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六章
怪しい噂
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「ようこそ、アレクシア様」
「お招きありがとうございます、ナタリア様」
夜会から三日後。私は単身ナタリア様の元を訪ねた。ラリー様は領地の事で宰相様達との会合があるため、朝から登城されたのだ。ヘーゼルダインは慢性的な赤字だけど、まずはそれを解消するのがラリー様の悲願だったりする。領主になってから五年余りで赤字は減少傾向だが、まだ黒字には程遠いのだ。その対策として色々な施策を計画しているので、今日はその話合いだった。
ナタリア様の住むモーズリー公爵邸は王宮からほど近い場所にあった。我がヘーゼルダイン辺境伯家の屋敷からもそう遠くない。さすがは由緒ある侯爵家、荘厳で上品な建物で、特に目を引いたのは庭に咲き乱れる花々だった。
「まぁ、ユーニスも来てくれたのね、お久しぶりね」
「モーズリー公爵夫人、ご無沙汰しておりました」
ユーニスは王妃様のお気に入りの侍女だったのもあり、ナタリア様とも面識があった。ナタリア様もユーニスのようにしっかりした女性がお好きで、王都にいた頃からユーニスには好意的だった。
「ふふ、そう言えば結婚されるのですってね」
「え、ええ…もうお耳に届いていましたか」
「そりゃあ、王妃様のお気に入りの貴女の事ですもの。王妃様から伺いましたわ。中々骨のあるお方だとか。良いご縁に恵まれてよかったわね」
「ありがとうございます」
早くもユーニスの結婚の話が広まっているとは思わなかった。そりゃあ、トイ伯爵家を捨てて我がヘーゼルダインの養女になったのだから、噂になっても仕方はないのだけど。中にはヘーゼルダインの養女ならと求婚しようとしてきた貴族令息もいたらしいが、それはロバートとの婚約の話も同時に広がった事で芽を出す前に潰れたという。
通されたのは庭にある温室だった。王都は雪が降らないため、庭に温室を持つ貴族もいる。維持にはお金もかかり大変だから、ある程度余裕のある家でないと難しい。ヘーゼルダインの屋敷にも温室はあるけれど、冬には解体されて春まではお休みだ。王都では冬の間でもそのままなので、大変な手間と資金がいるのだ。
「素敵な温室ですわね」
「ありがとう。私のお気に入りの場所なのよ。誰でも通したりはしないわ」
「そんな場所にお招きくださってありがとうございます」
「アレクシア様もユーニスも愚弟の奥方様と妹で身内なのですもの。当然よ」
そんな風に言われると恐縮してしまうけど…そう言えば今のユーニスはラリー様の義妹だからナタリア様にとっても義妹になるのだった。
「今日お誘いしたのは、ちょっと気になった事があるからよ」
「気になった事、ですか?」
「ええ。アレクシア様はガードナー公爵令嬢をご存じ?」
「ガードナー公爵令嬢と仰いますと…パトリシア様、ですか?」
そう言えば結婚披露のパーティーでお会いしたな、と記憶を辿った。確かパーセルの第三王子に嫁して、最近戻ってきたと紹介された人だ。清楚そうな雰囲気だけどスタイルがよくて美人で…ラリー様の名前を呼んでいたからモヤッとした人だ。
「ええ、そのパトリシア様よ。彼女の事は…どこまでご存じ?」
「領地での結婚披露のパーティーで初めてお会いしましたけれど、パーセルの第三王子殿下に嫁がれて、最近殿下が亡くなられたため帰国されたと。あと、その前はラリー様の婚約者の候補の筆頭だったとラリー様からは…」
「そう」
私が思い出せるだけの事をお話すると、ナタリア様は一言そう仰ってお茶を口に運ばれた。そんな仕草すらも見惚れるほどにお美しい。
「あの方に、僅かに聖女の力があったのは?」
「…いえ、それは…今知りました」
「あの方が王子妃にと望まれたのは…そのお力のせいだったのよ」
「聖女の力が…」
聖女の力をお持ちの令嬢が公爵家にもいたなんて意外だった。でも、それなら王子妃に選ばれたのもその力ゆえだろうか。第三王子は生まれた時から虚弱だったと言うから、彼を支えるための婚姻だったのかもしれない。
「彼女が選ばれたのは、正に第三王子殿下を支えるためよ。ただ…お支えするには彼女の力は期待されていた程ではなく、彼の国ではご苦労されたと聞くわ」
「そんな事が…」
「そのせいかしら?彼女が帰ってきてからは、そんな彼女を慰めようと言う声があるのだけど…その中に変な話も混じっていてね」
「変な話…ですか?」
「ええ」
何だろう…何だか嫌な予感しかしない。ユーニスを見ると、彼女も同感なのか微妙な表情を浮かべていた。それって…もしかして…
「ラリーが、あの子と相思相愛だったと。国が勝手に二人の仲を引き裂いた…そんな噂が流れているのよ」
(やっぱり!)
悪い予感はどうしてこうも当たるのだろう…あの人を見た時に感じた嫌な感じは、こういう事だったのだ。私の姿が見えなかったわけもないだろうに、妻の前でラリー様を名前で呼んできたのも気になったけど、そういう思惑があったのか…
「ラリーは…あの子は何もないと言うだろうけど…本当の事は当人たちしかわからないでしょう?ラリーは危機感があるのかないのか微妙だから、アレクシア様に直接お話した方がいいと思ったのよ。きっとラリーに聞いても、何もなかったとしか言わないでしょうからね」
さすがは実の姉上。私たちの会話を聞いていたかのようなご指摘だけど…仰る通りだった。ラリー様は何もなかったと仰ったけど…相手がどう思っているかまでは気になさらないのよね。そりゃあ、何もなかったんだからそれで正解なんだけど…
「お気遣いありがとうございます。確かにラリー様は、女性関係では何もないと仰っていましたわ」
「やっぱりね…もう、戦の事では頭が回っても、こういう事は気が利かないのだから…」
ナタリア様はしみじみとそう仰ってため息をつかれた。
「アレクシア様、何もなく終わるとも思えませんの。一度ラリーとしっかり話し合ってちょうだい。事と次第によっては…遠慮なく私に相談してね」
ナタリア様がそう仰って下さったのは、とても大きな事だった。その後も気を付けた方がいい人物や噂などを色々教えて下さった私は、とても有意義な時間を過ごしたのだった。
「お招きありがとうございます、ナタリア様」
夜会から三日後。私は単身ナタリア様の元を訪ねた。ラリー様は領地の事で宰相様達との会合があるため、朝から登城されたのだ。ヘーゼルダインは慢性的な赤字だけど、まずはそれを解消するのがラリー様の悲願だったりする。領主になってから五年余りで赤字は減少傾向だが、まだ黒字には程遠いのだ。その対策として色々な施策を計画しているので、今日はその話合いだった。
ナタリア様の住むモーズリー公爵邸は王宮からほど近い場所にあった。我がヘーゼルダイン辺境伯家の屋敷からもそう遠くない。さすがは由緒ある侯爵家、荘厳で上品な建物で、特に目を引いたのは庭に咲き乱れる花々だった。
「まぁ、ユーニスも来てくれたのね、お久しぶりね」
「モーズリー公爵夫人、ご無沙汰しておりました」
ユーニスは王妃様のお気に入りの侍女だったのもあり、ナタリア様とも面識があった。ナタリア様もユーニスのようにしっかりした女性がお好きで、王都にいた頃からユーニスには好意的だった。
「ふふ、そう言えば結婚されるのですってね」
「え、ええ…もうお耳に届いていましたか」
「そりゃあ、王妃様のお気に入りの貴女の事ですもの。王妃様から伺いましたわ。中々骨のあるお方だとか。良いご縁に恵まれてよかったわね」
「ありがとうございます」
早くもユーニスの結婚の話が広まっているとは思わなかった。そりゃあ、トイ伯爵家を捨てて我がヘーゼルダインの養女になったのだから、噂になっても仕方はないのだけど。中にはヘーゼルダインの養女ならと求婚しようとしてきた貴族令息もいたらしいが、それはロバートとの婚約の話も同時に広がった事で芽を出す前に潰れたという。
通されたのは庭にある温室だった。王都は雪が降らないため、庭に温室を持つ貴族もいる。維持にはお金もかかり大変だから、ある程度余裕のある家でないと難しい。ヘーゼルダインの屋敷にも温室はあるけれど、冬には解体されて春まではお休みだ。王都では冬の間でもそのままなので、大変な手間と資金がいるのだ。
「素敵な温室ですわね」
「ありがとう。私のお気に入りの場所なのよ。誰でも通したりはしないわ」
「そんな場所にお招きくださってありがとうございます」
「アレクシア様もユーニスも愚弟の奥方様と妹で身内なのですもの。当然よ」
そんな風に言われると恐縮してしまうけど…そう言えば今のユーニスはラリー様の義妹だからナタリア様にとっても義妹になるのだった。
「今日お誘いしたのは、ちょっと気になった事があるからよ」
「気になった事、ですか?」
「ええ。アレクシア様はガードナー公爵令嬢をご存じ?」
「ガードナー公爵令嬢と仰いますと…パトリシア様、ですか?」
そう言えば結婚披露のパーティーでお会いしたな、と記憶を辿った。確かパーセルの第三王子に嫁して、最近戻ってきたと紹介された人だ。清楚そうな雰囲気だけどスタイルがよくて美人で…ラリー様の名前を呼んでいたからモヤッとした人だ。
「ええ、そのパトリシア様よ。彼女の事は…どこまでご存じ?」
「領地での結婚披露のパーティーで初めてお会いしましたけれど、パーセルの第三王子殿下に嫁がれて、最近殿下が亡くなられたため帰国されたと。あと、その前はラリー様の婚約者の候補の筆頭だったとラリー様からは…」
「そう」
私が思い出せるだけの事をお話すると、ナタリア様は一言そう仰ってお茶を口に運ばれた。そんな仕草すらも見惚れるほどにお美しい。
「あの方に、僅かに聖女の力があったのは?」
「…いえ、それは…今知りました」
「あの方が王子妃にと望まれたのは…そのお力のせいだったのよ」
「聖女の力が…」
聖女の力をお持ちの令嬢が公爵家にもいたなんて意外だった。でも、それなら王子妃に選ばれたのもその力ゆえだろうか。第三王子は生まれた時から虚弱だったと言うから、彼を支えるための婚姻だったのかもしれない。
「彼女が選ばれたのは、正に第三王子殿下を支えるためよ。ただ…お支えするには彼女の力は期待されていた程ではなく、彼の国ではご苦労されたと聞くわ」
「そんな事が…」
「そのせいかしら?彼女が帰ってきてからは、そんな彼女を慰めようと言う声があるのだけど…その中に変な話も混じっていてね」
「変な話…ですか?」
「ええ」
何だろう…何だか嫌な予感しかしない。ユーニスを見ると、彼女も同感なのか微妙な表情を浮かべていた。それって…もしかして…
「ラリーが、あの子と相思相愛だったと。国が勝手に二人の仲を引き裂いた…そんな噂が流れているのよ」
(やっぱり!)
悪い予感はどうしてこうも当たるのだろう…あの人を見た時に感じた嫌な感じは、こういう事だったのだ。私の姿が見えなかったわけもないだろうに、妻の前でラリー様を名前で呼んできたのも気になったけど、そういう思惑があったのか…
「ラリーは…あの子は何もないと言うだろうけど…本当の事は当人たちしかわからないでしょう?ラリーは危機感があるのかないのか微妙だから、アレクシア様に直接お話した方がいいと思ったのよ。きっとラリーに聞いても、何もなかったとしか言わないでしょうからね」
さすがは実の姉上。私たちの会話を聞いていたかのようなご指摘だけど…仰る通りだった。ラリー様は何もなかったと仰ったけど…相手がどう思っているかまでは気になさらないのよね。そりゃあ、何もなかったんだからそれで正解なんだけど…
「お気遣いありがとうございます。確かにラリー様は、女性関係では何もないと仰っていましたわ」
「やっぱりね…もう、戦の事では頭が回っても、こういう事は気が利かないのだから…」
ナタリア様はしみじみとそう仰ってため息をつかれた。
「アレクシア様、何もなく終わるとも思えませんの。一度ラリーとしっかり話し合ってちょうだい。事と次第によっては…遠慮なく私に相談してね」
ナタリア様がそう仰って下さったのは、とても大きな事だった。その後も気を付けた方がいい人物や噂などを色々教えて下さった私は、とても有意義な時間を過ごしたのだった。
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読んで下さいってありがとうございます。
ゆっくりになりますが、更新再会しました。
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