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四章
結婚披露の計画
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私がラリー様にお会いしたのは、その日の午後だった。ラリー様は朝早くから騎士団での予定が入っていて、その後は来客と昼食を兼ねた会合があってお忙しそうだった。一度私の様子を見に来られたらしいけど、その時には私は湯浴み中でお会い出来なかったのだ。昼食後に、会合が終われば今日は時間がとれるからとの伝言があって、それを聞いてからの私はそわそわと落ち着かない時間を過ごした。
ラリー様がいらした時には、私の精神力はすでに半分ほどは消耗していたかもしれない。昨日の事が恥ずかしくて顔を合せ辛かったのもあるけど、自分の気持ちを自覚したせいか、ラリー様にどんな顔で会えばいいのかと思うと、居たたまれないような、逃げ出したいような気分だったのだ。平常心と何度も心の中で唱えたけど…効果があるのかは疑わしかった。
「アレクシア様、少し落ち着かれては…」
私が平常心を心がけようとしている時にユーニスにそう言われて、私は自分の努力があまり実になっていないと知った時、ちょっと泣きそうになったのは内緒だ。そんな事をユーニスに知られたら…王妃様に嬉々として報告されそうな気がしたのだ。
「遅くなってすまない、シア」
ラリー様がいらしたのは、午後のお茶の時間を少し過ぎた頃だった。今日は領内の大きな商会達と財政立て直しのための話合いだったけれど、思った以上に時間が押してしまったのだと謝られてしまった。お仕事だし、大事な事だから気にしないで欲しいと言うと、ラリー様は困ったような笑顔を浮かべて、シアは聞き分けがよすぎると仰った。実を言うとそう言う訳ではないのだけど…しかも、私の手を引いて三人掛けのソファに並んで座らされて、私は一層緊張感に包まれてしまった。うう、恥ずかしい…
「あ、あの!昨日は申し訳ありませんでした」
とにかくまずは昨日の失態を謝らないと…!と意気込んでいた私は、真っ先にその事を謝った。また思い出させてしまうから遠慮したかったけれど、このままと言う訳にもいかない。子どもっぽいままじゃ、呆れられてしまうから。
「気にしないで。それよりも、あんなに不安にさせて…すまなかった」
「いえ、そんな事は…」
「そんな事じゃないよ。我慢強いシアが泣くなんて、相当な事だからね」
「そんな…」
「シアは我慢する事に慣れすぎていると分かっていたのに…それを見誤ったのは私の失態だ」
「あの…本当に大丈夫ですから…」
謝罪を謝罪で返されてしまい、私はどう答えていいのかと困ってしまった。別に我慢しているわけではなかったのだけど…それよりも今は、距離が近すぎて戸惑いしかなかった。ラリー様のいつもの匂いにすらもドキドキしている自分がいて、それだけで精神力が削がれる気がした。
そうしている間にユーニスがお茶を淹れてくれたので、私はそれを飲んで小さく深呼吸した。あんまり気休めにはならなかったけれど、それでも今日は酸味のある爽やかなお茶なのは、ユーニスの心遣いだろう。その事に心が温かくなるのを感じた。
「そ、それで、今日はどんな御用で?」
どうにも居たたまれなかった私は、早々に本題に入る事にした。とにかくお話があるなら気力が尽きる前に終わらせてしまいたかったからだ。なのに…
「夫が妻を訪ねるのに、用がないとダメなのかい?」
「…え?つ、妻…って…」
告げられた言葉に、私は固まってしまった。でも…婚姻が成立していた事を思い出して、私は思わず頬に手を当てた。あ、改まって言われると…恥ずかしい…
「まぁ、先に用を済ませてしまおうか」
「え?ええ…」
用があったのならそう言って欲しかった。と言うか…ラリー様、私の反応を面白がっていませんか?そしてユーニスも…何だか二人に遊ばれている気分だ…
「婚姻が成立しただろう?だから今後の予定をね。まず、延期になった式だが、これは四か月後にしようと思う」
「…四か月後…ですか?」
招待客の都合もあるから二ヶ月後くらいかと思っていた私は、思った以上に先になった事に驚いた。何か不都合があっただろうか…
「ああ。急げば一月後でも可能だけど…その頃にはここも雪が降り始めるからね。となると春までは動けないんだよ」
「あ!」
そう言われて、ようやく私はここの冬事情を思い出した。ヘーゼルダインは国内でも北に位置し、しかも標高が高いので雪がかなり積もると聞いた。滅多に雪が降らない王都とは違うと。確かに雪が降っては招待された方も困るだろう。
「そうは言っても、王都の春一番の舞踏会にはお披露目があるから、それまでには終わらせないといけない。春になったら早々に披露パーティーをして、直ぐに王都に向かう事になるだろう。ちょっと急で申し訳ないけど、それでいいかな?」
「ええ、勿論ですわ」
こればっかりは仕方ないだろう。ラリー様は王族だし、この結婚は王命だから夜会か舞踏会で陛下が直々に紹介する事になる。となれば、それまでには披露パーティーを終わらせておく必要があるのだ。隣国の事があったとはいえ、陛下が婚姻の許可をお出しになった以上はルールに従わざるを得ない。
「ドレスなどの準備は終わっているけれど、時間が空くから最終調整などはユーニス、モリスン夫人と一緒に手配してくれるか?」
「はい、もちろんです」
「あと…領内でのお披露目は、一月後にと考えているんだけど、どうだろう?」
「領内の?」
「ああ。結婚披露パーティーは貴族向けだけど、領内でのお披露目も必要だからね。当初はパーティーの後で領内を…と思っていたのだけど、こうなると先に領内にお披露目をしてもいいかと思ってね」
王都貴族で領地に行く事がなかった私は、領内でお披露目の事をすっかり失念していた。でも、領地をもつ貴族にとってはこれが実質上の結婚式にあたるのだと聞いて、私は初めて結婚した実感がじわじわと湧くのを感じた。
ラリー様がいらした時には、私の精神力はすでに半分ほどは消耗していたかもしれない。昨日の事が恥ずかしくて顔を合せ辛かったのもあるけど、自分の気持ちを自覚したせいか、ラリー様にどんな顔で会えばいいのかと思うと、居たたまれないような、逃げ出したいような気分だったのだ。平常心と何度も心の中で唱えたけど…効果があるのかは疑わしかった。
「アレクシア様、少し落ち着かれては…」
私が平常心を心がけようとしている時にユーニスにそう言われて、私は自分の努力があまり実になっていないと知った時、ちょっと泣きそうになったのは内緒だ。そんな事をユーニスに知られたら…王妃様に嬉々として報告されそうな気がしたのだ。
「遅くなってすまない、シア」
ラリー様がいらしたのは、午後のお茶の時間を少し過ぎた頃だった。今日は領内の大きな商会達と財政立て直しのための話合いだったけれど、思った以上に時間が押してしまったのだと謝られてしまった。お仕事だし、大事な事だから気にしないで欲しいと言うと、ラリー様は困ったような笑顔を浮かべて、シアは聞き分けがよすぎると仰った。実を言うとそう言う訳ではないのだけど…しかも、私の手を引いて三人掛けのソファに並んで座らされて、私は一層緊張感に包まれてしまった。うう、恥ずかしい…
「あ、あの!昨日は申し訳ありませんでした」
とにかくまずは昨日の失態を謝らないと…!と意気込んでいた私は、真っ先にその事を謝った。また思い出させてしまうから遠慮したかったけれど、このままと言う訳にもいかない。子どもっぽいままじゃ、呆れられてしまうから。
「気にしないで。それよりも、あんなに不安にさせて…すまなかった」
「いえ、そんな事は…」
「そんな事じゃないよ。我慢強いシアが泣くなんて、相当な事だからね」
「そんな…」
「シアは我慢する事に慣れすぎていると分かっていたのに…それを見誤ったのは私の失態だ」
「あの…本当に大丈夫ですから…」
謝罪を謝罪で返されてしまい、私はどう答えていいのかと困ってしまった。別に我慢しているわけではなかったのだけど…それよりも今は、距離が近すぎて戸惑いしかなかった。ラリー様のいつもの匂いにすらもドキドキしている自分がいて、それだけで精神力が削がれる気がした。
そうしている間にユーニスがお茶を淹れてくれたので、私はそれを飲んで小さく深呼吸した。あんまり気休めにはならなかったけれど、それでも今日は酸味のある爽やかなお茶なのは、ユーニスの心遣いだろう。その事に心が温かくなるのを感じた。
「そ、それで、今日はどんな御用で?」
どうにも居たたまれなかった私は、早々に本題に入る事にした。とにかくお話があるなら気力が尽きる前に終わらせてしまいたかったからだ。なのに…
「夫が妻を訪ねるのに、用がないとダメなのかい?」
「…え?つ、妻…って…」
告げられた言葉に、私は固まってしまった。でも…婚姻が成立していた事を思い出して、私は思わず頬に手を当てた。あ、改まって言われると…恥ずかしい…
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「え?ええ…」
用があったのならそう言って欲しかった。と言うか…ラリー様、私の反応を面白がっていませんか?そしてユーニスも…何だか二人に遊ばれている気分だ…
「婚姻が成立しただろう?だから今後の予定をね。まず、延期になった式だが、これは四か月後にしようと思う」
「…四か月後…ですか?」
招待客の都合もあるから二ヶ月後くらいかと思っていた私は、思った以上に先になった事に驚いた。何か不都合があっただろうか…
「ああ。急げば一月後でも可能だけど…その頃にはここも雪が降り始めるからね。となると春までは動けないんだよ」
「あ!」
そう言われて、ようやく私はここの冬事情を思い出した。ヘーゼルダインは国内でも北に位置し、しかも標高が高いので雪がかなり積もると聞いた。滅多に雪が降らない王都とは違うと。確かに雪が降っては招待された方も困るだろう。
「そうは言っても、王都の春一番の舞踏会にはお披露目があるから、それまでには終わらせないといけない。春になったら早々に披露パーティーをして、直ぐに王都に向かう事になるだろう。ちょっと急で申し訳ないけど、それでいいかな?」
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こればっかりは仕方ないだろう。ラリー様は王族だし、この結婚は王命だから夜会か舞踏会で陛下が直々に紹介する事になる。となれば、それまでには披露パーティーを終わらせておく必要があるのだ。隣国の事があったとはいえ、陛下が婚姻の許可をお出しになった以上はルールに従わざるを得ない。
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「はい、もちろんです」
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「領内の?」
「ああ。結婚披露パーティーは貴族向けだけど、領内でのお披露目も必要だからね。当初はパーティーの後で領内を…と思っていたのだけど、こうなると先に領内にお披露目をしてもいいかと思ってね」
王都貴族で領地に行く事がなかった私は、領内でお披露目の事をすっかり失念していた。でも、領地をもつ貴族にとってはこれが実質上の結婚式にあたるのだと聞いて、私は初めて結婚した実感がじわじわと湧くのを感じた。
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読んで下さいってありがとうございます。
ゆっくりになりますが、更新再会しました。
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