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高まる熱
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ただイチャイチャしているだけで話は進みません。
苦手な方は読み飛ばしOKです。
- - - - - -
「マリアンヌ様は中々にいい趣味をお持ちだね」
そう言いながらセレン様が近づいてくるのを感じました。私はセレン様の姿が刺激的過ぎて、恥ずかしくて視線を上げる事が出来ません。しかし室内です、セレン様が私の元に来るなどほんの数秒で事足りてしまいました。
「さぁ、可愛い姿を見せておくれ」
そういってセレン様は私の目線に合わせてしゃがみこまれましたが…ち、近すぎです…!そうしている間にも、セレン様の髪から雫が一つ、私の夜着の上に零れました。
「ああ、すまない。そういえば…」
何かに気づいたらしいセレン様は、そう呟くと一歩下がりました。次の瞬間、セレン様を強い風が囲みました。風はあっという間にセレン様の周りを巡ると、次の呼吸の頃には何も残りませんでした。でも…
「セレン様…髪が…」
そうです、濡れていたはずのセレン様の髪が、今はさらさらに乾いています。えっと…もしかしてそれって…
「ああ、魔術を使って乾かしたんだよ」
「魔術で…?!」
それは思いがけない新発見でした。髪を魔術で一瞬で乾かせるなんて…私たちはいつも、タオルでふき取ってから自然に任せるしか出来ません。長ければ長いほど時間がかかるので、平民の女性は髪を短くしている人も多いのです。貴族は長くないと侮られるのもあって、みんな我慢しているのですが、冬などは寒くて大変なのです。そんな私も老婆のような髪をよく揶揄われていたので、短く切ってしまいたいとずっと思っていたのですが…
「あれ?こっちでは…無理…だった、ね」
「そう、ですね」
「向こうでは誰もがやっていたから…気にしたこともなかった…すまないね、気が付かなくて」
「い、いえ…」
謝って頂く事ではありませんが…向こうの世界では誰もって、それじゃ平民も魔術を使える、という事でしょうか…そんな私にセレン様は、元の世界では平民でも殆どの者が魔力を持っていて、火を起こしたり明りを灯したり、髪を乾かすのは当たり前だったのだと教えてくれました。
「なんて便利な…」
「ああ、気付かずに申し訳ない。今度からはルネの髪は私が乾かそう」
「いえ…そんな姿をお見せするのは…」
「どうして?夫婦になったのだから問題ないだろう?」
「…ぅ」
至近距離で甘い笑顔でそう言われてしまうと…否が応でも結婚した事を突きつけられた気がします。という事は…やっぱりこれから先の事は…
「さ、座りこんでいては風邪をひいてしまうよ。それに、せっかくの可愛い姿を見せて欲しいな」
「で、でも…」
どうやらまた話が戻ってしまいました。うう、こんな貧弱な身体を晒すだなんて…一生の恥、かもしれません…あまりの貧相さに幻滅されるのは確実ではないでしょうか…一日でお気持ちが離れてしまったら、立ち直れそうにないのですが…
「…ああ、なんて愛らしいんだ…」
もう絶望的な気持ちのまま、促されるままにベッドに腰かけた私でしたが…セレン様の口から出た言葉は、私の予想に反して肯定的なものでした。表情も…お世辞で言っている…わけではなさそう?です。ですが…
「ああ、心配しなくても、ルネの気持ちを無視したりはしないから安心して?」
「でも…それじゃ…」
そう言って頂けるのは嬉しいのですが、本当にいいのでしょうか…それに、レリアの言っていた事も物凄く気になります。同時に、こういう事は流れに任せるのが一番、待たせると後が大変よ、と茶目っ気たっぷりで告げられたマリアンヌ様の言葉が蘇りました。
「あ、あの…」
「じゃ、キスくらいはいいかい?」
「え?あ…はい…」
さすがに最後までは心の準備が出来ませんが…キスなら魔力交換で何度もしていますし…問題ない、ですよね。私の返事を聞いたセレン様は、そのまま私の上に覆いかぶさってきて、私はそのままシーツに背を預けました。
「ルネ、愛しているよ…」
掠れる声が耳に届くのと同時に、セレン様の唇が私のそれに重なると、舌がゆっくりと入り込んできました。それと同時にセレン様の魔力が伝わってきます。セレン様の魔力は温かくて心地よくて、身体の奥底まで温められる、そんな感じがするのです。今はベッドの上という事もあって、私の心臓は今までにないほどに跳ねていて、薄い夜着のせいもあってセレン様に伝わってしまいそうです。
(…ぁ…また…)
セレン様の優しい舌の動きと流れ込んでくる魔力に、身体の奥がキュっとなるのを感じました。時々キスをしているとなるのですが…何だかもどかしいような、何かが足りないような、そんな不思議な感じがするのです。それが何なのかわかりませんが…今日はいつもよりも長くキスをしているせいか、その感覚がどんどん強くなっていきます。
「セ、セレン様…」
強くなり過ぎたその感覚が怖くて、唇が離れた私は思わずセレン様の名を呼んでしまいました。身体の芯が熱くて…まるで聖力が不足している時のような物足りなさに襲われます。十分に魔力を貰ったはずなのに…いつもとは違う自分の身体に不安を感じて見上げると、困ったような表情のセレン様が視界に入りました。
「ルネ、これ以上は煽ってはダメだよ」
「あ、煽ってなんて…でも、身体が変で…」
身体の奥の不思議な感じが怖いと、そう告げるとセレン様が暫く考え込みながら私を見下ろしました。その表情は何かを迷っているようにも、耐えているようにも見えます。
「それを解消する方法はあるけど…」
「だったら…」
「それは…貴女を抱く事になるよ。それに、始めたら途中では止められない。それでもいいの?
揶揄うような声色は、これ以上はダメだと言われているのだと感じました。言われた言葉の意味は不思議な熱に囚われた私の頭にもゆっくりと降りてきました。それでも、このままこの熱を放っておく不安の方が勝りました。レリアとマリアンヌ様の顔が浮かんで、後で自分から言うくらいなら…との気持ちもあったでしょう。私は…小さく頷くと、強張っていた身体の力を抜きました。
苦手な方は読み飛ばしOKです。
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「マリアンヌ様は中々にいい趣味をお持ちだね」
そう言いながらセレン様が近づいてくるのを感じました。私はセレン様の姿が刺激的過ぎて、恥ずかしくて視線を上げる事が出来ません。しかし室内です、セレン様が私の元に来るなどほんの数秒で事足りてしまいました。
「さぁ、可愛い姿を見せておくれ」
そういってセレン様は私の目線に合わせてしゃがみこまれましたが…ち、近すぎです…!そうしている間にも、セレン様の髪から雫が一つ、私の夜着の上に零れました。
「ああ、すまない。そういえば…」
何かに気づいたらしいセレン様は、そう呟くと一歩下がりました。次の瞬間、セレン様を強い風が囲みました。風はあっという間にセレン様の周りを巡ると、次の呼吸の頃には何も残りませんでした。でも…
「セレン様…髪が…」
そうです、濡れていたはずのセレン様の髪が、今はさらさらに乾いています。えっと…もしかしてそれって…
「ああ、魔術を使って乾かしたんだよ」
「魔術で…?!」
それは思いがけない新発見でした。髪を魔術で一瞬で乾かせるなんて…私たちはいつも、タオルでふき取ってから自然に任せるしか出来ません。長ければ長いほど時間がかかるので、平民の女性は髪を短くしている人も多いのです。貴族は長くないと侮られるのもあって、みんな我慢しているのですが、冬などは寒くて大変なのです。そんな私も老婆のような髪をよく揶揄われていたので、短く切ってしまいたいとずっと思っていたのですが…
「あれ?こっちでは…無理…だった、ね」
「そう、ですね」
「向こうでは誰もがやっていたから…気にしたこともなかった…すまないね、気が付かなくて」
「い、いえ…」
謝って頂く事ではありませんが…向こうの世界では誰もって、それじゃ平民も魔術を使える、という事でしょうか…そんな私にセレン様は、元の世界では平民でも殆どの者が魔力を持っていて、火を起こしたり明りを灯したり、髪を乾かすのは当たり前だったのだと教えてくれました。
「なんて便利な…」
「ああ、気付かずに申し訳ない。今度からはルネの髪は私が乾かそう」
「いえ…そんな姿をお見せするのは…」
「どうして?夫婦になったのだから問題ないだろう?」
「…ぅ」
至近距離で甘い笑顔でそう言われてしまうと…否が応でも結婚した事を突きつけられた気がします。という事は…やっぱりこれから先の事は…
「さ、座りこんでいては風邪をひいてしまうよ。それに、せっかくの可愛い姿を見せて欲しいな」
「で、でも…」
どうやらまた話が戻ってしまいました。うう、こんな貧弱な身体を晒すだなんて…一生の恥、かもしれません…あまりの貧相さに幻滅されるのは確実ではないでしょうか…一日でお気持ちが離れてしまったら、立ち直れそうにないのですが…
「…ああ、なんて愛らしいんだ…」
もう絶望的な気持ちのまま、促されるままにベッドに腰かけた私でしたが…セレン様の口から出た言葉は、私の予想に反して肯定的なものでした。表情も…お世辞で言っている…わけではなさそう?です。ですが…
「ああ、心配しなくても、ルネの気持ちを無視したりはしないから安心して?」
「でも…それじゃ…」
そう言って頂けるのは嬉しいのですが、本当にいいのでしょうか…それに、レリアの言っていた事も物凄く気になります。同時に、こういう事は流れに任せるのが一番、待たせると後が大変よ、と茶目っ気たっぷりで告げられたマリアンヌ様の言葉が蘇りました。
「あ、あの…」
「じゃ、キスくらいはいいかい?」
「え?あ…はい…」
さすがに最後までは心の準備が出来ませんが…キスなら魔力交換で何度もしていますし…問題ない、ですよね。私の返事を聞いたセレン様は、そのまま私の上に覆いかぶさってきて、私はそのままシーツに背を預けました。
「ルネ、愛しているよ…」
掠れる声が耳に届くのと同時に、セレン様の唇が私のそれに重なると、舌がゆっくりと入り込んできました。それと同時にセレン様の魔力が伝わってきます。セレン様の魔力は温かくて心地よくて、身体の奥底まで温められる、そんな感じがするのです。今はベッドの上という事もあって、私の心臓は今までにないほどに跳ねていて、薄い夜着のせいもあってセレン様に伝わってしまいそうです。
(…ぁ…また…)
セレン様の優しい舌の動きと流れ込んでくる魔力に、身体の奥がキュっとなるのを感じました。時々キスをしているとなるのですが…何だかもどかしいような、何かが足りないような、そんな不思議な感じがするのです。それが何なのかわかりませんが…今日はいつもよりも長くキスをしているせいか、その感覚がどんどん強くなっていきます。
「セ、セレン様…」
強くなり過ぎたその感覚が怖くて、唇が離れた私は思わずセレン様の名を呼んでしまいました。身体の芯が熱くて…まるで聖力が不足している時のような物足りなさに襲われます。十分に魔力を貰ったはずなのに…いつもとは違う自分の身体に不安を感じて見上げると、困ったような表情のセレン様が視界に入りました。
「ルネ、これ以上は煽ってはダメだよ」
「あ、煽ってなんて…でも、身体が変で…」
身体の奥の不思議な感じが怖いと、そう告げるとセレン様が暫く考え込みながら私を見下ろしました。その表情は何かを迷っているようにも、耐えているようにも見えます。
「それを解消する方法はあるけど…」
「だったら…」
「それは…貴女を抱く事になるよ。それに、始めたら途中では止められない。それでもいいの?
揶揄うような声色は、これ以上はダメだと言われているのだと感じました。言われた言葉の意味は不思議な熱に囚われた私の頭にもゆっくりと降りてきました。それでも、このままこの熱を放っておく不安の方が勝りました。レリアとマリアンヌ様の顔が浮かんで、後で自分から言うくらいなら…との気持ちもあったでしょう。私は…小さく頷くと、強張っていた身体の力を抜きました。
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