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目覚めると……
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私が目を覚ました時、最初に視界に入ったのは見慣れた天井でした。落ち着いた色合いの壁紙に滑らかで手触りのいいシーツ、日差しがたっぷり入る大きな窓からはいつも通り青い空と窓の側に植えられている木が見えました。
(あれ……?)
何でしょう、凄く深く眠っていたようで、頭がぼんやりしています。日差しが淡いオレンジ色をしているので、もしかしてもう夕暮れに近いのではないでしょうか……
「えええっ!?」
「目が覚めたか、エルーシアよ」
飛び起きようとした私を止めたのは、聞いたことのある声でした。
「エガード?」
声の主は……もふもふの毛並みが可愛いエガードでした。ベッドの端っこにちょこんと伏せてこちらを見ている様はぬいぐるみのように愛らしいです。でも……何か、違和感が……?
その後、私に気付いたマーゴがウィル様やデリカを呼んで、室内は騒然としました。その様子に私の方が何事かとビックリです。
「エル―シア!!」
いつもは冷静なウィル様がノックもなしに飛び込んできました。そんなに慌ててどうしたというのでしょうか……いえ、仮とはいえ夫婦だからノックは不要かもしれませんが……私を見ると大きく肩で息をして、よかったと呟くのが聞こえました。そんなに心配をおかけしていたのですね。それも驚きです。一体何が……
「ああ、本当に目が覚めてよかった!!」
一息ついたウィル様は、そのまま私の手を両手でがしっと掴んできました。
(ウ、ウィル様……きょ、距離が近いですっ……!)
至近距離でのウィル様のお顔は麗し過ぎて危険です。
「ウウウウィル様ッ? えっと、あの……」
「覚えていないか? エルーシアは聖域で急に倒れたんだ。あれから十日も眠っていて……」
ウィル様の様子に面食らった私でしたが、そんな私にウィル様がこれまでのことをざっくりと教えてくれて、今度は私がびっくりです。ここにきてようやくこうなる前のことを思い出しました。ですが……
(……夢、みたいだわ……)
聖域で経験した全てがあまりにも日常とかけ離れていて、私には夢だと言われた方が腑に落ちるようなものでした。
そんな私にウィル様が、あの後のことを教えてくれました。あの後、私は意識を失って倒れてしまったそうです。その為ウィル様が私を抱えて屋敷まで戻ったのですが、あの日から既に十日も経っているのだとか。そんなに長く意識がなかったことに驚きましたが、事態はそれ以上に信じられないことになっていました。
「……じゃ、あのローレという神獣が、私の中、に……?」
「そうなんだ……」
ベッドの脇のイスに腰かけたウィル様は、不本意んだといわんばかりに眉を顰めてそう言いました。何とも信じがたいことですが、今、私の中にはローレという神獣がいるのだそうです。ウィル様の中にエガードがいたあの状態と同じことが、今私に起きているのだといわれましたが……
(う、嘘でしょう……?)
ウィル様とエガードを分離するために行ったのに、自分が同化して帰って来ただなんて……
「……」
「エル―シア、身体はどうだ? 以前と感じるところはないか?」
「以前と違う、ですか?」
そう言われても……そう思いながら身体の中を感じると、何だか以前よりも魔力を感じます。精霊の儀式で魔力が増えた感じはありましたが、今はあの時よりもずっと顕著です。
「魔力が……増えた気がします」
「そうか」
「うむ。やはりローレが居るようだな」
どうやら感じる違和感はローレによるもののようです。
「でも、どうしてこんなことに……」
「それじゃが……」
言い難そうにエガードが彼の仮定を教えてくれました。あの時、ローレの呪いは解けましたが、十年もの間呪いにあらがっていたのでしょう。ローレはすっかり力を失っていたそうです。それは命を保つのが難しいほどで、消滅を感じたローレが無意識に私の中に逃げ込んだのだろうというものでした。
「そんなことが出来るのですか?」
「うむ、わしもウィルバートの中に逃げ込んだからな。ローレも同じことをやっても不思議ではない」
「でも、私はウィル様ほどの魔力はありませんが……」
「左様。じゃが、エル―シアは精霊を視ることが出来るじゃろ? それは我らと親和性があるということじゃ。それに儀式で精霊の助力を得ているからな。命を繋ぐためなら十分な量だったのじゃろう」
ローレ本人ではないので本当のところはわからないが、とエガードは言いましたが……
「それじゃ、いずれは分離出来るのでしょうか?」
「多分、としか今はいえぬ。なんせローレの意識は完全に閉じていて、わしの呼びかけにも応えないんじゃ」
相当衰弱して、今は眠ることで命を繋ぎ止めているのだろうとのことでした。確かに私ではない何かを感じますが、そう言われなければ気付かなかったほどに些細なものです。
「とにかく、ローレが目を覚ますまではどうしようもない。エル―シアに害はないじゃろ」
「本当だろうな?」
「お主もローレのことは知っているじゃろ? あれが宿主を害すると思うか?」
「それはそうかもしれないが……だが……」
「心配性じゃのう、お主は。まぁ、相手がエル―シアだからか」
「エガード!」
いきなりウィル様が大きな声を出してビックリしました。
「あ、ああ、すまない。病人の前で大声を出すなど……」
「いえ、大丈夫です」
「何じゃ、素直ではないのぅ。まぁいい、案ずるな。もしローレがエル―シアを害しようとした時には、わしが全力で止める」
「……本当だろうな? もしエル―シアに何かしたら……」
「当然じゃ。エル―シアはわしの恩人でもあるのだからな。だから安心せい」
「……わかった」
どうもウィル様は納得されていないようでしたが、マーゴがやって来て「奥方様はまだ目を覚ましたばかりなのですから難しい話は後で!」と二人を諫めたので、また改めて話をすることになりました。
確かにまだ起きたばかりでふらつきますし、疲れてもきました。マーゴが水やスープを飲ませてくれて、その後で身体を拭いてもらいましたが、それだけでぐったりです。少しお休みくださいとの声に、私はまた意識を手放したのでした。
(あれ……?)
何でしょう、凄く深く眠っていたようで、頭がぼんやりしています。日差しが淡いオレンジ色をしているので、もしかしてもう夕暮れに近いのではないでしょうか……
「えええっ!?」
「目が覚めたか、エルーシアよ」
飛び起きようとした私を止めたのは、聞いたことのある声でした。
「エガード?」
声の主は……もふもふの毛並みが可愛いエガードでした。ベッドの端っこにちょこんと伏せてこちらを見ている様はぬいぐるみのように愛らしいです。でも……何か、違和感が……?
その後、私に気付いたマーゴがウィル様やデリカを呼んで、室内は騒然としました。その様子に私の方が何事かとビックリです。
「エル―シア!!」
いつもは冷静なウィル様がノックもなしに飛び込んできました。そんなに慌ててどうしたというのでしょうか……いえ、仮とはいえ夫婦だからノックは不要かもしれませんが……私を見ると大きく肩で息をして、よかったと呟くのが聞こえました。そんなに心配をおかけしていたのですね。それも驚きです。一体何が……
「ああ、本当に目が覚めてよかった!!」
一息ついたウィル様は、そのまま私の手を両手でがしっと掴んできました。
(ウ、ウィル様……きょ、距離が近いですっ……!)
至近距離でのウィル様のお顔は麗し過ぎて危険です。
「ウウウウィル様ッ? えっと、あの……」
「覚えていないか? エルーシアは聖域で急に倒れたんだ。あれから十日も眠っていて……」
ウィル様の様子に面食らった私でしたが、そんな私にウィル様がこれまでのことをざっくりと教えてくれて、今度は私がびっくりです。ここにきてようやくこうなる前のことを思い出しました。ですが……
(……夢、みたいだわ……)
聖域で経験した全てがあまりにも日常とかけ離れていて、私には夢だと言われた方が腑に落ちるようなものでした。
そんな私にウィル様が、あの後のことを教えてくれました。あの後、私は意識を失って倒れてしまったそうです。その為ウィル様が私を抱えて屋敷まで戻ったのですが、あの日から既に十日も経っているのだとか。そんなに長く意識がなかったことに驚きましたが、事態はそれ以上に信じられないことになっていました。
「……じゃ、あのローレという神獣が、私の中、に……?」
「そうなんだ……」
ベッドの脇のイスに腰かけたウィル様は、不本意んだといわんばかりに眉を顰めてそう言いました。何とも信じがたいことですが、今、私の中にはローレという神獣がいるのだそうです。ウィル様の中にエガードがいたあの状態と同じことが、今私に起きているのだといわれましたが……
(う、嘘でしょう……?)
ウィル様とエガードを分離するために行ったのに、自分が同化して帰って来ただなんて……
「……」
「エル―シア、身体はどうだ? 以前と感じるところはないか?」
「以前と違う、ですか?」
そう言われても……そう思いながら身体の中を感じると、何だか以前よりも魔力を感じます。精霊の儀式で魔力が増えた感じはありましたが、今はあの時よりもずっと顕著です。
「魔力が……増えた気がします」
「そうか」
「うむ。やはりローレが居るようだな」
どうやら感じる違和感はローレによるもののようです。
「でも、どうしてこんなことに……」
「それじゃが……」
言い難そうにエガードが彼の仮定を教えてくれました。あの時、ローレの呪いは解けましたが、十年もの間呪いにあらがっていたのでしょう。ローレはすっかり力を失っていたそうです。それは命を保つのが難しいほどで、消滅を感じたローレが無意識に私の中に逃げ込んだのだろうというものでした。
「そんなことが出来るのですか?」
「うむ、わしもウィルバートの中に逃げ込んだからな。ローレも同じことをやっても不思議ではない」
「でも、私はウィル様ほどの魔力はありませんが……」
「左様。じゃが、エル―シアは精霊を視ることが出来るじゃろ? それは我らと親和性があるということじゃ。それに儀式で精霊の助力を得ているからな。命を繋ぐためなら十分な量だったのじゃろう」
ローレ本人ではないので本当のところはわからないが、とエガードは言いましたが……
「それじゃ、いずれは分離出来るのでしょうか?」
「多分、としか今はいえぬ。なんせローレの意識は完全に閉じていて、わしの呼びかけにも応えないんじゃ」
相当衰弱して、今は眠ることで命を繋ぎ止めているのだろうとのことでした。確かに私ではない何かを感じますが、そう言われなければ気付かなかったほどに些細なものです。
「とにかく、ローレが目を覚ますまではどうしようもない。エル―シアに害はないじゃろ」
「本当だろうな?」
「お主もローレのことは知っているじゃろ? あれが宿主を害すると思うか?」
「それはそうかもしれないが……だが……」
「心配性じゃのう、お主は。まぁ、相手がエル―シアだからか」
「エガード!」
いきなりウィル様が大きな声を出してビックリしました。
「あ、ああ、すまない。病人の前で大声を出すなど……」
「いえ、大丈夫です」
「何じゃ、素直ではないのぅ。まぁいい、案ずるな。もしローレがエル―シアを害しようとした時には、わしが全力で止める」
「……本当だろうな? もしエル―シアに何かしたら……」
「当然じゃ。エル―シアはわしの恩人でもあるのだからな。だから安心せい」
「……わかった」
どうもウィル様は納得されていないようでしたが、マーゴがやって来て「奥方様はまだ目を覚ましたばかりなのですから難しい話は後で!」と二人を諫めたので、また改めて話をすることになりました。
確かにまだ起きたばかりでふらつきますし、疲れてもきました。マーゴが水やスープを飲ませてくれて、その後で身体を拭いてもらいましたが、それだけでぐったりです。少しお休みくださいとの声に、私はまた意識を手放したのでした。
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