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第一章 勇者誕生
第十六話 来ないでモフモフの村3
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前回までのあらすじ
勇者モフちゃんの故郷で改めてモフパパモフママとの再会をさせようとするシンタロー。
モフちゃんのブラッシングを終えた後に問題は起こった。
俺達はピンチだ。
周りを囲まれている。
そう、レッサーベア達に囲まれているのだ。
囲まれているが、不思議に敵意はない。
ただ一点をレッサーベア達は見ている。
俺の手に持っているブラシをだ。
俺がブラシを右に動かすとレッサーベア達は右に首を動かし、左に動かしても同じだった。
「シンタローさん!レッサーベア達はブラッシングしてほしいみたいですよ!」
「エドモント!そのセリフ言っちゃ駄目!」
俺があえて、わからない振りをしていたのに、エドモントは自爆スイッチを入れてしまった。
モフちゃんも俺に視線を向けて、「ブラッシングしてあげて」と目で言っている。
俺は仕方なくSHOPから新たなブラシを購入してエドモントとモフちゃんに渡した。
「モフちゃん。コレを渡すからモフパパとモフママにやってあげなさい。エドモントはブラッシングを手伝え!」
「わ、私もですか?」
「他に誰がいるんだ?」
「で、でも私にはブラッシングの才能はありませんよ」
「いいから、やれ!お前が自爆スイッチ押したのが原因なんだから!」
こうして、俺はブラッシング地獄に陥った。
エドモントは宣言したとおり、ブラッシングの才能がなく、ブラッシングしていたレッサーベア達に怒られて、戦線離脱。
モフちゃんはブラシを持って、モフパパとモフママの元に向かった為、ブラッシングは俺一人でやることになり、順番待ちをしているレッサーベアの列ができていた。
「あの、シンタローさん!」
「なんだ?エドモント、今忙しいから晩飯はお預けだ!」
「いえ、そうではなく……」
「他に何があるんだ?この状況で?」
「ノエルさんが目覚めて、こちらをすごい怖い顔で見ています!」
「え!」
俺はキャンピングカーのある方に顔を向けた。
そこにはキャンピングカーの窓にへばり付いて、嫉妬に荒れ狂った形相で睨みつけているノエルがいた。
俺がキャンピングカーを見た為、レッサーベア達もその方向を見て、ノエルの存在に気づき、一斉に逃げだした。
(絶対絶命だ!)
俺はそう思った。
目の前にはキャンピングカーという檻の中にいる猛獣ノエルが抜け出そうとしている。
ここで逃げたら、ノエルはモフモフを堪能する為に、モフモフ村を襲撃する。
レッサーベア達が逃げ出したのが唯一の救いだ。ついでにエドモントも逃げ出したが……。
「キュ!」
鳴き声が聞こえて、俺が振り返るとモフちゃんがこちらに向かって走って来た。
「モフちゃん!助けにきてくれたのか?」
モフちゃんは首を縦に振った。
(モフちゃんは間違いなく勇者だ!)
だが、モフちゃんを見て、ノエルはますます興奮して、状況はますます悪くなった。
そんな状況の中、モフちゃんは巨大化し、俺にキャンピングカーのドアを開けるように促した。
「モフちゃん……本当にいいのか?」
俺の質問にモフちゃんは首を縦に振った。
俺はモフちゃんを信じて、キャンピングカーのドアを開けた。
ドアを開けた瞬間、ノエルは飛び出してきたが、それをモフちゃんが受け止める。
「モフモフモフモフモフモフモフモフ!!」
それからしばらくの間、ノエルはモフちゃんのお腹のモフモフを堪能しながら、モフちゃんの肉球で頭を撫でられながら、背中でモフちゃんの尻尾のモフモフを感じるという贅沢なモフモフタイムに陥っていた。
「全身でモフモフを感じ取っていますね!」
「エドモント!逃げたんじゃないのか?」
「失礼な!モフちゃんさんを呼びに行っただけですよ。私が仲間を見捨てる薄情な人に見えますか?」
「お前、人じゃなくアンデッドだろうが、しかも生前は人間ではなくエルフだし!」
俺のツッコミにエドモントはまるで挫折したバレリーナのような雰囲気を醸し出しながらOrzとなった。
「そうでした!私は人ではなかったんです……」
こうして、モフちゃんによってモフモフ村は救われたのだが、俺はこの村にはいられないと悟った。
この後、俺とエドモントはモフモフ村のレッサーベア達に平謝りして、おわびに全員分のブラシを渡して、許してもらうのだが、それは別の話。
勇者モフちゃんの故郷で改めてモフパパモフママとの再会をさせようとするシンタロー。
モフちゃんのブラッシングを終えた後に問題は起こった。
俺達はピンチだ。
周りを囲まれている。
そう、レッサーベア達に囲まれているのだ。
囲まれているが、不思議に敵意はない。
ただ一点をレッサーベア達は見ている。
俺の手に持っているブラシをだ。
俺がブラシを右に動かすとレッサーベア達は右に首を動かし、左に動かしても同じだった。
「シンタローさん!レッサーベア達はブラッシングしてほしいみたいですよ!」
「エドモント!そのセリフ言っちゃ駄目!」
俺があえて、わからない振りをしていたのに、エドモントは自爆スイッチを入れてしまった。
モフちゃんも俺に視線を向けて、「ブラッシングしてあげて」と目で言っている。
俺は仕方なくSHOPから新たなブラシを購入してエドモントとモフちゃんに渡した。
「モフちゃん。コレを渡すからモフパパとモフママにやってあげなさい。エドモントはブラッシングを手伝え!」
「わ、私もですか?」
「他に誰がいるんだ?」
「で、でも私にはブラッシングの才能はありませんよ」
「いいから、やれ!お前が自爆スイッチ押したのが原因なんだから!」
こうして、俺はブラッシング地獄に陥った。
エドモントは宣言したとおり、ブラッシングの才能がなく、ブラッシングしていたレッサーベア達に怒られて、戦線離脱。
モフちゃんはブラシを持って、モフパパとモフママの元に向かった為、ブラッシングは俺一人でやることになり、順番待ちをしているレッサーベアの列ができていた。
「あの、シンタローさん!」
「なんだ?エドモント、今忙しいから晩飯はお預けだ!」
「いえ、そうではなく……」
「他に何があるんだ?この状況で?」
「ノエルさんが目覚めて、こちらをすごい怖い顔で見ています!」
「え!」
俺はキャンピングカーのある方に顔を向けた。
そこにはキャンピングカーの窓にへばり付いて、嫉妬に荒れ狂った形相で睨みつけているノエルがいた。
俺がキャンピングカーを見た為、レッサーベア達もその方向を見て、ノエルの存在に気づき、一斉に逃げだした。
(絶対絶命だ!)
俺はそう思った。
目の前にはキャンピングカーという檻の中にいる猛獣ノエルが抜け出そうとしている。
ここで逃げたら、ノエルはモフモフを堪能する為に、モフモフ村を襲撃する。
レッサーベア達が逃げ出したのが唯一の救いだ。ついでにエドモントも逃げ出したが……。
「キュ!」
鳴き声が聞こえて、俺が振り返るとモフちゃんがこちらに向かって走って来た。
「モフちゃん!助けにきてくれたのか?」
モフちゃんは首を縦に振った。
(モフちゃんは間違いなく勇者だ!)
だが、モフちゃんを見て、ノエルはますます興奮して、状況はますます悪くなった。
そんな状況の中、モフちゃんは巨大化し、俺にキャンピングカーのドアを開けるように促した。
「モフちゃん……本当にいいのか?」
俺の質問にモフちゃんは首を縦に振った。
俺はモフちゃんを信じて、キャンピングカーのドアを開けた。
ドアを開けた瞬間、ノエルは飛び出してきたが、それをモフちゃんが受け止める。
「モフモフモフモフモフモフモフモフ!!」
それからしばらくの間、ノエルはモフちゃんのお腹のモフモフを堪能しながら、モフちゃんの肉球で頭を撫でられながら、背中でモフちゃんの尻尾のモフモフを感じるという贅沢なモフモフタイムに陥っていた。
「全身でモフモフを感じ取っていますね!」
「エドモント!逃げたんじゃないのか?」
「失礼な!モフちゃんさんを呼びに行っただけですよ。私が仲間を見捨てる薄情な人に見えますか?」
「お前、人じゃなくアンデッドだろうが、しかも生前は人間ではなくエルフだし!」
俺のツッコミにエドモントはまるで挫折したバレリーナのような雰囲気を醸し出しながらOrzとなった。
「そうでした!私は人ではなかったんです……」
こうして、モフちゃんによってモフモフ村は救われたのだが、俺はこの村にはいられないと悟った。
この後、俺とエドモントはモフモフ村のレッサーベア達に平謝りして、おわびに全員分のブラシを渡して、許してもらうのだが、それは別の話。
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