異世界親父騒動記

マサカド

文字の大きさ
上 下
20 / 274
第一章 親父たち追放される

親父たち、パレードに便乗する

しおりを挟む
 祭り当日。
 親父たちは、勇者のパレードに便乗することにした。
 目的はもちろん米、味噌、醤油の為である。
「うむ、それではこれから最終チェックを始める」
「拙者たちがあらかじめ調べたとおり、パレードは大通りを真っ直ぐ進んで、そのまま祭壇のゲートに入るルートだ」
「我々は、そのパレードに紛れ込んでゲートを通る手筈になっているでござる」
「だが、大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。冒険者たちもかなりの人数が同行する事になっている」
「うむ、我々は冒険者たちをサポートするポーターと呼ばれる運搬者になって、堂々とゲートを通ればいいだけだ」
「冒険者ギルドを通さずに、上級冒険者パーティーが直接ポーターを雇うことはあるらしいからな」
「冒険者ギルドも上級冒険者に対しては黙認しているでござる」
「しかし」
「しかし、なんだ軍曹」
「自分の経験からいって、あらかじめ入念に調べ、計画して今日という日しかないた時ほど予測不能な事態になる事があります」
「うむ、確かにわたしが大学で実験をした時にも、そのようなケースがあったな」
「儂も、スタントマンをしていた時にそんな経験があったでござる」
「確かに、拙者がVIPの警備に駆り出された時に突発的なトラブルが……」
「そういえば、わしも試合の前の日に酒を飲んでいる時に……」
「「「「もう酔っ払いネタはいい(でござる)」」」」
 ブドウにツッコミを入れる親父たちであった。
 しかし、この時の軍曹の予感は、この後最悪の形で的中するのだった。

 スタートの街は勇者たちのパレードを一目見ようとする人々で混雑していた。
 そんな中、親父たちは運良く冒険者たちが雇ったポーターの集団に紛れ込むことに成功し、今や遅しとその時を待っていた。
「教授、思ったより簡単に紛れ込めたな」
「うむ、予想以上にポーターの数が多かった」
「しかし、油断は禁物であります」
「確かに、どこに教会の刺客がいないとも言えないからな」
「今の所、怪しい気配はないでござる」
 そう言って用心している親父たちをよそに出立式が開始された。
 壇上の上には、この世界で初めて会ったヒイロ司祭がいた。
「おい、あれって神殿で会った時の坊さんじゃないか?」
「うむ、確かにそうの通りだ」
「鼻が天狗にみたいに長くなっている気がする」
「自分にもそう見えます」
「調子に乗っているでござるな」

 長ったらしい演説の後、勇者たちが登場した。
「やっぱり、勇者は一緒に召喚された学生たちだ」
「だが、あの学生たち、何か変じゃないか?」
「死んだ魚のような目をしているぞ」
「自我が無いような状態でござるな」
「うむ、我々も追放されなかったら、危なかった」
 そんな親父たちをよそに一人の勇者が勢い良く聖剣を抜いて、人々は喝采した。
親父たちはその姿を見て、別に意味で驚いた。
なぜなら聖剣は日本刀だったからである。
 こうして一通りの出立式を終えて、パレードは開始された。
 パレードの順番は、先頭が勇者(学生)たち、二番目が王国の騎士団、三番目が教会の聖騎士団、四番目が魔法使いや弓使いなどの後方支援部隊、五番目が従者や野営追行者などの補給部隊、六番目が上級冒険者、最後にポーター集団である。
 次々と祭壇のゲートを使って魔王の本拠地に向かって行ったが、最後のポーター集団の時に問題は起きた。
 突然、ゲートが機能停止したからだ。
 原因はすぐにわかった。なぜなら原因が自分から名乗り出た。
「ギヒヒヒヒ、このゲートは我グレムリンキングが破壊した」
 体格が成人男性の半分くらいの緑のモンスターが登場したのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う

月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...