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しおりを挟むアゲハさんは「えっ!?」って小さく声を上げてから
下を向いて笑ったんだけど……その顔は本当に嬉しそうに笑っていた。
「……やっぱり空は空で、、安心した」
「え?」
意味が分からなかったけど、アゲハさんは下を向いたまま、言葉を続けた。
「俺が駄目な時はずっと傍にいてくれて、それで…今みたいに慰めてくれた。覚えていなくても空の本質は変わらないんだなって、、そう思ったら安心した」
私は本当に……アゲハさんとは仲良かったんだろうね。
今のアゲハさんは余裕なんてなさそうだから、嘘は言えないと思う。
つまり、アゲハさんは最初から私に嘘なんて言ってなくて、、、
だとしたら、私はかなり酷い事を言ったよね。。。
「……ずっと、見つけられなくて、ごめん。空はきっと、怖い思いも辛い思いもたくさんしたと思う。もっと早く、もっと俺が、、しっかりしていたら………」
アゲハさんはそう言いながら自分の拳を強く握りしめていて
痛くないかな?って思うくらいギリギリと握りしめていたから、アゲハさんの手に自分の手を重ねた。
「アゲハさんは十分しっかりしていると思いますよ。今日は……ひどい事を言って、ごめんなさい」
「空が謝る事はないよ。記憶がないって事は、きっと俺が思う以上に辛く苦しい事だから。
思い出したくても思い出せないのは……似たような経験が俺にもあるから少しなら、気持ちは分かる。分かるくせに空の気持ちを理解しきれない俺が悪いんだよ」
この人は……何を言ってるのかな?
私の気持ちを悟るなんて無理に決まっているのに
悟れない自分が悪いって……。
そんなの無理に決まっているのに……。
なんで私を責めないのかな?
それに、アゲハさんも似たような経験したって、、何だろう?
聞いていいか分からなくて、答えられないでいたけど
アゲハさんは気にした様子はなくて……あと、さっきまで変な様子だったけど、いつも通りのアゲハさんに戻っていた。
「ところで、空はこんな夜中にどうしたの?」
聞かれて思い出した。
お腹空いていたって事を。
思い出したらお腹空いてきて……だから、すっと立ち上がった。
「お夕飯、まだだったから……お腹が空いたんです」
「あっ、ごめんね。俺が邪魔をしてたね。俺も一階に用があるから一緒に行こう」
アゲハさんも立ち上がって、二人で静かにダイニングに向かった。
テーブルの上にはお夕飯のおかずが置いたままになっていて……これは私用なんだってすぐに分かった。
アゲハさんがおかずを温め直して温かいご飯を用意してくれて
その間に話を少ししたら、今アゲハさんの部屋にはエドガーさんがいて
エドガーさんは疲れて爆睡してるから起こさないように廊下にいたんだって教えてくれた。
そして、私が食べている間にアゲハさんが用意したのはお酒と氷。
アゲハさんの用は晩酌??
お酒の知識は私にはないけど、氷を入れたグラスに注がれたお酒。
「水で割ったりしないんですか?」
「んー、ロック派なんだよ俺は」
そう言ってグラスを持ってお酒を眺めているアゲハさんの姿は大人だなぁって感じ。
だけどアゲハさんはお酒を眺めてばかりで飲もうとはしなくって、、
氷が溶けて薄まるんじゃない?って思いながら私はお夕飯を食べていた。
私が食べ終わるまでアゲハさんはお酒を飲む事をしなくて
たまに時計を見ては私を見てお酒を見る…という謎の行動をしていた。
時刻は現在夜中の1時。
「空はもう寝る?」
って聞かれたけど眠たくなくて首を横に振った。
「……なら、少し、話をしていいかな?」
アゲハさんは真剣な顔で私を見ていたから頷いた。
真面目な話をするためにお酒を飲まずにいたんだなって、さすがの私にも分かったよ。
下を向いて笑ったんだけど……その顔は本当に嬉しそうに笑っていた。
「……やっぱり空は空で、、安心した」
「え?」
意味が分からなかったけど、アゲハさんは下を向いたまま、言葉を続けた。
「俺が駄目な時はずっと傍にいてくれて、それで…今みたいに慰めてくれた。覚えていなくても空の本質は変わらないんだなって、、そう思ったら安心した」
私は本当に……アゲハさんとは仲良かったんだろうね。
今のアゲハさんは余裕なんてなさそうだから、嘘は言えないと思う。
つまり、アゲハさんは最初から私に嘘なんて言ってなくて、、、
だとしたら、私はかなり酷い事を言ったよね。。。
「……ずっと、見つけられなくて、ごめん。空はきっと、怖い思いも辛い思いもたくさんしたと思う。もっと早く、もっと俺が、、しっかりしていたら………」
アゲハさんはそう言いながら自分の拳を強く握りしめていて
痛くないかな?って思うくらいギリギリと握りしめていたから、アゲハさんの手に自分の手を重ねた。
「アゲハさんは十分しっかりしていると思いますよ。今日は……ひどい事を言って、ごめんなさい」
「空が謝る事はないよ。記憶がないって事は、きっと俺が思う以上に辛く苦しい事だから。
思い出したくても思い出せないのは……似たような経験が俺にもあるから少しなら、気持ちは分かる。分かるくせに空の気持ちを理解しきれない俺が悪いんだよ」
この人は……何を言ってるのかな?
私の気持ちを悟るなんて無理に決まっているのに
悟れない自分が悪いって……。
そんなの無理に決まっているのに……。
なんで私を責めないのかな?
それに、アゲハさんも似たような経験したって、、何だろう?
聞いていいか分からなくて、答えられないでいたけど
アゲハさんは気にした様子はなくて……あと、さっきまで変な様子だったけど、いつも通りのアゲハさんに戻っていた。
「ところで、空はこんな夜中にどうしたの?」
聞かれて思い出した。
お腹空いていたって事を。
思い出したらお腹空いてきて……だから、すっと立ち上がった。
「お夕飯、まだだったから……お腹が空いたんです」
「あっ、ごめんね。俺が邪魔をしてたね。俺も一階に用があるから一緒に行こう」
アゲハさんも立ち上がって、二人で静かにダイニングに向かった。
テーブルの上にはお夕飯のおかずが置いたままになっていて……これは私用なんだってすぐに分かった。
アゲハさんがおかずを温め直して温かいご飯を用意してくれて
その間に話を少ししたら、今アゲハさんの部屋にはエドガーさんがいて
エドガーさんは疲れて爆睡してるから起こさないように廊下にいたんだって教えてくれた。
そして、私が食べている間にアゲハさんが用意したのはお酒と氷。
アゲハさんの用は晩酌??
お酒の知識は私にはないけど、氷を入れたグラスに注がれたお酒。
「水で割ったりしないんですか?」
「んー、ロック派なんだよ俺は」
そう言ってグラスを持ってお酒を眺めているアゲハさんの姿は大人だなぁって感じ。
だけどアゲハさんはお酒を眺めてばかりで飲もうとはしなくって、、
氷が溶けて薄まるんじゃない?って思いながら私はお夕飯を食べていた。
私が食べ終わるまでアゲハさんはお酒を飲む事をしなくて
たまに時計を見ては私を見てお酒を見る…という謎の行動をしていた。
時刻は現在夜中の1時。
「空はもう寝る?」
って聞かれたけど眠たくなくて首を横に振った。
「……なら、少し、話をしていいかな?」
アゲハさんは真剣な顔で私を見ていたから頷いた。
真面目な話をするためにお酒を飲まずにいたんだなって、さすがの私にも分かったよ。
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