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始めの一歩?
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その後は書庫には行かず、自分の部屋に戻ることにしました。
(……こ、怖かったぁ……)
部屋に着いた途端足の力が抜けそうになりました。何とか足を叱咤してソファに倒れ込みます。未だに手の震えも止まりませんし、心臓もまだドキドキしています。今まで感じたことのない、表現しようのない不安が押し寄せてきました。
(や、やっぱり、私には無理かも……)
勇気を出したのはいいけれど、それを継続するのは中々に難しそうです。お姉様、どうしたらあんな風に強気でいられるのでしょうか。あちこちの令嬢と揉めていると聞いていますが、報復されないかと怖く感じることはないのでしょうか……いえ、怖いと思ったらあんな言動は出来ませんわね……
「奥方様、かっこよかったですわ」
「え?」
お茶を出しながらマーゴにそう言われて、私は面食らってしまいました。えっと、かっこよかったでしょうか? 手なんか滅茶苦茶震えていましたし、声も掠れているか上擦っていて全然そんな情況じゃなかったのですが……
「あのイデリーナを言い負かしたなんて凄いですよ。あの人、ああ言えばこう言うからあちこちで煙たがられていましたし」
「そ、そうなの?」
「ええ。旦那様に憧れているのはわかるのですけど、度が過ぎて近づいてくる人へ威嚇が酷くて。昔からの知り合いで愛称呼びを許されているから、言われた方も親しいんだろうって強くは言い返せなくて……」
「そ、そうだったの」
私以外の人にも、あんな感じで同じように噛みついていたとは驚きです。
「でも、奥方様にはどう頑張っても敵いませんわ。国王陛下がお認めになった正式な妻なのですもの」
「そ、そうかしら?」
「ええ、本当にすっきりしましたわ。あれだけ言えばもう何も言って来ないでしょう」
「そうだといいのだけど……」
急に不安になってきましたわ。お姉様だと一時的に戦意喪失しても、暫くするとプライドを傷つけられたと怒りを再燃させてしつこく絡んで来るでしょうから。イデリーナはお姉様と似ている気がするので、後でこのことを恨みに思って報復してきたりしないでしょうか……公爵夫人でいる間はいいとしても、その後侍女になったら想いっきり復習されそうで怖いのですが……
「この話が広がれば奥方様への嫌がらせもなくなるでしょう。嫌がらせすればそれは国王陛下への反逆ですものね」
「……」
あの時は咄嗟にそんな風にしか言えなかっただけです。事前に色々と台詞を考えていたけれど、イデリーナに会ったらすっかり消えてしまったのですよね。さすがに反逆は大袈裟過ぎたでしょうか。十分に効果はあったようですが。
その後は疲れてしまったので部屋でのんびり過ごしていました。またイデリーナに会うかもしれないと思うと部屋の外に出るのも億劫だったのです。小心者なのですから仕方ないじゃないですか。急に変われと言われても無理です。
(でも、こういうところを直していかなきゃいけないのよね)
オスカーが言いたかったのは、自分の立場を自覚してそれに相応しくあれということなのでしょう。私には高すぎる目標ですが、それが普通なのですよね。私の思っていた普通が普通じゃなかっただけで。精神的にかなり負荷が大きいですが、ウィル様のためにも負けられません。
午後のお茶の時間が迫って来たので、ドキドキしながら部屋を出ました。あんなことがあったせいか、オスカーとイデリーナに会うのが気まずくてつい身構えてしまいます。
「イデリーナと一悶着あったそうだな?」
ウィル様が開口一番にそう仰って、私はお茶を噴きそうになりました。ウィル様、タイミングが悪すぎです……!
「も、申し訳ございません。出過ぎたことを……」
「いや、あれはあなたの言うことが正しい。私も迂闊だった。私によく仕えてくれたから、あなたにあのような態度を取っていたとは気が付かなかった。すまない」
「奥方様、私からもお詫びとお礼を申し上げます。あのような言動を許しておりましたら、公爵家が王家に睨まれていたかもしれませんから」
「あ、あの、お二人とも、頭を上げて下さい!」
ウィル様だけでなくライナーまでそう言って頭を下下られてしまい、居た堪れないです。お二人のせいではありませんし、大袈裟過ぎやしないでしょうか。いえ、私が王家の名を出してしまったのですが……
「伯父上だと思って縁談への不満を言ってしまったが、あれは失敗だった。皆の前では口にすべきではなかったな」
「左様でございますね。下の者があれほど増長するとは思いませんでした。今一度しっかり言い聞かせましょう」
「ああ、頼む」
本当に不敬罪になりかねない状況だったようです。私もここでの言動には気を付けませんと。
「それから、エル―シアに礼を言いたかったんだ」
「お礼、ですか?」
「ああ。先ほど解呪して貰った後、爪が元に戻ったんだ」
「爪が?」
爪というと、あの黒々として獣のように長く伸びたウィル様の爪ですよね。それでいて血が出てくるから切るに切れないと言っていた。そのせいでペンやフォークが持てず、大変苦労していらっしゃるのだと伺っていましたが……
「本当ですか!?」
「ああ、ほら、このように」
そう言ってウィル様は袖口から指先だけを見せてくれました。そこには……まだ黒ずんではいますが、人間の形の爪をした手が現れました。ちらりと見えた手も以前のような黒ずんだ物から、日焼けしたような色合いに薄まり、赤や緑のシミのようなものも火傷の跡のような引き攣れも見られません。解呪を始めてから半月が経っていましたが、ちゃんと効果は出ていたのですね。
「ほ、本当に……ウィル様、よかったです!」
「ああ、ありがとう。お陰でやっと書類仕事も人並みの食事も出来るようになった」
「奥方様、私からも御礼申し上げます。旦那様の手が使えるようになったのは五年ぶりですから……」
小さなことの積み重ねでしたが、私の力もお役に立てたのですね。こんな風に自分がしたことが誰かのお役に立てたことが嬉し過ぎて、涙腺がまた勝手に仕事をしてしまい、笑いながら泣くという器用なことをしてしまったのでした。
(……こ、怖かったぁ……)
部屋に着いた途端足の力が抜けそうになりました。何とか足を叱咤してソファに倒れ込みます。未だに手の震えも止まりませんし、心臓もまだドキドキしています。今まで感じたことのない、表現しようのない不安が押し寄せてきました。
(や、やっぱり、私には無理かも……)
勇気を出したのはいいけれど、それを継続するのは中々に難しそうです。お姉様、どうしたらあんな風に強気でいられるのでしょうか。あちこちの令嬢と揉めていると聞いていますが、報復されないかと怖く感じることはないのでしょうか……いえ、怖いと思ったらあんな言動は出来ませんわね……
「奥方様、かっこよかったですわ」
「え?」
お茶を出しながらマーゴにそう言われて、私は面食らってしまいました。えっと、かっこよかったでしょうか? 手なんか滅茶苦茶震えていましたし、声も掠れているか上擦っていて全然そんな情況じゃなかったのですが……
「あのイデリーナを言い負かしたなんて凄いですよ。あの人、ああ言えばこう言うからあちこちで煙たがられていましたし」
「そ、そうなの?」
「ええ。旦那様に憧れているのはわかるのですけど、度が過ぎて近づいてくる人へ威嚇が酷くて。昔からの知り合いで愛称呼びを許されているから、言われた方も親しいんだろうって強くは言い返せなくて……」
「そ、そうだったの」
私以外の人にも、あんな感じで同じように噛みついていたとは驚きです。
「でも、奥方様にはどう頑張っても敵いませんわ。国王陛下がお認めになった正式な妻なのですもの」
「そ、そうかしら?」
「ええ、本当にすっきりしましたわ。あれだけ言えばもう何も言って来ないでしょう」
「そうだといいのだけど……」
急に不安になってきましたわ。お姉様だと一時的に戦意喪失しても、暫くするとプライドを傷つけられたと怒りを再燃させてしつこく絡んで来るでしょうから。イデリーナはお姉様と似ている気がするので、後でこのことを恨みに思って報復してきたりしないでしょうか……公爵夫人でいる間はいいとしても、その後侍女になったら想いっきり復習されそうで怖いのですが……
「この話が広がれば奥方様への嫌がらせもなくなるでしょう。嫌がらせすればそれは国王陛下への反逆ですものね」
「……」
あの時は咄嗟にそんな風にしか言えなかっただけです。事前に色々と台詞を考えていたけれど、イデリーナに会ったらすっかり消えてしまったのですよね。さすがに反逆は大袈裟過ぎたでしょうか。十分に効果はあったようですが。
その後は疲れてしまったので部屋でのんびり過ごしていました。またイデリーナに会うかもしれないと思うと部屋の外に出るのも億劫だったのです。小心者なのですから仕方ないじゃないですか。急に変われと言われても無理です。
(でも、こういうところを直していかなきゃいけないのよね)
オスカーが言いたかったのは、自分の立場を自覚してそれに相応しくあれということなのでしょう。私には高すぎる目標ですが、それが普通なのですよね。私の思っていた普通が普通じゃなかっただけで。精神的にかなり負荷が大きいですが、ウィル様のためにも負けられません。
午後のお茶の時間が迫って来たので、ドキドキしながら部屋を出ました。あんなことがあったせいか、オスカーとイデリーナに会うのが気まずくてつい身構えてしまいます。
「イデリーナと一悶着あったそうだな?」
ウィル様が開口一番にそう仰って、私はお茶を噴きそうになりました。ウィル様、タイミングが悪すぎです……!
「も、申し訳ございません。出過ぎたことを……」
「いや、あれはあなたの言うことが正しい。私も迂闊だった。私によく仕えてくれたから、あなたにあのような態度を取っていたとは気が付かなかった。すまない」
「奥方様、私からもお詫びとお礼を申し上げます。あのような言動を許しておりましたら、公爵家が王家に睨まれていたかもしれませんから」
「あ、あの、お二人とも、頭を上げて下さい!」
ウィル様だけでなくライナーまでそう言って頭を下下られてしまい、居た堪れないです。お二人のせいではありませんし、大袈裟過ぎやしないでしょうか。いえ、私が王家の名を出してしまったのですが……
「伯父上だと思って縁談への不満を言ってしまったが、あれは失敗だった。皆の前では口にすべきではなかったな」
「左様でございますね。下の者があれほど増長するとは思いませんでした。今一度しっかり言い聞かせましょう」
「ああ、頼む」
本当に不敬罪になりかねない状況だったようです。私もここでの言動には気を付けませんと。
「それから、エル―シアに礼を言いたかったんだ」
「お礼、ですか?」
「ああ。先ほど解呪して貰った後、爪が元に戻ったんだ」
「爪が?」
爪というと、あの黒々として獣のように長く伸びたウィル様の爪ですよね。それでいて血が出てくるから切るに切れないと言っていた。そのせいでペンやフォークが持てず、大変苦労していらっしゃるのだと伺っていましたが……
「本当ですか!?」
「ああ、ほら、このように」
そう言ってウィル様は袖口から指先だけを見せてくれました。そこには……まだ黒ずんではいますが、人間の形の爪をした手が現れました。ちらりと見えた手も以前のような黒ずんだ物から、日焼けしたような色合いに薄まり、赤や緑のシミのようなものも火傷の跡のような引き攣れも見られません。解呪を始めてから半月が経っていましたが、ちゃんと効果は出ていたのですね。
「ほ、本当に……ウィル様、よかったです!」
「ああ、ありがとう。お陰でやっと書類仕事も人並みの食事も出来るようになった」
「奥方様、私からも御礼申し上げます。旦那様の手が使えるようになったのは五年ぶりですから……」
小さなことの積み重ねでしたが、私の力もお役に立てたのですね。こんな風に自分がしたことが誰かのお役に立てたことが嬉し過ぎて、涙腺がまた勝手に仕事をしてしまい、笑いながら泣くという器用なことをしてしまったのでした。
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