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第二章 勇者の花嫁 魔王の花婿

第十二話 企み

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後半は第三視点です。

前回までのあらすじ
突如現れたモフモフな魔物たちによってモフモフハンターと化したノエルとミスターモフモフ。
シンタロー達は暴走する二人を止めるのだった。

 夕方。
 俺は夕食を作っていた。
「シンタローさん!大丈夫ですか?」
「大丈夫に見えるか?」
「いえ、原因であるノエルさんとミスターさんにも困りましたね!」
 二人はテントの中で泣きながら寝ている。
 原因はコボルト(小型犬)が逃げた後、子猫、子狐、子狸、子兎などの魔物と遭遇してしまったからだ。
「まさか、あの後もノエルとミスターが暴走するとは!」
「そのせいでモフちゃんさんもモフミちゃんさんもダウンしていますからね!」
 俺は広げていたブルーシートを見る。
 モフちゃんとモフミちゃんが荒い息継ぎをしながら、倒れていた。
 二人は文字通り体を張って、ノエルとミスターを止めたが、それも限界だったため、俺は秘密兵器を投入した。
「まさか!ここで等身大モフちゃんぬいぐるみ二世と等身大モフミちゃんぬいぐるみ二世を使うとは思わなかった!」
 現在ぬいぐるみは二人の抱き枕と化している。
「でも、そのおかげでモフちゃんさんとモフミちゃんさんはモフモフ地獄から救われたんですから、よかったじゃないですか!」
「エドモントはプラス思考だな!」
「アンデッドですから!所で今晩のご飯は何ですか?」
「カレーだ!」
 この後、カレーの匂いで起きてきたノエルとミスターは泣きながらカレーを三杯おかわりした。
「泣くか食べるかにしてほしいな!」
「全くです!シンタローさん!私もおかわりお願いします!」
「わたしも!」
「…………」
 食いしん坊たちにあきれる俺をモフちゃんは慰めてくれた。

 シンタロー達が夕食を食べている頃。
 所変わって、ここは魔王バステルンの城。
「作戦は失敗だ!」
「やっぱりか!」
 魔物たちはため息をついた。
「魔王様に言われて、魔物を送り込んだが……」
「怯えて帰ってきたぞ!」
「そもそも、魔王様があの幼獣を救出する作戦と言ってて我々に指示したが、どう考えても拉致だろ!あれは!」
 魔王バステルンの作戦は、モフモフした魔物を遭遇させ、ノエル達がそれに目を奪われている間にモフちゃんを救助(捕獲)するというものだった。
 魔物たちは誰もが失敗すると予想した。
 結果は予想の斜め上をいくことになった。
「おかげでコボルトたちは人間不信になり、中には耳を物理的に畳んでいる者もいるぞ!」
「魔王様に報告するのは気が重い!」
「しかし、報告しなければ、もっとやばいことになる!」
 魔物たちは重い足取りで魔王バステルンに報告した。
 その後、彼らはこう証言する「自分達はよく生きていたな!」と。
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