異世界親父騒動記

第一章 親父たち追放される

親父たち、異世界で初めての食事と睡眠

　迷宮ダンジョンの袋小路で親父たちは、野営をはじめた。
　教授が錬金術で袋小路の通路を壁に偽装し、軍曹は松かさによく似た乾燥した実を着火剤代わりにして火を起こし、村正は真っ直ぐな枝で串を作り、ブドウと影は解体した肉に塩を振りかけて下拵えしていくのだった。

やがて焚火を中心に親父たちは、円陣を組んで座り、肉を炙っていた。
　異世界初めての食事は肉の丸焼き。
　美味ではないが、親父たちはこの上ない御馳走として味わうのだった。

　食事を終えた親父たちは食事した場所から移動して、別の袋小路で休むことにした。
　なぜそんな手間のかかる事しているのか、それは教授が錬金術で袋小路の通路を完全に壁したことによる密封状態になり、焚火を焚いたことによる呼吸困難になったからである。
「「「「教授。今度は大丈夫なんだろうな」」」」」
「心配するな。今度は上の方に空気穴を作ったから大丈夫だ。それから奥の方にトイレを作って置いた和式トイレだが充分だろう」
「「「「……」」」」
　教授以外の親父たちが「こいつ本当に大丈夫」といった目で見ていた。
「そんなに騒いでいたら、モンスターたちが襲って来るかもしれない。明日の為にも、今日の所はもう休もう」
　そう言って、教授はアイテムボックスから毛皮を取り出し、毛布代わりにして眠った。
　誰の目から見てもタヌキ寝入りなのはあきらかであったが、それ以上は疲れるので追及しなかった。
「見張りの交代はさっき決めた通り」
　そういった見張りの村正以外は、アイテムボックスから毛皮を取り出して、教授と同じように毛布代わりにして眠った。
　しかし、モンスターたちは襲ってくることはなかった。
親父たちが呼吸困難になって騒いでいた時点で、モンスターたちはいなかった。
　なぜなら呪いの金袋の効果によって、迷宮ダンジョンのモンスターたちはデストロイの街に向かって進撃したのであった。