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今夜は初夜というけれど…
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披露パーティーの後、私たちはいつもの家に戻ってきました。大公宮に泊まる事も出来ましたが、やっぱりいつもの家が一番ですし、私の姉同然のレリアが待っていてくれるのです。それにリアさんとルドさんもです。この五人は今や、私にとって家族のような存在なのです。
「さぁ、ルネ様、お仕度しますわよ」
マリアンヌ様から派遣された侍女さん達が帰った後、私を待っていたのはレリアでした。侍女さん達と意気投合したレリアは、これまで興味がなさそうだったお洒落に目覚めて、美人度が一層上がっています。でも気持ちはわかります。私もレリアもずっと神殿暮らしで、女の子らしいお洒落を楽しめなかったからです。聖女候補になってしまうと、神殿が決めた髪形しか許されなかったので、その反動が今、レリアには出ているのでしょう。
「ねぇ、レリア、ここって?」
私はいつもの私室ではなく、主寝室らしい大きな部屋に案内されました。私の部屋の倍はありそうで、部屋の奥には大きなベッドがドンと鎮座していて、私はこれからの事を意識せずにはいられませんでした。
(セレン様は急がないと、待ってくださると仰っていたのに…)
身ぐるみはがされ、湯あみをされた私が更に戸惑ったのは、レリアが用意してくれた淡いブルーグリーンの夜着でした。いつもの肌触り重視のものではなく、フリルやレースがあしらわれたとっても可愛らしいデザインではあるのですが…何と言いますか、生地が薄すぎるほど薄く丈は短く、露出多めです。これでは…着ている意味がないのではないでしょうか…
「まぁ、ルネ様ったら。これくらい当然ですわ」
「でも、いつも…」
「何を仰っているのです?今日は初夜ですわよ?」
「しょ、初夜って…!」
「この夜着はマリアンヌ様自らお選びになった物ですわ。先日、侍女さん達がお届けくださったのです」
「マ、マリアンヌ様が…?」
「ええ。もしそのデザインがお気に召さないなら…他にもありますわよ」
そういってレリアが他の夜着も見せてくれましたが…ど、どれも今着ているものよりずっと生地が薄くて、何というか…直視するのも恥ずかしいものばかりです。これをあのマリアンヌ様が選んだ?とてもそんな風には思えません…
「初夜ならこんなものだそうですわ」
「で、でも…セレン様はまだしないって…」
「何ですって?私の可愛いルネ様が不満だというのですか?」
「そ、そんな訳じゃないと思うわ。でも、急だったから…」
そうです。セレン様は婚姻が急だったのもあって、急がない、待って下さると仰っていました。私も急な展開についていけなかったので、これからゆっくり…と思っていたのです。
「急も何も、あの男は最初からずっとルネ様を狙っていたではありませんか」
「は?」
ため息交じりにレリアがそう言いましたが…さ、最初からって…何がでしょうか…狙っていたって…まさか…戸惑う私に、レリアは更にとんでもない事を言いました。
「でも…それでしたら、その気になったらルネ様からお誘いするのですね?」
「は?」
「いえ、ルネ様のお気持ち優先なのでしょう?だったらその日が来たら、ルネ様から言い出さないと、お二人の関係は永遠に進みませんよね?」
「な…」
レリアの言葉に私は言葉に詰まりました。自、自分から言い出すって…それって…
「待って貰うという事は、そういう事ですわよ」
(そういう事って…えええーー!!!)
言われた言葉の意味に思い至った私は、今日一番の混乱に陥りました。そんな事、思いもしなかったけれど…
(た、確かに言われてみれば、そう、かも…)
混乱する私に、ご健闘を祈りますわと一言告げると、レリアは出て行ってしまいました。今日はいつも一緒のリアさんやルドさんの姿もなく、私は一人部屋に残されてしまいました。こ、これって…
混乱が覚め切らない私でしたが、一人残されると心細さもあって少し冷静になりました。そうなるとさすがに夜着が恥ずかしなり、周りをも渡すも上に羽織るものは何も見当たりません。こうなると…ベッドでシーツを被るしかなさそうです。そう思ってベッドに近づき、シーツを手にした私でしたが…
「ガチャリ」
そのタイミングで、ドアが音を立てて開きました。別に悪い事をしているわけではありませんが…何だか見られてはいけないことをした気分になって振り返ると…そこにはバスローブを羽織ったセレン様がいらっしゃいました。わずかに開いた間からは鍛えられていそうな胸元がちらりと見え、金の髪もまだ濡れたままで、それが一層なまめかしくて…目の毒、です…
「きゃぁああ!」
暫く固まっていた私でしたが…セレン様が私をじっと見つめるのに気づいた途端、自分の姿を思い出して、私は思わず身を隠すように自身を抱きしめてベッドの脇に座り込みました。そうでした、今の私、破廉恥な夜着だったのです…うう、こんな姿を見られたくなくてベッドに潜り込もうと思ったのに…
「ああ、可愛いね。ルネの白い肌によく似合っているよ」
「あ、あの…これは…れ、レリアが…じゃなくて、マリアンヌ様が…」
「ああ、マリアンヌ様か…そういえば、ささやかだが私が喜びそうな物を贈ったと仰っていたが…」
「マ、マリアンヌ様が?」
「ああ、確かに…これは素敵な品を頂いたね」
(な、何て事を…!マリアンヌァ様!)
レリアもマリアンヌ様からだと言っていましたが…セレン様もご存じって…その時の状況を想像した私は、恥ずかしすぎてこれから先、マリアンヌ様の前にどんな顔をして出仕すればいいのかと頭を抱えました。ま、まさかジルベール様もご存じとか…ないです、よね?
「さぁ、ルネ様、お仕度しますわよ」
マリアンヌ様から派遣された侍女さん達が帰った後、私を待っていたのはレリアでした。侍女さん達と意気投合したレリアは、これまで興味がなさそうだったお洒落に目覚めて、美人度が一層上がっています。でも気持ちはわかります。私もレリアもずっと神殿暮らしで、女の子らしいお洒落を楽しめなかったからです。聖女候補になってしまうと、神殿が決めた髪形しか許されなかったので、その反動が今、レリアには出ているのでしょう。
「ねぇ、レリア、ここって?」
私はいつもの私室ではなく、主寝室らしい大きな部屋に案内されました。私の部屋の倍はありそうで、部屋の奥には大きなベッドがドンと鎮座していて、私はこれからの事を意識せずにはいられませんでした。
(セレン様は急がないと、待ってくださると仰っていたのに…)
身ぐるみはがされ、湯あみをされた私が更に戸惑ったのは、レリアが用意してくれた淡いブルーグリーンの夜着でした。いつもの肌触り重視のものではなく、フリルやレースがあしらわれたとっても可愛らしいデザインではあるのですが…何と言いますか、生地が薄すぎるほど薄く丈は短く、露出多めです。これでは…着ている意味がないのではないでしょうか…
「まぁ、ルネ様ったら。これくらい当然ですわ」
「でも、いつも…」
「何を仰っているのです?今日は初夜ですわよ?」
「しょ、初夜って…!」
「この夜着はマリアンヌ様自らお選びになった物ですわ。先日、侍女さん達がお届けくださったのです」
「マ、マリアンヌ様が…?」
「ええ。もしそのデザインがお気に召さないなら…他にもありますわよ」
そういってレリアが他の夜着も見せてくれましたが…ど、どれも今着ているものよりずっと生地が薄くて、何というか…直視するのも恥ずかしいものばかりです。これをあのマリアンヌ様が選んだ?とてもそんな風には思えません…
「初夜ならこんなものだそうですわ」
「で、でも…セレン様はまだしないって…」
「何ですって?私の可愛いルネ様が不満だというのですか?」
「そ、そんな訳じゃないと思うわ。でも、急だったから…」
そうです。セレン様は婚姻が急だったのもあって、急がない、待って下さると仰っていました。私も急な展開についていけなかったので、これからゆっくり…と思っていたのです。
「急も何も、あの男は最初からずっとルネ様を狙っていたではありませんか」
「は?」
ため息交じりにレリアがそう言いましたが…さ、最初からって…何がでしょうか…狙っていたって…まさか…戸惑う私に、レリアは更にとんでもない事を言いました。
「でも…それでしたら、その気になったらルネ様からお誘いするのですね?」
「は?」
「いえ、ルネ様のお気持ち優先なのでしょう?だったらその日が来たら、ルネ様から言い出さないと、お二人の関係は永遠に進みませんよね?」
「な…」
レリアの言葉に私は言葉に詰まりました。自、自分から言い出すって…それって…
「待って貰うという事は、そういう事ですわよ」
(そういう事って…えええーー!!!)
言われた言葉の意味に思い至った私は、今日一番の混乱に陥りました。そんな事、思いもしなかったけれど…
(た、確かに言われてみれば、そう、かも…)
混乱する私に、ご健闘を祈りますわと一言告げると、レリアは出て行ってしまいました。今日はいつも一緒のリアさんやルドさんの姿もなく、私は一人部屋に残されてしまいました。こ、これって…
混乱が覚め切らない私でしたが、一人残されると心細さもあって少し冷静になりました。そうなるとさすがに夜着が恥ずかしなり、周りをも渡すも上に羽織るものは何も見当たりません。こうなると…ベッドでシーツを被るしかなさそうです。そう思ってベッドに近づき、シーツを手にした私でしたが…
「ガチャリ」
そのタイミングで、ドアが音を立てて開きました。別に悪い事をしているわけではありませんが…何だか見られてはいけないことをした気分になって振り返ると…そこにはバスローブを羽織ったセレン様がいらっしゃいました。わずかに開いた間からは鍛えられていそうな胸元がちらりと見え、金の髪もまだ濡れたままで、それが一層なまめかしくて…目の毒、です…
「きゃぁああ!」
暫く固まっていた私でしたが…セレン様が私をじっと見つめるのに気づいた途端、自分の姿を思い出して、私は思わず身を隠すように自身を抱きしめてベッドの脇に座り込みました。そうでした、今の私、破廉恥な夜着だったのです…うう、こんな姿を見られたくなくてベッドに潜り込もうと思ったのに…
「ああ、可愛いね。ルネの白い肌によく似合っているよ」
「あ、あの…これは…れ、レリアが…じゃなくて、マリアンヌ様が…」
「ああ、マリアンヌ様か…そういえば、ささやかだが私が喜びそうな物を贈ったと仰っていたが…」
「マ、マリアンヌ様が?」
「ああ、確かに…これは素敵な品を頂いたね」
(な、何て事を…!マリアンヌァ様!)
レリアもマリアンヌ様からだと言っていましたが…セレン様もご存じって…その時の状況を想像した私は、恥ずかしすぎてこれから先、マリアンヌ様の前にどんな顔をして出仕すればいいのかと頭を抱えました。ま、まさかジルベール様もご存じとか…ないです、よね?
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