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三章
ラリー様からの提案
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ラリー様から、結婚後は当初の提案通り白い結婚にしようと言われた私は、直ぐに言葉を発する事が出来なかった。
「白い…結婚…」
つい先日、陛下の前で嫁いで来て欲しいと言われて、日は浅いけれど信頼関係を築けていると思っていたのは、私だけだったらしい…心がきゅっと冷えていくのを感じた。でも、ここで動揺してはいけないと、私はこみ上げてくる物をぐっと飲み込んだ。表情を崩さないように顔に力を籠め、その意図を、話の続きを求めて見上げると、ラリー様は一瞬表情を消したようにも見えたが、直ぐに困ったような笑みを浮かべられた。
「ああ、シアがどうというんじゃないよ。あなたの事はとても好ましいと思っているし、実の妹のように大切に思っている。白い結婚でもぞんざいに扱うつもりなど微塵もない。だが…シアは…その…義父上が好きなのだろう?」
「え…?」
「最初に白い結婚を提案した時、そう言っていただろう?義父上が初恋だったと」
「それは…」
まさかここでギルおじ様の事が出てくるとは思わなかった。でも、確かに私の初恋はギルおじ様で、あの頃はラリー様よりもギルおじ様の方が好ましいと思っていた。その事を思い返していた私は違和感を覚えたが、それを追いかける余裕は今の私になかった。
「そう…ですね。確かのあの頃は…おじ様に再会出来たのが嬉しくて…そう、思っていました」
「ああ。それに…君はまだ若くて、私の半分程の年月しか生きていない。そんな君をあの地に縛るのは酷だと思う」
「酷…?」
「ヘーゼルダインは…未だに隣国とのいざこざが絶えない難しい場所だ。こちらから攻めるつもりはないが、攻め込まれる可能性は十分にあるし、そうなれば戦場になるだろう。最近不穏な動きが増しているだけに、出来れば君には王都で過ごして貰いたいほどなんだ」
「それは…」
「そんな場所に、王都育ちの君を縛り付けるのは忍びない。私は望んであの地に行ったが、君は違う。それに…今まで苦労した分、これからはもっと楽しい経験をたくさんして、幸せになって欲しいと思っている」
「……」
なるほど、ラリー様は私を危険から遠ざけようとお考えなのか…きっとおじ様の事は口実なのだろう…ラリー様の気遣いはとても有難いものの筈だったけれど…私は酷い喪失感に襲われていた。
(やっと…居場所が出来たと思ったのに…)
そんな想いがどこからともなく湧き上がって、あっという間に私の思考を染めた。祖母が亡くなってからの私は厄介者扱いされ、受け入れられる事はなかった。陛下や王妃様、一部の貴族や友人は庇ってくれたけど、それでも彼らが私の居場所になる事はなかった。不本意な結婚だとしても、ヘーゼルダインでやっと居場所を見つけたと思ったのに…苦いものが口の中に広がったように感じた。
「わかりました。では、そのようにお願いします」
それだけを言うのが精いっぱいだったが、幸い声は震えていなかったと思う。ラリー様の表情を知るのが怖くて、私はそのまま背を向けてユーニス達の元に向かった。せっかくのご厚意で私が落ち込むなど、烏滸がましいのだ。
「お嬢様、どうされました?」
その日の宿場で後はもう寝るだけの一時、ユーニスが入れてくれたハーブティーを飲んでいたところで声をかけられた。視線を向けると、心配そうに私を見つめるユーニスと目が合った。
「お昼過ぎから…何だかぼんやりしていらっしゃいますよ?何かありましたか?」
「そ、そうかしら?」
「お嬢様とは長い付き合いですからね。直ぐにわかりますよ」
自信満々に断言されてしまい、私は思わず目を見開いてユーニスを見上げたが、彼女は分かっていると言わんばかりの表情で私を見ていた。これはバレたというよりも、私に話をさせるためのものだと思った私は、自ずと頬が緩んだ。ユーニスは敏いから隠しようもなかったけれど、彼女は私の存在に感謝し、ラリー様に言われた事を簡単に説明した。
「よかったじゃありませんか」
私の話を最後まで聞いた後、ユーニスは笑みを浮かべてそう答えた。今の話のどこによかったと言える要素があったのだろう…私が面食らっているとユーニスは、最初は白い結婚がいいと言っていた私が戸惑う状況に変わったのがよかったのだと答えた。気落ちしているのは私がそれだけラリー様に好意を持ったからで、以前の何の感情も持たなかった時よりも格段に進歩している、と。
ユーニスは私がギルおじ様がいいと言っていた事を、ずっと気に病んでいたらしい。ユーニスに言わせればあれは父親への憧憬のようなもので恋ではない、気落ちしているのはラリー様を恋愛対象と見始めている証拠で、いい傾向などだという。
そして、白い結婚についても、何の問題もないとも言った。最初は白い結婚でも三年も猶予があり、その間にラリー様との信頼関係を深めていけば本当の夫婦になる事も可能だ。ラリー様も年の差から余計に心配してくれているのだろうが、私がもう少し成長すれば女性としてみてもらえる様になるだろう、と。最初から無理があった婚約なだけに、これから関係を深めていけばいいと言ってくれた。
その考えは私の中にはないもので最初は抵抗を感じたが、最後まで聞いてみると、なるほどと納得と思われるものだった。王命で顔合わせもなしで結婚が決まり、その後も互いを知り合うよりも領地の事を優先していたようにも思う。そうしている間に夜会への参加だ。
ユーニスに言わせれば、隣国との事も騎士の治療などが進めば今よりもよくなる可能性もあり、悲観する事はないだろうとの事だった。確かに悪くなると決まったわけではないし、ラリー様や領地の人、国王陛下もこの地に平和をと努力されているのだ。
私はようやく自分が悪い考えにとらわれ過ぎていた事に気が付いた。そう、全てはまだ始まったばかりなのだ。
「ありがとう、ユーニス」
私が笑顔で礼を言うと、ユーニスも笑顔で返してくれて、私の心にようやく温かみが戻ったのを感じた。
「白い…結婚…」
つい先日、陛下の前で嫁いで来て欲しいと言われて、日は浅いけれど信頼関係を築けていると思っていたのは、私だけだったらしい…心がきゅっと冷えていくのを感じた。でも、ここで動揺してはいけないと、私はこみ上げてくる物をぐっと飲み込んだ。表情を崩さないように顔に力を籠め、その意図を、話の続きを求めて見上げると、ラリー様は一瞬表情を消したようにも見えたが、直ぐに困ったような笑みを浮かべられた。
「ああ、シアがどうというんじゃないよ。あなたの事はとても好ましいと思っているし、実の妹のように大切に思っている。白い結婚でもぞんざいに扱うつもりなど微塵もない。だが…シアは…その…義父上が好きなのだろう?」
「え…?」
「最初に白い結婚を提案した時、そう言っていただろう?義父上が初恋だったと」
「それは…」
まさかここでギルおじ様の事が出てくるとは思わなかった。でも、確かに私の初恋はギルおじ様で、あの頃はラリー様よりもギルおじ様の方が好ましいと思っていた。その事を思い返していた私は違和感を覚えたが、それを追いかける余裕は今の私になかった。
「そう…ですね。確かのあの頃は…おじ様に再会出来たのが嬉しくて…そう、思っていました」
「ああ。それに…君はまだ若くて、私の半分程の年月しか生きていない。そんな君をあの地に縛るのは酷だと思う」
「酷…?」
「ヘーゼルダインは…未だに隣国とのいざこざが絶えない難しい場所だ。こちらから攻めるつもりはないが、攻め込まれる可能性は十分にあるし、そうなれば戦場になるだろう。最近不穏な動きが増しているだけに、出来れば君には王都で過ごして貰いたいほどなんだ」
「それは…」
「そんな場所に、王都育ちの君を縛り付けるのは忍びない。私は望んであの地に行ったが、君は違う。それに…今まで苦労した分、これからはもっと楽しい経験をたくさんして、幸せになって欲しいと思っている」
「……」
なるほど、ラリー様は私を危険から遠ざけようとお考えなのか…きっとおじ様の事は口実なのだろう…ラリー様の気遣いはとても有難いものの筈だったけれど…私は酷い喪失感に襲われていた。
(やっと…居場所が出来たと思ったのに…)
そんな想いがどこからともなく湧き上がって、あっという間に私の思考を染めた。祖母が亡くなってからの私は厄介者扱いされ、受け入れられる事はなかった。陛下や王妃様、一部の貴族や友人は庇ってくれたけど、それでも彼らが私の居場所になる事はなかった。不本意な結婚だとしても、ヘーゼルダインでやっと居場所を見つけたと思ったのに…苦いものが口の中に広がったように感じた。
「わかりました。では、そのようにお願いします」
それだけを言うのが精いっぱいだったが、幸い声は震えていなかったと思う。ラリー様の表情を知るのが怖くて、私はそのまま背を向けてユーニス達の元に向かった。せっかくのご厚意で私が落ち込むなど、烏滸がましいのだ。
「お嬢様、どうされました?」
その日の宿場で後はもう寝るだけの一時、ユーニスが入れてくれたハーブティーを飲んでいたところで声をかけられた。視線を向けると、心配そうに私を見つめるユーニスと目が合った。
「お昼過ぎから…何だかぼんやりしていらっしゃいますよ?何かありましたか?」
「そ、そうかしら?」
「お嬢様とは長い付き合いですからね。直ぐにわかりますよ」
自信満々に断言されてしまい、私は思わず目を見開いてユーニスを見上げたが、彼女は分かっていると言わんばかりの表情で私を見ていた。これはバレたというよりも、私に話をさせるためのものだと思った私は、自ずと頬が緩んだ。ユーニスは敏いから隠しようもなかったけれど、彼女は私の存在に感謝し、ラリー様に言われた事を簡単に説明した。
「よかったじゃありませんか」
私の話を最後まで聞いた後、ユーニスは笑みを浮かべてそう答えた。今の話のどこによかったと言える要素があったのだろう…私が面食らっているとユーニスは、最初は白い結婚がいいと言っていた私が戸惑う状況に変わったのがよかったのだと答えた。気落ちしているのは私がそれだけラリー様に好意を持ったからで、以前の何の感情も持たなかった時よりも格段に進歩している、と。
ユーニスは私がギルおじ様がいいと言っていた事を、ずっと気に病んでいたらしい。ユーニスに言わせればあれは父親への憧憬のようなもので恋ではない、気落ちしているのはラリー様を恋愛対象と見始めている証拠で、いい傾向などだという。
そして、白い結婚についても、何の問題もないとも言った。最初は白い結婚でも三年も猶予があり、その間にラリー様との信頼関係を深めていけば本当の夫婦になる事も可能だ。ラリー様も年の差から余計に心配してくれているのだろうが、私がもう少し成長すれば女性としてみてもらえる様になるだろう、と。最初から無理があった婚約なだけに、これから関係を深めていけばいいと言ってくれた。
その考えは私の中にはないもので最初は抵抗を感じたが、最後まで聞いてみると、なるほどと納得と思われるものだった。王命で顔合わせもなしで結婚が決まり、その後も互いを知り合うよりも領地の事を優先していたようにも思う。そうしている間に夜会への参加だ。
ユーニスに言わせれば、隣国との事も騎士の治療などが進めば今よりもよくなる可能性もあり、悲観する事はないだろうとの事だった。確かに悪くなると決まったわけではないし、ラリー様や領地の人、国王陛下もこの地に平和をと努力されているのだ。
私はようやく自分が悪い考えにとらわれ過ぎていた事に気が付いた。そう、全てはまだ始まったばかりなのだ。
「ありがとう、ユーニス」
私が笑顔で礼を言うと、ユーニスも笑顔で返してくれて、私の心にようやく温かみが戻ったのを感じた。
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読んで下さいってありがとうございます。
ゆっくりになりますが、更新再会しました。
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