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第二章 親父たち大陸横断する
親父たち、追手をふさぐ
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親父たちが偽物インディアンの襲撃から五日。
元いた世界の北アメリカ大陸インディアナ州を魔導車で横断していた。
その間インディアンの襲撃はなく、旅は順調であった。
「うむ、全てが順調そのものだね!」
「肯定であります」
「偽物インディアンもあれから全く襲撃していないからな」
「何で襲撃してこないか謎でござる?」
「お前ら本気で言っているのか?」
親父たちの呑気なやり取りにツッコミを入れる村正。
「村正どの。どうしたんでござるか?」
「うむ、襲撃がないのはいいことではないのか?」
「まるで襲撃がないのがわかっているような口調だな」
「肯定であります」
なぜ襲撃が無くなったのか、わかっていない親父たちに村正の理性は吹っ飛んだ。
「襲撃がないのは当り前だろうが、野営した場所に露骨に罠を作りまくったんだ。襲撃者だって罠がある場所を通って追跡するわけないだろうが!」
そう親父たちは野営した場所に落とし穴やブービートラップを作りまくっていたのだった。
「しかもトドメはアレだ!」
「村正。アレって?」
「竈(かまど)だ!」
「村正、竈(かまど)がどうかしたのか?」
「ブドウ、竈(かまど)がどうかしたのかじゃない!」
「うむ、何か?竈(かまど)に強い思い入れがあるのかね?」
「…………教授。アンタせいだ」
「「「「え!?」」」」
「教授が錬金術で土から竈(かまど)をいくつも作ったからインディアンは不気味になって追ってこないんだ」
「うむ、たかが竈(かまど)だろ。どこにも不気味な要素がみられないのだがね」
「今朝作った竈(かまど)がいくつか覚えていないのか?」
「うむ、調子乗って百個ぐらい作ってしまったはずだが?」
「今朝の時点で万近くになっているはずだ!」
「「「「なに(でござる)!?」」」」
「偽物インディアンの襲撃の翌朝に竈(かまど)を人数分の五つ作って、夜には竈(かまど)が二十。その後も倍々に作っていったから、それくらいになっているはずだ!」
「「「教授!」」」
ブドウ、軍曹、影は教授の方をふりむく。
「うむ、そんなになっているとは、土から作るのが楽しくてちょっと調子に乗ってしまったようだね」
「調子に乗ったじゃない。何もない荒野に万の竈(かまど)!誰だってどん引きする光景になっているはずだ!?」
「そういえば三国志の漫画にそんな光景が描かれていたような気がする。確かにあの光景見たら誰だってどん引きするな」
「今朝、教授が竈(かまど)を作っている光景を不思議に思わなかった自分がおかしいでござる」
「肯定であります」
「……………………」(汗)
村正の説明に納得する親父たち。教授は無言でパイプに火を点け、煙に辺りにまき散らし、魔導車は煙幕におおわれた。
「「「「またか(でござる)!」」」」
教授の行動にツッコミをいれる親父たちは、この時気づいていなかった。
偽物インディアン達は追撃一日目で親父たちの作ったトラップに全員が引っ掛かり、リタイア。
そして、その後に作ったトラップや竈(かまど)によって、大規模な集団が東に向かっていると旅人や商人たちの噂になり、その噂によって王都イーグルの混乱に拍車がかかるのだった。
※虞詡の計(グク)
三国志演義の計略
蜀の諸葛亮孔明が、魏の司馬懿軍を前にして退却することになった時に兵士に退却のたびに陣営の竈(かまど)の数を倍だけ作るように命じた。
そのため魏の司馬懿軍は陣営の竈(かまど)の数が増えていることによって追撃した兵士数より多くなったと思い追撃をあきらめた事に由来する。
元いた世界の北アメリカ大陸インディアナ州を魔導車で横断していた。
その間インディアンの襲撃はなく、旅は順調であった。
「うむ、全てが順調そのものだね!」
「肯定であります」
「偽物インディアンもあれから全く襲撃していないからな」
「何で襲撃してこないか謎でござる?」
「お前ら本気で言っているのか?」
親父たちの呑気なやり取りにツッコミを入れる村正。
「村正どの。どうしたんでござるか?」
「うむ、襲撃がないのはいいことではないのか?」
「まるで襲撃がないのがわかっているような口調だな」
「肯定であります」
なぜ襲撃が無くなったのか、わかっていない親父たちに村正の理性は吹っ飛んだ。
「襲撃がないのは当り前だろうが、野営した場所に露骨に罠を作りまくったんだ。襲撃者だって罠がある場所を通って追跡するわけないだろうが!」
そう親父たちは野営した場所に落とし穴やブービートラップを作りまくっていたのだった。
「しかもトドメはアレだ!」
「村正。アレって?」
「竈(かまど)だ!」
「村正、竈(かまど)がどうかしたのか?」
「ブドウ、竈(かまど)がどうかしたのかじゃない!」
「うむ、何か?竈(かまど)に強い思い入れがあるのかね?」
「…………教授。アンタせいだ」
「「「「え!?」」」」
「教授が錬金術で土から竈(かまど)をいくつも作ったからインディアンは不気味になって追ってこないんだ」
「うむ、たかが竈(かまど)だろ。どこにも不気味な要素がみられないのだがね」
「今朝作った竈(かまど)がいくつか覚えていないのか?」
「うむ、調子乗って百個ぐらい作ってしまったはずだが?」
「今朝の時点で万近くになっているはずだ!」
「「「「なに(でござる)!?」」」」
「偽物インディアンの襲撃の翌朝に竈(かまど)を人数分の五つ作って、夜には竈(かまど)が二十。その後も倍々に作っていったから、それくらいになっているはずだ!」
「「「教授!」」」
ブドウ、軍曹、影は教授の方をふりむく。
「うむ、そんなになっているとは、土から作るのが楽しくてちょっと調子に乗ってしまったようだね」
「調子に乗ったじゃない。何もない荒野に万の竈(かまど)!誰だってどん引きする光景になっているはずだ!?」
「そういえば三国志の漫画にそんな光景が描かれていたような気がする。確かにあの光景見たら誰だってどん引きするな」
「今朝、教授が竈(かまど)を作っている光景を不思議に思わなかった自分がおかしいでござる」
「肯定であります」
「……………………」(汗)
村正の説明に納得する親父たち。教授は無言でパイプに火を点け、煙に辺りにまき散らし、魔導車は煙幕におおわれた。
「「「「またか(でござる)!」」」」
教授の行動にツッコミをいれる親父たちは、この時気づいていなかった。
偽物インディアン達は追撃一日目で親父たちの作ったトラップに全員が引っ掛かり、リタイア。
そして、その後に作ったトラップや竈(かまど)によって、大規模な集団が東に向かっていると旅人や商人たちの噂になり、その噂によって王都イーグルの混乱に拍車がかかるのだった。
※虞詡の計(グク)
三国志演義の計略
蜀の諸葛亮孔明が、魏の司馬懿軍を前にして退却することになった時に兵士に退却のたびに陣営の竈(かまど)の数を倍だけ作るように命じた。
そのため魏の司馬懿軍は陣営の竈(かまど)の数が増えていることによって追撃した兵士数より多くなったと思い追撃をあきらめた事に由来する。
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