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第三部
パーティーを終えて
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「はぁ、無事終わったわ……」
最後の招待客を見送った後、自室に戻った私はソファに倒れ込んだ。ずっと立ちっ放しだった上に踵の高い靴だったから足が痛いわ。日はとっくに沈み、世界は夜闇に包まれて久しかった。お昼過ぎに始まった婚姻式と披露パーティーも無事に終わりを迎え、深い安堵に全身の力が抜ける。何も起きなかったわ。嫡男を下りたフレディが狙われる可能性は格段に低くなったけれど、念のためフレディたちの寝室近くには今もゾルガーの影が固めて暗殺者を警戒している。何者かが侵入したという報告はないからこのまま無事朝を迎えてほしいわ。
「イルーゼ様、まずは湯あみを」
「ええ。でも、終わってしまうと脱ぐのが名残惜しいわ。パーティーの最中は早く脱いで身軽になりたいと思っていたのに」
「次に着ることはありませんからね」
「もったいないわ。でも、仕方ないわね」
筆頭公爵夫人として夜会などで同じドレスを着ることは出来ない。贅沢だと思うのだけど権威を示すため、また仕立屋などを潤して経済を回すのも貴族の務めだから。記念にと思うドレス以外は使用人や分家に下げ渡したり寄付したりする。このドレスはフレディの婚姻式の記念に取っておこうかしら。
コルセットを外して湯に浸かると、それだけで身体が一皮剥けたような感じがしたわ。暑かったから余計にそう思うのかもしれない。でも、無事に終わったから文句はないわ。
「フレディたちの方は?」
「オリスさんたちが控えていますけれど、何かあったとは聞いていませんわ」
「そう。無事に事が成っているのならいいのだけど」
フレディは物凄く緊張していたから、エーリック様がお酒を飲ませて肩の力が抜けるように世話を焼いていたわ。繊細だから色々考えてしまうのでしょうね。
ふふ、それにしても自分の時のことを思い出してしまうわ。披露パーティーではロミルダ様が騒ぎを起こしたし、火をつけた荷馬車が突入したりもして、最初から波乱含みだったわ。いざ閨にと挑んだけれど閨教育を受けていなかったから不安や緊張でいっぱいいっぱいだったのに、そこに暗殺者が入り込んでザーラが怪我をしてしまった。結局初夜は一日遅れで仕切り直しになったっけ。今なら笑い話で済むけれど、あの時はどうなることかと気が気じゃなかった。あんなに波乱含みの花嫁なんて国中を探してもいないんじゃないかしら。
湯から上がるとマルガがやって来て、ヴォルフ様が夫婦の居間でお待ちだと教えてくれた。
「ありがとうマルガ。今日は疲れたでしょう? もう下がっていいわよ」
「ありがとうございます」
マルガは今日一日ザーラの付き人として側に付いていてくれた。私の時に一緒に暗殺者に遭遇しているから気を張ったでしょうね。ゆっくり休んでほしいわ。夫婦の居間に入るとヴォルフ様がソファにかけてワインを飲んでいらっしゃった。ティオが無言で一礼してから部屋を出て行く。テーブルには軽食も並んでいていい匂いを放っている。途端にお腹が騒ぎ出したわ。
「お待たせしました」
「ああ」
側に行くと手を差し伸べて下さった。その手を取って隣に腰を下ろす。最初の頃は半人分ほど間があったけれど今はすき間のないこの距離が普通になったわ。
「呑むか?」
「よろしいの?」
屋敷は厳戒態勢だけど呑んでいいのかしら? 何かあったらと思うと考えてしまうわ。
「警備は強化しているし、今回は何も起きていない。それに、お前一人が酔っても何も変わらない」
それは……その通りね。ヴォルフ様はどれだけ飲んでも酔わないし、私一人が酔ったところで変わりはないかしら? いえ、そんなに飲まなきゃいけないのよね。
「ほら」
渡されたのはヴォルフ様が手ずから注いだグラスだった。僅かに黄色みがかかった液体がろうそくの灯りで煌めく。微かに甘い香りがするわ。
「美味しい……これは……」
「お前の義姉の試作品だ。女性向けに作っているらしいな」
「お義姉様が」
今までもいくつか試作品を飲んだけれど初めての味だわ。甘さは控えめですっきりした後味だわ。甘いお酒は美味しいけれど何杯もとなるとどうしても飽きてくるのよね。
「お前の義姉は商才があるな。フレディよりも上手だ」
「ふふ、ヴォルフ様が褒めて下さったと聞いたら喜びますわ」
お義姉様は順調に新商品を形にしていた。驚くことに領地経営は父と身体が不自由になった兄がこなしていて、お義姉様はエドゼルの育児と商品開発に専念しているのだとか。兄はこれまでとは別人のように真面目に執務をこなしているのだと言うのだから驚きしかない。実家の使用人からの評判も随分よくなって、以前の驕慢さは鳴りを潜めているのだとか。皮肉なものよね、最初からそうしていたら兄の望む仲のいい夫婦になれたでしょうに。
「イルーゼ」
「はい?」
どうなさったのかしら? 名を呼ぶなんて改まった態度で。それでもヴォルフ様の低くよく響く声で名を呼ばれるのは好きだわ。
「俺はお前との約束を守れているか?」
「え?」
突然の問いにまじまじと顔を見上げて、胸が躍ってしまったわ。黒く見える瞳にいる私は間抜けな表情をしていた。いきなりどうなさったの? 約束って……
「俺はお前を蔑ろにしていないか? 言われたことは守っているつもりだがお前がどう思うかは別だろう? 俺は人の気持ちを察するのが得意ではないからな」
そんなことを気にされていたの? いえ、ヴォルフ様はそういう方だったわ。でも最近は暗示が薄れているのか以前にもまして感情が増えたように感じていたから忘れていた。それは私にとっては嬉しい傾向で、些細なことで変化を感じていた。例えば会話をしていても目が合うとふと口の端が上がったように見えた、なんてことだけど、以前よりもずっと柔らかくなった感じがしている。
「ありがとうございます。何も問題ありませんわ」
「そうか」
「大好きです、ヴォルフ様。愛する人がいると言うならそれはヴォルフ様ですわ」
愛しているってどんな状態なのかわからないけれど、その言葉が当てはまるとしたら、それは黒髪と緑の瞳を持ち、とても怖いと世間から恐れられているこの方だけ。
「アンゼルは違うのか?」
まさかその名が出るとは思わなかったわ。いえ、アンゼルも愛しているわ、この命を捧げてもいいと思うほどに。だけど……
「アンゼルも愛していますわ。でも、それは違う愛です」
「そうか。そうだな」
ヴォルフ様、今のは……ヴォルフ様が愛を肯定するようなことを仰るなんて、思いもしなかったわ。ヴォルフ様の中で何かが変わっている?
「どうした?」
呆けた私を訝しく思われたのか眉の間に薄いしわが寄ったけれど、今はまだ何も言えないわ。だって、ヴォルフ様の中で芽生えた何かは改めて言葉にしたら儚く消えてしまいそうな気がするから……
「いえ、なんでも。ふふ、大好きです、ヴォルフ様。愛しています」
嬉しくてその逞しい胸に頬を摺り寄せていた。愛していると言っても今は否定せずに受け入れてくださる。そのことが心の奥底まで幸せで満たしてくれる。ヴォルフ様の中に芽生えた小さな何かを今はそっと見守るわ。この逞しい胸の奥でもっと大きく育つまで。
「誘っているのか?」
「そう思われるのなら、そうかもしれません」
「今日は免除してやろうと思ったのだがな」
確かに疲れたわ。高いヒールを履き続けた足はまだ痛むし、招待客への対応は思った以上に大変だったし。でも……
「二人目が、そろそろ欲しいです」
そっと分厚い胸板から頬を離し、今度は精悍さが際立つ鋭い頬に手を伸ばして包み込む。こんなことをしても表情は変わらないけれど瞳の奥に熱が見えるわ。
「いつからこんなことを覚えた?」
「え?」
「男の煽り方など知らないと思っていたのだがな」
感情の籠らない声に呆れたような響きがあった。
「煽り方なんか知りませんわ。ただこうしたかっただけです」
「無自覚か。困った奴だな」
両手首を大きな手が掴んでゆっくりと引き寄せられる。分厚い唇を自分のそれに感じた。身体の奥に熱を感じて、そのまま目を閉じた。逞しい身体を身近に感じて身体が熱くなる……
その時だった。遠慮がちに扉が叩かれた。
最後の招待客を見送った後、自室に戻った私はソファに倒れ込んだ。ずっと立ちっ放しだった上に踵の高い靴だったから足が痛いわ。日はとっくに沈み、世界は夜闇に包まれて久しかった。お昼過ぎに始まった婚姻式と披露パーティーも無事に終わりを迎え、深い安堵に全身の力が抜ける。何も起きなかったわ。嫡男を下りたフレディが狙われる可能性は格段に低くなったけれど、念のためフレディたちの寝室近くには今もゾルガーの影が固めて暗殺者を警戒している。何者かが侵入したという報告はないからこのまま無事朝を迎えてほしいわ。
「イルーゼ様、まずは湯あみを」
「ええ。でも、終わってしまうと脱ぐのが名残惜しいわ。パーティーの最中は早く脱いで身軽になりたいと思っていたのに」
「次に着ることはありませんからね」
「もったいないわ。でも、仕方ないわね」
筆頭公爵夫人として夜会などで同じドレスを着ることは出来ない。贅沢だと思うのだけど権威を示すため、また仕立屋などを潤して経済を回すのも貴族の務めだから。記念にと思うドレス以外は使用人や分家に下げ渡したり寄付したりする。このドレスはフレディの婚姻式の記念に取っておこうかしら。
コルセットを外して湯に浸かると、それだけで身体が一皮剥けたような感じがしたわ。暑かったから余計にそう思うのかもしれない。でも、無事に終わったから文句はないわ。
「フレディたちの方は?」
「オリスさんたちが控えていますけれど、何かあったとは聞いていませんわ」
「そう。無事に事が成っているのならいいのだけど」
フレディは物凄く緊張していたから、エーリック様がお酒を飲ませて肩の力が抜けるように世話を焼いていたわ。繊細だから色々考えてしまうのでしょうね。
ふふ、それにしても自分の時のことを思い出してしまうわ。披露パーティーではロミルダ様が騒ぎを起こしたし、火をつけた荷馬車が突入したりもして、最初から波乱含みだったわ。いざ閨にと挑んだけれど閨教育を受けていなかったから不安や緊張でいっぱいいっぱいだったのに、そこに暗殺者が入り込んでザーラが怪我をしてしまった。結局初夜は一日遅れで仕切り直しになったっけ。今なら笑い話で済むけれど、あの時はどうなることかと気が気じゃなかった。あんなに波乱含みの花嫁なんて国中を探してもいないんじゃないかしら。
湯から上がるとマルガがやって来て、ヴォルフ様が夫婦の居間でお待ちだと教えてくれた。
「ありがとうマルガ。今日は疲れたでしょう? もう下がっていいわよ」
「ありがとうございます」
マルガは今日一日ザーラの付き人として側に付いていてくれた。私の時に一緒に暗殺者に遭遇しているから気を張ったでしょうね。ゆっくり休んでほしいわ。夫婦の居間に入るとヴォルフ様がソファにかけてワインを飲んでいらっしゃった。ティオが無言で一礼してから部屋を出て行く。テーブルには軽食も並んでいていい匂いを放っている。途端にお腹が騒ぎ出したわ。
「お待たせしました」
「ああ」
側に行くと手を差し伸べて下さった。その手を取って隣に腰を下ろす。最初の頃は半人分ほど間があったけれど今はすき間のないこの距離が普通になったわ。
「呑むか?」
「よろしいの?」
屋敷は厳戒態勢だけど呑んでいいのかしら? 何かあったらと思うと考えてしまうわ。
「警備は強化しているし、今回は何も起きていない。それに、お前一人が酔っても何も変わらない」
それは……その通りね。ヴォルフ様はどれだけ飲んでも酔わないし、私一人が酔ったところで変わりはないかしら? いえ、そんなに飲まなきゃいけないのよね。
「ほら」
渡されたのはヴォルフ様が手ずから注いだグラスだった。僅かに黄色みがかかった液体がろうそくの灯りで煌めく。微かに甘い香りがするわ。
「美味しい……これは……」
「お前の義姉の試作品だ。女性向けに作っているらしいな」
「お義姉様が」
今までもいくつか試作品を飲んだけれど初めての味だわ。甘さは控えめですっきりした後味だわ。甘いお酒は美味しいけれど何杯もとなるとどうしても飽きてくるのよね。
「お前の義姉は商才があるな。フレディよりも上手だ」
「ふふ、ヴォルフ様が褒めて下さったと聞いたら喜びますわ」
お義姉様は順調に新商品を形にしていた。驚くことに領地経営は父と身体が不自由になった兄がこなしていて、お義姉様はエドゼルの育児と商品開発に専念しているのだとか。兄はこれまでとは別人のように真面目に執務をこなしているのだと言うのだから驚きしかない。実家の使用人からの評判も随分よくなって、以前の驕慢さは鳴りを潜めているのだとか。皮肉なものよね、最初からそうしていたら兄の望む仲のいい夫婦になれたでしょうに。
「イルーゼ」
「はい?」
どうなさったのかしら? 名を呼ぶなんて改まった態度で。それでもヴォルフ様の低くよく響く声で名を呼ばれるのは好きだわ。
「俺はお前との約束を守れているか?」
「え?」
突然の問いにまじまじと顔を見上げて、胸が躍ってしまったわ。黒く見える瞳にいる私は間抜けな表情をしていた。いきなりどうなさったの? 約束って……
「俺はお前を蔑ろにしていないか? 言われたことは守っているつもりだがお前がどう思うかは別だろう? 俺は人の気持ちを察するのが得意ではないからな」
そんなことを気にされていたの? いえ、ヴォルフ様はそういう方だったわ。でも最近は暗示が薄れているのか以前にもまして感情が増えたように感じていたから忘れていた。それは私にとっては嬉しい傾向で、些細なことで変化を感じていた。例えば会話をしていても目が合うとふと口の端が上がったように見えた、なんてことだけど、以前よりもずっと柔らかくなった感じがしている。
「ありがとうございます。何も問題ありませんわ」
「そうか」
「大好きです、ヴォルフ様。愛する人がいると言うならそれはヴォルフ様ですわ」
愛しているってどんな状態なのかわからないけれど、その言葉が当てはまるとしたら、それは黒髪と緑の瞳を持ち、とても怖いと世間から恐れられているこの方だけ。
「アンゼルは違うのか?」
まさかその名が出るとは思わなかったわ。いえ、アンゼルも愛しているわ、この命を捧げてもいいと思うほどに。だけど……
「アンゼルも愛していますわ。でも、それは違う愛です」
「そうか。そうだな」
ヴォルフ様、今のは……ヴォルフ様が愛を肯定するようなことを仰るなんて、思いもしなかったわ。ヴォルフ様の中で何かが変わっている?
「どうした?」
呆けた私を訝しく思われたのか眉の間に薄いしわが寄ったけれど、今はまだ何も言えないわ。だって、ヴォルフ様の中で芽生えた何かは改めて言葉にしたら儚く消えてしまいそうな気がするから……
「いえ、なんでも。ふふ、大好きです、ヴォルフ様。愛しています」
嬉しくてその逞しい胸に頬を摺り寄せていた。愛していると言っても今は否定せずに受け入れてくださる。そのことが心の奥底まで幸せで満たしてくれる。ヴォルフ様の中に芽生えた小さな何かを今はそっと見守るわ。この逞しい胸の奥でもっと大きく育つまで。
「誘っているのか?」
「そう思われるのなら、そうかもしれません」
「今日は免除してやろうと思ったのだがな」
確かに疲れたわ。高いヒールを履き続けた足はまだ痛むし、招待客への対応は思った以上に大変だったし。でも……
「二人目が、そろそろ欲しいです」
そっと分厚い胸板から頬を離し、今度は精悍さが際立つ鋭い頬に手を伸ばして包み込む。こんなことをしても表情は変わらないけれど瞳の奥に熱が見えるわ。
「いつからこんなことを覚えた?」
「え?」
「男の煽り方など知らないと思っていたのだがな」
感情の籠らない声に呆れたような響きがあった。
「煽り方なんか知りませんわ。ただこうしたかっただけです」
「無自覚か。困った奴だな」
両手首を大きな手が掴んでゆっくりと引き寄せられる。分厚い唇を自分のそれに感じた。身体の奥に熱を感じて、そのまま目を閉じた。逞しい身体を身近に感じて身体が熱くなる……
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