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形式だけの結婚
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ジョゼフ様が提案したのは本当に名前だけの政略結婚、しかも閨も共にしないというものだった。それでは結婚する意味がないのではないだろうか。結婚する最大の理由は後継者を作ることなのだから。
「ジョゼフ様、それでは子が出来ませんよ。それとも……私か姉の子を養子に?」
「うん、もしミレーヌ嬢に子が出来なければそうなるかもしれないね。だがこの家に必要なのは私の子ではなくミレーヌ嬢の産む子だろう?」
「それはそうですが……まさか?」
「そう、そのまさかだよ。子はミレーヌ嬢とそこの男で作ればいい。私の子として育てるけどね。必要なのはシャリエ家の血を受け継ぐ子どもだ。嫡男が使用人の子だった、なんて話は珍しくないからね」
確かにミレーヌとロイの子どもなら後継者としての資格はある。そりゃあ、出来ることなら相手は貴族がいいけれど……
「ロイとか言ったね?」
「は、はい」
「君の父親は貴族なんだろう?」
「な……! ど、どうしてそれを……」
「そ、そうなの、ロイ?」
ジョセフ様の指摘にロイが目を見張らせた。ミレーヌも知らなかったらしい。
「君はとある子爵の庶子だそうだね。母親は使用人をしていたけれど、正妻が妊娠中に手を出して生まれた子だと。子爵は認知したけれど家に引き取らなかった。兄が二人いればその必要はなかったんだろう」
「……そ、そのとおり、です……」
ロイにとっては知られたくなかったことらしく肩を落とした。ミレーヌは気遣わしげに彼の腕に手を添えて見上げていたが、さすがにこの場で問い詰めたりはしなかった。
「ミレーヌ嬢には後継の男子を産んでもらう。そうだね、二人ほど産んでくれたら領地でその男と暮らせるように手配しよう」
ミレーヌに用意された未来は、療養という名の幽閉か、もしくは死んだことにして別人として暮らすことだった。もちろん死ぬまで監視は付くし、後に生まれた子には継承権はなし。どっちにしても結婚式はしないし社交界に出ることもない。貴族の令嬢としては死んだも同然だけど、ミレーヌはそれを受け容れた。彼女自身、もう貴族としての生活にも社交界にも未練はないという。
こうしてジョセフ様とミレーヌの婚姻は早々に整えられることになった。勿論公表だけでお披露目や式などは一切なく、書類のみだ。以前なら絶対に受け入れなかっただろう。
ちなみに入籍と同時に父は爵位をジョセフ様に譲り、領地に引き籠ることになった。ミレーヌに否定された父は生きる気力すら失ったかのように萎れ、まるで幽鬼のように見えた。話し合いでも「はい」か「いえ」しか話さず、始終俯いていた。ミレーヌだけが父の生きる縁だったのだろう。
想像していたのとは違う形でミレーヌの処遇が決まったけれど、どうにもすっきりしなかった。父やミレーヌのことは正直どうでもいいけれど、ジョセフ様にとってはあまり利がなく、面倒事を押し付けてしまったようで気が重かったのだ。彼は軽い性格を装っているけれど、実際はしっかりしている好青年だ。彼ならもっといい婿入り先もあるだろうに……
「何だか納得しがたいみたいだね、ジゼル」
「レニエ様……」
ぼんやりと馬車から町並みを眺めていたら声をかけられた。そう言えばレニエ様はこうなるとご存じだったっけ。ジョセフ様とも付き合いがあって事情に詳しいのだろう。
「ジョセフ様に迫っていた女性とは、どなたでしたの?」
「ああ、ジュネスト前侯爵夫人だよ」
「ジュネスト前侯爵夫人って、あの?」
ジュネスト侯爵夫人は社交界でも有名な方だ。先のジュネスト侯爵の一人娘で、私たちの親世代よりも少し上で、四人の子らも私たちより年上だ。夫人は既に爵位を息子に譲っているが、その美貌と行動力で未だに社交界では大きな力を持っている。夫亡き後は若い男性を愛人にしているという。そんな夫人が目を付けたのはジョセフ様だった。
「それでシャリエ家に……」
「曰く付きの家でも爵位を得てしまえば夫人は手を出せないからね。それに……」
「まだ何か?」
「ここだけの話にして貰いたいのだけど、ジョセフ君には……子が出来ない可能性が高い」
「え?」
「あれだけ女性の間を渡り歩いているんだけどね。彼が後継者の地位を弟に譲ったのも、結婚話を断っていたのもそういう理由だ。子が出来ないと女性が責められるからね」
「子が……」
確かに子が出来ないと責められるのは女性だ。離縁されるか第二夫人を迎えることになり、女性にとっては地獄とも言える。
「まぁジュネスト夫人の場合、親よりも年上の女性は無理だったんだろう」
夫人は面食いで若い男がお好きだと有名だ。パトロンを欲する駆け出しの芸術家なら我慢もするだろうけど、既に文官としての地位を確かにしている彼には必要ないだろう。
「ジョセフ君も伯爵位があれば文官爵を取る必要はないし、彼なら文官職と領地経営を同時のこなすことも可能だろう。少なくともお父君よりはマシだと思うよ」
「私もそう思います」
父には悪いけど、父はジョセフ様の半分も仕事が出来ないような気がする。父の代になってから我が家の資産は目減りする一方だったし。ジョセフ様なら新しい事業を起こしたりも出来るだろうし、軌道に乗れば文官を辞めて注力しても十分に資産を増やせそうだ。それに……このことが本当ならジョセフ様の名誉も守られる。損得を考えると悪い話ではない。
「彼がシャリエ家を継いだら私も協力するつもりだよ。多分ドルレアク公爵家もね。籍は外れたと言ってもジゼルとエドモン君の生家だ。没落させるのは忍びないからね」
「あ、ありがとうございます」
そんな風に思って貰えるとは思わなかった。正直もう実家は爵位を返上してもいいとすら思っていたから。それでも続くならそうしてくれた方が嬉しい。ジョセフ様が育てた子ならきっとマシな子に育つだろう。そう願いたい。
「お父君は近々領地に向かうだろう」
「はい、二度と王都には出てこないと思います」
領地には母のお墓があるから、父は墓守をしながら余生を過ごしそうだ。既に抜け殻のようだけど何の想いも湧いてこなかった。とっくに自分の中では見切りが付いていたのだろう。
ミレーヌはシャリエ家の離れに住み、ロイと子作りに励むらしい。表向きロイはミレーヌの執事見習いとして身の回りの世話をさせ、一方でジョセフ様が選んだ家令たちが彼らの監視をするという。一見楽そうに見えるけれど、生まれた子供は取り上げられ、外出も制限されてストレスの溜まる生活になる。身分も育ちも価値観も違う二人、しかも我を抑えられないミレーヌがどこまで我慢出来るか……気持ちが冷めても逃げ出すことは出来ないだけに、幸先は決して明るくないように思えた。
「ジョゼフ様、それでは子が出来ませんよ。それとも……私か姉の子を養子に?」
「うん、もしミレーヌ嬢に子が出来なければそうなるかもしれないね。だがこの家に必要なのは私の子ではなくミレーヌ嬢の産む子だろう?」
「それはそうですが……まさか?」
「そう、そのまさかだよ。子はミレーヌ嬢とそこの男で作ればいい。私の子として育てるけどね。必要なのはシャリエ家の血を受け継ぐ子どもだ。嫡男が使用人の子だった、なんて話は珍しくないからね」
確かにミレーヌとロイの子どもなら後継者としての資格はある。そりゃあ、出来ることなら相手は貴族がいいけれど……
「ロイとか言ったね?」
「は、はい」
「君の父親は貴族なんだろう?」
「な……! ど、どうしてそれを……」
「そ、そうなの、ロイ?」
ジョセフ様の指摘にロイが目を見張らせた。ミレーヌも知らなかったらしい。
「君はとある子爵の庶子だそうだね。母親は使用人をしていたけれど、正妻が妊娠中に手を出して生まれた子だと。子爵は認知したけれど家に引き取らなかった。兄が二人いればその必要はなかったんだろう」
「……そ、そのとおり、です……」
ロイにとっては知られたくなかったことらしく肩を落とした。ミレーヌは気遣わしげに彼の腕に手を添えて見上げていたが、さすがにこの場で問い詰めたりはしなかった。
「ミレーヌ嬢には後継の男子を産んでもらう。そうだね、二人ほど産んでくれたら領地でその男と暮らせるように手配しよう」
ミレーヌに用意された未来は、療養という名の幽閉か、もしくは死んだことにして別人として暮らすことだった。もちろん死ぬまで監視は付くし、後に生まれた子には継承権はなし。どっちにしても結婚式はしないし社交界に出ることもない。貴族の令嬢としては死んだも同然だけど、ミレーヌはそれを受け容れた。彼女自身、もう貴族としての生活にも社交界にも未練はないという。
こうしてジョセフ様とミレーヌの婚姻は早々に整えられることになった。勿論公表だけでお披露目や式などは一切なく、書類のみだ。以前なら絶対に受け入れなかっただろう。
ちなみに入籍と同時に父は爵位をジョセフ様に譲り、領地に引き籠ることになった。ミレーヌに否定された父は生きる気力すら失ったかのように萎れ、まるで幽鬼のように見えた。話し合いでも「はい」か「いえ」しか話さず、始終俯いていた。ミレーヌだけが父の生きる縁だったのだろう。
想像していたのとは違う形でミレーヌの処遇が決まったけれど、どうにもすっきりしなかった。父やミレーヌのことは正直どうでもいいけれど、ジョセフ様にとってはあまり利がなく、面倒事を押し付けてしまったようで気が重かったのだ。彼は軽い性格を装っているけれど、実際はしっかりしている好青年だ。彼ならもっといい婿入り先もあるだろうに……
「何だか納得しがたいみたいだね、ジゼル」
「レニエ様……」
ぼんやりと馬車から町並みを眺めていたら声をかけられた。そう言えばレニエ様はこうなるとご存じだったっけ。ジョセフ様とも付き合いがあって事情に詳しいのだろう。
「ジョセフ様に迫っていた女性とは、どなたでしたの?」
「ああ、ジュネスト前侯爵夫人だよ」
「ジュネスト前侯爵夫人って、あの?」
ジュネスト侯爵夫人は社交界でも有名な方だ。先のジュネスト侯爵の一人娘で、私たちの親世代よりも少し上で、四人の子らも私たちより年上だ。夫人は既に爵位を息子に譲っているが、その美貌と行動力で未だに社交界では大きな力を持っている。夫亡き後は若い男性を愛人にしているという。そんな夫人が目を付けたのはジョセフ様だった。
「それでシャリエ家に……」
「曰く付きの家でも爵位を得てしまえば夫人は手を出せないからね。それに……」
「まだ何か?」
「ここだけの話にして貰いたいのだけど、ジョセフ君には……子が出来ない可能性が高い」
「え?」
「あれだけ女性の間を渡り歩いているんだけどね。彼が後継者の地位を弟に譲ったのも、結婚話を断っていたのもそういう理由だ。子が出来ないと女性が責められるからね」
「子が……」
確かに子が出来ないと責められるのは女性だ。離縁されるか第二夫人を迎えることになり、女性にとっては地獄とも言える。
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「ジョセフ君も伯爵位があれば文官爵を取る必要はないし、彼なら文官職と領地経営を同時のこなすことも可能だろう。少なくともお父君よりはマシだと思うよ」
「私もそう思います」
父には悪いけど、父はジョセフ様の半分も仕事が出来ないような気がする。父の代になってから我が家の資産は目減りする一方だったし。ジョセフ様なら新しい事業を起こしたりも出来るだろうし、軌道に乗れば文官を辞めて注力しても十分に資産を増やせそうだ。それに……このことが本当ならジョセフ様の名誉も守られる。損得を考えると悪い話ではない。
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「あ、ありがとうございます」
そんな風に思って貰えるとは思わなかった。正直もう実家は爵位を返上してもいいとすら思っていたから。それでも続くならそうしてくれた方が嬉しい。ジョセフ様が育てた子ならきっとマシな子に育つだろう。そう願いたい。
「お父君は近々領地に向かうだろう」
「はい、二度と王都には出てこないと思います」
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ミレーヌはシャリエ家の離れに住み、ロイと子作りに励むらしい。表向きロイはミレーヌの執事見習いとして身の回りの世話をさせ、一方でジョセフ様が選んだ家令たちが彼らの監視をするという。一見楽そうに見えるけれど、生まれた子供は取り上げられ、外出も制限されてストレスの溜まる生活になる。身分も育ちも価値観も違う二人、しかも我を抑えられないミレーヌがどこまで我慢出来るか……気持ちが冷めても逃げ出すことは出来ないだけに、幸先は決して明るくないように思えた。
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