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今後の身の振り方
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フィルマン様との婚約が白紙になった後、私は親友のオリアーヌの屋敷を訪ねていた。彼女はバルテルミー伯爵家の一人娘で、家格が近く気も合うから付き合いが長かった。家族ぐるみで関係は良好といえるだろう。父も彼女との付き合いには好意的だった。
「本当に、白紙になっちゃったのね……」
「ええ、何となく予感はしていたけれど……」
庭の四阿で私たちは同時にため息をついた。晴れて気持ちのいい天気だけど、心の中は暗いままだった。
フルール様を熱心に見ていたフィルマン様だったけれど、彼女がアラール殿下と婚約したらその熱も冷め、また戻って来るだろうと思っていた。フルール様と仲がいいとの噂を彼は否定していたし、アラール殿下と争うような性格でもない。ただ彼女に憧れていただけで、一時的な熱病のようなものだと。
でも実際はそんなものじゃなかった。彼の中では私とはとっくに終わっていたのだ。あの時、彼に「婚約は解消しない!」と言ってほしいと願った浅ましい気持ちが伝わっていたのだろうか。ふとそんなことを思い出して、頭を振った。
「ルイゾンに続いてフィルマン様もだなんて……」
「二人ともアラール殿下のご学友で仲がよかったもの。一番に影響を受けたのでしょうね」
「そうなんだけど……」
ルイゾンとはオリアーヌの婚約者だった令息だ。彼はフィルマン様よりも一月早く行動に出て、半月前に二人の婚約は白紙になっていた。
「あのお二人の影響は大したものね。これで婚約白紙、十組を越えたそうよ」
「そんなに?」
「ええ。さすがに陛下も頭を抱えていらっしゃるとか。だって発端はアラール殿下ですものね」
そう、今やあちこちで婚約に関するトラブルが起きていた。言うまでもなくアラール殿下たちのせいだ。そのアラール殿下は婚約解消の代償として、王籍からの離脱を願い出ているという。その潔い姿は地位や名誉よりも愛する女性を選んだと、お二人は真実の愛を貫いた運命の恋人たちと持て囃されている。
一方で王族として育ったアラール殿下が臣下としてやっていけるのか、その生活水準に耐えられるのか、大いに注目を集めている。第二王子はスペア的な意味で王籍に残るから、第三王子と違い臣下としての教育を受けていないのだ。
アラール殿下が王籍を抜けるため、臣籍降下予定だった第三王子のルイ殿下が王籍に留まり、ルイーズ様を妃に迎えるのは早々に決まった。ルイ殿下の卒業は来年だから、その間ルイーズ様は王子妃教育を続けながら待つそうだ。こちらもルイ殿下の一途な想いが真実の愛だと好評で、ルイーズ様もまんざらではなさそうだという。
「最近じゃ、厳しい処分が必要だと言われているようね。臣籍降下後は公爵が慣例だけど、それを見直す話もあるそうよ」
「それは……」
「それだけ影響が大きくなってしまったのでしょうね。元々アラール様は王子の中では残念王子と言われてきた方だし……」
「そこまで言っては不敬よ。ただ……もう少し慎重に行動してほしかったとは思うけど」
アラール殿下がフルール様に惹かれるのは仕方ないとしても、もう少し考えて下さっていたら状況は変わったように思う。当初からあのお二人の距離感にルイーズ様は苦言を呈していたと言うし。
「それにフルール様もね。いくら庶子で貴族籍に入って日が浅いとはいえ、複数の令息、しかも婚約者がいる相手と親しくするのはどうかと思ったわ。あんなにべたべた触られたら、令息が熱を上げるのも仕方がないと言う声もあるし」
「確かに……」
フルール様は庶民の生活の感覚のままで、婚約者以外と触れ合うのは厳禁な貴族社会では浮いていた。婚約者でも人前で手を繋いだりくっ付くほど近くに座ったりするのははしたないといわれる。手を握られて好意を持たれていると勘違いした令息も少なくなかったと言う。
「それにしても、オリアーヌはこれからどうするの? 婚約者、早く見つけないといけないのでしょう?」
彼女は一人娘だからいずれ婿を迎えなければいけない。爵位を継ぐのはオリアーヌだけど、ルイゾン様は彼女を支えるため一緒に後継者教育を受けていた。急に婚約を白紙にされたので、また一から婿を探さなければならないのだ。
「既に何人か申し込みはあるけれど、どれも今ひとつね……」
「そうね。婿は嫡男並みの知識を求められるけど、次男三男にそこまで教育を受けさせる親は少ないし」
「そういうこと。まぁ、伯爵家は私がしっかり治めればいいんだけど、子どものためにはそれなりに優秀な相手がいいからね」
オリアーヌなら当主として立派にやっていけるだろう。成績優秀で気も強く、しっかり者だ。ただ、妊娠中や出産前後は思うように動けないし、どうせなら優秀な婿が望ましい。いいなと思える相手はとっくに婿入り先が決まっているから、今から探すのは大変だろう。
「ジゼルはどうするの? おじ様のことだからカンカンでしょう?」
「そうなの。今はミレーヌの婚約が決まる瀬戸際だから余計にピリピリしているわ」
「ああ、侯爵家から申し込みがあったんだっけ?」
「ええ。だから必死よ」
「そうよねぇ。ミレーヌ様は確かに可愛いけど、侯爵夫人が務まるかと言われれば微妙だし」
「令息が熱心だけど、ご両親は難色を示しているみたい。だから私のことが瑕疵にならないかと気が気じゃないのよ」
「そんなの、ジゼルのせいじゃないのにね」
オリアーヌは私と父の折り合いが悪いのを知っているから心配してくれた。姉妹で差をつける父の気持ちがわからないとも。一人っ子の彼女には兄弟姉妹の格差は理解し難いものなのだろう。
「今から婚約者を見つけるのも大変だし、いっそ出仕しようかと思っているわ」
「出仕?」
「ええ。ルイーズ様が輿入れされるから、その文官に応募しようかと思って。王子妃に仕えるならお父様も許して下さると思うの」
むしろ婚約者を見つけるよりも喜ぶかもしれない。あの父は野心家だし、世間体を重視するから。それに私もまだ結婚したいとは思えない。フィルマン様への思いは、まだ完全に断ち切れていなかったから。
「本当に、白紙になっちゃったのね……」
「ええ、何となく予感はしていたけれど……」
庭の四阿で私たちは同時にため息をついた。晴れて気持ちのいい天気だけど、心の中は暗いままだった。
フルール様を熱心に見ていたフィルマン様だったけれど、彼女がアラール殿下と婚約したらその熱も冷め、また戻って来るだろうと思っていた。フルール様と仲がいいとの噂を彼は否定していたし、アラール殿下と争うような性格でもない。ただ彼女に憧れていただけで、一時的な熱病のようなものだと。
でも実際はそんなものじゃなかった。彼の中では私とはとっくに終わっていたのだ。あの時、彼に「婚約は解消しない!」と言ってほしいと願った浅ましい気持ちが伝わっていたのだろうか。ふとそんなことを思い出して、頭を振った。
「ルイゾンに続いてフィルマン様もだなんて……」
「二人ともアラール殿下のご学友で仲がよかったもの。一番に影響を受けたのでしょうね」
「そうなんだけど……」
ルイゾンとはオリアーヌの婚約者だった令息だ。彼はフィルマン様よりも一月早く行動に出て、半月前に二人の婚約は白紙になっていた。
「あのお二人の影響は大したものね。これで婚約白紙、十組を越えたそうよ」
「そんなに?」
「ええ。さすがに陛下も頭を抱えていらっしゃるとか。だって発端はアラール殿下ですものね」
そう、今やあちこちで婚約に関するトラブルが起きていた。言うまでもなくアラール殿下たちのせいだ。そのアラール殿下は婚約解消の代償として、王籍からの離脱を願い出ているという。その潔い姿は地位や名誉よりも愛する女性を選んだと、お二人は真実の愛を貫いた運命の恋人たちと持て囃されている。
一方で王族として育ったアラール殿下が臣下としてやっていけるのか、その生活水準に耐えられるのか、大いに注目を集めている。第二王子はスペア的な意味で王籍に残るから、第三王子と違い臣下としての教育を受けていないのだ。
アラール殿下が王籍を抜けるため、臣籍降下予定だった第三王子のルイ殿下が王籍に留まり、ルイーズ様を妃に迎えるのは早々に決まった。ルイ殿下の卒業は来年だから、その間ルイーズ様は王子妃教育を続けながら待つそうだ。こちらもルイ殿下の一途な想いが真実の愛だと好評で、ルイーズ様もまんざらではなさそうだという。
「最近じゃ、厳しい処分が必要だと言われているようね。臣籍降下後は公爵が慣例だけど、それを見直す話もあるそうよ」
「それは……」
「それだけ影響が大きくなってしまったのでしょうね。元々アラール様は王子の中では残念王子と言われてきた方だし……」
「そこまで言っては不敬よ。ただ……もう少し慎重に行動してほしかったとは思うけど」
アラール殿下がフルール様に惹かれるのは仕方ないとしても、もう少し考えて下さっていたら状況は変わったように思う。当初からあのお二人の距離感にルイーズ様は苦言を呈していたと言うし。
「それにフルール様もね。いくら庶子で貴族籍に入って日が浅いとはいえ、複数の令息、しかも婚約者がいる相手と親しくするのはどうかと思ったわ。あんなにべたべた触られたら、令息が熱を上げるのも仕方がないと言う声もあるし」
「確かに……」
フルール様は庶民の生活の感覚のままで、婚約者以外と触れ合うのは厳禁な貴族社会では浮いていた。婚約者でも人前で手を繋いだりくっ付くほど近くに座ったりするのははしたないといわれる。手を握られて好意を持たれていると勘違いした令息も少なくなかったと言う。
「それにしても、オリアーヌはこれからどうするの? 婚約者、早く見つけないといけないのでしょう?」
彼女は一人娘だからいずれ婿を迎えなければいけない。爵位を継ぐのはオリアーヌだけど、ルイゾン様は彼女を支えるため一緒に後継者教育を受けていた。急に婚約を白紙にされたので、また一から婿を探さなければならないのだ。
「既に何人か申し込みはあるけれど、どれも今ひとつね……」
「そうね。婿は嫡男並みの知識を求められるけど、次男三男にそこまで教育を受けさせる親は少ないし」
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「ジゼルはどうするの? おじ様のことだからカンカンでしょう?」
「そうなの。今はミレーヌの婚約が決まる瀬戸際だから余計にピリピリしているわ」
「ああ、侯爵家から申し込みがあったんだっけ?」
「ええ。だから必死よ」
「そうよねぇ。ミレーヌ様は確かに可愛いけど、侯爵夫人が務まるかと言われれば微妙だし」
「令息が熱心だけど、ご両親は難色を示しているみたい。だから私のことが瑕疵にならないかと気が気じゃないのよ」
「そんなの、ジゼルのせいじゃないのにね」
オリアーヌは私と父の折り合いが悪いのを知っているから心配してくれた。姉妹で差をつける父の気持ちがわからないとも。一人っ子の彼女には兄弟姉妹の格差は理解し難いものなのだろう。
「今から婚約者を見つけるのも大変だし、いっそ出仕しようかと思っているわ」
「出仕?」
「ええ。ルイーズ様が輿入れされるから、その文官に応募しようかと思って。王子妃に仕えるならお父様も許して下さると思うの」
むしろ婚約者を見つけるよりも喜ぶかもしれない。あの父は野心家だし、世間体を重視するから。それに私もまだ結婚したいとは思えない。フィルマン様への思いは、まだ完全に断ち切れていなかったから。
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