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第一章 勇者誕生
第二十八話 国境突破!
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前回までのあらすじ
元使い魔のモフミちゃんを仲間にするか押し問答するシンタローとノエル。
結果、ノエルが強引にモフミちゃんを仲間にした。
国境の町に辿り着き、とある路地裏で俺とエドモントは、軽い混乱状態に陥っていた。
「シンタローさん。大丈夫ですか?」
「大丈夫だ!予想の斜め上だったから、驚いていただけだ!」
俺とエドモントが見つめる先には、肌つやのよくなったノエルと、げっそりとした子パンダ化したモフミちゃん。
さらにモフミちゃんを介抱するモフちゃんの姿があった。
「車で移動中もモフモフしていたのか?」
「シンタローさんの予想通り。ノエルさんはモフミちゃんさんをずーっとモフモフしていました!」
「車で移動する時にジャイアントパンダのモフミちゃんは乗せられないと言った途端、モフミちゃんが子パンダ化したよな……」
「ええ、それを見たノエルさんがモフミちゃんに抱きついて、そのままモフモフしていました!」
「俺、一つだけ確信したことがある!」
「何ですか?シンタローさん!」
「ノエルはペットに過剰な愛情を押し付けるタイプだ!」
「右に同じです!と言いたいところですが、シンタローさんも何をやっているんですか?」
エドモントは俺が顔に化粧を施していることに疑問をもったようだ。
「見ての通り、変装の準備をしている!」
「変装ですか?」
「この国では俺は一応脱獄犯だからな。こうして変装セットを取り寄せて、別人になり済まして関所を突破しようと思ってな!」
俺はそう言いながら、顔にメイクを施し、両手に手袋をはめた。
「シンタローさん!その手袋は何ですか?」
「手が老いた手になるように特殊加工されたものだ!」
「そんなもの!必要なんですか?」
「顔だけ年寄りで、手が若者の手だったら、おかしいだろう!そのための手袋さ!」
「…………」
「どうしたんだ?エドモント!」
「シンタローさん!私いま思ったんですけど、あの空飛ぶ卵を使えば、簡単に関所も国境も越えることができるんじゃありませんか?」
「確かにエドモントの言うとおり、越えることはできる。越えることはな!」
「では、なぜそうしないんですか?」
「簡単だ!面倒なことになると勘が言っている!」
「勘ですか?」
「そうだ!こういう時は動物的な直感を信じることが大事だ!」
そう言って、メイクを終えた俺は、荷カゴを背負った。
「さあ!出発だ!」
「シンタローさん!それは無理です!」
「なぜ?」
「ノエルさんはともかく、モフミちゃんはとても出発できる状態じゃありませんよ!」
確かにエドモントの言うとおり、モフミちゃんはぐったりとしている。
「その心配はいらない!モフミちゃんは俺が背負っている荷物上に置く!」
「そうなんですか!」
「ああ!何のために荷カゴを背負ったと思ったんだ!モフミちゃんを運ぶためでもあるんだ!」
そう言って、俺はモフミちゃんを荷カゴに入れ、モフちゃんを頭の上に乗せた。
モフちゃんは俺の頭の上がお気に入りの為、尻尾を左右に振っている。
ご機嫌である。
ただしノエルはご機嫌斜めになった。
「あらためて!出発だ!」
こうして俺達は無事に関所を突破…………できなかった。
関所にいた役人とノエルが口論していた。
「モフちゃんはボクのものだーー!!」
「おだまり小娘!あたしは純度百パーセントのミスター・モフモフ!あんたみたいな尻軽女とは違うんだから!」
原因はモフちゃんを触りたい役人をノエルがブロックしている。
かれこれ一時間、俺とエドモント、それともう一人の役人はこの不毛な争いを見続けている。
そして、俺達の後ろには長蛇の列ができていた。
「男も魅了するモフちゃんさんとは一体?」
「エドモント、モフちゃんが異常な存在ではなく、あの二人が異常なだけだ!」
エドモントの天然ボケに俺が突っ込みを入れている間も、役人とノエルの一触触発な状態は続いていた。
この争いは役人の上司が来て、物理的に止めさせるまで続き、俺達は問題を起こしたとして国外追放になった。
「この国から脱出できたのはよかったが、なんか違うような気がするな!」
「そうですか?私はむしろモフちゃんさんを触ろうとした役人さんが気になりますが、あの人最後までモフちゃんさんに「ボディタッチさせろ!」って騒いでましたよ!」
「ボディチャックではなくボディタッチ?」
「アノオヤジユルスマジ!」
「ノエル……こっちの世界に戻って来い!勇者見習いから犯罪者に転職するな!」
俺はノエルを説得するが聞く耳を持たず、結局モフちゃんのモフモフアタックで、こっちの世界に戻って来た。
「モフモフモフモフ~♪」
「こんな状態でノエルの両親と会わせたら、どんな行動を起こすか、見物だな!」
「シンタローさん!やはり行くんですか?ノエルさんの故郷に……!」
「ああ、スルーできるなら、どんなに楽か!」
「心中お察しします……でも、スルーするわけには……」
「わかっている!一つはノエルの里帰りで、もう一つはあの黒こげになった馬が言っていた無手のなんとかの手がかりになる遺跡があるんだろ!」
「その通りです~♪私の知識欲を満たしてくれることを期待します~♪」
俺は心の中で「駄目だこりゃ!」と思いつつ、周りに第三者がいないことを確認したうえでストレージからサバイバルカーを出した。
「全員乗れ!」
俺の一言共にサバイバルカーに乗るモフちゃんをくっつけたノエルとモフミちゃん、エドモントがサバイバルカーに乗る。
全員が乗ったことを確認した俺は、エンジンをかけ、ノエルの故郷に出発した。
元使い魔のモフミちゃんを仲間にするか押し問答するシンタローとノエル。
結果、ノエルが強引にモフミちゃんを仲間にした。
国境の町に辿り着き、とある路地裏で俺とエドモントは、軽い混乱状態に陥っていた。
「シンタローさん。大丈夫ですか?」
「大丈夫だ!予想の斜め上だったから、驚いていただけだ!」
俺とエドモントが見つめる先には、肌つやのよくなったノエルと、げっそりとした子パンダ化したモフミちゃん。
さらにモフミちゃんを介抱するモフちゃんの姿があった。
「車で移動中もモフモフしていたのか?」
「シンタローさんの予想通り。ノエルさんはモフミちゃんさんをずーっとモフモフしていました!」
「車で移動する時にジャイアントパンダのモフミちゃんは乗せられないと言った途端、モフミちゃんが子パンダ化したよな……」
「ええ、それを見たノエルさんがモフミちゃんに抱きついて、そのままモフモフしていました!」
「俺、一つだけ確信したことがある!」
「何ですか?シンタローさん!」
「ノエルはペットに過剰な愛情を押し付けるタイプだ!」
「右に同じです!と言いたいところですが、シンタローさんも何をやっているんですか?」
エドモントは俺が顔に化粧を施していることに疑問をもったようだ。
「見ての通り、変装の準備をしている!」
「変装ですか?」
「この国では俺は一応脱獄犯だからな。こうして変装セットを取り寄せて、別人になり済まして関所を突破しようと思ってな!」
俺はそう言いながら、顔にメイクを施し、両手に手袋をはめた。
「シンタローさん!その手袋は何ですか?」
「手が老いた手になるように特殊加工されたものだ!」
「そんなもの!必要なんですか?」
「顔だけ年寄りで、手が若者の手だったら、おかしいだろう!そのための手袋さ!」
「…………」
「どうしたんだ?エドモント!」
「シンタローさん!私いま思ったんですけど、あの空飛ぶ卵を使えば、簡単に関所も国境も越えることができるんじゃありませんか?」
「確かにエドモントの言うとおり、越えることはできる。越えることはな!」
「では、なぜそうしないんですか?」
「簡単だ!面倒なことになると勘が言っている!」
「勘ですか?」
「そうだ!こういう時は動物的な直感を信じることが大事だ!」
そう言って、メイクを終えた俺は、荷カゴを背負った。
「さあ!出発だ!」
「シンタローさん!それは無理です!」
「なぜ?」
「ノエルさんはともかく、モフミちゃんはとても出発できる状態じゃありませんよ!」
確かにエドモントの言うとおり、モフミちゃんはぐったりとしている。
「その心配はいらない!モフミちゃんは俺が背負っている荷物上に置く!」
「そうなんですか!」
「ああ!何のために荷カゴを背負ったと思ったんだ!モフミちゃんを運ぶためでもあるんだ!」
そう言って、俺はモフミちゃんを荷カゴに入れ、モフちゃんを頭の上に乗せた。
モフちゃんは俺の頭の上がお気に入りの為、尻尾を左右に振っている。
ご機嫌である。
ただしノエルはご機嫌斜めになった。
「あらためて!出発だ!」
こうして俺達は無事に関所を突破…………できなかった。
関所にいた役人とノエルが口論していた。
「モフちゃんはボクのものだーー!!」
「おだまり小娘!あたしは純度百パーセントのミスター・モフモフ!あんたみたいな尻軽女とは違うんだから!」
原因はモフちゃんを触りたい役人をノエルがブロックしている。
かれこれ一時間、俺とエドモント、それともう一人の役人はこの不毛な争いを見続けている。
そして、俺達の後ろには長蛇の列ができていた。
「男も魅了するモフちゃんさんとは一体?」
「エドモント、モフちゃんが異常な存在ではなく、あの二人が異常なだけだ!」
エドモントの天然ボケに俺が突っ込みを入れている間も、役人とノエルの一触触発な状態は続いていた。
この争いは役人の上司が来て、物理的に止めさせるまで続き、俺達は問題を起こしたとして国外追放になった。
「この国から脱出できたのはよかったが、なんか違うような気がするな!」
「そうですか?私はむしろモフちゃんさんを触ろうとした役人さんが気になりますが、あの人最後までモフちゃんさんに「ボディタッチさせろ!」って騒いでましたよ!」
「ボディチャックではなくボディタッチ?」
「アノオヤジユルスマジ!」
「ノエル……こっちの世界に戻って来い!勇者見習いから犯罪者に転職するな!」
俺はノエルを説得するが聞く耳を持たず、結局モフちゃんのモフモフアタックで、こっちの世界に戻って来た。
「モフモフモフモフ~♪」
「こんな状態でノエルの両親と会わせたら、どんな行動を起こすか、見物だな!」
「シンタローさん!やはり行くんですか?ノエルさんの故郷に……!」
「ああ、スルーできるなら、どんなに楽か!」
「心中お察しします……でも、スルーするわけには……」
「わかっている!一つはノエルの里帰りで、もう一つはあの黒こげになった馬が言っていた無手のなんとかの手がかりになる遺跡があるんだろ!」
「その通りです~♪私の知識欲を満たしてくれることを期待します~♪」
俺は心の中で「駄目だこりゃ!」と思いつつ、周りに第三者がいないことを確認したうえでストレージからサバイバルカーを出した。
「全員乗れ!」
俺の一言共にサバイバルカーに乗るモフちゃんをくっつけたノエルとモフミちゃん、エドモントがサバイバルカーに乗る。
全員が乗ったことを確認した俺は、エンジンをかけ、ノエルの故郷に出発した。
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