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第一章 勇者誕生

第十五話 来ないでモフモフの村2

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前回までのあらすじ
勇者モフちゃんの故郷に立ち寄ったシンタローたち。
しかし、そこで、モフモフ暴走したノエルの後始末をすることになるのだった。

 俺は今レッサーベアたちが広場として使っている更地でぬるま湯の入ったタライで、ノエルの鼻血まみれになったモフちゃんを洗っていた。
「シンタローさん!ノエルさんの鼻血がやっと止まりました」
「そうか、じゃあモフちゃんが脱水しだい、乾燥を頼む」
「わかりました」
 俺はモフちゃんをタライから出した。
 脱水はモフちゃんのセルフで、辺りに水飛沫が飛ぶ。
「ではモフちゃんさん。そよ風がいきますよ!」
 そう言ってエドモントは風魔法でモフちゃんを乾かしている間にノエルの容体を見た。
 現在、気絶したノエルは毛布で簀巻きにされた状態で鼻には脱脂綿が詰められている。
 ちなみに一匹のレッサーベアが尻尾を股間に挟めた状態で俺達の事を見張っている。
 またノエルが暴走したら、村に知らせる為にいるのだろう。
「シンタローさん。モフちゃんさんの乾燥終わりました!」
「そうか、すっきりしてよかったな。モフちゃん」
「キュル!」
 
「しかし、シンタローさん。これからどうします?」
「どうするって?」
「ノエルさんですよ。ノエルさんは今気絶していますが目覚めたら、また暴走するのは目に見えていますよ」
「その事なんだが、言葉は悪いが檻みたいな場所に監禁するしかないな」
「でも、そんな場所ありますか?」
「一つ方法があるが、かなりリスクをともなう」
「あるんですか?その方法とは……」
 俺達がそんな話をしていると、俺のズボンの裾を引っ張る者がいた。
 モフちゃんだ。
 モフちゃんは「そんな乱暴なことしては駄目!」と目で訴えていた。
「大丈夫だ!モフちゃんが思っているほど、ひどいものじゃない」
 そう言って、俺はSHOPからある物を購入した。
「シンタローさん、何を手に入れたんですか?」
「見ればわかる」
 俺はそう言って、SHOPから手に入れた物をエドモントとモフちゃんに見せた。
「シンタローさん!また馬車を購入したんですか?」
「キュ?」
「キャンピングカーだ!」
「キャンピングカー?」
 エドモントとモフちゃんは首を傾げた。
「そうだ。これは車と家の機能が一つになった優れ物だ。この中にノエルを入れておく」
「しかし、この中にノエルさんを入れても力づくで出てくるかもしれませんよ?」
「その点は心配いらない?こいつはアフリカのサバンナなどで使われる特殊車両だ。ちょっとやそっとでは壊れることはない。こいつに食料と手紙を入れておけば、ノエルもおとなしくしているはずだ」
「そうですかね?とてもノエルさんが大人しくしているとは思えませんが……」
「ノエルが大人しくしているのは一晩だけでいいんだ!それだけの時間があれば、色々と出発の準備ができる」
「明日にはここを出るんですね」
「ああ、これ以上はあのレッサーベア達に迷惑をかけることはできないからな。それとモフちゃん!」
「キュ?」
「このキャンピングカーにノエルと食料を入れたら、ブラッシングをするからおいで、モフパパモフママに改めて、再開を喜び合うためにも身だしなみはしっかりしなくちゃいけないよ」
 そう言って、俺とエドモントは手早くキャンピンカーにノエルと食料を入れて、戸締りをした。
「これで一安心!」
「シンタローさん。今気づいたんですが、リスクが伴うって、もしかして……」
「エドモントの察した通りだ。これは特殊車両だから、ものすごく値段が高い。よってポイントも高い。こっちの世界でポイントに換算するとちょっとした城が立つくらいかもしれないな」
「確かにリスクを伴いますね」
「だろう!じゃあ、モフちゃん!ブラッシングの時間だ!」
 そう言って俺はブラシでモフちゃんをブラッシングした。
 そして、モフちゃんのブラッシングが終わった頃に、問題は起きた。
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