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六章
リネット様の婚約披露パーティー
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リード侯爵家は、建国以来の名家…ではなく、わりと新興の侯爵家だ。元は臣籍降下した王族で、三代後には伯爵家に降爵される公爵だったけれど、他国との戦いで功績を上げたため、侯爵家に叙せられた経緯を持つ。長い目で見れば王家にも連なる一族なので、王家との繋がりも強かった。
その影響もあって、ジョシュア様は王太子殿下の側近の一人に選ばれた。王太子殿下と年が近かったのもあるし、剣の腕が素晴らしくて護衛としても一石二鳥だったのだろう。
そのジョシュア様には同じ一族の婚約者がいたが、その父親が汚職に関わっていた事が判明したため、父親は投獄された。一族は爵位を返上し、妻は夫と離縁し、婚約者だった娘は母の実家を頼って隣国に渡ったという。この国にいてもろくな結婚はもう望めなかったからだ。
そこに、怪我を理由に王太子殿下の婚約者候補を辞退して領地に引きこもっていたリネット様との婚約話が出た。リネット様の兄のマーティン様が、ジョシュア様と同じく王太子殿下の側近だったのも影響しただろう。誠実で将来性のあるジョシュア様に、マグワイヤ公爵も婚約を認めたという。
「リード侯爵令息、マグワイヤ公爵令嬢、ご婚約おめでとう」
「ジョシュア様、リネット様、ご婚約おめでとうございます」
「ありがとうございます、ヘーゼルダイン辺境伯、辺境伯夫人」
「ヘーゼルダイン辺境伯様、アレクシア様ありがとうございます」
今日のリネット様は、ジョシュア様の瞳の色でもある灰色がかった青色のドレスだった。差し色にはリネット様の瞳の色の新緑色と、ジョシュア様の髪色でもあるハニーブラウンが使われていてパッと見は落ち着いているけれど、少し大人びた顔立ちのリネット様にはよく似合っていた。確かにリネット様はパステルカラーは似合わないだろう。彼女の品のある佇まいは明るい色よりも少し落ち着いた色合いの方がずっと似合っていた。
「ふふ、ジョシュア様の色のドレス、とてもお似合いですわ」
「そう?ちょっと恥ずかしいわね、お揃いのドレスって」
「ええ。そのお気持ち、よくわかりますわ…」
「アレクシア様も、今日はお揃い感が凄いですわ」
「やっぱり…ちょっとやり過ぎじゃないかと思うのだけど…」
「ううん、それくらいでちょうどよかったわよ。ほら」
そう言ってリネット様はある方向に視線を向けると…そこにはガードナー公爵令嬢の姿があった。その姿を見て…私はラリー様がこの色のドレスを選んだ意味が分かった。
ガードナー公爵令嬢のドレスは、空色の青に金色の差し色だったからだ。
「あれって…もしかして…」
「ええ、ヘーゼルダイン辺境伯様のお色に合わせた、のでしょうね…」
嫌な予感は嫌な確信に変わった。今日、青い衣装でなかったのは幸いだった。
ガードナー公爵令嬢は亜麻色の髪に深緑の瞳だ。そんな彼女が自分の色を一切含まない青や金色のドレスを着るのは不自然だろう。ラリー様を意識しているのは明白だったけれど、その表情は冴えないものだった。
いつもラリー様は自分の色を私に着せていたから、それを見越して今日のドレスを準備したのだろう。なのに完全に当てが外れて、困惑しているのかもしれない。
「ヘーゼルダイン辺境伯様、そのお色はわざとですのね」
「ふふ、さすがは聡明と名高いマグワイヤ公爵令嬢ですね。その通りですよ。こんな事もあろうかと思って、今日はシアの色にしたのです」
そう言ってにっこり笑ったラリー様に、ジョシュア様とリネット様は苦笑していた。
確かにこうも色が被らなければ、二人の間には何もないとイメージさせられるだろうし、少なくともラリー様がガードナー公爵令嬢に思うところはないと印象付けられるだろう。
そして、私の実家がないに等しい事は広く知られているから、ドレスの手配を全てラリー様がしている事も理解しているだろう。その上でのこの衣装は、ラリー様なりの意思表示だと貴族なら察する筈だ。
「叔父上!」
まだまだ招待客への挨拶が続くリネット様達から離れた私達は、王太子殿下に声を掛けられた。王族が貴族の婚約披露のパーティーに出るのは珍しいが、今日は側近と側近の妹の婚約だからだろう。今日は妃殿下もご一緒だった。
「王太子殿下、妃殿下、ご無沙汰しております」
「お久しぶりですわ。ヘーゼルダイン辺境伯様、アレクシア様も」
「王太子殿下と妃殿下、お久しぶりでございます」
エリオット様の婚約者だった頃から、お二人には何かと気にかけて頂いたけれど…あんな事があった今でも優しい笑みを向けられる事に私は安堵した。
「叔父上は…中々に独占欲がお強いのですね」
「こんなに愛らしい妻ですからね。変な虫が付かないかと心配なのですよ」
「まぁ」
「私が妻に夢中だという事をアピールしておきたくてね」
ラリー様の言葉に、王太子殿下も妃殿下も、彼らに付き従っていた側近たちも生温かい笑みを浮かべた。確かに今回の衣装はやり過ぎだと思う。
一方で、それだけではない事もわかっていらっしゃるのだろう。これは…ガードナー公爵令嬢やリドリー侯爵令嬢、そしてリドリー侯爵へのけん制でもあるのだ。
「セネット家は我が国にとって重要な存在だからね。是非とも叔父上との間に愛らしい御子を産んで頂いて、セネットの血を繋いで欲しいものだね」
「そうですわね。きっとお美しくて優秀な御子がお生まれになるでしょうね」
「ああ、セネットの聖女は、その血で力を受け継ぐと言うから」
王太子殿下との会話は、近くにいる貴族たちも耳を傾けていた。いつだって王族の会話を貴族は注視しているのだ。王太子殿下の言葉は、リドリー侯爵達へのけん制なのは明白だった。
王太子殿下の元を辞した私達は、会場の壁際に移動した。ここにはイスが並べられていて、ちょっと休めるようになっているのだ。ラリー様は空いたイスに私を座らせてくれた。
「疲れただろう、シア?
「そうですわね、少し…」
実を言えばかなり疲れたけれど、さすがにそれを正直に言う事は出来なかった。そんな事を言えば直ぐに帰ろうと言い出すのがラリー様だ。あまり早く帰ってはリネット様達に余計な心配をかけてしまうから、それは避けたかった。
「飲み物を取ってこよう」
「ありがとうございます」
そう言ってラリー様は飲み物を取りに行かれた。給仕に頼めば持って来てくれるが、それをしないところがラリー様らしい。
ほぅ…と視線を下げて息をつくと、視線の先に影が差した。
「まぁ、ヘーゼルダイン辺境伯夫人、お久しぶりですわね」
影の主は、ガードナー公爵令嬢だった。
その影響もあって、ジョシュア様は王太子殿下の側近の一人に選ばれた。王太子殿下と年が近かったのもあるし、剣の腕が素晴らしくて護衛としても一石二鳥だったのだろう。
そのジョシュア様には同じ一族の婚約者がいたが、その父親が汚職に関わっていた事が判明したため、父親は投獄された。一族は爵位を返上し、妻は夫と離縁し、婚約者だった娘は母の実家を頼って隣国に渡ったという。この国にいてもろくな結婚はもう望めなかったからだ。
そこに、怪我を理由に王太子殿下の婚約者候補を辞退して領地に引きこもっていたリネット様との婚約話が出た。リネット様の兄のマーティン様が、ジョシュア様と同じく王太子殿下の側近だったのも影響しただろう。誠実で将来性のあるジョシュア様に、マグワイヤ公爵も婚約を認めたという。
「リード侯爵令息、マグワイヤ公爵令嬢、ご婚約おめでとう」
「ジョシュア様、リネット様、ご婚約おめでとうございます」
「ありがとうございます、ヘーゼルダイン辺境伯、辺境伯夫人」
「ヘーゼルダイン辺境伯様、アレクシア様ありがとうございます」
今日のリネット様は、ジョシュア様の瞳の色でもある灰色がかった青色のドレスだった。差し色にはリネット様の瞳の色の新緑色と、ジョシュア様の髪色でもあるハニーブラウンが使われていてパッと見は落ち着いているけれど、少し大人びた顔立ちのリネット様にはよく似合っていた。確かにリネット様はパステルカラーは似合わないだろう。彼女の品のある佇まいは明るい色よりも少し落ち着いた色合いの方がずっと似合っていた。
「ふふ、ジョシュア様の色のドレス、とてもお似合いですわ」
「そう?ちょっと恥ずかしいわね、お揃いのドレスって」
「ええ。そのお気持ち、よくわかりますわ…」
「アレクシア様も、今日はお揃い感が凄いですわ」
「やっぱり…ちょっとやり過ぎじゃないかと思うのだけど…」
「ううん、それくらいでちょうどよかったわよ。ほら」
そう言ってリネット様はある方向に視線を向けると…そこにはガードナー公爵令嬢の姿があった。その姿を見て…私はラリー様がこの色のドレスを選んだ意味が分かった。
ガードナー公爵令嬢のドレスは、空色の青に金色の差し色だったからだ。
「あれって…もしかして…」
「ええ、ヘーゼルダイン辺境伯様のお色に合わせた、のでしょうね…」
嫌な予感は嫌な確信に変わった。今日、青い衣装でなかったのは幸いだった。
ガードナー公爵令嬢は亜麻色の髪に深緑の瞳だ。そんな彼女が自分の色を一切含まない青や金色のドレスを着るのは不自然だろう。ラリー様を意識しているのは明白だったけれど、その表情は冴えないものだった。
いつもラリー様は自分の色を私に着せていたから、それを見越して今日のドレスを準備したのだろう。なのに完全に当てが外れて、困惑しているのかもしれない。
「ヘーゼルダイン辺境伯様、そのお色はわざとですのね」
「ふふ、さすがは聡明と名高いマグワイヤ公爵令嬢ですね。その通りですよ。こんな事もあろうかと思って、今日はシアの色にしたのです」
そう言ってにっこり笑ったラリー様に、ジョシュア様とリネット様は苦笑していた。
確かにこうも色が被らなければ、二人の間には何もないとイメージさせられるだろうし、少なくともラリー様がガードナー公爵令嬢に思うところはないと印象付けられるだろう。
そして、私の実家がないに等しい事は広く知られているから、ドレスの手配を全てラリー様がしている事も理解しているだろう。その上でのこの衣装は、ラリー様なりの意思表示だと貴族なら察する筈だ。
「叔父上!」
まだまだ招待客への挨拶が続くリネット様達から離れた私達は、王太子殿下に声を掛けられた。王族が貴族の婚約披露のパーティーに出るのは珍しいが、今日は側近と側近の妹の婚約だからだろう。今日は妃殿下もご一緒だった。
「王太子殿下、妃殿下、ご無沙汰しております」
「お久しぶりですわ。ヘーゼルダイン辺境伯様、アレクシア様も」
「王太子殿下と妃殿下、お久しぶりでございます」
エリオット様の婚約者だった頃から、お二人には何かと気にかけて頂いたけれど…あんな事があった今でも優しい笑みを向けられる事に私は安堵した。
「叔父上は…中々に独占欲がお強いのですね」
「こんなに愛らしい妻ですからね。変な虫が付かないかと心配なのですよ」
「まぁ」
「私が妻に夢中だという事をアピールしておきたくてね」
ラリー様の言葉に、王太子殿下も妃殿下も、彼らに付き従っていた側近たちも生温かい笑みを浮かべた。確かに今回の衣装はやり過ぎだと思う。
一方で、それだけではない事もわかっていらっしゃるのだろう。これは…ガードナー公爵令嬢やリドリー侯爵令嬢、そしてリドリー侯爵へのけん制でもあるのだ。
「セネット家は我が国にとって重要な存在だからね。是非とも叔父上との間に愛らしい御子を産んで頂いて、セネットの血を繋いで欲しいものだね」
「そうですわね。きっとお美しくて優秀な御子がお生まれになるでしょうね」
「ああ、セネットの聖女は、その血で力を受け継ぐと言うから」
王太子殿下との会話は、近くにいる貴族たちも耳を傾けていた。いつだって王族の会話を貴族は注視しているのだ。王太子殿下の言葉は、リドリー侯爵達へのけん制なのは明白だった。
王太子殿下の元を辞した私達は、会場の壁際に移動した。ここにはイスが並べられていて、ちょっと休めるようになっているのだ。ラリー様は空いたイスに私を座らせてくれた。
「疲れただろう、シア?
「そうですわね、少し…」
実を言えばかなり疲れたけれど、さすがにそれを正直に言う事は出来なかった。そんな事を言えば直ぐに帰ろうと言い出すのがラリー様だ。あまり早く帰ってはリネット様達に余計な心配をかけてしまうから、それは避けたかった。
「飲み物を取ってこよう」
「ありがとうございます」
そう言ってラリー様は飲み物を取りに行かれた。給仕に頼めば持って来てくれるが、それをしないところがラリー様らしい。
ほぅ…と視線を下げて息をつくと、視線の先に影が差した。
「まぁ、ヘーゼルダイン辺境伯夫人、お久しぶりですわね」
影の主は、ガードナー公爵令嬢だった。
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読んで下さいってありがとうございます。
ゆっくりになりますが、更新再会しました。
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