異世界親父騒動記

第二章 親父たち大陸横断する

親父たち、マカロニの町の状況を整理する

　野宿の用意や食事も終わり、親父たちは寝る前のひと時を、これからの旅の行程とマカロニの町の状況を話しあってみた。
　現在マカロニの町は、近くで見つかった金山を巡って、二つの勢力が争っている。
　一つは、伯爵の異名を持つジャック・マーヴィンが率いるマーヴィンファミリー。
　ジャック・マーヴィンの特徴は上から下まで黒ずくめで、底意地の悪そうな風貌をしている。
　もう一つが将軍の異名を持つアーネスト・クリーフが率いるクリーフファミリー。
　アーネスト・クリーフの特徴は鷹のような鋭い目と、がっしりした体格。
「うむ、だいたいのマカロニの町の状況はこんなところだ」
「西部劇のお約束みたいな展開だな」
「肯定であります」
「でも我々では、どうしようもできないでござる」
「マカロニの町もだが、これから越える砂漠をどう踏破するか相談した方がいいんじゃないか？教授」
「うむ、ブドウの意見ももっともだが、今の我々には砂漠を踏破する為の準備期間が必要だ。そのためにもしばらくこのマカロニの町に滞在する必要がある」
「確かに、ハイウェイなんて上品な道がこの世界にあるとは思えない。砂漠を歩いて踏破するなんて無理だ」
「教授。対策がいくつかあると、言っていたが、それはなんだ？」
「うむ、それはこれなのだよ」
　そう言って、教授は皆に複数の羊皮紙を見せた。
「こ、これがでござるか？」
「にわかに信じらない？」
「肯定であります」
「気球はともかく、これは不可能じゃないのか？」
「皆の意見も、もっともだが、まず挑戦してみないと始まらないよ」
　こうして親父たちの夜は更けていく。
　そして親父たちのいない所でも状況は変化する。

変化1
　街道に待機しいる騎士団。
「おい、本当に冒険者パーティーのドリフターはここを通るんだな！」
「はい、入手した情報に間違いありません」
　この騎士団はスタートの街の決闘でブドウに敗れた騎士の仲間たち。
　ブドウに敗れた騎士の弔い合戦を挑む為に街道で待ち伏せしていたのだった。
　ちなみにブドウに敗れた騎士は、社会的に死んだという意味ではあっているが、まだ生きています。
「ならば、なぜこの街道に現れない。北東に向かう道はここだけなのに？」
「斥候を出して調べている最中です」
　騎士団は知らなかった。親父たちが北東ではなく南東に進んでいる事を。
　そして親父たちが、不思議に思っていた事はこの世界でも異常だった。

変化2
　マーヴィンファミリー
「なに！ザッコがハンギングツリー（吊るし首の木）に吊るされていただと」
「間違いありません。すぐに死なないように最小限の手当てだけされて見せしめとして吊るされていました」
「くそ、クリーフファミリーの奴らめ。すぐに報復しろ！」
「わかりました」
　親父たちはハンギングツリーである事を知らなかった。
　無理もない周りに墓も無く、この町では罪人は棺桶にいれず、ただ土に埋めるだけであった。
　ザッコを吊るした親父たちのせいで、全く無関係なクリーフファミリーは報復にあうのだった。

変化3
　クリーフファミリー
「なに！マーヴィンファミリーが殴りこみにきた！」
「ただいま応戦しています」
「あのクソ野郎ども、おい手下を集めろ明日の朝総力戦だ！」
「わかりやした」
　こうして親父たちが原因でこの町は血で血を洗う抗争へ向かっていくのであった。