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第一章 勇者誕生

第十一話 魔王との決戦2

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前回までのあらすじ
勇者見習いノエルはお昼寝。
魔王テラノドンに蜂蜜を弁償するように要求するエドモント。
エドモントに弁償しろと言われて、思考が停止している魔王テラノドン。
この混沌とした状況をシンタローとモフちゃんはどう生き残るのか?

 なぜだ、なぜこんなことになったんだ?
 魔王を倒すためにここまで来たのに、ノエルは魔王の魔法で眠らされ、エドモントは蜂蜜を弁償しろと魔王に要求し、要求された魔王は目が点になっている。
 そして俺は、勇者の剣を持ったまま、片手でモフちゃんを抱き締めて、モフモフタイムをしている。
 別名、現実逃避とも言うが、ツッコミを入れる者は誰もいない。
そんな混沌の中で魔王テラノドンが動いた。
「いいかげんにしろ!この虫けら共!!」
 そう言って魔王テラノドンはなぜかエドモントではなく、俺の首根っこをつかんだ。
 俺は素早く、モフちゃんを逃がしたが、その拍子に勇者の剣も落とした。
「いいかげんにしろ!わしをどれだけ馬鹿にすれば気が済むんだ!貴様らのせいで、サンダーサイエンスは去勢されて転職するし、残りの部下はパニックを起こして逃げ出す。この疫病神が!勇者でもない貴様らにわしが倒せると思っているのか?」
「あなたの部下を傷つけたのはノエルさんであって、シンタローさんではありません!!」
 エドモントは自分があの馬を魔法で去勢した事を棚に上げてノエルのせいにしている。
 そんな事を心の中でツッコミを入れつつ、腰のポーチからある物を取り出して、魔王テラノドンに向けた。
「なんだそれは?」
 魔王テラノドンの問いに俺は無言で魔王の顔に向け、催涙スプレーを振りかけた。
「※▽◆%○★&」
魔王テラノドンは俺の首から手を放し、声にならない声でのた打ち回る。
「シンタローさん。大丈夫ですか?」
「大丈夫だ!魔王でも催涙スプレーは効くようだな!」
「しかし決定打になりませんよ!」
「そういえば!モフちゃんは大丈夫なのか?」
 俺がモフちゃんの方を顔を向けた
 モフちゃんは両前足で勇者の剣を掴み、後ろの二本足で立った。
「(モフちゃんが)立った!」
 モフちゃんが掴んだ勇者の剣は光だし、モフちゃんサイズになるように剣は縮んだ。
「(勇者の剣が)縮みました!」
 俺達は軽い混乱状態におちいった。
「建った!縮んだ!貴様ら、何を言っているんだ?」
 目の見えない魔王テラノドンは状況が理解できないのか?微妙に違う意味で言っている気がする。
 俺達が混乱状態に陥っている間にモフちゃんは剣を掲げ、剣は光を集めている。
「シ、シンタローさん!これって…………」
「ああ、どうみても……」
 必殺技を放つためのポーズ。
 俺とエドモントは無言で避難した。
 俺達の行動を察したのか?
 魔王テラノドンも逃げ出そうとしたができないようだ。
 勇者は魔王から逃げることはできない。それは裏を返せば魔王も勇者から逃げることはできないという意味に他ならなかったと俺は感じだ。
 そんなことを考えている間にモフちゃんは剣を振り下ろした。
「キュルルル!」
 部屋全体が凄まじい衝撃波と共に閃光に包まれた。
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