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ドラゴンについて教えて貰う
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ネイトさんの魔道具作りがいつ終わるのかわからなかったため、俺はドラゴンについて彼らに教えて貰うことにした。自分のことだけど、ドラゴンのことはよく知らないのだ。帝国では話に聞くだけで実物を見たことはなかったから。
「え? ドラゴンハンター? 彼が?」
「ええ。ルゼは正式なドラゴンハンターなんです」
ルゼの顔を思わずまじまじと見てしまった。魔獣ハンターとは最初に聞いたがそんな凄い肩書まで持っていたとは知らなかった。
「そんな職業があったのか……」
「ええ。結構有名な話ですけど……」
思わず漏れた言葉にフィンが訝しそうにそう言った。どうやらこっちでは常識らしい。
「そ、そうか。俺、山奥育ちで外に出たことなかったから。そういうの殆ど知らなくて」
「そうだったんですか。ごめんなさい」
「謝らなくていいって。兄を探すために出てきたけど、それが無かったら一生山ん中で人生終わってただろうし」
ということにしておく。でも実際、異界のことはよく知らないのだ。嘘、にはならないよな? 多分……
「それで、ドラゴンハンターがいるって事は、そんなにドラゴンって多いのか?」
「そう、ですね。ドラゴンも色々で、高い知性を持つものもいますが、その辺の魔獣と変わらないものもいるんです」
なんか、随分差があるんだな。こうなると全く別物じゃないか?この身体はどっちだろう。
「高い知性ってのは? もしかして人語がわかるとか?」
「ええ。ドラゴンにも色々種類があって、人並みかそれ以上に賢く、魔術を操るものもいるそうです」
「そうなのか?」
「ああ」
フィンの言葉を受けてルゼに問うと、一言だけ返事が返ってきた。もうちょっと愛想よくしてもいいんじゃないだろうか。フィンもよくこんな奴と一緒にいるなぁ。
「それで、フィンが追いかけているブルードラゴンってのは?」
「それは……」
嫌な事を思い出したのだろうか。フィンの表情が曇った。
「あ~ 悪い。言いたくないなら無理しなくていいから」
「あ、いえ。そういう訳じゃないので大丈夫です」
慌ててそう言ったフィンだったけれど、若い娘が魔獣ハンターになるのは珍しいだろうし、家族の仇だというんだから軽い話じゃないだろう。
「探しているブルードラゴンは、人語を解すドラゴンでした」
「人語を解するほう?」
「はい。そのドラゴンは私たちの街の近くの川に住んでいたんです。でもある夜、突然家を襲って……その後で妹も行方不明になってしまったんです」
「妹さんが?」
「はい」
「ドラゴンが襲ったっていうのは……」
「具体的に見た人はいなかったんです。夜中でしたし、気が付いた時には家は滅茶苦茶に壊されていて。でも、そこにこれが落ちていたんです」
そう言ってフィンが手にしたのは三枚のドラゴンの鱗だった。これが落ちていたため、街の自警団や行政官はドラゴンの仕業だろうと断定したという。この襲撃でフィンの両親と弟が亡くなり、妹は行方不明になった。唯一、友人宅に泊まりに行っていたフィンだけが生き残ったのだという。
「その夜を境に、ブルードラゴンの姿も見なくなりました。そんなことをするようには見えなかったし、妹も懐いていたのですが……」
「そう、か。じゃフィンは、そのブルードラゴンが妹さんの行方も知っていると?」
「ええ。その可能性が高いと思っています。だから、何としてでもそのブルードラゴンを見つけ出したいです」
フィンの決意は固かった。でも、気持ちはわかる。俺も兄さんを探したいと願っているからだ。もしフィンが願う魔道具が出来たら、兄さん探しにも使えるんじゃないだろうか。
フィンが見せてくれたドラゴンの鱗を手にしてみた。どれも青みがかかっているからブルードラゴンのものなんだろうけど、大きさがバラバラだ。それに、これって……
(これ、ドラゴンの鱗じゃ、ないんじゃ……)
確かに俺の鱗に似ているけど、微妙に形が違う。鱗って身体を守るために重なり合うようになっているから微妙にカーブしているはずけど、これは真っすぐだ。これ、本物なのか? そうは思ったけど……
(それを言う訳には、いかないよなぁ……)
しまった。今の俺は山奥から出てきたお上りさん設定だから、ドラゴンのことを知っているはずがないんだよな。早くも後悔する羽目になるとは……そうは思ったが後の祭りだ。ネイトさんなら気付くだろうか。それを期待したい。期待しよう。
って、あれ? ルゼってドラゴンハンターなんだから、これくらい見分けられそうな気がするんだけど……なんか、おかしくないか?
「え? ドラゴンハンター? 彼が?」
「ええ。ルゼは正式なドラゴンハンターなんです」
ルゼの顔を思わずまじまじと見てしまった。魔獣ハンターとは最初に聞いたがそんな凄い肩書まで持っていたとは知らなかった。
「そんな職業があったのか……」
「ええ。結構有名な話ですけど……」
思わず漏れた言葉にフィンが訝しそうにそう言った。どうやらこっちでは常識らしい。
「そ、そうか。俺、山奥育ちで外に出たことなかったから。そういうの殆ど知らなくて」
「そうだったんですか。ごめんなさい」
「謝らなくていいって。兄を探すために出てきたけど、それが無かったら一生山ん中で人生終わってただろうし」
ということにしておく。でも実際、異界のことはよく知らないのだ。嘘、にはならないよな? 多分……
「それで、ドラゴンハンターがいるって事は、そんなにドラゴンって多いのか?」
「そう、ですね。ドラゴンも色々で、高い知性を持つものもいますが、その辺の魔獣と変わらないものもいるんです」
なんか、随分差があるんだな。こうなると全く別物じゃないか?この身体はどっちだろう。
「高い知性ってのは? もしかして人語がわかるとか?」
「ええ。ドラゴンにも色々種類があって、人並みかそれ以上に賢く、魔術を操るものもいるそうです」
「そうなのか?」
「ああ」
フィンの言葉を受けてルゼに問うと、一言だけ返事が返ってきた。もうちょっと愛想よくしてもいいんじゃないだろうか。フィンもよくこんな奴と一緒にいるなぁ。
「それで、フィンが追いかけているブルードラゴンってのは?」
「それは……」
嫌な事を思い出したのだろうか。フィンの表情が曇った。
「あ~ 悪い。言いたくないなら無理しなくていいから」
「あ、いえ。そういう訳じゃないので大丈夫です」
慌ててそう言ったフィンだったけれど、若い娘が魔獣ハンターになるのは珍しいだろうし、家族の仇だというんだから軽い話じゃないだろう。
「探しているブルードラゴンは、人語を解すドラゴンでした」
「人語を解するほう?」
「はい。そのドラゴンは私たちの街の近くの川に住んでいたんです。でもある夜、突然家を襲って……その後で妹も行方不明になってしまったんです」
「妹さんが?」
「はい」
「ドラゴンが襲ったっていうのは……」
「具体的に見た人はいなかったんです。夜中でしたし、気が付いた時には家は滅茶苦茶に壊されていて。でも、そこにこれが落ちていたんです」
そう言ってフィンが手にしたのは三枚のドラゴンの鱗だった。これが落ちていたため、街の自警団や行政官はドラゴンの仕業だろうと断定したという。この襲撃でフィンの両親と弟が亡くなり、妹は行方不明になった。唯一、友人宅に泊まりに行っていたフィンだけが生き残ったのだという。
「その夜を境に、ブルードラゴンの姿も見なくなりました。そんなことをするようには見えなかったし、妹も懐いていたのですが……」
「そう、か。じゃフィンは、そのブルードラゴンが妹さんの行方も知っていると?」
「ええ。その可能性が高いと思っています。だから、何としてでもそのブルードラゴンを見つけ出したいです」
フィンの決意は固かった。でも、気持ちはわかる。俺も兄さんを探したいと願っているからだ。もしフィンが願う魔道具が出来たら、兄さん探しにも使えるんじゃないだろうか。
フィンが見せてくれたドラゴンの鱗を手にしてみた。どれも青みがかかっているからブルードラゴンのものなんだろうけど、大きさがバラバラだ。それに、これって……
(これ、ドラゴンの鱗じゃ、ないんじゃ……)
確かに俺の鱗に似ているけど、微妙に形が違う。鱗って身体を守るために重なり合うようになっているから微妙にカーブしているはずけど、これは真っすぐだ。これ、本物なのか? そうは思ったけど……
(それを言う訳には、いかないよなぁ……)
しまった。今の俺は山奥から出てきたお上りさん設定だから、ドラゴンのことを知っているはずがないんだよな。早くも後悔する羽目になるとは……そうは思ったが後の祭りだ。ネイトさんなら気付くだろうか。それを期待したい。期待しよう。
って、あれ? ルゼってドラゴンハンターなんだから、これくらい見分けられそうな気がするんだけど……なんか、おかしくないか?
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