15 / 33
青虹玉と呪い
しおりを挟む
「青虹玉…?」
殿下から出てきた言葉に、私は驚きを隠せませんでした。
青虹玉は聖女の力がある者で、一定の力があれば作る事は可能ですが…
あれは一生に一度、たった一つだけ作る事が出来る希少な物です。
それに…
「そうだ!青虹玉だ!あれがあれば、呪いを一生退ける事が出来るんだろう?」
ああ、この事はご存じだったのですね、殿下も。
確かに青虹玉は、呪いを退ける力があります。
誰かを想って聖女が力を籠めて出来上がるのが、青虹玉です。
その出来上がった青虹玉を相手の身体に取り込ませ、取り込んだ人への呪いを青虹玉を作った者に変換し、一生呪いから守る。
これが青虹玉の真の使い方です。
つまり、青虹玉を作って相手に渡すという事は、相手の呪いを引き受けるという事。
これは、力がある限り二人分の呪いと戦わなければいけない事を意味します。
そう、呪いの数や量によっては、命の危険にもかかわるのです。
だからこそ、私が殿下の婚約者に選ばれたのです。
でも、私の青虹玉はもうオーギュ様にお渡ししています。
私とオーギュ様は結婚するのですし、私が自主的に作ってお渡ししたので問題ありませんが…
そんな大事なものを、殿下に差し上げる義理なんぞ、微塵もございません。
ええ、婚約者でもなんでもない赤の他人に、青虹玉を渡せと言うなんて意味が分かりません!
「大変申し訳ございませんが…それでしたらリアーヌ様がお作りになった青虹玉をお使いになってください」
「リアーヌからはもう青虹玉を貰った」
「ええ?」
それは意外でした。あまり力があるように見えなかったリアーナ様が青虹玉をお作りになったなんて…
あれは聖女の力の結晶なので、かなりの力と時間をかけなければ出来ない代物です。
それをもう、私が作るより先にお作りになったとは…
リアーナ様って、思った以上にお力があるようです。
「それならリアーナ様の青虹玉をお身体に取り込んでは?結婚されるのでしたら問題ありませんよね?呪いをリアーナ様に引き受けて頂ければよろしいのではありませんか」
「は?」
「ええっ?」
え?どうして二人とも、そこで驚かれるのかしら?
青虹玉の使い方、ご理解していなかったのかしら?
ああ、それともまだ正式に婚約していないから出来ないとか?
でも…別に純潔は関係ないし、問題ないと思うのだけれど…
「呪いを引き受けるって…」
リアーナ様が目に見えて戸惑われていますが…どうなさったのでしょう?
私と殿下の婚約は、最初から呪いを引き受けるためのものです。
それが解消され、新たな婚約者がリアーナ様になった今、リアーナ様が呪いを引き受けるのはある意味当然なのですが…
「殿下と私の婚約は、最初から呪いを引き受けるためのものでした。それが解消され、リアーナ様が新しい婚約者になられたのでしたら、そのお役目はそのままリアーナ様のものとなります」
「そ、そんな…」
「青虹玉は聖女の力。二人から受け取れば、殿下の御身に何が起こるかわかりません。最悪お命の危険に晒される可能性もあります。さすがにそれは陛下のご命令を破る事になるのでお受けできません」
「…」
リアーヌ様が青ざめて黙り込んでしまわれましたが…大丈夫でしょうか?
そして、さすがに殿下も、力の二重掛けには慎重のようです。それもそうですね、下手をすると今以上に状況が悪化しますし、最悪命の危険もあるのですから。
「分かった。では、青虹玉をどう使えば呪いを防げるんだ?」
「それは…ただ、青虹玉を飲み込まれるだけですが…」
あれ?そんな簡単な事もリアーナ様はご存じではないのだろうか…何だか嫌な予感がしてきたわ…でも、青虹玉を造られたというし、単に忘れてしまったのかしら?
何だか雲に包まれたような変な感じがしますが、リアーナ様は殿下の婚約者で聖女の力をお持ちなのです。滅多な事はないでしょう。
そのまま私は、殿下の元を辞したのでした。
殿下から出てきた言葉に、私は驚きを隠せませんでした。
青虹玉は聖女の力がある者で、一定の力があれば作る事は可能ですが…
あれは一生に一度、たった一つだけ作る事が出来る希少な物です。
それに…
「そうだ!青虹玉だ!あれがあれば、呪いを一生退ける事が出来るんだろう?」
ああ、この事はご存じだったのですね、殿下も。
確かに青虹玉は、呪いを退ける力があります。
誰かを想って聖女が力を籠めて出来上がるのが、青虹玉です。
その出来上がった青虹玉を相手の身体に取り込ませ、取り込んだ人への呪いを青虹玉を作った者に変換し、一生呪いから守る。
これが青虹玉の真の使い方です。
つまり、青虹玉を作って相手に渡すという事は、相手の呪いを引き受けるという事。
これは、力がある限り二人分の呪いと戦わなければいけない事を意味します。
そう、呪いの数や量によっては、命の危険にもかかわるのです。
だからこそ、私が殿下の婚約者に選ばれたのです。
でも、私の青虹玉はもうオーギュ様にお渡ししています。
私とオーギュ様は結婚するのですし、私が自主的に作ってお渡ししたので問題ありませんが…
そんな大事なものを、殿下に差し上げる義理なんぞ、微塵もございません。
ええ、婚約者でもなんでもない赤の他人に、青虹玉を渡せと言うなんて意味が分かりません!
「大変申し訳ございませんが…それでしたらリアーヌ様がお作りになった青虹玉をお使いになってください」
「リアーヌからはもう青虹玉を貰った」
「ええ?」
それは意外でした。あまり力があるように見えなかったリアーナ様が青虹玉をお作りになったなんて…
あれは聖女の力の結晶なので、かなりの力と時間をかけなければ出来ない代物です。
それをもう、私が作るより先にお作りになったとは…
リアーナ様って、思った以上にお力があるようです。
「それならリアーナ様の青虹玉をお身体に取り込んでは?結婚されるのでしたら問題ありませんよね?呪いをリアーナ様に引き受けて頂ければよろしいのではありませんか」
「は?」
「ええっ?」
え?どうして二人とも、そこで驚かれるのかしら?
青虹玉の使い方、ご理解していなかったのかしら?
ああ、それともまだ正式に婚約していないから出来ないとか?
でも…別に純潔は関係ないし、問題ないと思うのだけれど…
「呪いを引き受けるって…」
リアーナ様が目に見えて戸惑われていますが…どうなさったのでしょう?
私と殿下の婚約は、最初から呪いを引き受けるためのものです。
それが解消され、新たな婚約者がリアーナ様になった今、リアーナ様が呪いを引き受けるのはある意味当然なのですが…
「殿下と私の婚約は、最初から呪いを引き受けるためのものでした。それが解消され、リアーナ様が新しい婚約者になられたのでしたら、そのお役目はそのままリアーナ様のものとなります」
「そ、そんな…」
「青虹玉は聖女の力。二人から受け取れば、殿下の御身に何が起こるかわかりません。最悪お命の危険に晒される可能性もあります。さすがにそれは陛下のご命令を破る事になるのでお受けできません」
「…」
リアーヌ様が青ざめて黙り込んでしまわれましたが…大丈夫でしょうか?
そして、さすがに殿下も、力の二重掛けには慎重のようです。それもそうですね、下手をすると今以上に状況が悪化しますし、最悪命の危険もあるのですから。
「分かった。では、青虹玉をどう使えば呪いを防げるんだ?」
「それは…ただ、青虹玉を飲み込まれるだけですが…」
あれ?そんな簡単な事もリアーナ様はご存じではないのだろうか…何だか嫌な予感がしてきたわ…でも、青虹玉を造られたというし、単に忘れてしまったのかしら?
何だか雲に包まれたような変な感じがしますが、リアーナ様は殿下の婚約者で聖女の力をお持ちなのです。滅多な事はないでしょう。
そのまま私は、殿下の元を辞したのでした。
151
お気に入りに追加
5,007
あなたにおすすめの小説
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。

「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】
小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。
これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。
失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。
無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日のこと。
ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。
『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。
そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる