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寝過した…?!
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「ん…」
いつもの気怠い眠りから覚め、重い身体と頭を働かせようとした私でしたが…
(あれ?軽、い…?)
どうした事か、今日の目覚めはいつもと違って身体が軽く感じられました。聖女になってからずっと、目覚めても怠さや頭痛が残っていたのですが、今はそれらがありません。こんなにすっきりと目覚めたのは…何年ぶりでしょうか…
「ここ、は…って、寝過した?!!」
思えば外はいつも起きる時間よりもずっと明るくて、日が高くなっているように感じます。部屋の中にも日が差し込んでいるのを見て、私はさぁっと頭から血が下がるのを感じました。
(まずいわ!今日の結界の祈りが…!)
そうです。私は聖女で、結界を維持するために毎朝祈りを捧げ、結界に聖力を送らなければなりません。そうしなければ結界が弱まって、この国も民も魔獣に襲われてしまうのですから。結界を守る事こそが、私が存在する意味なのです。
「聖女様?」
私の足が床に付くのと同時に、レリアが私を呼びました。
(ええ?レリアったら、いたのなら起こしてくれらたよかったのに…)
そう思いながらレリアの方に視線を向けましたが、レリアはいつも通りの通常運転ですが…こういう時、寝過した事に一言あってもいいのではないでしょうか…
「ど、どうなっているの、レリア?どうして起こしてくれなかったの?」
「どうしても何も…聖力切れを起こして倒られたではありませんか」
「せ、聖力ぎ、れ…?」
その言葉を引き金に、私は意識をなくす前の事を一気に思い出しました。そうです、私は殿下に召喚の儀のために無理やり聖力を使われて…それから…
「倒れた…」
「ええ。殿下に無理やり力を使われたとかで…」
「そ、そうなんだけど…あ!あのっ!だ、男性は…?召喚の…っ!」
「落ち着いて下さい、ルネ様」
「でもレリア、殿下は…異世界から勝手に…!」
「ええ、存じております。ですから、落ち着いて下さいと申し上げているのです」
「…っ」
優しく諭すようにそう言いながら、レリアは私の両肩に手を置いて、宥めるようにベッドの端に座らせました。レリアはそう言いますが、殿下のせいで無理やりこの世界に連れて来られたあの男性が心配です。あの方は…私のせいで呼ばれてしまったのですから…
「ルネ様、落ち着いて。まずはお水をお飲みください」
「で…でも…」
水を飲んでいる場合じゃないと焦る私に、レリアは水の入ったグラスを手渡してきました。何となく拒否させないという圧を感じた私は、渋々ながらも水を飲んで…驚きました。
「美味しい…」
私の意に反して、身体は水を欲していたようです。一口飲んだら急に渇きを覚えて、私は一気にグラスの水を飲み干してしまいました。
「落ち着かれましたか?」
「え、ええ…ありがとう」
水の冷たさに、少し冷静になれたようです。コップを受け取ってサイドテーブルに置いたレリアは、あれからの事を教えてくれました。
私が連れていかれから一刻も経たないうちに、私はあの男性に抱きかかえられて部屋に戻ってきたそうです。男性には恐れ多くも王太子殿下が付き添われていたのだとか。そのままベッドにおろされた私をレリアが着替えさせてくれて、それから今までの間、私は眠っていたそうです。
「ちなみに…今はいつ?あれからどれくらい経ったの?」
「今は翌日のお昼前ですよ」
「翌日?!」
「ええ」
レリアがそういうのですから、間違いはないのでしょうが…聖力切れを起こしたのに翌日に目が覚めるなんて…そんな事が…
「でも、私…聖力切れになったのに…」
「その事ですが…あの男性が応急処置をなさったとか」
「応急処置?」
「ええ。詳しい事は存じませんが…ご自身の魔力をルネ様にお渡ししたとお聞きしています」
「ご自身の…?」
そう言われても、全く理解出来ませんでした、聖力は他人に受け渡しで来るものではない筈です。神殿でもそう教わりましたし…もしそんな事が可能ならばこの国の結界を維持するもはもっと容易い筈です。それに…私の力は聖力で、魔力ではありませんし…
「それで…あ、あの男性は?ご無事なのかしら?」
そうです。殿下はあの男性を捕らえろと命じていましたが、ご無事なのでしょうか?殿下は無駄にプライドだけは高いので、あの時の男性の発言を許せるとも思えないのですが…
「あの男性でしたら、今は王太子殿下が保護なさっているようです。詳しくは私も存じませんが…」
「そう…で、殿下は?」
「セザール殿下ですか?その件に関しては、私は何も…」
私自身、王宮では平民上がりと下に見られているので、大切な事は何も教えて貰えないのが常です。そういう意味では…侍女であるレリアも何も知らない可能性の方が…高いのでしょうね。
「そう…」
「ルネ様が目覚められた事をお知らせしてきますね」
「知らせるって…誰に?」
「王太子殿下ですわ。そのように指示を頂いておりますから」
どういう事でしょうか…王太子殿下とはこれまで殆ど接触がありませんでした。
そりゃあ聖女ですから、聖女が関係する儀式ではお会いした事はありますが…一体どのようなご指示をなさったのでしょう。こんな事があったばかりだからでしょうか、私は嫌な予感しか感じられませんでした。
いつもの気怠い眠りから覚め、重い身体と頭を働かせようとした私でしたが…
(あれ?軽、い…?)
どうした事か、今日の目覚めはいつもと違って身体が軽く感じられました。聖女になってからずっと、目覚めても怠さや頭痛が残っていたのですが、今はそれらがありません。こんなにすっきりと目覚めたのは…何年ぶりでしょうか…
「ここ、は…って、寝過した?!!」
思えば外はいつも起きる時間よりもずっと明るくて、日が高くなっているように感じます。部屋の中にも日が差し込んでいるのを見て、私はさぁっと頭から血が下がるのを感じました。
(まずいわ!今日の結界の祈りが…!)
そうです。私は聖女で、結界を維持するために毎朝祈りを捧げ、結界に聖力を送らなければなりません。そうしなければ結界が弱まって、この国も民も魔獣に襲われてしまうのですから。結界を守る事こそが、私が存在する意味なのです。
「聖女様?」
私の足が床に付くのと同時に、レリアが私を呼びました。
(ええ?レリアったら、いたのなら起こしてくれらたよかったのに…)
そう思いながらレリアの方に視線を向けましたが、レリアはいつも通りの通常運転ですが…こういう時、寝過した事に一言あってもいいのではないでしょうか…
「ど、どうなっているの、レリア?どうして起こしてくれなかったの?」
「どうしても何も…聖力切れを起こして倒られたではありませんか」
「せ、聖力ぎ、れ…?」
その言葉を引き金に、私は意識をなくす前の事を一気に思い出しました。そうです、私は殿下に召喚の儀のために無理やり聖力を使われて…それから…
「倒れた…」
「ええ。殿下に無理やり力を使われたとかで…」
「そ、そうなんだけど…あ!あのっ!だ、男性は…?召喚の…っ!」
「落ち着いて下さい、ルネ様」
「でもレリア、殿下は…異世界から勝手に…!」
「ええ、存じております。ですから、落ち着いて下さいと申し上げているのです」
「…っ」
優しく諭すようにそう言いながら、レリアは私の両肩に手を置いて、宥めるようにベッドの端に座らせました。レリアはそう言いますが、殿下のせいで無理やりこの世界に連れて来られたあの男性が心配です。あの方は…私のせいで呼ばれてしまったのですから…
「ルネ様、落ち着いて。まずはお水をお飲みください」
「で…でも…」
水を飲んでいる場合じゃないと焦る私に、レリアは水の入ったグラスを手渡してきました。何となく拒否させないという圧を感じた私は、渋々ながらも水を飲んで…驚きました。
「美味しい…」
私の意に反して、身体は水を欲していたようです。一口飲んだら急に渇きを覚えて、私は一気にグラスの水を飲み干してしまいました。
「落ち着かれましたか?」
「え、ええ…ありがとう」
水の冷たさに、少し冷静になれたようです。コップを受け取ってサイドテーブルに置いたレリアは、あれからの事を教えてくれました。
私が連れていかれから一刻も経たないうちに、私はあの男性に抱きかかえられて部屋に戻ってきたそうです。男性には恐れ多くも王太子殿下が付き添われていたのだとか。そのままベッドにおろされた私をレリアが着替えさせてくれて、それから今までの間、私は眠っていたそうです。
「ちなみに…今はいつ?あれからどれくらい経ったの?」
「今は翌日のお昼前ですよ」
「翌日?!」
「ええ」
レリアがそういうのですから、間違いはないのでしょうが…聖力切れを起こしたのに翌日に目が覚めるなんて…そんな事が…
「でも、私…聖力切れになったのに…」
「その事ですが…あの男性が応急処置をなさったとか」
「応急処置?」
「ええ。詳しい事は存じませんが…ご自身の魔力をルネ様にお渡ししたとお聞きしています」
「ご自身の…?」
そう言われても、全く理解出来ませんでした、聖力は他人に受け渡しで来るものではない筈です。神殿でもそう教わりましたし…もしそんな事が可能ならばこの国の結界を維持するもはもっと容易い筈です。それに…私の力は聖力で、魔力ではありませんし…
「それで…あ、あの男性は?ご無事なのかしら?」
そうです。殿下はあの男性を捕らえろと命じていましたが、ご無事なのでしょうか?殿下は無駄にプライドだけは高いので、あの時の男性の発言を許せるとも思えないのですが…
「あの男性でしたら、今は王太子殿下が保護なさっているようです。詳しくは私も存じませんが…」
「そう…で、殿下は?」
「セザール殿下ですか?その件に関しては、私は何も…」
私自身、王宮では平民上がりと下に見られているので、大切な事は何も教えて貰えないのが常です。そういう意味では…侍女であるレリアも何も知らない可能性の方が…高いのでしょうね。
「そう…」
「ルネ様が目覚められた事をお知らせしてきますね」
「知らせるって…誰に?」
「王太子殿下ですわ。そのように指示を頂いておりますから」
どういう事でしょうか…王太子殿下とはこれまで殆ど接触がありませんでした。
そりゃあ聖女ですから、聖女が関係する儀式ではお会いした事はありますが…一体どのようなご指示をなさったのでしょう。こんな事があったばかりだからでしょうか、私は嫌な予感しか感じられませんでした。
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