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第一章 勇者誕生
第五話 S&E死神になる
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冤罪で投獄されたシンタロー。
脱獄して事件の原因となったエドモントの古い知り合いであるユウチャックの屋敷に忍び込み、真相を聞こうとしたが新たなる問題が発生するのであった。
エドモントの魔法によってユウチャックを発見した俺達はこの一件の事実を聞き出そうとしたが、できなかった?
なぜなら…………。
「地獄の使いが来たーーーーーー!」
ユウチャックは俺たちを見た瞬間、腰を抜かして錯乱した。
「エドモント。こいつ何を言っているんだ?」
「シンタローさん。ユウチャックには私たちが死神に見えるんですよ」
「そんなわけが…………あるな!」
たしかにエドモントはどこから持って来たのか大鎌を装備しているので死神に見える。
「シンタローさんは、異世界の人だから知らないでしょうけど、この世界では黒猫は死の象徴とされているんですよ」
訂正、黒猫の着ぐるみを着ていた俺もそう見えていた。
「エドモントの話から推測すると、黒猫を見かけ次第殺すなんてこともあるのか?」
「そのとおりですよ。よくわかりましたね」
「この世界でも動物虐待があるんだな」
俺はこの世界でも魔女狩りがあるんだなと、心の底から思っていると、錯乱していたユウチャックが会話に割り込んできた。
「み、みのがしてくれ!金ならいくらでも払う!」
俺とエドモントは顔を見合せて呆れた。
「なあ、エドモント。こいつって昔からこんな奴なのか?何で買収しようとしているんだ?」
「私にもよくわかりませんが、昔はこんな奴ではなかったはずです」
エドモントの返答に俺はしかたなくユウチャックと会話することにした。
「おい!聞きたいことがある。お前は昔エドモントいう男を嵌めて、死霊の塔ごと葬ったな。なぜだ!」
俺の問いに、ユウチャックはわけのわからない返答をした。
「や、奴のせいだ!」
「「なに!?」」
「奴ごと資料の塔を消したせいで、塔の中にあった機密情報もなくなって、それが原因で国が滅んだんだ!そのせいで、わしもこんな辺境で役人をやる羽目になったんだ」
「自業自得だろうが、人のせいにするな!」
「奴はあのかたと親しくならなければ、こんなことにはならなかったんだ!全てあのエドモントのせいだ!」
完全に開き直って責任転嫁するユウチャック。
俺はこれ以上の会話を無理だと思い、着ぐるみを脱いで素顔を見せた。
「エ、エドモント!」
「地獄の底からお前を迎えに来た!」
その途端ユウチャックはさっきまで腰を抜かしていたと思えない俊敏な動きで行動し、隠し部屋の扉を開け、中にあった魔道具を使って天窓から脱出した。
「エドモント。今のあれはなんだ?」
「魔法の絨毯ですよ!あれで空を飛ぶことができます!あんな物を持っているのは驚きました」
「レアなお宝なのか?まあいい隠し部屋のお宝を奪った後、すぐに追いかけるぞ!」
「しかしシンタローさん。私の浮遊魔法では空に浮くことはできても、追いかけることはできませんよ」
「誰が浮遊魔法で追いかけると言った。手段はあるが、それには隠し部屋に隠している金が必要だ」
「なぜですか?」
「それは後のお楽しみ!」
そう言って、俺はエドモントと共に隠し部屋にある目ぼしいお宝を回収するのだった。
魔法の絨毯で逃げ出すことに成功したユウチャックは一安心していたが、後方から聞こえてくる騒音に後ろを振り返った瞬間、自分が安全な場所にいないことを知った。
騒音の正体は空飛ぶタマゴだったからである。
魔法の絨毯で逃げるユウチャックを俺はストレージからヘリを出してエドモントと共に追いかけているのだが、少し後悔もしていた。
それは、
「シンタローさん。このタマゴ、空を飛んでいますよ!」
エドモントが初めて乗ったヘリに興奮しっぱなしだからだ!
「すごいですね!あ、もしかしてシンタローさんが脱出不可能な監獄島ジェイルを脱出できたのは?」
「エドモントの考えている通り、ヘリを使って空から脱出した」
「おお!!」
「だが、代償もでかかった!これを手に入れるために、サバイバルカーを購入する為に貯めておいたポイントを使ったんだ。コノウラミハラサズニオクベキカ!」
「シンタローさん?セリフがカタコトになっていますよ?」
「気にするな。今回の原因であるユウチャックには文字通り鉛玉をくらわせるつもりだからな」
「な、鉛玉ですか?どうやって、この距離で私の魔法ではユウチャックまで鉛玉をくらわせるどころか当てることもできませんよ?」
「大丈夫だ!さっき隠し部屋の大金をポイントに変えて購入したものがある」
「そういえば、先ほどタマゴが空飛ぶ前に何かタマゴに何か付けていたようですが、あれはなんなんですか?」
「ガンポッドだ!」
「ガンポッド?」
「このタマゴ専用の武器だと思ってくれ」
「そんなものまで異世界にあるんですか」
「ああその通りだ!そしてユウチャックにファイアー!」
そう言って俺は引き金を引いた。
五分後。
「エドモント」
「なんですか?シンタローさん」
「鉛玉。ユウチャックに届いたよな?」
「ええ、確かにかなりの数の鉛玉がユウチャック届きましたよ」
「ああ、それなのになんで?」
「なんで…………」
「「なんで弾が一発もユウチャックに当たっていないんだ!」」
そう五百発もの弾をユウチャックに浴びせたのに、なぜかユウチャックにはかすりもしなかった。
「だが、弾を無駄に消費したわけではない」
「確かにその通りですね!ユウチャック本人は無傷ですが、変わりに魔法の絨毯は穴だらけになっています。その証拠に魔法の絨毯が滑空するようにどんどん落ちています」
エドモントの言うとおりユウチャックが乗った魔法の絨毯は高度を落としている。
「しかし、なんでユウチャックには当たらなかったんだ?普通なら蜂の巣になっているのに?」
「蜂の巣?」
「物の例えだ。穴だらけになると言う意味の」
「なるほど。あ、もしかしてユウチャックはある魔法をかけているのかもしれません!」
「なんだその魔法って?」
「飛び道具などの攻撃を防ぐ魔法があるんですよ。私たちエルフは弓矢に長けた種族です。弓矢などの飛び道具によるメリットをよく知っていますから、それを使って暗殺されることがあったために開発された魔法です」
「なるほど、つまりガンポッドも飛び道具とみなされて、魔法が発動したのか?」
「そのとおりです!」
「厄介な魔法だな」
「あっ、ユウチャックが墜落します!」
俺達が喋っている間に魔法の絨毯はついに力尽きて落下していくのであった。
脱獄して事件の原因となったエドモントの古い知り合いであるユウチャックの屋敷に忍び込み、真相を聞こうとしたが新たなる問題が発生するのであった。
エドモントの魔法によってユウチャックを発見した俺達はこの一件の事実を聞き出そうとしたが、できなかった?
なぜなら…………。
「地獄の使いが来たーーーーーー!」
ユウチャックは俺たちを見た瞬間、腰を抜かして錯乱した。
「エドモント。こいつ何を言っているんだ?」
「シンタローさん。ユウチャックには私たちが死神に見えるんですよ」
「そんなわけが…………あるな!」
たしかにエドモントはどこから持って来たのか大鎌を装備しているので死神に見える。
「シンタローさんは、異世界の人だから知らないでしょうけど、この世界では黒猫は死の象徴とされているんですよ」
訂正、黒猫の着ぐるみを着ていた俺もそう見えていた。
「エドモントの話から推測すると、黒猫を見かけ次第殺すなんてこともあるのか?」
「そのとおりですよ。よくわかりましたね」
「この世界でも動物虐待があるんだな」
俺はこの世界でも魔女狩りがあるんだなと、心の底から思っていると、錯乱していたユウチャックが会話に割り込んできた。
「み、みのがしてくれ!金ならいくらでも払う!」
俺とエドモントは顔を見合せて呆れた。
「なあ、エドモント。こいつって昔からこんな奴なのか?何で買収しようとしているんだ?」
「私にもよくわかりませんが、昔はこんな奴ではなかったはずです」
エドモントの返答に俺はしかたなくユウチャックと会話することにした。
「おい!聞きたいことがある。お前は昔エドモントいう男を嵌めて、死霊の塔ごと葬ったな。なぜだ!」
俺の問いに、ユウチャックはわけのわからない返答をした。
「や、奴のせいだ!」
「「なに!?」」
「奴ごと資料の塔を消したせいで、塔の中にあった機密情報もなくなって、それが原因で国が滅んだんだ!そのせいで、わしもこんな辺境で役人をやる羽目になったんだ」
「自業自得だろうが、人のせいにするな!」
「奴はあのかたと親しくならなければ、こんなことにはならなかったんだ!全てあのエドモントのせいだ!」
完全に開き直って責任転嫁するユウチャック。
俺はこれ以上の会話を無理だと思い、着ぐるみを脱いで素顔を見せた。
「エ、エドモント!」
「地獄の底からお前を迎えに来た!」
その途端ユウチャックはさっきまで腰を抜かしていたと思えない俊敏な動きで行動し、隠し部屋の扉を開け、中にあった魔道具を使って天窓から脱出した。
「エドモント。今のあれはなんだ?」
「魔法の絨毯ですよ!あれで空を飛ぶことができます!あんな物を持っているのは驚きました」
「レアなお宝なのか?まあいい隠し部屋のお宝を奪った後、すぐに追いかけるぞ!」
「しかしシンタローさん。私の浮遊魔法では空に浮くことはできても、追いかけることはできませんよ」
「誰が浮遊魔法で追いかけると言った。手段はあるが、それには隠し部屋に隠している金が必要だ」
「なぜですか?」
「それは後のお楽しみ!」
そう言って、俺はエドモントと共に隠し部屋にある目ぼしいお宝を回収するのだった。
魔法の絨毯で逃げ出すことに成功したユウチャックは一安心していたが、後方から聞こえてくる騒音に後ろを振り返った瞬間、自分が安全な場所にいないことを知った。
騒音の正体は空飛ぶタマゴだったからである。
魔法の絨毯で逃げるユウチャックを俺はストレージからヘリを出してエドモントと共に追いかけているのだが、少し後悔もしていた。
それは、
「シンタローさん。このタマゴ、空を飛んでいますよ!」
エドモントが初めて乗ったヘリに興奮しっぱなしだからだ!
「すごいですね!あ、もしかしてシンタローさんが脱出不可能な監獄島ジェイルを脱出できたのは?」
「エドモントの考えている通り、ヘリを使って空から脱出した」
「おお!!」
「だが、代償もでかかった!これを手に入れるために、サバイバルカーを購入する為に貯めておいたポイントを使ったんだ。コノウラミハラサズニオクベキカ!」
「シンタローさん?セリフがカタコトになっていますよ?」
「気にするな。今回の原因であるユウチャックには文字通り鉛玉をくらわせるつもりだからな」
「な、鉛玉ですか?どうやって、この距離で私の魔法ではユウチャックまで鉛玉をくらわせるどころか当てることもできませんよ?」
「大丈夫だ!さっき隠し部屋の大金をポイントに変えて購入したものがある」
「そういえば、先ほどタマゴが空飛ぶ前に何かタマゴに何か付けていたようですが、あれはなんなんですか?」
「ガンポッドだ!」
「ガンポッド?」
「このタマゴ専用の武器だと思ってくれ」
「そんなものまで異世界にあるんですか」
「ああその通りだ!そしてユウチャックにファイアー!」
そう言って俺は引き金を引いた。
五分後。
「エドモント」
「なんですか?シンタローさん」
「鉛玉。ユウチャックに届いたよな?」
「ええ、確かにかなりの数の鉛玉がユウチャック届きましたよ」
「ああ、それなのになんで?」
「なんで…………」
「「なんで弾が一発もユウチャックに当たっていないんだ!」」
そう五百発もの弾をユウチャックに浴びせたのに、なぜかユウチャックにはかすりもしなかった。
「だが、弾を無駄に消費したわけではない」
「確かにその通りですね!ユウチャック本人は無傷ですが、変わりに魔法の絨毯は穴だらけになっています。その証拠に魔法の絨毯が滑空するようにどんどん落ちています」
エドモントの言うとおりユウチャックが乗った魔法の絨毯は高度を落としている。
「しかし、なんでユウチャックには当たらなかったんだ?普通なら蜂の巣になっているのに?」
「蜂の巣?」
「物の例えだ。穴だらけになると言う意味の」
「なるほど。あ、もしかしてユウチャックはある魔法をかけているのかもしれません!」
「なんだその魔法って?」
「飛び道具などの攻撃を防ぐ魔法があるんですよ。私たちエルフは弓矢に長けた種族です。弓矢などの飛び道具によるメリットをよく知っていますから、それを使って暗殺されることがあったために開発された魔法です」
「なるほど、つまりガンポッドも飛び道具とみなされて、魔法が発動したのか?」
「そのとおりです!」
「厄介な魔法だな」
「あっ、ユウチャックが墜落します!」
俺達が喋っている間に魔法の絨毯はついに力尽きて落下していくのであった。
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