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竜人王のお怒り
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私室でマリーア様とお茶を楽しんでいる中に乱入してきたユリウス王子。断っても引く様子が全くなく、話をはぐらかす態度にさすがに自分では対処が無理だと思った私は、ジーク様のお力をお借りする事にしましたが…
やって来たジーク様のお怒りは、相当のものに感じられました。それも仕方ないのでしょう。番は私ですし、獣人、それも竜人は番を人前に出したがらず、家族であろうとも異性が近づくのを極端に嫌うと聞きます。ジーク様はそんな風には見えませんが…先日の話では私のために我慢している様な事を言っていました。しかもユリウス王子は断っているのに押しかけて来たのです。という事は…
「ユリウス王子、ここで何をしておられる?」
「そ、それは…」
「貴殿は体調が優れぬと会議を欠席したと聞いた。どういう事か、ご説明願おうか」
「……」
あっという間に私の側にいらっしゃったジーク様ですが…何と言いますか、発せられるオーラが益々険悪になった様な気がしました。マリーア様の顔も青ざめていますが…竜人のオーラが厳しいのでしょうか。それでも、怒りの先がご自身ではなく、また気丈な方だから耐えていらっしゃるのでしょう。そう言う意味では、オーラを感じにくい人族でよかったかもしれません。
ユリウス王子は人族なのでマリーア様ほど影響を受けていないようですが…ジーク様はお顔が整い過ぎているほど整っているので、不機嫌な時は一層怖く見えます。それに…元より威厳の差は目に見えていますわね。すっかりジーク様の圧に飲まれているようです。
「ルーベルト、ユリウス王子殿下を貴族牢へお連れしろ」
「なっ…!」
ジーク様の問いに何も答えないユリウス王子に焦れたのか、ジーク様が最終通告を告げると、ユリウス王子の表情が白から青へと変わったような気がします。元より色彩が薄い方なので、余計にそう見えるようです。
「許可なく我が妃の私室を訪れた者は無条件で捕縛すると、予め周知してあった筈だが?」
「い、いや…だが…こんなことくらいで…」
「こんなことくらい?」
「そ、そうです。番でもない王妃様にお会いしたくらいで、貴族牢になどと…」
「番か否かなど関係無かろう。式を挙げたばかりの妻の私室に押し入るなど、害意があるとしか思えないが?」
「全く仰る通りですわ。女性の部屋に許可なく押しかけるなんて、しかも断っているのに図々しく居座ろうなどと、邪な思惑があるとしか見えませんわね」
ジーク様の言葉に、マリーア様が同意しただけでなく一層厳しく糾弾しました。一方のユリウス王子はというと、ご自身がなさった事は大した事ではないとお考えのようですが…これは人族と獣人の違いという問題ではないように思います。
「それでは、会議で皆に聞いてみようか?貴殿のやった事がこんなことくらいかどうか」
「な…!」
「まぁ、それはよろしいのではありませんか?どうやらユリウス様は独特の物差しをお持ちのご様子。それが他国で通用するか、皆さまにお聞きになってみるとよろしいと思いますわ」
ジーク様も容赦ありませんが、マリーア様がその上を行っているように見えるのは気のせいでしょうか…婚約者なので、あまり関係性が悪くなってはマリーア様がお困りになるでしょうに…それとも、そんなにお嫌いなのでしょうか…
「エリサ…無事でよかった」
ユリウス王子の周りを騎士が囲うと、ジーク様は私の全身を確かめるようにご覧になりました。
「大丈夫ですわ、ジーク様。マリーア様やルーベルト様のお陰です」
「…そうか、よかった」
私がそう答えると、ジーク様は肩の力を抜いてほっとした表情を浮かべられました。私が思う以上に心配をおかけしてしまったようです。
「それよりも…大事な会議中だったのに、こんな事でお呼びして申し訳ございませんでした」
「いや…これはこんな事では済まされない事だ。これからも何かあったら直ぐに呼んでほしい。マリーア王女もありがとう。貴女にはまた助けられたな」
「いえ、私もエリサ様とお話したかったので、それが結果としてお役に立てたなら嬉しいですわ」
マリーア様、何となくですが、ユリウス王子をやり込められたのが嬉しそうに見えます。このお二人、本当に婚約しているのでしょうか…マリーア様が結婚後、ルーズベールで酷い扱いを受けないかと心配になるのですが…
「では、参ろうか、ユリウス王子殿下」
私の安全を確認したジーク様は、ユリウス王子に声をかけると会議に戻られました。ジーク様に促されてしまえば、ユリウス王子も否やとは言える筈もありません。騎士達に囲まれては逃げる事も出来ず、大人しくジーク様の後を付いていきました。
「はぁ…やっと行ったわね」
マリーア様の言葉に、この部屋にいるみんながほっと身体から力を抜いたように感じました。私も厄介な人の姿が消えたと同時にほうっと息を吐きました。全く、あの人が次期国王でなくてよかったですわ。あれでは余計なトラブルを生むだけの気がしますもの。
「助かりましたわ、マリーア様。ルーベルト様もありがとうございます」
「でも…大してお役には立てませんでしたわ」
「あの者の侵入を許してしまい、申し訳ございません」
お二人の言葉にかえって申し訳ない気持ちになりました。でも、さすがに他国の王子に強く言う事も出来ませんから、ルーベルト様の責任ではないと思います。他国の王族に下手に触れれば、それだけで外交問題になる事もあるからです。そもそも、許可がないエリアに入るなど、王族であっても普通はしません。あんな事をする方がいるなど、普通はあり得ませんから。
そしてマリーア様に至っては、いて下さっただけで物凄く心強く感じました。私にはマリーア様のように強く言い返す事が出来ませんから。
でも…私がもっとしっかりしていれば、付け入られる事もなかったのかもしれません。やはりもっと王妃として強くならなければいけませんわね…挨拶だけすれば済むと思ったのは甘かったようです。
「それにしても…ジーク様があんなにお怒りになったの、初めて見ましたわ」
それは私の素直な感想でした。ジーク様があんな風にお怒りになるのを見た事はありませんでした。あのブロム様が捕らえられた夜会ですら、お怒りにはなっていなかったように思います。
「本当に。あのオーラはきつかったわ」
「同感です。マリーア様は兎人だから余計にきつかったんじゃないですか?」
「ええ、気絶せず済んでよかったわ。ベルタはさすが狼人ね。騎士なのもあるのでしょうけど」
「そうですね、一応鍛えてはいますから」」
やっぱりあのオーラはマリーア様にはきつかったようです。ベルタさんは、さすがと言うべきか耐性があるみたいですわね。一方の私やラウラ、ユリア先生は人族なのでそこまでではありませんでしたが…それでも、あの威圧感は凄かったです。ジーク様の事を何も知らない時期だったら、相当怖く感じたでしょう。
「でも、マリーア様、よろしかったんですか?」
「何かですの?」
「いえ、ユリウス王子ですわ。あんな態度をとられては、後々お困りになりませんか?」
そうです。あんなに言いたい放題しては、後でマリーア様が困った事にならないでしょうか…今はよくても、いずれ単身で嫁いだ後、ルーズベールでの扱いが酷いものになりそうで心配です。
「ああ、心配はいらないわ。むしろあっちから破棄してくれないかと思っているくらいですもの」
「でも、そうならなかったら…」
「大丈夫ですわ、ちゃんと手は打ってあるから」
「手、ですか?」
「ええ、今はまだ話せませんが…私だってあんな話の通じない相手と結婚なんてお断りですもの」
マリーア様が力強くそう言い切りました。きっと婚約解消に向けて準備をされているのでしょうね。兄でもあるエーギル様も協力的だそうですし、私としてもあんな方と結婚されるのは心配でなりませんから、早く解消になって欲しいと思ってしまいますわ。
「そう言えば、ユリウス王子の婚約者候補には、カミラ王女の名もあったのよ」
「ええ?」
それは驚きでした。あのカミラに他国の王族との縁談があったなんて…我儘でちやほやされたい性格だから、他国に単身で嫁ぐのは無理だと思っていました。
「まぁ、最終的には私になりましたけど…ルーズベール側は乗り気だったそうですよ」
「ルーズベールが…」
「ええ、同じ人族同士で昔から交流もあったと聞いておりますわ。でも…ユリウス様とカミラ様の組み合わせなんて…正直トラブルになるとしか思えませんわ」
「…同感」
マリーア様に大きく頷いたのはベルタさんでしたが…私も全く同じ気持ちでした。あの二人は人の話を聞かない、聞く気がないという点ではよく似ていると思います。そんな二人が夫婦になったら…もう面倒事が起きるとしか思えませんわ…
マリーア様には申し訳ありませんが、周りの事を思えばマリーア様がしっかり手綱を掴んでいてくださった方が平和なのかも…と思ってしまいました。
やって来たジーク様のお怒りは、相当のものに感じられました。それも仕方ないのでしょう。番は私ですし、獣人、それも竜人は番を人前に出したがらず、家族であろうとも異性が近づくのを極端に嫌うと聞きます。ジーク様はそんな風には見えませんが…先日の話では私のために我慢している様な事を言っていました。しかもユリウス王子は断っているのに押しかけて来たのです。という事は…
「ユリウス王子、ここで何をしておられる?」
「そ、それは…」
「貴殿は体調が優れぬと会議を欠席したと聞いた。どういう事か、ご説明願おうか」
「……」
あっという間に私の側にいらっしゃったジーク様ですが…何と言いますか、発せられるオーラが益々険悪になった様な気がしました。マリーア様の顔も青ざめていますが…竜人のオーラが厳しいのでしょうか。それでも、怒りの先がご自身ではなく、また気丈な方だから耐えていらっしゃるのでしょう。そう言う意味では、オーラを感じにくい人族でよかったかもしれません。
ユリウス王子は人族なのでマリーア様ほど影響を受けていないようですが…ジーク様はお顔が整い過ぎているほど整っているので、不機嫌な時は一層怖く見えます。それに…元より威厳の差は目に見えていますわね。すっかりジーク様の圧に飲まれているようです。
「ルーベルト、ユリウス王子殿下を貴族牢へお連れしろ」
「なっ…!」
ジーク様の問いに何も答えないユリウス王子に焦れたのか、ジーク様が最終通告を告げると、ユリウス王子の表情が白から青へと変わったような気がします。元より色彩が薄い方なので、余計にそう見えるようです。
「許可なく我が妃の私室を訪れた者は無条件で捕縛すると、予め周知してあった筈だが?」
「い、いや…だが…こんなことくらいで…」
「こんなことくらい?」
「そ、そうです。番でもない王妃様にお会いしたくらいで、貴族牢になどと…」
「番か否かなど関係無かろう。式を挙げたばかりの妻の私室に押し入るなど、害意があるとしか思えないが?」
「全く仰る通りですわ。女性の部屋に許可なく押しかけるなんて、しかも断っているのに図々しく居座ろうなどと、邪な思惑があるとしか見えませんわね」
ジーク様の言葉に、マリーア様が同意しただけでなく一層厳しく糾弾しました。一方のユリウス王子はというと、ご自身がなさった事は大した事ではないとお考えのようですが…これは人族と獣人の違いという問題ではないように思います。
「それでは、会議で皆に聞いてみようか?貴殿のやった事がこんなことくらいかどうか」
「な…!」
「まぁ、それはよろしいのではありませんか?どうやらユリウス様は独特の物差しをお持ちのご様子。それが他国で通用するか、皆さまにお聞きになってみるとよろしいと思いますわ」
ジーク様も容赦ありませんが、マリーア様がその上を行っているように見えるのは気のせいでしょうか…婚約者なので、あまり関係性が悪くなってはマリーア様がお困りになるでしょうに…それとも、そんなにお嫌いなのでしょうか…
「エリサ…無事でよかった」
ユリウス王子の周りを騎士が囲うと、ジーク様は私の全身を確かめるようにご覧になりました。
「大丈夫ですわ、ジーク様。マリーア様やルーベルト様のお陰です」
「…そうか、よかった」
私がそう答えると、ジーク様は肩の力を抜いてほっとした表情を浮かべられました。私が思う以上に心配をおかけしてしまったようです。
「それよりも…大事な会議中だったのに、こんな事でお呼びして申し訳ございませんでした」
「いや…これはこんな事では済まされない事だ。これからも何かあったら直ぐに呼んでほしい。マリーア王女もありがとう。貴女にはまた助けられたな」
「いえ、私もエリサ様とお話したかったので、それが結果としてお役に立てたなら嬉しいですわ」
マリーア様、何となくですが、ユリウス王子をやり込められたのが嬉しそうに見えます。このお二人、本当に婚約しているのでしょうか…マリーア様が結婚後、ルーズベールで酷い扱いを受けないかと心配になるのですが…
「では、参ろうか、ユリウス王子殿下」
私の安全を確認したジーク様は、ユリウス王子に声をかけると会議に戻られました。ジーク様に促されてしまえば、ユリウス王子も否やとは言える筈もありません。騎士達に囲まれては逃げる事も出来ず、大人しくジーク様の後を付いていきました。
「はぁ…やっと行ったわね」
マリーア様の言葉に、この部屋にいるみんながほっと身体から力を抜いたように感じました。私も厄介な人の姿が消えたと同時にほうっと息を吐きました。全く、あの人が次期国王でなくてよかったですわ。あれでは余計なトラブルを生むだけの気がしますもの。
「助かりましたわ、マリーア様。ルーベルト様もありがとうございます」
「でも…大してお役には立てませんでしたわ」
「あの者の侵入を許してしまい、申し訳ございません」
お二人の言葉にかえって申し訳ない気持ちになりました。でも、さすがに他国の王子に強く言う事も出来ませんから、ルーベルト様の責任ではないと思います。他国の王族に下手に触れれば、それだけで外交問題になる事もあるからです。そもそも、許可がないエリアに入るなど、王族であっても普通はしません。あんな事をする方がいるなど、普通はあり得ませんから。
そしてマリーア様に至っては、いて下さっただけで物凄く心強く感じました。私にはマリーア様のように強く言い返す事が出来ませんから。
でも…私がもっとしっかりしていれば、付け入られる事もなかったのかもしれません。やはりもっと王妃として強くならなければいけませんわね…挨拶だけすれば済むと思ったのは甘かったようです。
「それにしても…ジーク様があんなにお怒りになったの、初めて見ましたわ」
それは私の素直な感想でした。ジーク様があんな風にお怒りになるのを見た事はありませんでした。あのブロム様が捕らえられた夜会ですら、お怒りにはなっていなかったように思います。
「本当に。あのオーラはきつかったわ」
「同感です。マリーア様は兎人だから余計にきつかったんじゃないですか?」
「ええ、気絶せず済んでよかったわ。ベルタはさすが狼人ね。騎士なのもあるのでしょうけど」
「そうですね、一応鍛えてはいますから」」
やっぱりあのオーラはマリーア様にはきつかったようです。ベルタさんは、さすがと言うべきか耐性があるみたいですわね。一方の私やラウラ、ユリア先生は人族なのでそこまでではありませんでしたが…それでも、あの威圧感は凄かったです。ジーク様の事を何も知らない時期だったら、相当怖く感じたでしょう。
「でも、マリーア様、よろしかったんですか?」
「何かですの?」
「いえ、ユリウス王子ですわ。あんな態度をとられては、後々お困りになりませんか?」
そうです。あんなに言いたい放題しては、後でマリーア様が困った事にならないでしょうか…今はよくても、いずれ単身で嫁いだ後、ルーズベールでの扱いが酷いものになりそうで心配です。
「ああ、心配はいらないわ。むしろあっちから破棄してくれないかと思っているくらいですもの」
「でも、そうならなかったら…」
「大丈夫ですわ、ちゃんと手は打ってあるから」
「手、ですか?」
「ええ、今はまだ話せませんが…私だってあんな話の通じない相手と結婚なんてお断りですもの」
マリーア様が力強くそう言い切りました。きっと婚約解消に向けて準備をされているのでしょうね。兄でもあるエーギル様も協力的だそうですし、私としてもあんな方と結婚されるのは心配でなりませんから、早く解消になって欲しいと思ってしまいますわ。
「そう言えば、ユリウス王子の婚約者候補には、カミラ王女の名もあったのよ」
「ええ?」
それは驚きでした。あのカミラに他国の王族との縁談があったなんて…我儘でちやほやされたい性格だから、他国に単身で嫁ぐのは無理だと思っていました。
「まぁ、最終的には私になりましたけど…ルーズベール側は乗り気だったそうですよ」
「ルーズベールが…」
「ええ、同じ人族同士で昔から交流もあったと聞いておりますわ。でも…ユリウス様とカミラ様の組み合わせなんて…正直トラブルになるとしか思えませんわ」
「…同感」
マリーア様に大きく頷いたのはベルタさんでしたが…私も全く同じ気持ちでした。あの二人は人の話を聞かない、聞く気がないという点ではよく似ていると思います。そんな二人が夫婦になったら…もう面倒事が起きるとしか思えませんわ…
マリーア様には申し訳ありませんが、周りの事を思えばマリーア様がしっかり手綱を掴んでいてくださった方が平和なのかも…と思ってしまいました。
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