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王都の思惑
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「セレン様の魔術を…」
マリアンヌ様の指摘はセレン様との話でも出ていたものでしたが、それでもざらりとした嫌な感覚を思えずにはいられませんでした。セレン様を亡き者にしようとしたのに、今になってその力を望むなんて…不敬とわかっていても厚かましいと思ってしまいました。
「フェロー王国の結界をセレン殿が修復したでしょう?そのお陰で被害が抑えられているから、欲が出たのでしょうね」
「そう、ですか…」
確かにセレン様はフェロー王国を去る間際、手切れ金のような形で結界を構築し直し、これまでよりもずっと少ない力でも結界が維持出来るように作り変えたのです。この先聖力を持つ女性が減るのを見越し、複数人で維持出来るようにしたので、これからは安定して結界を維持出来る筈なのに、欲、ですか…
「魔獣討伐の成果が上がっているのもあるわね」
「でも、それはセレン様の力だけでは…」
「そう、バズレールの騎士団の力もあるけど…セレン殿の魔術でその成果は格段に上がったわ。今では魔獣を素材として売って利益が出るほどにね」
そうです、魔獣は強いので退治するのが大変ですが、ずっと魔獣と戦ってきたバズレールの騎士団は、フェロー王国のそれに比べて格段に優れていました。そこにセレン様の魔術が加わって、今では殆ど被害を出さずに魔獣を討伐出来るようになったのです。その魔獣は素材として高値で取引されているので、バズレールの貴重な収入源になりつつあるのです。
「セレン殿の価値を、ようやく理解し始めたのでしょうね」
「でも、セレン様は…」
「セレン殿がフェローに戻ることはないだろうれど…陛下達のお考えは違うのでしょう。見返りにオレリア様を娶らせて、それなりの爵位と地位を…と考えてもおかしくないわ」
「オレリア様を?」
思いがけないお考えに、私は思わず大きな声が出てしまいましたが…そういえばオレリア様はセレン様に強い興味をお持ちでした。離宮に突撃してくるほどに…
「オレリア様はまだ嫁ぎ先が見つからないそうよ。元より王族でないと自分には釣り合わないと仰っていた方ですものね。でも、今は打診を受けても相手の方がいい顔をなさらないそうよ。でも当然よね。あんなに臣下には嫁がないと仰っていたのですもの」
「でも、それならセレン様は…」
「セレン殿は元の世界では王族だったというし、あの麗しいお姿と比類ないお力をお持ちですもの。陛下がそれ相応の爵位と地位を与えれば及第点、という感じなのでしょう。誰からも相手にされないから必死なのかもしれないわ」
そうでした。セレン様は元の世界では王族で、類い稀な魔術の使い手だったとリアさんが言っていました。そしてセレン様には従魔のリアさんの力もあるのです。こうなればセレン様よりも強い人など、この世界にはいないかもしれません。
「それで、ルネはどうなの?セレン殿と結婚するの?」
にっこりと、いつも以上にいい笑顔でマリアンヌ様はそう問われました。
「どう、と言われましても…」
「まぁ、セレン殿がルネを手放す筈がないわよね」
「ええ?」
「だって、ルネったらこの一年で見違えるほど綺麗になったわ」
「そんな事は…」
「あるわよ。髪も肌も艶々だし、頬も体つきもふっくらして女性らしくなったわ。立ち居振る舞いも申し分ないし、セレン殿の隣に立っても遜色ないわよ」
「まさか…」
あんなに素敵なセレン様の隣に立って遜色なしって…それはいくら何でも褒め過ぎだと思います。そりゃあ、骨が目立っていた頬も人並みに丸みが出てきましたし、絶壁だった胸もそれなりに大きくなりましたが…
「それにセレン殿って、ルネの事になると人が変わるもの。今回の視察だって散々渋っていたのに、ルネのためだってジルベール様が言ったらコロッと態度を変えて」
「は?」
「ルネと結婚するにはそれなりの地位と身分がないと格好がつかない、視察を無事終えたら釣り合うものを用意するとジルベール様が仰ったのよ。そうしたら…」
まさかそんな話になっていたとは驚きでした。確かに視察に行く前、何度かルネに相応しくなりたいと仰っていました。その時はそんな必要などないのにどうして…と不思議に思っていましたが、そういう事だったのですね、納得しました。
「そんな…私こそ元は孤児で…」
「聖女は貴族も同じよ。元より王子妃になる予定だったのですもの」
「でも、それだって…」
「あれはセザール様が馬鹿だったのですわ。きっと今のルネを見たら悔しがるんじゃないかしら?王都でもルネほど清らかな女性はいないわよ」
「…」
あれだけ私をこき下ろしていたセザール殿下が悔しがるなど、天変地異が起きてもあり得ないでしょうに。いえ、そもそももう二度とお会いしたくありませんが。
「それとも、セレン殿に不満でも?」
「まさか…!それはありませんが…」
「そう?異世界の方ですし、不安にならない?」
「それは…少しは…でも私は…」
その点に関しては、考えても仕方のない事だと思いますが不安はあります。習慣などが違うと感じる事は少なくありません。それでも、こんなに大切に扱われた事はありませんし、セレン様の優しさもお気持ちも疑うところはありません。ただ、あんなに素敵な方なので、いつか飽きられるのでは…と思ってしまうのです。
「ルネは孤児だった事を気にしすぎるわ。確かにフェローでは身分制度が厳しかったけれど、ジルベール様はこの地では身分をうるさく言うおつもりはないの。だからもっと自信をもって欲しいわ」
そうは言われても…昔からの習慣はそう簡単には変えられません。神殿で最初に習ったのは、従順であれ、自己主張は聖女には相応しくないという事でした。子供のころから繰り返しそう言われてきたので、急に自信を持てと言われても困ってしまいます。
「彼らは来るわよ、セレン殿を手に入れるために。だからルネ、セレン殿を奪われたくないのなら、先に籍だけでも入れてしまいなさい」
「セレン様を…」
入籍はセレン様一人の暴走かと思っていましたが…それだけではなかったのですね。そういう事なら私にも否やはありません。今更セレン様の優しい手を失うなど、考えられないのですから…
そんな私の気持ちをマリアンヌ様に告げたところ…その日のうちに婚姻届にサインさせられて、ジルベール様が承認してしまわれました。あまりの早業に実感がないまま、私はルネ=アルトーからルネ=アシャルティになっていました。
マリアンヌ様の指摘はセレン様との話でも出ていたものでしたが、それでもざらりとした嫌な感覚を思えずにはいられませんでした。セレン様を亡き者にしようとしたのに、今になってその力を望むなんて…不敬とわかっていても厚かましいと思ってしまいました。
「フェロー王国の結界をセレン殿が修復したでしょう?そのお陰で被害が抑えられているから、欲が出たのでしょうね」
「そう、ですか…」
確かにセレン様はフェロー王国を去る間際、手切れ金のような形で結界を構築し直し、これまでよりもずっと少ない力でも結界が維持出来るように作り変えたのです。この先聖力を持つ女性が減るのを見越し、複数人で維持出来るようにしたので、これからは安定して結界を維持出来る筈なのに、欲、ですか…
「魔獣討伐の成果が上がっているのもあるわね」
「でも、それはセレン様の力だけでは…」
「そう、バズレールの騎士団の力もあるけど…セレン殿の魔術でその成果は格段に上がったわ。今では魔獣を素材として売って利益が出るほどにね」
そうです、魔獣は強いので退治するのが大変ですが、ずっと魔獣と戦ってきたバズレールの騎士団は、フェロー王国のそれに比べて格段に優れていました。そこにセレン様の魔術が加わって、今では殆ど被害を出さずに魔獣を討伐出来るようになったのです。その魔獣は素材として高値で取引されているので、バズレールの貴重な収入源になりつつあるのです。
「セレン殿の価値を、ようやく理解し始めたのでしょうね」
「でも、セレン様は…」
「セレン殿がフェローに戻ることはないだろうれど…陛下達のお考えは違うのでしょう。見返りにオレリア様を娶らせて、それなりの爵位と地位を…と考えてもおかしくないわ」
「オレリア様を?」
思いがけないお考えに、私は思わず大きな声が出てしまいましたが…そういえばオレリア様はセレン様に強い興味をお持ちでした。離宮に突撃してくるほどに…
「オレリア様はまだ嫁ぎ先が見つからないそうよ。元より王族でないと自分には釣り合わないと仰っていた方ですものね。でも、今は打診を受けても相手の方がいい顔をなさらないそうよ。でも当然よね。あんなに臣下には嫁がないと仰っていたのですもの」
「でも、それならセレン様は…」
「セレン殿は元の世界では王族だったというし、あの麗しいお姿と比類ないお力をお持ちですもの。陛下がそれ相応の爵位と地位を与えれば及第点、という感じなのでしょう。誰からも相手にされないから必死なのかもしれないわ」
そうでした。セレン様は元の世界では王族で、類い稀な魔術の使い手だったとリアさんが言っていました。そしてセレン様には従魔のリアさんの力もあるのです。こうなればセレン様よりも強い人など、この世界にはいないかもしれません。
「それで、ルネはどうなの?セレン殿と結婚するの?」
にっこりと、いつも以上にいい笑顔でマリアンヌ様はそう問われました。
「どう、と言われましても…」
「まぁ、セレン殿がルネを手放す筈がないわよね」
「ええ?」
「だって、ルネったらこの一年で見違えるほど綺麗になったわ」
「そんな事は…」
「あるわよ。髪も肌も艶々だし、頬も体つきもふっくらして女性らしくなったわ。立ち居振る舞いも申し分ないし、セレン殿の隣に立っても遜色ないわよ」
「まさか…」
あんなに素敵なセレン様の隣に立って遜色なしって…それはいくら何でも褒め過ぎだと思います。そりゃあ、骨が目立っていた頬も人並みに丸みが出てきましたし、絶壁だった胸もそれなりに大きくなりましたが…
「それにセレン殿って、ルネの事になると人が変わるもの。今回の視察だって散々渋っていたのに、ルネのためだってジルベール様が言ったらコロッと態度を変えて」
「は?」
「ルネと結婚するにはそれなりの地位と身分がないと格好がつかない、視察を無事終えたら釣り合うものを用意するとジルベール様が仰ったのよ。そうしたら…」
まさかそんな話になっていたとは驚きでした。確かに視察に行く前、何度かルネに相応しくなりたいと仰っていました。その時はそんな必要などないのにどうして…と不思議に思っていましたが、そういう事だったのですね、納得しました。
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「聖女は貴族も同じよ。元より王子妃になる予定だったのですもの」
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あれだけ私をこき下ろしていたセザール殿下が悔しがるなど、天変地異が起きてもあり得ないでしょうに。いえ、そもそももう二度とお会いしたくありませんが。
「それとも、セレン殿に不満でも?」
「まさか…!それはありませんが…」
「そう?異世界の方ですし、不安にならない?」
「それは…少しは…でも私は…」
その点に関しては、考えても仕方のない事だと思いますが不安はあります。習慣などが違うと感じる事は少なくありません。それでも、こんなに大切に扱われた事はありませんし、セレン様の優しさもお気持ちも疑うところはありません。ただ、あんなに素敵な方なので、いつか飽きられるのでは…と思ってしまうのです。
「ルネは孤児だった事を気にしすぎるわ。確かにフェローでは身分制度が厳しかったけれど、ジルベール様はこの地では身分をうるさく言うおつもりはないの。だからもっと自信をもって欲しいわ」
そうは言われても…昔からの習慣はそう簡単には変えられません。神殿で最初に習ったのは、従順であれ、自己主張は聖女には相応しくないという事でした。子供のころから繰り返しそう言われてきたので、急に自信を持てと言われても困ってしまいます。
「彼らは来るわよ、セレン殿を手に入れるために。だからルネ、セレン殿を奪われたくないのなら、先に籍だけでも入れてしまいなさい」
「セレン様を…」
入籍はセレン様一人の暴走かと思っていましたが…それだけではなかったのですね。そういう事なら私にも否やはありません。今更セレン様の優しい手を失うなど、考えられないのですから…
そんな私の気持ちをマリアンヌ様に告げたところ…その日のうちに婚姻届にサインさせられて、ジルベール様が承認してしまわれました。あまりの早業に実感がないまま、私はルネ=アルトーからルネ=アシャルティになっていました。
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