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第二章 親父たち大陸横断する
親父たち、突進する(?)
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ゴーレム列車で旅を続ける親父たち、運転を交代して休憩スペースで休んでいた村正は同じく休憩スペースで計算していた教授に疑問をぶつけてみた。
「教授。今どの辺りを走っているんだ?」
「うむ、先ほど軍曹が六分儀で調べた結果だと、我々いた世界で言うところのアイオワ州をもうすぐ抜けることになるな村正」
「アイオワ州って、確か大統領選挙の時に必ず話題になる」
「うむ、その通りだよ。「アイオワを制する者が大統領選挙を制する」とも言われている。あのアイオワ州だよ」
「じゃあ、このコーンベルトとももうすぐお別れか」
そう言って列車の外を眺める村正。そこはトウモロコシではないが、黄色に実ったイネ科の植物で覆われていた。
「ちょっと意味が違うぞ村正。コーンベルトはより高い価格を得るために議会に圧力をかけた強力な農業組合によって支えられた農業地帯を表しているのだよ」
「そうなのか?教授はあいかわらず博識だな」
「二人とも、講義はそのくらいにした方がいいでござるよ」
そう言って、列車の上で見張りをしていた影が加わった。
「うむ。どうしんだね?影」
「前方から複数の黒い煙が見えるでござる」
「それ絶対に、ただの火事ではないよな!」
「その通りでござる。村正どの!」
「うむ、だとするとマズイな!そろそろゴーレム列車の内部動力を冷却するための水を補給しようと思っていたからな。何かトラブルがあるとまずい」
「確かに、水の補給はおろか、ゴーレム列車そのものを放棄することになるな。運転しているブドウに言って迂回するように言ってくる」
「それは無理でござるよ。村正どの」
「なぜだ?影」
「こちらに向かってくる多数の馬の足音が聞こえてくるでござる」
「それならなおのことマズイ!今この列車を運転しているのがブドウなんだぞ!」
「うむ、確かにマズイことになるな!」
「運転しているのがブドウどのである以上、相手の方がマズイことになるでござるな!」
「拙者。ブドウを止めてくる」
「軍曹にこの事を伝えてくるでござる」
そう言って、影は後方で見張りをしている軍曹にこの事を伝えに行き、村正はブドウが運転している操縦室に向かったが、すでに操縦室からでも人が乗った馬の集団が視認できる距離になっていた。
「なんだあの馬の集団は、わしの愛車に喧嘩売ってんのか!」
「ブドウ。この列車はお前のものではないぞ」
「なんだ村正。運転の交代ならさっきしたばかりだろう」
「あの馬の集団が来るから、迂回するように言い来たんだ!」
「何を言っているんだ村正!あんな貧弱な奴らになんでわしの愛車が道を譲らなければならないんだ!」
「お前の愛車でもないし、無用なトラブルを避けるために手段だ!」
思わずツッコミを入れる村正。この旅を初めてわかったことだが、ブドウは乗り物を運転すると性格が変わるタイプであった。ブドウ以外の全員がブドウが元の世界に戻った時のことを心配していたが、
「安心しろ!フルスロットルで、あんな奴らをなぎ払ってやる」
「馬鹿やめろ!そんなことしたら、こちらにも無事では済まさせれない」
村正が止めるのも聞かずに、ブドウはゴーレム列車を加速させ、ゴーレム列車は走るミサイルと化した。
正面から向かってきた集団に次々とゴーレム列車に体当たりされ、人と馬は宙を舞ったのだった。
ゴーレム列車の休憩スペースに避難していた教授、影、軍曹は飛んできた人や馬を見て、村正がブドウの説得に失敗したことを察していた。
「うむ、人と馬が飛んでいる」
「人も馬の五体を広げて、十字手裏剣のように回転しているでござる」
「肯定であります」
そう言って現実から目を背けていた。
そして、この事が後のトラブルの火種になることを親父たちは気づいていなかった。
「教授。今どの辺りを走っているんだ?」
「うむ、先ほど軍曹が六分儀で調べた結果だと、我々いた世界で言うところのアイオワ州をもうすぐ抜けることになるな村正」
「アイオワ州って、確か大統領選挙の時に必ず話題になる」
「うむ、その通りだよ。「アイオワを制する者が大統領選挙を制する」とも言われている。あのアイオワ州だよ」
「じゃあ、このコーンベルトとももうすぐお別れか」
そう言って列車の外を眺める村正。そこはトウモロコシではないが、黄色に実ったイネ科の植物で覆われていた。
「ちょっと意味が違うぞ村正。コーンベルトはより高い価格を得るために議会に圧力をかけた強力な農業組合によって支えられた農業地帯を表しているのだよ」
「そうなのか?教授はあいかわらず博識だな」
「二人とも、講義はそのくらいにした方がいいでござるよ」
そう言って、列車の上で見張りをしていた影が加わった。
「うむ。どうしんだね?影」
「前方から複数の黒い煙が見えるでござる」
「それ絶対に、ただの火事ではないよな!」
「その通りでござる。村正どの!」
「うむ、だとするとマズイな!そろそろゴーレム列車の内部動力を冷却するための水を補給しようと思っていたからな。何かトラブルがあるとまずい」
「確かに、水の補給はおろか、ゴーレム列車そのものを放棄することになるな。運転しているブドウに言って迂回するように言ってくる」
「それは無理でござるよ。村正どの」
「なぜだ?影」
「こちらに向かってくる多数の馬の足音が聞こえてくるでござる」
「それならなおのことマズイ!今この列車を運転しているのがブドウなんだぞ!」
「うむ、確かにマズイことになるな!」
「運転しているのがブドウどのである以上、相手の方がマズイことになるでござるな!」
「拙者。ブドウを止めてくる」
「軍曹にこの事を伝えてくるでござる」
そう言って、影は後方で見張りをしている軍曹にこの事を伝えに行き、村正はブドウが運転している操縦室に向かったが、すでに操縦室からでも人が乗った馬の集団が視認できる距離になっていた。
「なんだあの馬の集団は、わしの愛車に喧嘩売ってんのか!」
「ブドウ。この列車はお前のものではないぞ」
「なんだ村正。運転の交代ならさっきしたばかりだろう」
「あの馬の集団が来るから、迂回するように言い来たんだ!」
「何を言っているんだ村正!あんな貧弱な奴らになんでわしの愛車が道を譲らなければならないんだ!」
「お前の愛車でもないし、無用なトラブルを避けるために手段だ!」
思わずツッコミを入れる村正。この旅を初めてわかったことだが、ブドウは乗り物を運転すると性格が変わるタイプであった。ブドウ以外の全員がブドウが元の世界に戻った時のことを心配していたが、
「安心しろ!フルスロットルで、あんな奴らをなぎ払ってやる」
「馬鹿やめろ!そんなことしたら、こちらにも無事では済まさせれない」
村正が止めるのも聞かずに、ブドウはゴーレム列車を加速させ、ゴーレム列車は走るミサイルと化した。
正面から向かってきた集団に次々とゴーレム列車に体当たりされ、人と馬は宙を舞ったのだった。
ゴーレム列車の休憩スペースに避難していた教授、影、軍曹は飛んできた人や馬を見て、村正がブドウの説得に失敗したことを察していた。
「うむ、人と馬が飛んでいる」
「人も馬の五体を広げて、十字手裏剣のように回転しているでござる」
「肯定であります」
そう言って現実から目を背けていた。
そして、この事が後のトラブルの火種になることを親父たちは気づいていなかった。
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