異世界親父騒動記

マサカド

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第二章 親父たち大陸横断する

親父たち、土木作業をする

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 前回、ゴーレム列車でひき逃げをした親父たちは、水を補給する為にとある村に立ち寄って、なぜか土木作業に従事していた。
「なあ、村正よ。わしらなんでこんなことをしているんだ?」
「ブドウ。忘れたのか?村人から水をもらう代わりに無法者集団に壊された村の復興を手伝うことになったんだろう」
「おお、そうだったな!すまんな。最近頭に違和感があるため、記憶があいまいになっているんだ。わしの気のせいか?」
(すまんブドウよ。真実を話すことはできない)
 村正は心の中でブドウに謝罪した。
 ブドウの違和感は気のせいではなかった。
 なぜなら、ブドウの頭にはタンコブタワーができていたからだ。
 前回ブドウの暴走を止めるために、村正がみね打ちでブドウの頭を叩きまくったのが原因で、記憶障害をブドウは起こしていた。
 そして親父たちが、村で土木作業をしているのは、村の復興のためではない。
 ブドウの暴走によって、ゴーレム列車でひいた集団は、この辺りを荒らし回っている無法者集団の一部であったことを村人から聞いた親父たちは、自分たちの身を守るために、無償で村を守ると称して、村全体を改造しまくっていた。
 目的は無法者集団を殲滅して、後顧の憂いを断つためである。
 教授は錬金術でこわれた柵を土で作った逆茂木や罠を作り、軍曹は村人たちを戦えるように鍛え、影は見回り、村正とブドウを三人の補助に回っていた。
「なあ、村正。村人の様子がおかしくないか?」
「軍曹が、村人を鍛えて無法者集団と戦えるようにすると言ってたからな。激しい鍛え方すれば、疲れもでてくるさ」
「だけど、見た目がおかしくなっているぞ」
 ブドウに言われて村人を見た村正は驚いた。
 なぜなら村人たちは、昨日までもやしっ子と呼ばれるような体格だったのに、今の体格は一言で表すなら筋肉であった。
「ブドウ……お前まさか村人たちにあのなんとか拳法を使って村人の体を……」
「無実だ。人体損害拳は使っていない」
「じゃあ、村人がああなったのは軍曹のせい」
「そうとしか考えられない」
「たった一日でどんな訓練すればああなるんだ?」
 村正とブドウの疑問をよそに軍曹は村人(女、子供含む)たちを筋肉戦士に変えていく。

 親父たちが無法者たちを迎え撃つ準備を進める一方で、ゴーレム汽車にひき逃げされた無法者集団の生き残りはアジトに戻り、ボスに報告していた。
 ボスの名はカルロ。元々は農場主であったが、異常気象と魔物の異常発生よって、農地が荒れ、近隣の村から食料を強奪していくうちに、無法者集団のボスになった男である。
「鉄の獣にひかれた?貴様ら酒でも飲んで酔っ払っているのか?」
「すべて本当のことですボス」
「ボスはやめろ」
「へいブス」
 ボスではなくブスと言われてカルロは無言で報告していた部下をぶん殴った。
「呼び方、変えればいいって問題じゃない。お前は馬鹿か!」
 いきなりボスのカルロが殴っても周りの部下は誰一人として動じなかった。むしろ、「またあの馬鹿やった」と思っていただけだった。
「それでその鉄の獣はどこに向かったんだ」
 カルロは他の生き残りに聞いた。
「モヤシ村です」
「あの貧弱な奴しかいない村か?おい、手下を全て集めろ。明日モヤシ村に向かう。あんな貧弱な奴らでも、鉄の獣についての情報ぐらいは持っているだろうからな」
 こうしてカルロが率いる無法集団は親父たちが手ぐすね引いて待っているとも思わず、自ら地獄に向かって突き進むのだった。
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