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第二章 親父たち大陸横断する
親父たち、新たな恨みを買う
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タウン・ゴーレムが完全に機能を停止したのを確認した親父たちは、大急ぎで目的の物をタウン・ゴーレムから回収する為に作業に移った。
ちなみに分離したタウン・ゴーレムの左足はまだ燃えていた。
「教授。何で消火剤を用意していないんだよ」
「しかたがあるまい。あの短時間に消火剤を作ることはできないし、何より材料がなかった」
「動かすのは口ではなく手であります」
「影。目的のブツは回収できたか?」
「問題無く、回収したでござる」
そう言って、影が持っていたのはゴーレムのコアであった。
「うむ、これで目的のものが作れる」
「教授。今はそんな事よりもその場から離れるのが先決であります」
そう言って、逃げるようにその場から離れるのだった。
朝日が昇る頃、親父たちは金山の麓の河原にいた。
「ここまで来れば大丈夫であります」
「まったく水をかけても消えないなんて、ナパームは厄介だな」
「いつの間にか金山の麓まできたでござる」
「ところで、教授。それがあれば本当にアレが作れるのか?」
「うむ、もちろんだよ。これでやっと砂漠を突破できる」
砂漠を越える手段に一歩近づいた事に喜ぶ親父たち。
しかし、これで旅が進む事もなく、新たなトラブルの火種が降りかかってくるのだった。
「今、川の中で何か光らなかったか?」
「うむ、確かに光った」
「肯定であります」
「全員が見たのならそれは幻覚ではないな」
「ちょっと見てくるでござる」
そう言って、影は川に入って光った場所から何かを取ってきた。
「こんな物があったでござる」
「「「金!」」」
「いや、それは違うぞ」
「教授。違うって?」
「金に似ているがそれは、愚者の黄金だ」
「「「「愚者の黄金!」」」」
「うむ、愚者の黄金とは黄鉄鉱のことだ。嘘だと思うのなら鑑定を使って確かめればいい」
教授以外の全員が鑑定を使った。
鑑定
黄鉄鉱
「「「「本当だ!」」」」
タウン・ゴーレム以上に驚きを隠せない親父たち。
「つまりここには金山なんて最初から……」
「うむ、なかったんだ」
「マーヴィンファミリーとクリーフファミリーはこんなまがい物の為に命を賭けて争っていたのか?」
「あわれでござる」
「肯定であります」
親父たちの複雑な感情をよそに状況は悪化していた。
なぜなら、マーヴィンファミリーとクリーフファミリーの面々が親父たちを取り囲んでいたのだった。
タウン・ゴーレムに機能停止した後、正気を取り戻したが、状況がつかめないまま騒ぎの中心にいた親父たちを追って来たのだった
そして親父たちの会話は両ファミリーの耳に届いていた。
「う、うそだろう。金じゃないなんて」
「俺達は何のために争っていたんだ」
「Zzzzz」
一部徹夜明けで寝ている者もいたが、大抵の者は混乱していた。
みんな親父たちの話を信じたからそうなったのだが、二人だけ信じない者がいた。
マーヴィンファミリーのボスであるジャック・マーヴィンとクリーフファミリーのボスであるアーネスト・クリーフの両名。
両名とも今まで自分が築いてきたものが無駄になる事を恐れた。
その為に両名が取った行動は、「あの親父たちを袋叩きにしろ」だった。
部下たちは忠実に袋叩きにした。
自分たちのボスを。
聞くに堪えない罵詈雑言と共に、一体どれだけの恨みを買っているのが、わかるくらいの行動をとって見せたのだった。
「な、何だ?」
「ジャック・マーヴィンとアーネスト・クリーフの二人が部下たちから集団暴行を受けているぞ」
「ここは静かに静観した方がいいであります」
「うむ、そうだな」
「一体何が起きたのでござるか?」
自分たちが原因とも気づかず、親父たちはただ呆然と見ているしかなかった。
こうしてマカロニの町の二大勢力であるマーヴィンファミリーとクリーフファミリーはこの日を境に自然消滅し、跡に残ったのは、かろうじて生きていたジャック・マーヴィンとアーネスト・クリーフの親父たちに対する逆恨みだけであった。
ちなみに分離したタウン・ゴーレムの左足はまだ燃えていた。
「教授。何で消火剤を用意していないんだよ」
「しかたがあるまい。あの短時間に消火剤を作ることはできないし、何より材料がなかった」
「動かすのは口ではなく手であります」
「影。目的のブツは回収できたか?」
「問題無く、回収したでござる」
そう言って、影が持っていたのはゴーレムのコアであった。
「うむ、これで目的のものが作れる」
「教授。今はそんな事よりもその場から離れるのが先決であります」
そう言って、逃げるようにその場から離れるのだった。
朝日が昇る頃、親父たちは金山の麓の河原にいた。
「ここまで来れば大丈夫であります」
「まったく水をかけても消えないなんて、ナパームは厄介だな」
「いつの間にか金山の麓まできたでござる」
「ところで、教授。それがあれば本当にアレが作れるのか?」
「うむ、もちろんだよ。これでやっと砂漠を突破できる」
砂漠を越える手段に一歩近づいた事に喜ぶ親父たち。
しかし、これで旅が進む事もなく、新たなトラブルの火種が降りかかってくるのだった。
「今、川の中で何か光らなかったか?」
「うむ、確かに光った」
「肯定であります」
「全員が見たのならそれは幻覚ではないな」
「ちょっと見てくるでござる」
そう言って、影は川に入って光った場所から何かを取ってきた。
「こんな物があったでござる」
「「「金!」」」
「いや、それは違うぞ」
「教授。違うって?」
「金に似ているがそれは、愚者の黄金だ」
「「「「愚者の黄金!」」」」
「うむ、愚者の黄金とは黄鉄鉱のことだ。嘘だと思うのなら鑑定を使って確かめればいい」
教授以外の全員が鑑定を使った。
鑑定
黄鉄鉱
「「「「本当だ!」」」」
タウン・ゴーレム以上に驚きを隠せない親父たち。
「つまりここには金山なんて最初から……」
「うむ、なかったんだ」
「マーヴィンファミリーとクリーフファミリーはこんなまがい物の為に命を賭けて争っていたのか?」
「あわれでござる」
「肯定であります」
親父たちの複雑な感情をよそに状況は悪化していた。
なぜなら、マーヴィンファミリーとクリーフファミリーの面々が親父たちを取り囲んでいたのだった。
タウン・ゴーレムに機能停止した後、正気を取り戻したが、状況がつかめないまま騒ぎの中心にいた親父たちを追って来たのだった
そして親父たちの会話は両ファミリーの耳に届いていた。
「う、うそだろう。金じゃないなんて」
「俺達は何のために争っていたんだ」
「Zzzzz」
一部徹夜明けで寝ている者もいたが、大抵の者は混乱していた。
みんな親父たちの話を信じたからそうなったのだが、二人だけ信じない者がいた。
マーヴィンファミリーのボスであるジャック・マーヴィンとクリーフファミリーのボスであるアーネスト・クリーフの両名。
両名とも今まで自分が築いてきたものが無駄になる事を恐れた。
その為に両名が取った行動は、「あの親父たちを袋叩きにしろ」だった。
部下たちは忠実に袋叩きにした。
自分たちのボスを。
聞くに堪えない罵詈雑言と共に、一体どれだけの恨みを買っているのが、わかるくらいの行動をとって見せたのだった。
「な、何だ?」
「ジャック・マーヴィンとアーネスト・クリーフの二人が部下たちから集団暴行を受けているぞ」
「ここは静かに静観した方がいいであります」
「うむ、そうだな」
「一体何が起きたのでござるか?」
自分たちが原因とも気づかず、親父たちはただ呆然と見ているしかなかった。
こうしてマカロニの町の二大勢力であるマーヴィンファミリーとクリーフファミリーはこの日を境に自然消滅し、跡に残ったのは、かろうじて生きていたジャック・マーヴィンとアーネスト・クリーフの親父たちに対する逆恨みだけであった。
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