62 / 71
王子と王女の企み
しおりを挟む
「お兄様、どうして私の味方をして下さらなかったのですか?!」
夜会を辞し滞在用の離宮に戻った途端、オレリアが騒ぎ始めた。オレリアが言いたい事はわかっている。夜会でアシャルティが結界を解呪すると言ったのを止めようとしたオレリアを俺が諫めた事を怒っているのだろう。
だが、あの時はああするしかなかったのだ。フェローの結界を解呪されたりしたら、我が国に魔獣が侵入してきてしまう。そうなれば…俺たちだって被を被るのは必須だ
「落ち着けオレリア。仕方ないだろう?もし結界が解呪されたら、俺たちだって危険なんだぞ」
「危険だなんて…私達には護衛の騎士団がいますわ!」
「その騎士団でも、魔獣相手では勝てるかわからないんだぞ?もし強い魔獣が出たらどうする?もしそんなものに襲われたら、俺たちだって…」
「でも、その為の護衛騎士でしょう?彼らが私達を守るのは当然ではありませんか!」
「いくら護衛騎士でも、魔獣相手には無力だ」
「そんなの関係ないわ。彼らが私達を守るのは当然の事でしょう?もしそれで命を失っても、王族を守ったとして名誉な事ではありませんか」
傅かれるのが当然のオレリアには俺の話が通じなかった。王宮から出た事がないから、魔獣の恐ろしさも話でしか聞いた事がないのもあるだろう。王子は十六を迎えると必ず魔獣の恐ろしさを知るために討伐隊に参加する義務がある。だから俺は護衛騎士がどこまで当てに出来るかわからないと知っているが…
「全く、ジルベールお兄様もお兄様よ!セレン様との結婚はお父様のご意志でもあるのに!」
「だが、あの男はお前を望んでいないんだろう?」
「それは…あの小娘がセレン様を誘惑したから…」
「ルネが、ね。あの女にそんな度胸があるとは思えないが…」
「いいえ、あのような女は、弱弱しく見せて取り入るのが上手いのですわ。きっとセレン様にも同情させる様な事を言って…」
忌々しそうに、爪を噛みながらそういう妹は、どうやら本気であの男を手に入れたいらしい。能力が未知数で危険だが、それも味方にできればこれ以上ない戦力になるのは間違いない。それはこの一年、バズレールの様子を見ていれば明らかだ。あんなにも酷かった魔獣の被害が、この半年ほどで激減しているのだ。それもあの男の力故だろう。あの力が手に入れば、我が国がバズレールを支配する事も、それ以上を望むことも可能かもしれない…だが…
「ねぇ、お兄様ったら!」
自分の思考に入り込んでいた俺は、妹の声にはっと我に返った。
「もう、さっきから何度もお呼びしていますのに!」
「ああ、すまない。何だ?」
邪魔をされたのは気に入らないが、そうは言ってもオレリアは可愛い妹だ。怒りをぶつける気にはなれなかった。
「お兄様にお願いがあるの」
「俺に?」
「ええ。あの平民の女を貰って下さらない?」
「は?」
「あの平民、随分見栄えが良くなったじゃない?見た目だけならお兄様の好みでしょう?」
「まぁ、確かに」
「あの女はお兄様に捨てられたから、セレン様に乗り換えたのよ?だったらお兄様が声をかければすぐに戻って来る筈よ。そしてあの女がいなくなればセレン様も私に靡くはず。そうなればフェローも安泰だわ」
オレリアの言葉は、俺の不安を治めるには十分だった。そう、あの男がオレリアの婿になれば、結界は維持されて我が国は安泰だ。俺が即位する以上、結界の維持はどうしても維持したい。それが目に見えぬものであっても、万が一という事もある。それに、代々王家が結界を維持してきたのだから、それなりに意味がある筈なのだ。
(ルネを…か)
久しぶりに見たあの女は、随分と様変わりしていた。あんなに貧相で亡霊のような見た目だったのに、今では肌艶もよくなり、実に美しく官能的な身体付きになった。胸も俺好みの手から零れそうなほどあるし、腰は細く、尻は…ドレスで見えないが胸の豊かさを思えば期待出来そうだ。楚々とした清廉な雰囲気は酷く汚し甲斐があるように見える。あの男の手がついているのは残念だが、慣らしなしで楽しめると思えば悪くない。何も俺の正妃にするわけではないのだ。だったら純潔にこだわる必要もない。
「いいだろう、協力してやるよ、オレリア」
「お兄様、本当に?!」
「構わん、可愛い妹のためだからな」
「大好き、お兄様!」
大人になったとは言っても、まだまだ子供っぽくて可愛い妹の頼みだ。その上で俺も楽しめるのならちょうどいい。ジオネ公爵家のディアナと婚約したが、婚姻が成立するまでは手を出す事は出来ない。ジオネ公爵は娘を溺愛しているし、あの女も嫉妬深いから、他の令嬢や貴婦人と遊ぶのも憚られる。だがルネは平民だし、侍女だとでも言っておけば公爵もディアナも文句は言わないだろう。令嬢相手に出来ない事もあの女なら問題にならないし、あの男を取りこめられれば我が国も安泰だ。それに…
「うふふ、この王家の秘宝の腕輪があれば、セレン様も…」
オレリアが手にしているのは我が王家の秘宝で、古の邪悪な魔術師を封印するために使ったという隷属の腕輪だ。一年前にあの男に使った魔封じのおもちゃとは比べ物にならないほどの力が秘められているという。これをあの男に嵌めれば、死ぬまであの男は俺達には逆らう事は出来ない。そう、今回の訪問はこの腕輪をあの男に嵌めて連れ帰るのが目的なのだ。夜会ではオレリアが感情的になって失敗したが、まだチャンスはあるだろう。
「だがオレリア、既にあちらは俺たちを警戒してしまっている。そう簡単に事が運ぶか?」
「わかっているわ、お兄様。大丈夫よ、ちゃんと策は考えているの」
そういって、悪戯っぽい笑みを浮かべたオレリアは、その策を俺に話して聞かせた。少々強引というか、計画性に欠けるが、自国ではない分、完璧を求めるのは無理というものだ。あの腕輪は主となるべき人間の血を腕輪にある宝珠に一滴垂らし、従わせたい相手の上で嵌めるだけで済むという。そんなに簡単にと思わなくもないが、古文書にはそう記されているのだから大丈夫だろう。それに、失敗してもこちらには特に不利益はないはずだ。
夜会を辞し滞在用の離宮に戻った途端、オレリアが騒ぎ始めた。オレリアが言いたい事はわかっている。夜会でアシャルティが結界を解呪すると言ったのを止めようとしたオレリアを俺が諫めた事を怒っているのだろう。
だが、あの時はああするしかなかったのだ。フェローの結界を解呪されたりしたら、我が国に魔獣が侵入してきてしまう。そうなれば…俺たちだって被を被るのは必須だ
「落ち着けオレリア。仕方ないだろう?もし結界が解呪されたら、俺たちだって危険なんだぞ」
「危険だなんて…私達には護衛の騎士団がいますわ!」
「その騎士団でも、魔獣相手では勝てるかわからないんだぞ?もし強い魔獣が出たらどうする?もしそんなものに襲われたら、俺たちだって…」
「でも、その為の護衛騎士でしょう?彼らが私達を守るのは当然ではありませんか!」
「いくら護衛騎士でも、魔獣相手には無力だ」
「そんなの関係ないわ。彼らが私達を守るのは当然の事でしょう?もしそれで命を失っても、王族を守ったとして名誉な事ではありませんか」
傅かれるのが当然のオレリアには俺の話が通じなかった。王宮から出た事がないから、魔獣の恐ろしさも話でしか聞いた事がないのもあるだろう。王子は十六を迎えると必ず魔獣の恐ろしさを知るために討伐隊に参加する義務がある。だから俺は護衛騎士がどこまで当てに出来るかわからないと知っているが…
「全く、ジルベールお兄様もお兄様よ!セレン様との結婚はお父様のご意志でもあるのに!」
「だが、あの男はお前を望んでいないんだろう?」
「それは…あの小娘がセレン様を誘惑したから…」
「ルネが、ね。あの女にそんな度胸があるとは思えないが…」
「いいえ、あのような女は、弱弱しく見せて取り入るのが上手いのですわ。きっとセレン様にも同情させる様な事を言って…」
忌々しそうに、爪を噛みながらそういう妹は、どうやら本気であの男を手に入れたいらしい。能力が未知数で危険だが、それも味方にできればこれ以上ない戦力になるのは間違いない。それはこの一年、バズレールの様子を見ていれば明らかだ。あんなにも酷かった魔獣の被害が、この半年ほどで激減しているのだ。それもあの男の力故だろう。あの力が手に入れば、我が国がバズレールを支配する事も、それ以上を望むことも可能かもしれない…だが…
「ねぇ、お兄様ったら!」
自分の思考に入り込んでいた俺は、妹の声にはっと我に返った。
「もう、さっきから何度もお呼びしていますのに!」
「ああ、すまない。何だ?」
邪魔をされたのは気に入らないが、そうは言ってもオレリアは可愛い妹だ。怒りをぶつける気にはなれなかった。
「お兄様にお願いがあるの」
「俺に?」
「ええ。あの平民の女を貰って下さらない?」
「は?」
「あの平民、随分見栄えが良くなったじゃない?見た目だけならお兄様の好みでしょう?」
「まぁ、確かに」
「あの女はお兄様に捨てられたから、セレン様に乗り換えたのよ?だったらお兄様が声をかければすぐに戻って来る筈よ。そしてあの女がいなくなればセレン様も私に靡くはず。そうなればフェローも安泰だわ」
オレリアの言葉は、俺の不安を治めるには十分だった。そう、あの男がオレリアの婿になれば、結界は維持されて我が国は安泰だ。俺が即位する以上、結界の維持はどうしても維持したい。それが目に見えぬものであっても、万が一という事もある。それに、代々王家が結界を維持してきたのだから、それなりに意味がある筈なのだ。
(ルネを…か)
久しぶりに見たあの女は、随分と様変わりしていた。あんなに貧相で亡霊のような見た目だったのに、今では肌艶もよくなり、実に美しく官能的な身体付きになった。胸も俺好みの手から零れそうなほどあるし、腰は細く、尻は…ドレスで見えないが胸の豊かさを思えば期待出来そうだ。楚々とした清廉な雰囲気は酷く汚し甲斐があるように見える。あの男の手がついているのは残念だが、慣らしなしで楽しめると思えば悪くない。何も俺の正妃にするわけではないのだ。だったら純潔にこだわる必要もない。
「いいだろう、協力してやるよ、オレリア」
「お兄様、本当に?!」
「構わん、可愛い妹のためだからな」
「大好き、お兄様!」
大人になったとは言っても、まだまだ子供っぽくて可愛い妹の頼みだ。その上で俺も楽しめるのならちょうどいい。ジオネ公爵家のディアナと婚約したが、婚姻が成立するまでは手を出す事は出来ない。ジオネ公爵は娘を溺愛しているし、あの女も嫉妬深いから、他の令嬢や貴婦人と遊ぶのも憚られる。だがルネは平民だし、侍女だとでも言っておけば公爵もディアナも文句は言わないだろう。令嬢相手に出来ない事もあの女なら問題にならないし、あの男を取りこめられれば我が国も安泰だ。それに…
「うふふ、この王家の秘宝の腕輪があれば、セレン様も…」
オレリアが手にしているのは我が王家の秘宝で、古の邪悪な魔術師を封印するために使ったという隷属の腕輪だ。一年前にあの男に使った魔封じのおもちゃとは比べ物にならないほどの力が秘められているという。これをあの男に嵌めれば、死ぬまであの男は俺達には逆らう事は出来ない。そう、今回の訪問はこの腕輪をあの男に嵌めて連れ帰るのが目的なのだ。夜会ではオレリアが感情的になって失敗したが、まだチャンスはあるだろう。
「だがオレリア、既にあちらは俺たちを警戒してしまっている。そう簡単に事が運ぶか?」
「わかっているわ、お兄様。大丈夫よ、ちゃんと策は考えているの」
そういって、悪戯っぽい笑みを浮かべたオレリアは、その策を俺に話して聞かせた。少々強引というか、計画性に欠けるが、自国ではない分、完璧を求めるのは無理というものだ。あの腕輪は主となるべき人間の血を腕輪にある宝珠に一滴垂らし、従わせたい相手の上で嵌めるだけで済むという。そんなに簡単にと思わなくもないが、古文書にはそう記されているのだから大丈夫だろう。それに、失敗してもこちらには特に不利益はないはずだ。
46
お気に入りに追加
2,740
あなたにおすすめの小説

辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~
サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――

【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。
氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。
聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。
でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。
「婚約してほしい」
「いえ、責任を取らせるわけには」
守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。
元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。
小説家になろう様にも、投稿しています。

似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。
悪役令嬢、追放先の貧乏診療所をおばあちゃんの知恵で立て直したら大聖女にジョブチェン?! 〜『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件〜
華梨ふらわー
恋愛
第二王子との婚約を破棄されてしまった主人公・グレイス。しかし婚約破棄された瞬間、自分が乙女ゲーム『どきどきプリンセスッ!2』の世界に悪役令嬢として転生したことに気付く。婚約破棄に怒り狂った父親に絶縁され、貧乏診療所の医師との結婚させられることに。
日本では主婦のヒエラルキーにおいて上位に位置する『医者の嫁』。意外に悪くない追放先……と思いきや、貧乏すぎて患者より先に診療所が倒れそう。現代医学の知識でチートするのが王道だが、前世も現世でも医療知識は皆無。仕方ないので前世、大好きだったおばあちゃんが教えてくれた知恵で診療所を立て直す!次第に周囲から尊敬され、悪役令嬢から大聖女として崇められるように。
しかし婚約者の医者はなぜか結婚を頑なに拒む。診療所は立て直せそうですが、『医者の嫁』ハッピーセレブライフ計画は全く進捗しないんですが…。
続編『悪役令嬢、モフモフ温泉をおばあちゃんの知恵で立て直したら王妃にジョブチェン?! 〜やっぱり『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件~』を6月15日から連載スタートしました。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/500576978/161276574
完結しているのですが、【キースのメモ】を追記しております。
おばあちゃんの知恵やレシピをまとめたものになります。
合わせてお楽しみいただければと思います。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。

異世界から本物の聖女が来たからと、追い出された聖女は自由に生きたい! (完結)
深月カナメ
恋愛
十歳から十八歳まで聖女として、国の為に祈り続けた、白銀の髪、グリーンの瞳、伯爵令嬢ヒーラギだった。
そんなある日、異世界から聖女ーーアリカが降臨した。一応アリカも聖女だってらしく傷を治す力を持っていた。
この世界には珍しい黒髪、黒い瞳の彼女をみて、自分を嫌っていた王子、国王陛下、王妃、騎士など周りは本物の聖女が来たと喜ぶ。
聖女で、王子の婚約者だったヒーラギは婚約破棄されてしまう。
ヒーラギは新しい聖女が現れたのなら、自分の役目は終わった、これからは美味しいものをたくさん食べて、自由に生きると決めた。

聖女召喚に巻き込まれた挙句、ハズレの方と蔑まれていた私が隣国の過保護な王子に溺愛されている件
バナナマヨネーズ
恋愛
聖女召喚に巻き込まれた志乃は、召喚に巻き込まれたハズレの方と言われ、酷い扱いを受けることになる。
そんな中、隣国の第三王子であるジークリンデが志乃を保護することに。
志乃を保護したジークリンデは、地面が泥濘んでいると言っては、志乃を抱き上げ、用意した食事が熱ければ火傷をしないようにと息を吹きかけて冷ましてくれるほど過保護だった。
そんな過保護すぎるジークリンデの行動に志乃は戸惑うばかり。
「私は子供じゃないからそんなことしなくてもいいから!」
「いや、シノはこんなに小さいじゃないか。だから、俺は君を命を懸けて守るから」
「お…重い……」
「ん?ああ、ごめんな。その荷物は俺が持とう」
「これくらい大丈夫だし、重いってそういうことじゃ……。はぁ……」
過保護にされたくない志乃と過保護にしたいジークリンデ。
二人は共に過ごすうちに知ることになる。その人がお互いの運命の人なのだと。
全31話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる