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第二章 親父たち大陸横断する
親父たち、出発する
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廃墟と化したマカロニの町で、親父たちは、砂漠を踏破する為の切り札を完成させた。
「ついにアレができたな」
「うむ、完成だ」
「設計図を見た時は眉唾ものだったが」
「実際に完成して見るとすごいでござる」
「自分もそう思います」
親父たちの前には完成した幌馬車があった。
しかし普通よりも大型の幌馬車だが違う所が二つある。
一つ目は牽引する為の動物がいない事。
二つ目は馬車には車輪がなく、代わりに蜘蛛のような八本の足がある。
「うむ、名づけてゴーレム馬車“蜘蛛”だ」
「これを作る為にタウン・ゴーレムのゴーレム・コアが必要だったとは!」
「しかし教授。なぜゴーレムなのか色々気になる所がありますが?」
「うむ、軍曹の意見も、もっともだ。そこで説明タイム。我々が馬を使えば、その馬が食べる飼い葉が必要になるし、世話も大変だ。しかしゴーレム馬車ならその必要もないし、生き物のような疲れもない。そして八本足である為にどんなデコボコな道でも安定して走る事ができる」
「なるほど。ちゃんと考えているでござるな」
「その通りだよ影。蜘蛛は車でいうところのキャンピングカーになっているから、運転を交代しながら、昼夜問わず走る事が出来る」
「夜の砂漠の行軍は危険であります」
ツッコミをいれる軍曹を無視して教授は進めていく。
「うむ、では試運転しよう」
「大丈夫なのか?」
「爆発はしないでござるか?」
「ちゃんと動くのか?」
他のメンバーもツッコミをいれるが、またもや教授は無視して、ゴーレム馬車“蜘蛛”を機動させた。
結果だけ見れば、ゴーレム馬車“蜘蛛”はちゃんと動いた。
ただし時速十キロ。
「きょ、教授。もうちょっとスピードでないのか?」
「うむ。これはマニュアル車と同じで一段階ずつギアを上げなければならないのだよ」
「なぜ、オートマチック車にすればいいのに?」
「部品が少なくて、修理しやすくする為であります」
「うむ。その通りだよ軍曹。多少不便でも、こちらの方がいいと判断したのだよ。さあ、北東に向かって出発しよう」
そう言って全員がゴーレム馬車“蜘蛛”乗り込んだ。
「マカロニの町とも、これでお別れか」
「もう住民は誰も居ないでござる」
「金山は無い事がわかって、みんな去っていたったからな。しかし、金山の正体が愚者の黄金(黄鉄鉱)だったとは」
「うむ、錬金術で大量の鉄と硫黄の備蓄ができたし、我々の世界なら需要はあるのにな」
「まさに、つわもの共の夢の後であります」
こうして親父たちはマカロニの町を後にした。
しかし親父たちは気づいていなかった。つわもの共の夢の後ではなく、夢の中であることに、廃墟となった建物の影で親父たちの行動を監視していた者がいた。
元マーヴィンファミリーのボスであるジャック・マーヴィンと元クリーフファミリーのボスであるアーネスト・クリーフの二人である。
彼らは元部下から袋叩きにされ、重傷ながらもマカロニの町まで戻ってきた。
目的は、親父たちに復讐する為に。
二人は傷が癒えたら、親父たちの後を追うだろう。
北東に向かって、追跡する二人が砂漠を越える事ができるのかは、誰もわからない。
「ついにアレができたな」
「うむ、完成だ」
「設計図を見た時は眉唾ものだったが」
「実際に完成して見るとすごいでござる」
「自分もそう思います」
親父たちの前には完成した幌馬車があった。
しかし普通よりも大型の幌馬車だが違う所が二つある。
一つ目は牽引する為の動物がいない事。
二つ目は馬車には車輪がなく、代わりに蜘蛛のような八本の足がある。
「うむ、名づけてゴーレム馬車“蜘蛛”だ」
「これを作る為にタウン・ゴーレムのゴーレム・コアが必要だったとは!」
「しかし教授。なぜゴーレムなのか色々気になる所がありますが?」
「うむ、軍曹の意見も、もっともだ。そこで説明タイム。我々が馬を使えば、その馬が食べる飼い葉が必要になるし、世話も大変だ。しかしゴーレム馬車ならその必要もないし、生き物のような疲れもない。そして八本足である為にどんなデコボコな道でも安定して走る事ができる」
「なるほど。ちゃんと考えているでござるな」
「その通りだよ影。蜘蛛は車でいうところのキャンピングカーになっているから、運転を交代しながら、昼夜問わず走る事が出来る」
「夜の砂漠の行軍は危険であります」
ツッコミをいれる軍曹を無視して教授は進めていく。
「うむ、では試運転しよう」
「大丈夫なのか?」
「爆発はしないでござるか?」
「ちゃんと動くのか?」
他のメンバーもツッコミをいれるが、またもや教授は無視して、ゴーレム馬車“蜘蛛”を機動させた。
結果だけ見れば、ゴーレム馬車“蜘蛛”はちゃんと動いた。
ただし時速十キロ。
「きょ、教授。もうちょっとスピードでないのか?」
「うむ。これはマニュアル車と同じで一段階ずつギアを上げなければならないのだよ」
「なぜ、オートマチック車にすればいいのに?」
「部品が少なくて、修理しやすくする為であります」
「うむ。その通りだよ軍曹。多少不便でも、こちらの方がいいと判断したのだよ。さあ、北東に向かって出発しよう」
そう言って全員がゴーレム馬車“蜘蛛”乗り込んだ。
「マカロニの町とも、これでお別れか」
「もう住民は誰も居ないでござる」
「金山は無い事がわかって、みんな去っていたったからな。しかし、金山の正体が愚者の黄金(黄鉄鉱)だったとは」
「うむ、錬金術で大量の鉄と硫黄の備蓄ができたし、我々の世界なら需要はあるのにな」
「まさに、つわもの共の夢の後であります」
こうして親父たちはマカロニの町を後にした。
しかし親父たちは気づいていなかった。つわもの共の夢の後ではなく、夢の中であることに、廃墟となった建物の影で親父たちの行動を監視していた者がいた。
元マーヴィンファミリーのボスであるジャック・マーヴィンと元クリーフファミリーのボスであるアーネスト・クリーフの二人である。
彼らは元部下から袋叩きにされ、重傷ながらもマカロニの町まで戻ってきた。
目的は、親父たちに復讐する為に。
二人は傷が癒えたら、親父たちの後を追うだろう。
北東に向かって、追跡する二人が砂漠を越える事ができるのかは、誰もわからない。
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