異世界親父騒動記

第一章 親父たち追放される

親父たち異世界で最初の騒ぎを起こす

　ここはとある異世界の神殿。
　ここで勇者召喚の儀式を召喚の間でおこなわれていたが、召喚の間は騒がしかった。
　召喚された者達はパニックを起こしていた。
　ただし、パニックを起こしていたのは五人の親父たちだけだった。
「ここはどこ、本官は誰」
　警官の安土　警太郎は古典的なパニックであった。
「アチョー」
　格闘家の家道　武は意味も無く拳法の型を披露をしていた。
「車はどこいったんだ」
　自衛官の防人　衛はこの状況よりも国民の血税である車がなくなったことに混乱していた。
「き、君達少しは落ち着いたらどうだね」
　一見落ち着いているように見える教授の工機　学は口に加えたパイプから蒸気機関車のような煙を噴き上げていた。
「……」
　忍者の末裔でスタントマンの草野　半蔵は無言で辺りを文字通り飛び跳ねていた。
　はっきり言って不気味である。

　親父たちのあまりのパニックぶりに学生達は逆に冷静になっていた。
　そして召喚した側もパニックを起こしていた。
　なぜなら、親父たちの周りには兵士達が死屍累々となっていた。
　パニックを起こした親父たちを止める為に兵士が襲いかかったのだが、ある兵士は一本背負いで脳震盪を起こし、またある兵士はパイルドライバーで、犬神家と化していた。
　親父たちのパニックはそれから一時間後に鎮静化するのだった。