでござるな軍曹殿は、確かに架空の人物でござるが、世界で一番知られている忍者でござるよ!」
「それはそうですが、何で子供の日と忍者ハットリくんが繋がるのでありますか?」
「今日が誕生日だからでござる」
 説得力はあるが、どうにも納得できない軍曹であった。

軍曹「そう言えば、あの鎧はどこから調達したんでありますか?」
影「スタートの街でブドウと決闘した騎士の鎧を回収して、足りない部分を手持ちの物資で復元したんでござる」
 全裸騎士の所有物でした。

※プレート・アーマー
金属同士の板をリベットなどで接合して作られた鎧。
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