異世界親父騒動記

マサカド

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番外編

親父たち、サンタクロースになる?

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 これは親父たちは、旅途中で女性と子供だけの村に立ち寄った夜の話。

「教授、本当にやるのか?」
「うむ、何か問題でもあるのかね?村正」
「むしろ問題だらけだから、聞いているんだ?拙者らはなぜ、サンタの服を着て、白ヒゲまでつけているんだ?」
「村正どの。何を言ってるんでござるか?今日はクリスマスでござるよ!」
「その通りであります」
「それは拙者らの世界に居た時の話だろう。こんな恰好して住居不法侵入するなんて気は確かか!」
「うむ、だがこの方法以外で食料をさりげなく渡す方法がほかにあるのかね?」
「しかし!……何で拙者を止めるんだブドウ」
 気がつけば、反論する村正をブドウが制していた。
「村正が言いたいこともわかるが、盗賊集団によって男手のないこの村を見捨てるわけにはいかないし、かと言ってわしらがこの村に留まるわけにもいかない。わしらには目的のために旅をしているんだ。この村が元の生活を戻るまで留まるわけにはいかない。だからせめて食料を置いていこうと、決めたんではないか?」
「うむ、村正よ。我々の手から食料を渡せば色々と角が立つ。だがサンタクロースなら、そんな心配もない」
「いや、サンタクロースに化ける時点で色々と問題があるだろうが、赤い帽子は被っているが、服は青や黄色、軍曹に至っては迷彩色になっている。完全に怪しい人だ」
「うむ、塗料が足りなくて帽子しか赤くできなかったが、心配いらないさ。元々サンタクロースは緑や茶色などカラーバリエーションが様々だったそうだ。だが、某飲料会社によって赤に統一されただけだからだから、何の問題もない」
「迷彩色のサンタクロースはいないだろう。絶対に問題になるからやめた方がいい!」
 村正のツッコミを無視して、親父たちは行動を開始する。
「うむ、では各自それぞれの家にプレゼントを配りに行こう」
「了解であります」
「メリークリスマス」
「わかったでござる」
 その場に残った村正は一言。
「絶対に問題になるぞ。これは!」と呟く。
 そして村正の予感は的中する。

ケース1ブドウの場合
 サンタクロースらしく、煙突から入ろうとして、先に袋を落とし、自分も入ろうとしたが煙突と体がジャストフィットし、抜け出せなくなってしまい、無理やり力技で出ようとしたら煙突を破壊。
 結果、住民が慌てて外に出てきた為そのまま逃亡する。

ケース2影の場合
 忍者らしき素早く家に侵入し、食料を置いて素早く出て行こうとしたが、でかいくしゃみをしてしまい、住民が起きた為に窓を突き破って逃げ出す。

ケース3軍曹の場合
 速攻で寝ぼけた子供に見つかり、どう誤魔化そうとして考えた結果。
「悪い子はいねえがー!!」
 ナマハゲのフリをして子供を泣かせる。
 おまけに持っていた干し肉が刃物のような形をしていた為に、シルエットだけで見れは、完全に子供を襲おうとしている化け物にしか見えない。
 子供の泣き声に気づいた母親もその状況を見てをパニックにおちいり、そのままドアを蹴破って逃走。

ケース4教授の場合
 家に侵入して、すっ転ぶ。家具や食器などを壊すなどの破壊工作をした後に、住民に見つかって食料の入った袋を住民にぶつけて、逃亡する。

ケース5村正の場合
 家の扉を開けて、すぐにテーブルに食料を置いて立ち去るが、本人は住居不法侵入をしてしまったことに罪悪感を募らせる。

 この夜、村はあちこちで大騒ぎになり、村から少し離れた場所で親父たちは反省会をしていた。
「だから、問題になると言ったんだ!」
「村正。心配いらないであります。ナマハゲのフリをしたからサンタクロースのイメージは壊れていません」
「うむ、いいアイディアだよ」
「わしもそうすればよかった」
「そうでござるな」
「そういう問題じゃない!」
 またもや村正のツッコミは無視され、旅立つのだった。
 こうして親父たちは村を去るのだったが、後にこの村では良い子にしていないと「赤い帽子を被った化け物」に襲われるという言い伝えが子々孫々にまで伝えられるようになる。

※なまはげ
秋田県の男鹿半島周辺で行われてきた年中行事。大きな出刃包丁を持ち、鬼の面、ケラミノ、ハバキをまとって、家々を訪れ「泣ぐ子はいねがー」「悪い子はいねがー」と奇声を発しながら練り歩き、家に入って怠け者や子供、初嫁を探して暴れる。
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