28 / 85
連載
ラウラの選択
しおりを挟む
結婚式まで残り三日です。今日も朝からエステのフルコースで始まり、式に向けて入念な準備の真っただ中です。エステのフルコースと式の段取りの確認などを終えた私は、夕飯までの時間、自室でラウラとほっと息をつきました。朝から慌ただしくてバタバタしていましたが、今日の予定は先ほどようやく片付いたところです。式当日はかなりのハードスケジュールになるので、今から体調管理を万全に!と侍女さん達からは何度も念を押されています。
「どうやら、無事に当日を迎えられそうですね」
「ええ、心配し過ぎたかしら」
式までまだ三日ありますが、私達の一番の懸念のカミラは、幸いな事にあれ以来何のリアクションもありません。あれからジーク様が厳重に抗議して、カミラの結婚式への出席は拒否、直ぐに帰国させるか、帰国するまでは自室で謹慎するようにと言い渡したそうです。さすがに一人で帰すのは警備上問題があって危険だからと、異母兄が監視すしているのだとか。
「あのカミラが諦めるなんて意外ですけどね。あの性格なら監視の目を盗んで押しかけてきてもおかしくないですし…」
「確かに。でも、下手な事は出来ないわよ。ジーク様もかなりお怒りだったし」
「カミラにも少しは王女らしい分別、あったんですね」
「う~ん、でもカミラだって、ここで騒ぎを起こして他国に悪い評判が広がるのは避けたいんじゃない?まだ嫁ぎ先が決まっていないから」
「まぁ、確かに」
そうです、私よりも二つ年上のカミラは、既に適齢期も終わりかけですが、未だに婚約者もいません。噂ではえり好みし過ぎているのと、国内では我儘な性格が知れているので、中々望むような嫁ぎ先がないのだとか。他国に嫁ぐにしても我慢出来ない性格なので、関係が悪いところは無理だろうと断っていると聞きますし…だからこそ、敵国だったラルセンで私が大事にされているのを知って、あんな事を言い出したのでしょうが…
「もっとジーク様に言い寄る女性が出てくるかと思ったけど…」
「いくら何でも結婚式でそれはないでしょう。仮にいても宰相様が駆除していそうですけど」
「宰相様だったら…やりそうね」
宰相様の黒い笑顔が浮かびましたが、可能性は十分にありそうですね。むしろそれらを利用して、交渉を有利に進めていそうな気がします。
「それで…エリサ様はどうするんですか?陛下と、その、本当に結婚されるのですか?」
「実のところ、あんまり考えてなかったわ。陛下は待って下さると言って下さったし、結婚式も他国に同盟を周知するためのものだって言われていたから…」
「…ですよね。じゃ、式当日の初夜はなしでいいんですね?」
「は?しょ、初夜って…」
「ええ?だって、結婚式の後はそうなるんじゃありませんか?侍女さんたちはそのつもりで準備していましたよ」
「ええええっ?」
それは初耳でした。いえ、普通ならそうなのでしょうが…でも、ジーク様も侍女にわざわざ初夜はしないなどと言ったりはしませんわね。お忙しくてそこまで気が回っていない気もしますし…
「陛下はエリサ様の気持ちがまだ固まっていないから、と仰ったそうですけど…その、侍女さんたちはむしろそれなら…と逆に張り切っているみたいですよ」
「そ、そう…」
うう、ジーク様、周りの方にそんな事を言っていたんですか…手回しがいいというか何というか…それはそれで恥ずかしいのですが…
そして侍女の皆さんですか…いつもお世話をして下さる皆さんの顔を思い浮かべましたが…陛下への忠誠心溢れたあの方たちなら、やる気になるのは…わからなくもありませんわね。皆さん獣人ですし、心情としては陛下寄りでしょうから尚更です。でも…
「…ど、どうしよう…」
正直言って、あの皆さんのパワーを思うと、それこそなし崩し的にそうなっちゃいそうな気がします。いえ、むしろその方向に誘導されるのは確実でしょう。エステだ何だと言っていたのも、初夜を見越していたのだとすれば納得ですし…
「もういっそ、流されるのもありかもしれませんよ」
「ええ?で、でも…」
「だって、何だかんだ言ってエリサ様、陛下の事お好きでしょう?」
「す、好きって…」
「…エリサ様、もしかして、自覚なしですか?」
「じ、自覚って…何が…」
「エリサ様、お菓子を配る時、陛下の分はすっごく時間かけて吟味しているじゃないですか。ラッピングだって何度もやり直してるし」
「そ、そんな事は…」
ない、と言い切れない自分がいました。確かにジーク様にお渡しするものは失礼がないようにと気を使っていましたが、でも、それはお礼も兼ねているのであって…
「あれは日頃のお礼だから当然よ。失礼にならないようにって…」
「でも、最初はそうじゃなかったですよね。完全に他の人と同じ扱いでしたもん。むしろ相談相手だった宰相様の方に気を使っていましたし」
「……」
「あ~やっぱり…エリサ様って、そういう事、本当に鈍いですよね。まぁ、育った環境がアレですから仕方ないかもしれませんが」
えっと、何だかそうだと決めつけられているような気がしますが、そういう訳では…
「な…そんなんじゃないわよ。それを言ったら、ラウラだってレイフ様の事…」
「私はレイフ様に決めましたよ」
「ええええっ?い、いつの間に…」
自分の事よりも、こっちの方にビックリです。最近はレイフ様の姿も見かけなかったので、二人の関係はあれから進んでいないと思っていたからです。驚いて次の言葉が出てこない私に対して、ラウラはにこにこしながらお茶を飲んでいます。
「この前、レイフ様が夜に訪ねていらっしゃって…」
「よ、夜?!」
「ええ、仕事の合間のちょっとの時間でしたけど、とっても月が綺麗だからって。その時に少しお話して、その時にプロポーズされたんです。陛下達の式が終わってからでいいから、自分との事を考えて欲しいって」
「そ、そうなの…」
「返事はまだですけど…レイフ様ならいいかな、と思って。マメだし、優しいし、見た目も好みですし。それに…」
「それに?」
「あんなに好きだ好きだって言われたら、無下に出来ませんよ。今だって忙しいのにプレゼントも必ず届けてくれますし。結婚しても凄く大事にしてくれそうかな、って」
確かに、レイフ様の一途で必死な態度は気持ちがいい程で、つい応援したくなるほどでした。最初は番だからと言われてもピンときませんでしたが、あれだけ毎日毎日必死にアピールされたら、絆されても仕方ない…でしょうね。
「ちょっと計算高いかな?って思わなくもありませんけど…でも、狼人から逃げるのは大変だって侍女さん達に言われましたし…断った場合、後味が悪すぎますし…」
「それは、確かに…」
「それに、レイフ様の家族は仲がよくて賑やかなんだそうですよ。私、結婚するならそういうのがいいなぁってずっと思ってましたから」
「そうだったわね」
ラウラは父親を知りません。乳母は母の侍女として勤めていましたが、そこで貴族の男に手籠めにされ、ラウラを身ごもったと聞いています。だから家族への憧れが人一倍強かったのです。母国にいた頃は乳母のようになるのでは…と不安を抱えていましたし、あのまま母国に居たらそうなった可能性は高かったでしょう。だから私はラウラに私の侍女を辞めて市井で暮らす様に何度か勧めましたが、ラウラは私の側に居てくれました。
レイフ様は、気さくで面倒見のいい方です。結婚したらいい旦那さんやお父さんになるでしょう。そしてそれは、ラウラの夢にとても近いように思います。
「そういう事なんで、エリサ様もそろそろ自覚しましょうよ。陛下は慎重すぎて見ていて苛々しますけど、エリサ様が特別なのは丸わかりですし」
「でも…」
「エリサ様、陛下に憧れる女性は多いんですよ。悠長な事言ってると、そのうち他の女性にとられちゃいますよ」
「まさか…」
「マルダーンは政略結婚をごり押しして成功したんですよ?番が見つかっていない今ならと、側妃にと王女を押し付けてくる国が他にも出てくる可能性だってありますよ」
「う、嘘でしょ…」
ラウラの言葉は思いがけないものでしたが、あり得ない話でもない事は私にもわかりました。確かに母国が陛下に政略結婚を認めさせたのです。竜人は番しか愛さないとは言っても、番と出会っていなければ、妻を娶って子を成す事も不可能ではないのでしょう。現にセーデンの女王陛下は、番ではない王配との間に子を成しているのですから…
(ジーク様が、他の女性と…)
ふと、先日のジーク様とマリーア様の様子が浮かび、私は何ともいいようのない苦いものが込み上げてくるのを認めずにはいられませんでした。あのモヤモヤした気分は…その夜は珍しく、中々寝付く事が出来ませんでした。
「どうやら、無事に当日を迎えられそうですね」
「ええ、心配し過ぎたかしら」
式までまだ三日ありますが、私達の一番の懸念のカミラは、幸いな事にあれ以来何のリアクションもありません。あれからジーク様が厳重に抗議して、カミラの結婚式への出席は拒否、直ぐに帰国させるか、帰国するまでは自室で謹慎するようにと言い渡したそうです。さすがに一人で帰すのは警備上問題があって危険だからと、異母兄が監視すしているのだとか。
「あのカミラが諦めるなんて意外ですけどね。あの性格なら監視の目を盗んで押しかけてきてもおかしくないですし…」
「確かに。でも、下手な事は出来ないわよ。ジーク様もかなりお怒りだったし」
「カミラにも少しは王女らしい分別、あったんですね」
「う~ん、でもカミラだって、ここで騒ぎを起こして他国に悪い評判が広がるのは避けたいんじゃない?まだ嫁ぎ先が決まっていないから」
「まぁ、確かに」
そうです、私よりも二つ年上のカミラは、既に適齢期も終わりかけですが、未だに婚約者もいません。噂ではえり好みし過ぎているのと、国内では我儘な性格が知れているので、中々望むような嫁ぎ先がないのだとか。他国に嫁ぐにしても我慢出来ない性格なので、関係が悪いところは無理だろうと断っていると聞きますし…だからこそ、敵国だったラルセンで私が大事にされているのを知って、あんな事を言い出したのでしょうが…
「もっとジーク様に言い寄る女性が出てくるかと思ったけど…」
「いくら何でも結婚式でそれはないでしょう。仮にいても宰相様が駆除していそうですけど」
「宰相様だったら…やりそうね」
宰相様の黒い笑顔が浮かびましたが、可能性は十分にありそうですね。むしろそれらを利用して、交渉を有利に進めていそうな気がします。
「それで…エリサ様はどうするんですか?陛下と、その、本当に結婚されるのですか?」
「実のところ、あんまり考えてなかったわ。陛下は待って下さると言って下さったし、結婚式も他国に同盟を周知するためのものだって言われていたから…」
「…ですよね。じゃ、式当日の初夜はなしでいいんですね?」
「は?しょ、初夜って…」
「ええ?だって、結婚式の後はそうなるんじゃありませんか?侍女さんたちはそのつもりで準備していましたよ」
「ええええっ?」
それは初耳でした。いえ、普通ならそうなのでしょうが…でも、ジーク様も侍女にわざわざ初夜はしないなどと言ったりはしませんわね。お忙しくてそこまで気が回っていない気もしますし…
「陛下はエリサ様の気持ちがまだ固まっていないから、と仰ったそうですけど…その、侍女さんたちはむしろそれなら…と逆に張り切っているみたいですよ」
「そ、そう…」
うう、ジーク様、周りの方にそんな事を言っていたんですか…手回しがいいというか何というか…それはそれで恥ずかしいのですが…
そして侍女の皆さんですか…いつもお世話をして下さる皆さんの顔を思い浮かべましたが…陛下への忠誠心溢れたあの方たちなら、やる気になるのは…わからなくもありませんわね。皆さん獣人ですし、心情としては陛下寄りでしょうから尚更です。でも…
「…ど、どうしよう…」
正直言って、あの皆さんのパワーを思うと、それこそなし崩し的にそうなっちゃいそうな気がします。いえ、むしろその方向に誘導されるのは確実でしょう。エステだ何だと言っていたのも、初夜を見越していたのだとすれば納得ですし…
「もういっそ、流されるのもありかもしれませんよ」
「ええ?で、でも…」
「だって、何だかんだ言ってエリサ様、陛下の事お好きでしょう?」
「す、好きって…」
「…エリサ様、もしかして、自覚なしですか?」
「じ、自覚って…何が…」
「エリサ様、お菓子を配る時、陛下の分はすっごく時間かけて吟味しているじゃないですか。ラッピングだって何度もやり直してるし」
「そ、そんな事は…」
ない、と言い切れない自分がいました。確かにジーク様にお渡しするものは失礼がないようにと気を使っていましたが、でも、それはお礼も兼ねているのであって…
「あれは日頃のお礼だから当然よ。失礼にならないようにって…」
「でも、最初はそうじゃなかったですよね。完全に他の人と同じ扱いでしたもん。むしろ相談相手だった宰相様の方に気を使っていましたし」
「……」
「あ~やっぱり…エリサ様って、そういう事、本当に鈍いですよね。まぁ、育った環境がアレですから仕方ないかもしれませんが」
えっと、何だかそうだと決めつけられているような気がしますが、そういう訳では…
「な…そんなんじゃないわよ。それを言ったら、ラウラだってレイフ様の事…」
「私はレイフ様に決めましたよ」
「ええええっ?い、いつの間に…」
自分の事よりも、こっちの方にビックリです。最近はレイフ様の姿も見かけなかったので、二人の関係はあれから進んでいないと思っていたからです。驚いて次の言葉が出てこない私に対して、ラウラはにこにこしながらお茶を飲んでいます。
「この前、レイフ様が夜に訪ねていらっしゃって…」
「よ、夜?!」
「ええ、仕事の合間のちょっとの時間でしたけど、とっても月が綺麗だからって。その時に少しお話して、その時にプロポーズされたんです。陛下達の式が終わってからでいいから、自分との事を考えて欲しいって」
「そ、そうなの…」
「返事はまだですけど…レイフ様ならいいかな、と思って。マメだし、優しいし、見た目も好みですし。それに…」
「それに?」
「あんなに好きだ好きだって言われたら、無下に出来ませんよ。今だって忙しいのにプレゼントも必ず届けてくれますし。結婚しても凄く大事にしてくれそうかな、って」
確かに、レイフ様の一途で必死な態度は気持ちがいい程で、つい応援したくなるほどでした。最初は番だからと言われてもピンときませんでしたが、あれだけ毎日毎日必死にアピールされたら、絆されても仕方ない…でしょうね。
「ちょっと計算高いかな?って思わなくもありませんけど…でも、狼人から逃げるのは大変だって侍女さん達に言われましたし…断った場合、後味が悪すぎますし…」
「それは、確かに…」
「それに、レイフ様の家族は仲がよくて賑やかなんだそうですよ。私、結婚するならそういうのがいいなぁってずっと思ってましたから」
「そうだったわね」
ラウラは父親を知りません。乳母は母の侍女として勤めていましたが、そこで貴族の男に手籠めにされ、ラウラを身ごもったと聞いています。だから家族への憧れが人一倍強かったのです。母国にいた頃は乳母のようになるのでは…と不安を抱えていましたし、あのまま母国に居たらそうなった可能性は高かったでしょう。だから私はラウラに私の侍女を辞めて市井で暮らす様に何度か勧めましたが、ラウラは私の側に居てくれました。
レイフ様は、気さくで面倒見のいい方です。結婚したらいい旦那さんやお父さんになるでしょう。そしてそれは、ラウラの夢にとても近いように思います。
「そういう事なんで、エリサ様もそろそろ自覚しましょうよ。陛下は慎重すぎて見ていて苛々しますけど、エリサ様が特別なのは丸わかりですし」
「でも…」
「エリサ様、陛下に憧れる女性は多いんですよ。悠長な事言ってると、そのうち他の女性にとられちゃいますよ」
「まさか…」
「マルダーンは政略結婚をごり押しして成功したんですよ?番が見つかっていない今ならと、側妃にと王女を押し付けてくる国が他にも出てくる可能性だってありますよ」
「う、嘘でしょ…」
ラウラの言葉は思いがけないものでしたが、あり得ない話でもない事は私にもわかりました。確かに母国が陛下に政略結婚を認めさせたのです。竜人は番しか愛さないとは言っても、番と出会っていなければ、妻を娶って子を成す事も不可能ではないのでしょう。現にセーデンの女王陛下は、番ではない王配との間に子を成しているのですから…
(ジーク様が、他の女性と…)
ふと、先日のジーク様とマリーア様の様子が浮かび、私は何ともいいようのない苦いものが込み上げてくるのを認めずにはいられませんでした。あのモヤモヤした気分は…その夜は珍しく、中々寝付く事が出来ませんでした。
80
お気に入りに追加
9,144
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。