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第二章 勇者の花嫁 魔王の花婿

第九話 奇妙な友情

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前回までのあらすじ
進退窮まったシンタローたちにミスターモフモフが襲い掛かる。

 ミスターモフモフによってモフちゃんが汚される………………ことはなかった。
 俺達の前に魔王バステルンの手下である魔物たちがスクラムを組み、ミスターモフモフをブロックした。
「「「「「冒険者さん!この変態は私達が防ぎます!だから、早く!お逃げください!」」」」」
「お、お前たち……」
 普通ならここで奇妙な友情と捉えて感謝するところだが、俺から出た言葉は違うものだった。
「ノエルと魔王を防ぐことができなかったのか?」
「「「「「すみません!!!」」」」」
「どういうことですか?シンタローさん!」
「モフちゃんをぬいぐるみとすり替えたのがばれたんだ!走るぞ!」
「はい!」
 そう言って、俺達は魔王バステルンの城から逃げだした。

 三日後。
 とある町の冒険者ギルド兼酒場のテーブルで俺達はダウンしていた。
「やっと手続きが終わった!」
「お疲れ様です!シンタローさん!」
「エドモントも手紙の代筆すまなかったな!」
「論文書くのに慣れていますから、それはたいしたことはないんですが、問題なのかアレですよ!」
「確かにアレだな!」
 俺達が座っているテーブルを挟んで、モフちゃんを抱き締めているご機嫌なノエル。
「モフモフモフモフモフモフ~♪」
 それを見て嫉妬しているミスターモフモフ。
「キーーーーーーーーーーー!」
 その横でぐったりとしているモフミちゃんがいた。
「……………」
 はっきり言って、カオスな状況だ。
「しかし、よくノエルさんとモフミちゃんさんと合流することができましたね!」
「ノエル曰く、モフちゃんレーダーを使えば、どんなにモフちゃんと離れていても、居場所がわかるそうだ!」
「あたしにだって、モフモフレーダーが備わっているわよ!」
(何と張り合っているんだ!このおっさんは?)と言いたい事を胸の内に仕舞い込んで、ミスターモフモフに問いただした。
「なぜ、あんたがここにいるんだ?ミスターモフモフ!」
「それは簡単よ!あたしもあなた達のパーティーに入るわ!」
「「なぜ?」」
「あなた達といれば、新たなモフモフ達と出会う事が出来るとあたしの第六感が言っているのよ!」
 (迷惑だ!)と俺は思った。
「それは無理ですよ!」
 俺より先にエドモントは返事した。
「あら、なぜなの!」
「このパーティーは勇者見習いであるノエルさんのパーティーだからです!ノエルさんに決定権がある以上はノエルさんが許可しないとはいることはできません!」
 エドモントの正論に俺は確信した。
 この変なおっさんはパーティーに加わることはないと思ったが、その希望はあっさり打ち砕かれた。
「それなら大丈夫よ!許可は貰っているわ!」
「「え!」」
 俺達は驚いて、いまだにモフちゃんをモフモフしているノエルに問いただした。
「うん!オーケーしたよ!」
「なぜ?オーケーしたんだ!あのおっさんはモフちゃんの事を狙っているのに?」
「だって、あのおばさんの魔の手からモフちゃんを守るためだよ!」
「おばさんって、魔王バステルンの事か?」
「そうだよ!あのおばさんが、等身大モフちゃんぬいぐるみを壊したんだよ!」
「それって、お前と魔王がぬいぐるみを引っ張り合って壊したんじゃないのか?」
「違うよ!あのおばさんがモフちゃんぬいぐるみを離さないのが悪いんだよ!」
 俺は心の中で「駄目だ、こりゃ」と呟いた。
「ノエルさん!なぜミスターモフモフさんを仲間に加えることがモフちゃんさんを守ることにつながるんですか?」
「取引したからだよ!」
「取引ですか?」
「うん!モフミちゃんをモフモフさせる代わりにモフちゃんをモフモフしないことと守ることを誓わせたんだよ!」
「ノエル!大丈夫なのか?」
「失礼しちゃうわ!人のモフモフを奪うような人にあたしが見えるの!!」
 本人はそういっているが、俺にはミスターモフモフが一度狙った獲物は逃がさない鷹にしか見えなかった。
 こうして、ノエルとミスターモフモフの奇妙な友情により、ミスターモフモフがパーティーに加わった。

シンタロー「そういえばミスターモフモフの本名知らないな!」
エドモント「そうですね!」
ミスターモフモフ「モフオ・モフーダよ!」
シンタロー&エドモント「…………………」
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