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四章
戸惑う質問
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ラリー様から領地での結婚のお披露目の話を聞かされた私は、結婚に初めて心が躍る自分を感じていた。エリオット様の時はただただ義務感しかなく、その後ラリー様との結婚も義務としか思っていなかった。ときめくなんて感情とは無縁のものだったし、結婚なんてそう言うものだと思っていたのだ。なのに今…嬉しく感じている自分がいて、私はその事に戸惑っていた。
「シア?どうかした?」
私が両頬に手を添えたまま自分の感情を持てあましていると、ラリー様に声をかけられた。いけない、不審に思われてしまっただろうか…
「い、いえ…あの…実感が、湧かなくて…」
私がそう言うと、ユーニスがやれやれと言った風に頭を振っている姿が視界の端に映った。ああ、また後で揶揄われそうだし、ラリー様も変に思われているかもしれない。
「あ、あの、領内の披露とは、どんな風に?」
居たたまれないと何度思えばいいのだろう…そう思いながらも私は、慌ててそうラリー様に尋ねた。うん、物思いは後でも出来るから、今はちゃんとした話をしなきゃ。
「一般的には、屋敷内の大広間で領内の貴族や商会の有力者や土地に代表を招いてするらしいね。私も経験がないから、この辺は義父上達から話を聞こう」
「ええ」
「その準備は、実は既にメイナード達が始めてくれていてね。ただ、貴族向けの方が大事だからそっちにばかり目が行っていたのだけど」
「それは仕方ありませんわ」
「でも、領民向けへの披露も大事だからね。前にも言ったけど、私はここではいいように思われていないし、この結婚も反対している者もいる。だからあまり華美にせず、でも領民への祝儀は盛大にしようと思っているんだよ」
「それでいいと思いますわ」
「ありがとう。でも、シアのドレスはいいものを準備するよ。一生に一度の事だし、女性にとっては大切な事だからね」
「ええ…、え?」
話の流れで返事をした後、一生に一度と言われた事に思わず反応してしまった。
「どうかした?」
「え…いえ…一生に一度…って…」
「何?…ああ、そうだね。こうなった以上、私は離婚する気はないよ。シアが望まない限りは」
「え…ええっ?」
これまで散々白い結婚と仰っていたラリー様だっただけに、私は物凄い違和感に包まれてしまった。いや、白い結婚はないと昨日仰っていたのだけれど…
「…シアがそう思うのも仕方ないと思うよ。私は最初からそう言い続けてきたからね」
「え、ええ…」
思わず肯定してしまって…気を悪くされたかと思ったけれど、ラリー様は気にされた風はなくむしろ当然だと仰った。けれど、それはそれで何だか申し訳なかった。実をいうと私もそれでいいと思っていからだ。
「シアはどうしたい?」
「…私…ですか?」
「そう、今までは私の考えばかり押し付けていた。既に婚姻が成立してしまったからそこはどうにも出来ないが、これからの過ごし方はシアの気持ちを第一にしたいと思っている。シアが白い結婚を望むならそうするし、夫婦に抵抗があるなら、そうだね…兄妹のような形でもいい。もちろん、今後気持ちが変わる事もあるだろうから、その時々で相談してくれれば出来る限りのことはするよ」
…これは、多分、ラリー様にとって最大限の私への気遣いなのだろう。自分が望むようにと言われるなんて…もしかしたら生まれて初めて…かもしれない。お祖母様も、陛下や王妃様もお優しかったけれど、私の好きなようにとは言ってはくれなかった。私を案じて下さっていたと今はわかっているけれど…それらは私が望んだものではなかった。
「…私、の…」
いきなり好きにしろと言われて、こんなに戸惑うとは思わなかった。これまでもああしたい、こうしたいと溢れるほどに希望があった筈なのに、いざどうしたいかと聞かれると、何をどうしていいのかわからなかった。もし仲のいい夫婦になりたいと言えば、ラリー様は叶えて下さるだろう。それは兄妹でも同じだと思う。
でも…ラリー様はどうだろう…ああ仰った以上、私の望むようにして下さるのは明白だけど…それはラリー様の本意なのだろうか…私が美人で強くてラリー様に釣り合う相手ならまだしも、実際の私は肩書だけは立派だけど、自分一人では生活も出来ない子供なのだ。もし、ラリー様に好きな方が現れても、私と言う枷が邪魔をしてしまう。そんなのは…私がきっと耐えられないような気がした。
「シア?何でも言って欲しい。シアは言葉を飲み込み過ぎる。それは美点でもあるけど、時と場合によるよ」
優しく、いくらかの軽さを添えてそう仰るのは、きっと私の気を楽にさせるためのお心遣いなのだろう。
「でも…」
「でもはなしだよ」
「だって…」
「だってもなしね」
「けど、それじゃ…ラリー様が…」
「私?」
「…ラリー様に、我慢させる事は…」
私の望みがラリー様と同じならいい。でも、そうでなかったら…
「…私の事は気にしなくていいよ」
「でも…」
「もしシアの望みを聞いて、それが私の望みと違った場合は…」
「……」
「私は、二人の望みが叶う方法を探したいと思っている。シアの希望によって私が何かを諦める事はないから気にしなくていいよ」
「…じゃ…ラリー様の望みは…決まって…」
「そうだね」
「じゃ…」
「でも、それをシアに言えば、シアは自分の望みを言わないだろう?だからシアが言うまでは内緒だ」
「そんな…」
「これまで私の都合ばかりを押し付けていたんだ。だから今度はシアの番だよ」
そう仰るとラリー様は、私の両手を取って優しく微笑まれたのだけど…あまりにも恥ずかしくて、私は硬直してしまった。嫌だ…きっと顔も赤くなっているだろう。一方でラリー様は笑顔のまま私の返事を待っていらっしゃった。もしかして…ラリー様には、私の気持ちはばれてしまっている…のだろうか…
「シア?どうかした?」
私が両頬に手を添えたまま自分の感情を持てあましていると、ラリー様に声をかけられた。いけない、不審に思われてしまっただろうか…
「い、いえ…あの…実感が、湧かなくて…」
私がそう言うと、ユーニスがやれやれと言った風に頭を振っている姿が視界の端に映った。ああ、また後で揶揄われそうだし、ラリー様も変に思われているかもしれない。
「あ、あの、領内の披露とは、どんな風に?」
居たたまれないと何度思えばいいのだろう…そう思いながらも私は、慌ててそうラリー様に尋ねた。うん、物思いは後でも出来るから、今はちゃんとした話をしなきゃ。
「一般的には、屋敷内の大広間で領内の貴族や商会の有力者や土地に代表を招いてするらしいね。私も経験がないから、この辺は義父上達から話を聞こう」
「ええ」
「その準備は、実は既にメイナード達が始めてくれていてね。ただ、貴族向けの方が大事だからそっちにばかり目が行っていたのだけど」
「それは仕方ありませんわ」
「でも、領民向けへの披露も大事だからね。前にも言ったけど、私はここではいいように思われていないし、この結婚も反対している者もいる。だからあまり華美にせず、でも領民への祝儀は盛大にしようと思っているんだよ」
「それでいいと思いますわ」
「ありがとう。でも、シアのドレスはいいものを準備するよ。一生に一度の事だし、女性にとっては大切な事だからね」
「ええ…、え?」
話の流れで返事をした後、一生に一度と言われた事に思わず反応してしまった。
「どうかした?」
「え…いえ…一生に一度…って…」
「何?…ああ、そうだね。こうなった以上、私は離婚する気はないよ。シアが望まない限りは」
「え…ええっ?」
これまで散々白い結婚と仰っていたラリー様だっただけに、私は物凄い違和感に包まれてしまった。いや、白い結婚はないと昨日仰っていたのだけれど…
「…シアがそう思うのも仕方ないと思うよ。私は最初からそう言い続けてきたからね」
「え、ええ…」
思わず肯定してしまって…気を悪くされたかと思ったけれど、ラリー様は気にされた風はなくむしろ当然だと仰った。けれど、それはそれで何だか申し訳なかった。実をいうと私もそれでいいと思っていからだ。
「シアはどうしたい?」
「…私…ですか?」
「そう、今までは私の考えばかり押し付けていた。既に婚姻が成立してしまったからそこはどうにも出来ないが、これからの過ごし方はシアの気持ちを第一にしたいと思っている。シアが白い結婚を望むならそうするし、夫婦に抵抗があるなら、そうだね…兄妹のような形でもいい。もちろん、今後気持ちが変わる事もあるだろうから、その時々で相談してくれれば出来る限りのことはするよ」
…これは、多分、ラリー様にとって最大限の私への気遣いなのだろう。自分が望むようにと言われるなんて…もしかしたら生まれて初めて…かもしれない。お祖母様も、陛下や王妃様もお優しかったけれど、私の好きなようにとは言ってはくれなかった。私を案じて下さっていたと今はわかっているけれど…それらは私が望んだものではなかった。
「…私、の…」
いきなり好きにしろと言われて、こんなに戸惑うとは思わなかった。これまでもああしたい、こうしたいと溢れるほどに希望があった筈なのに、いざどうしたいかと聞かれると、何をどうしていいのかわからなかった。もし仲のいい夫婦になりたいと言えば、ラリー様は叶えて下さるだろう。それは兄妹でも同じだと思う。
でも…ラリー様はどうだろう…ああ仰った以上、私の望むようにして下さるのは明白だけど…それはラリー様の本意なのだろうか…私が美人で強くてラリー様に釣り合う相手ならまだしも、実際の私は肩書だけは立派だけど、自分一人では生活も出来ない子供なのだ。もし、ラリー様に好きな方が現れても、私と言う枷が邪魔をしてしまう。そんなのは…私がきっと耐えられないような気がした。
「シア?何でも言って欲しい。シアは言葉を飲み込み過ぎる。それは美点でもあるけど、時と場合によるよ」
優しく、いくらかの軽さを添えてそう仰るのは、きっと私の気を楽にさせるためのお心遣いなのだろう。
「でも…」
「でもはなしだよ」
「だって…」
「だってもなしね」
「けど、それじゃ…ラリー様が…」
「私?」
「…ラリー様に、我慢させる事は…」
私の望みがラリー様と同じならいい。でも、そうでなかったら…
「…私の事は気にしなくていいよ」
「でも…」
「もしシアの望みを聞いて、それが私の望みと違った場合は…」
「……」
「私は、二人の望みが叶う方法を探したいと思っている。シアの希望によって私が何かを諦める事はないから気にしなくていいよ」
「…じゃ…ラリー様の望みは…決まって…」
「そうだね」
「じゃ…」
「でも、それをシアに言えば、シアは自分の望みを言わないだろう?だからシアが言うまでは内緒だ」
「そんな…」
「これまで私の都合ばかりを押し付けていたんだ。だから今度はシアの番だよ」
そう仰るとラリー様は、私の両手を取って優しく微笑まれたのだけど…あまりにも恥ずかしくて、私は硬直してしまった。嫌だ…きっと顔も赤くなっているだろう。一方でラリー様は笑顔のまま私の返事を待っていらっしゃった。もしかして…ラリー様には、私の気持ちはばれてしまっている…のだろうか…
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読んで下さいってありがとうございます。
ゆっくりになりますが、更新再会しました。
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