異世界親父騒動記

マサカド

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第二章 親父たち大陸横断する

親父たち、まだ爆進する

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 警察隊の追跡を振り払った親父たち。
 しかし危機を脱した彼らの心は曇ったままだった。
「教授。現状報告をおねがいします」
「うむ、マズイ事にオート(自動操縦)から戻らなくなってしまった。このままでは我々の世界でいうところのロッキー山脈を登る事になる」
「登山なら温かい格好をしないとマズイな」
「やっと警察隊を振りきったと思ったのに、状況は改善されないままか?」
「困った事になったでござる」
 親父たちは口々にそう言っているが、それぞれが体勢をリラックス状態にして、完全に開き直っていた。
「うむ、諸君。そんなに悲観する事はない。さいわいにして、障害物をよける機能は壊れていないから、このまま北東に進めるだけ進もう」
「教授の言っている事にも一理あるが、ちゃんと北東に進んでいるのか?」
「うむ、むろんだ。コンパスは北東に向かっている事を指しているから心配ない」
「「「「…………」」」」 
教授以外の全員が沈黙のまま疑惑の目を向けていた。
「うむ、そう言えばあの警察隊はどうなったかね?」
 教授があからさまに話題を変えてきたが、全員がツッコミを入れる気にすらならなくなった為、話を合わせる。
「最後に見たのはドミノ倒しの如く倒れた人と馬の姿だったからな」
「どっかの花火大会か?」
「そういえば、警察隊の最後尾にいた最後の一人は危機を免れたようでござる」
「自分も見ました」

 親父たちがそんな会話をしている同時刻。
 警察隊は、地獄を見ていた。
 新種のモンスターを追跡して追い詰めたと思ったら、壁を登られ、自分たちはドミノ倒しの如く味方に押しつぶされ、重傷を負い、中には即死した者もいた。
 そんな警察隊の最後尾にいた初老の男が立ち竦んでいた。
 最後尾を走っていた為にこの惨劇から免れた彼は、ある行動を取った。
 仲間の警察たちを助けるのではなく、馬を走らせる。
 ただしそれは仲間を救う為に助けを呼ぶ為に馬を走らせたのではない。仲間を見殺しにして新種のモンスターを追跡する為に馬を走らせたのだった。
 彼の名はウィル。
 小さな町の保安官をしているが、今回新種のモンスター討伐の増援召集を受けて参加した。
 本人は小さな町の保安官で終わる気はない野心家だが、周りからは頑迷で横暴な存在でしか過ぎない。
 彼は自分一人の手で新種のモンスターを打倒して、民衆から喝采を浴びる夢想にふけるのだったが、現実はそう甘くはなかった。
 なぜなら保安官ウィルは親父たちの馬車とは全く別の方向に向かっていったのだった。
 そして親父たちも保安官ウィルも自分たちを監視している者がいることに、気づいていなかった。
 その場から五体満足な者が誰一人いなくなったことを確認した監視者は警察隊に近くづいていく。
 その行動は御馳走を目にした獣そのものであった。
 新たな敵が現れた事を親父たちは、知るよしもなく、親父たちは元の世界のロッキー山脈を登って行くのだった。
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