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第三部
未来の甥夫婦
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先王様の元を訪問した後、我が家はフレディとザーラの婚姻式の準備で一気に慌ただしくなった。二年半前に私の婚姻式があったから私たちの時ほどの混乱はなかったけれど、筆頭侯爵家の式ともなれば招待客も多く、今はアンゼルもいる。警備に関しては前回以上の警戒ぶりだった。
一方、そのアンゼルは初めての外出だったのもあって熱を出さないかと心配したけれど、五日経っても元気で周囲を安心させた。暑い時期とはいえ感染症が全くないとは言えないから心配だったから。
婚姻式は私たちの時と同じく南棟とその庭で行われる。後継を辞したとはいえ今はアンゼルに続きゾルガーの後継候補となっているから式は盛大に行う予定。これはヴォルフ様がフレディを蔑ろにしていないとの意を表すためだ。フレディが後継を辞退した話は世間でも広がっているけれど、一部に無理やり廃嫡されたとの噂が流れているから。この手の噂はいくら本人が否定しても勝手に上がって来る。強く否定すればそれはそれで余計な憶測を呼ぶから、面倒だけど態度で示すしかない。
そんな婚姻式を五日後に控えた日の午後、私とヴォルフ様はフレディとザーラを私室に招いてお茶を共にした。ティオがお茶を淹れてロッテがお菓子をテーブルに並べる。側にはアベルとオリスも控えていた。
「どうだ、式の準備は?」
ヴォルフ様がアンゼルを太腿の上に乗せ、片手で支えながら尋ねた。子を抱く姿が想像出来なかったヴォルフ様だけど、今では慣れたものでそんな姿も絵になると思ってしまうわ。アンゼルは無心にヴォルフ様の服の釦に手を伸ばしている。
「はい、殆ど終わっています。あとは料理などですね。さすがにこちらは当日にならないと出来ないこともあるので」
「そうか。酒にガウス産の酒を追加してもいいか? イルーゼの実家から稀少酒が祝いとして届いている」
実家からはお義姉様が新たに作ったお酒が届いていた。それは私たちだけでは飲みきれない量で、その意図は明らかだった。
「それは、先日いただいた試作品ですか?」
「ああ」
「それでしたら是非。あの酒、ザーラも気に入っているんです」
「フ、、フレディ様!」
フレディの暴露にザーラが慌てて声をあげた。真面目なザーラは酔って笑い上戸になるの恥じているのよね。可愛いからそんなに気にしなくてもいいのに。
「欲しければ領地にも持って行けばいい。気に入れば優先的に納めてくれるそうだ」
「そうですか。ありがとうございます」
ザーラよりもフレディの方が嬉しそうだわ。お義姉様の新しい酒は人気が出そうね。婚姻式で振舞えば注文が増えそうだけ量は出せない。需要よりも供給が少ないからより価値が上がりそう。
「イルーゼ、あの酒の技術を教えてもらうことは……」
「まだ試作の段階だからさすがに難しいと思うわ」
「そう、だよな」
「そんなに気に入ったのなら、優先的に卸して貰えばいい」
「優先的にですか。だったら……ガウス家にも何か見返りが必要ですね」
そこまで気に入ったとは思わなかったわ。だったら他貴族への贈り物としても使えそう。
「そうだな。何かあるのか?」
「最近肥料の種類を増やしたんです。それを実験的にガウス家の土地で使ってもらおうかと」
「肥料か。どうだ、イルーゼ?」
「それは……こちらからお願いしたいくらいだわ。あの土地は痩せていて農業に適さないから」
穀物なども育ちが悪いのよね。水の便もよくないのもあるし。肥料は収穫量が増えるけれど高額だから中々手が出ない。でも、実験として試せるのならありがたいわ」
「そうか。じゃ、俺の方で進めてもいいか?」
「ええ、構いませんわ。後で義姉にお手紙を送っておきますね」
「ああ、助かるよ」
笑顔は以前に比べて力強く見えた。やる気なのね。ザーラにいいところを見せたいのもあるでしょうけれど、今冬の領地の仕事をヴォルフ様に任せられたせいで一層やる気になっているわ。それに結婚も。日に焼けて精悍さが増し、学生の頃とは随分印象が変わった。ザーラといい恋をしているみたいね。
「先に言っておく。お前たちの子はアンゼルと同じように育てる」
ヴォルフ様の宣言に二人の表情が変わった。さすがにびっくりするわよね。私も最初は驚いたもの。
「叔父上、ですが俺は……」
「お前が後継を辞退したからな。血で優先を付けても本人に資質や意欲がなければ意味がない」
「それは……」
「ゾルガーは重責だ。やる気があっても難しい。器でない者がやれば多方面に影響が出る」
「それは……そうですね」
フレディは直ぐに理解してくれたわ。彼が一番身をもって理解しているものね。臆病者と誹る者もいるかもしれないけれど、引く勇気は誰もが持てるものじゃないわ。
「これから生まれる子は同じ様に育て、資質とやる気を見て決めたい。いいか?」
最後の問いはザーラに向けられていた。
「旦那様の仰る通りに……ですが、よろしいのですか?」
ザーラは戸惑いながらも是と答えた。最後の問いは私に向けられたものだった。
「私に異論はないわ。当主の器にない者がその地位に就けば不幸になる。私の兄を見れば納得じゃない?」
そういうとザーラが困ったように眉を下げた。私の意見に納得だけど是と言うのは失礼だとも思っているのね。でも事実だから気にしないでほしいわ。
「一人に押し付ければ重圧で潰れてしまうかもしれないわ。だから同じように育てるの。その方が伸び伸びと、でも競い合いながら育つから悪くないと思う。もし向いていないならその子に合わせた教育に変えればいいし」
「それは、そうだな」
「私も、それでよろしいかと思います」
よかったわ、二人とも賛成してくれて。
「ザーラ、これからは主従ではなく家族になる。もっと気安く接しろ」
「そうよザーラ。今度からは普通に話してほしいわ」
「あ、ありがとうございます。ですが……」
「フレディとも普通に話しているもの。ザーラもそうしてくれると嬉しいわ」
真面目なザーラは直ぐに切り替えるのは難しそうね。私よりも年上だし、この家にいるのは長いのだけど。でも、言っておかないとずっと敬語のままのような気がするわ。
「ですが、私は義理の姪になりますし……」
「でも、ザーラに叔母様と呼ばれるのはさすがに遠慮したいわ」
「ははっ、俺も最初はどう呼ぶか悩んだな。同じ年なのに叔母上と呼ぶのも変な感じで」
そんな時期もあったわね。まだ互いに余所余所しくてお茶をするのも緊張していたわ。懐かしい。
「私もよ。だからザーラ、今度からは様無しで呼んでね」
「ですが……」
「ザーラ。最後の命令だ。イルーゼと呼んでやれ」
ためらうザーラに止めを刺したのはヴォルフ様だった。
「旦那様?」
「叔父上……」
まさかヴォルフ様がそんな風に仰るとは思わなかったから、ザーラだけでなくフレディまで目を丸くしているわ。でも……それくらいしないとザーラは呼んでくれないわよね。
「ふふっ、ヴォルフ様もそう仰っていますわ。だからよろしくね」
「……はい。イルーゼ……」
物凄くためらいながらもザーラが私の名を呼んでくれた。慣れるまで時間がかかりそうね。でも、ザーラは私より年上なのだから気にしないでほしいわ。
「……イルーゼは最強だな」
フレディの呟きが聞こえた。最強は私じゃなくヴォルフ様なのに。
「そう言えば叔父上、この冬は領地に行くと聞きましたが?」
「ああ。これが行きたいと言うからな」
そう言ってヴォルフ様が私を見たけれど……それじゃ私の我儘みたいに聞こえるわ。いえ、行きたいとは言ったけれど、新婚の二人の邪魔をするつもりは全くないわよ。ただ、前の滞在は短くて心残りだったからで。
「そうでしたか」
「邪魔なら春まで待つ」
ヴォルフ様! 言い方!
「フレディ、邪魔ならそう言ってね。二人の邪魔をする気はないから」
「これだけは言っておくわよ。嫌なら私たちは王都でゆっくりするから」
「だそうだ。嫌なら正直に言え」
ヴォルフ様……ヴォルフ様大好きなフレディが嫌だなんて言うはずありませんわよ……
「いえ、大丈夫です。移動は一緒に?」
「その方が安全だろう?」
「そうですね。護衛を分散せずに済みますから」
そう言えば警備が大変だと仰っていたわね。そのためのご褒美はもう支払ったわよ。
「計画を立てろ。後で確かめる」
ええ? ヴォルフ様がするのではなかったの? それじゃあのご褒美って……
「わかりました。お任せください」
フレディがあっさり引き受けてしまった。最近は彼の方が領地と行き来しているから詳しいからだとは思うけれど……いいのかしら? なんだかフレディの負担が増えただけじゃない? それに私のご褒美と言う名のあれは……いえ、外にも仕事の調整とか色々と大変なのかもしれないけれど。何だか釈然としないのは気のせいかしら……
一方、そのアンゼルは初めての外出だったのもあって熱を出さないかと心配したけれど、五日経っても元気で周囲を安心させた。暑い時期とはいえ感染症が全くないとは言えないから心配だったから。
婚姻式は私たちの時と同じく南棟とその庭で行われる。後継を辞したとはいえ今はアンゼルに続きゾルガーの後継候補となっているから式は盛大に行う予定。これはヴォルフ様がフレディを蔑ろにしていないとの意を表すためだ。フレディが後継を辞退した話は世間でも広がっているけれど、一部に無理やり廃嫡されたとの噂が流れているから。この手の噂はいくら本人が否定しても勝手に上がって来る。強く否定すればそれはそれで余計な憶測を呼ぶから、面倒だけど態度で示すしかない。
そんな婚姻式を五日後に控えた日の午後、私とヴォルフ様はフレディとザーラを私室に招いてお茶を共にした。ティオがお茶を淹れてロッテがお菓子をテーブルに並べる。側にはアベルとオリスも控えていた。
「どうだ、式の準備は?」
ヴォルフ様がアンゼルを太腿の上に乗せ、片手で支えながら尋ねた。子を抱く姿が想像出来なかったヴォルフ様だけど、今では慣れたものでそんな姿も絵になると思ってしまうわ。アンゼルは無心にヴォルフ様の服の釦に手を伸ばしている。
「はい、殆ど終わっています。あとは料理などですね。さすがにこちらは当日にならないと出来ないこともあるので」
「そうか。酒にガウス産の酒を追加してもいいか? イルーゼの実家から稀少酒が祝いとして届いている」
実家からはお義姉様が新たに作ったお酒が届いていた。それは私たちだけでは飲みきれない量で、その意図は明らかだった。
「それは、先日いただいた試作品ですか?」
「ああ」
「それでしたら是非。あの酒、ザーラも気に入っているんです」
「フ、、フレディ様!」
フレディの暴露にザーラが慌てて声をあげた。真面目なザーラは酔って笑い上戸になるの恥じているのよね。可愛いからそんなに気にしなくてもいいのに。
「欲しければ領地にも持って行けばいい。気に入れば優先的に納めてくれるそうだ」
「そうですか。ありがとうございます」
ザーラよりもフレディの方が嬉しそうだわ。お義姉様の新しい酒は人気が出そうね。婚姻式で振舞えば注文が増えそうだけ量は出せない。需要よりも供給が少ないからより価値が上がりそう。
「イルーゼ、あの酒の技術を教えてもらうことは……」
「まだ試作の段階だからさすがに難しいと思うわ」
「そう、だよな」
「そんなに気に入ったのなら、優先的に卸して貰えばいい」
「優先的にですか。だったら……ガウス家にも何か見返りが必要ですね」
そこまで気に入ったとは思わなかったわ。だったら他貴族への贈り物としても使えそう。
「そうだな。何かあるのか?」
「最近肥料の種類を増やしたんです。それを実験的にガウス家の土地で使ってもらおうかと」
「肥料か。どうだ、イルーゼ?」
「それは……こちらからお願いしたいくらいだわ。あの土地は痩せていて農業に適さないから」
穀物なども育ちが悪いのよね。水の便もよくないのもあるし。肥料は収穫量が増えるけれど高額だから中々手が出ない。でも、実験として試せるのならありがたいわ」
「そうか。じゃ、俺の方で進めてもいいか?」
「ええ、構いませんわ。後で義姉にお手紙を送っておきますね」
「ああ、助かるよ」
笑顔は以前に比べて力強く見えた。やる気なのね。ザーラにいいところを見せたいのもあるでしょうけれど、今冬の領地の仕事をヴォルフ様に任せられたせいで一層やる気になっているわ。それに結婚も。日に焼けて精悍さが増し、学生の頃とは随分印象が変わった。ザーラといい恋をしているみたいね。
「先に言っておく。お前たちの子はアンゼルと同じように育てる」
ヴォルフ様の宣言に二人の表情が変わった。さすがにびっくりするわよね。私も最初は驚いたもの。
「叔父上、ですが俺は……」
「お前が後継を辞退したからな。血で優先を付けても本人に資質や意欲がなければ意味がない」
「それは……」
「ゾルガーは重責だ。やる気があっても難しい。器でない者がやれば多方面に影響が出る」
「それは……そうですね」
フレディは直ぐに理解してくれたわ。彼が一番身をもって理解しているものね。臆病者と誹る者もいるかもしれないけれど、引く勇気は誰もが持てるものじゃないわ。
「これから生まれる子は同じ様に育て、資質とやる気を見て決めたい。いいか?」
最後の問いはザーラに向けられていた。
「旦那様の仰る通りに……ですが、よろしいのですか?」
ザーラは戸惑いながらも是と答えた。最後の問いは私に向けられたものだった。
「私に異論はないわ。当主の器にない者がその地位に就けば不幸になる。私の兄を見れば納得じゃない?」
そういうとザーラが困ったように眉を下げた。私の意見に納得だけど是と言うのは失礼だとも思っているのね。でも事実だから気にしないでほしいわ。
「一人に押し付ければ重圧で潰れてしまうかもしれないわ。だから同じように育てるの。その方が伸び伸びと、でも競い合いながら育つから悪くないと思う。もし向いていないならその子に合わせた教育に変えればいいし」
「それは、そうだな」
「私も、それでよろしいかと思います」
よかったわ、二人とも賛成してくれて。
「ザーラ、これからは主従ではなく家族になる。もっと気安く接しろ」
「そうよザーラ。今度からは普通に話してほしいわ」
「あ、ありがとうございます。ですが……」
「フレディとも普通に話しているもの。ザーラもそうしてくれると嬉しいわ」
真面目なザーラは直ぐに切り替えるのは難しそうね。私よりも年上だし、この家にいるのは長いのだけど。でも、言っておかないとずっと敬語のままのような気がするわ。
「ですが、私は義理の姪になりますし……」
「でも、ザーラに叔母様と呼ばれるのはさすがに遠慮したいわ」
「ははっ、俺も最初はどう呼ぶか悩んだな。同じ年なのに叔母上と呼ぶのも変な感じで」
そんな時期もあったわね。まだ互いに余所余所しくてお茶をするのも緊張していたわ。懐かしい。
「私もよ。だからザーラ、今度からは様無しで呼んでね」
「ですが……」
「ザーラ。最後の命令だ。イルーゼと呼んでやれ」
ためらうザーラに止めを刺したのはヴォルフ様だった。
「旦那様?」
「叔父上……」
まさかヴォルフ様がそんな風に仰るとは思わなかったから、ザーラだけでなくフレディまで目を丸くしているわ。でも……それくらいしないとザーラは呼んでくれないわよね。
「ふふっ、ヴォルフ様もそう仰っていますわ。だからよろしくね」
「……はい。イルーゼ……」
物凄くためらいながらもザーラが私の名を呼んでくれた。慣れるまで時間がかかりそうね。でも、ザーラは私より年上なのだから気にしないでほしいわ。
「……イルーゼは最強だな」
フレディの呟きが聞こえた。最強は私じゃなくヴォルフ様なのに。
「そう言えば叔父上、この冬は領地に行くと聞きましたが?」
「ああ。これが行きたいと言うからな」
そう言ってヴォルフ様が私を見たけれど……それじゃ私の我儘みたいに聞こえるわ。いえ、行きたいとは言ったけれど、新婚の二人の邪魔をするつもりは全くないわよ。ただ、前の滞在は短くて心残りだったからで。
「そうでしたか」
「邪魔なら春まで待つ」
ヴォルフ様! 言い方!
「フレディ、邪魔ならそう言ってね。二人の邪魔をする気はないから」
「これだけは言っておくわよ。嫌なら私たちは王都でゆっくりするから」
「だそうだ。嫌なら正直に言え」
ヴォルフ様……ヴォルフ様大好きなフレディが嫌だなんて言うはずありませんわよ……
「いえ、大丈夫です。移動は一緒に?」
「その方が安全だろう?」
「そうですね。護衛を分散せずに済みますから」
そう言えば警備が大変だと仰っていたわね。そのためのご褒美はもう支払ったわよ。
「計画を立てろ。後で確かめる」
ええ? ヴォルフ様がするのではなかったの? それじゃあのご褒美って……
「わかりました。お任せください」
フレディがあっさり引き受けてしまった。最近は彼の方が領地と行き来しているから詳しいからだとは思うけれど……いいのかしら? なんだかフレディの負担が増えただけじゃない? それに私のご褒美と言う名のあれは……いえ、外にも仕事の調整とか色々と大変なのかもしれないけれど。何だか釈然としないのは気のせいかしら……
2,579
読んで下さってありがとうございます。
感想・お気に入り登録・エールも励みになります。
また誤字脱字を報告して下さる皆様に感謝申し上げます。
新たに「黒茨の魔女と金眼の下僕」の連載も始めました。
こちらもよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/687112907/698925653
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