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第三部
帰宅
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屋敷に着くとティオとロッテが迎えてくれた。
「イルーゼ様、湯あみの準備は出来ていますわ」
「ありがとうロッテ。アンゼルは?」
「乳母とスージーさんが側にいらっしゃいますわ。そろそろお休みになった頃かと」
「そう。会いに行くなら眠った後がよさそうね」
寝る前だと興奮して眠れなくなってしまうかもしれない。今日は寝顔で我慢するしかないわね。ロッテと共に自室に向かった。アンゼルの部屋に行くなら湯あみをしないと。人が多く集まる場所は埃っぽくなるし、今日は天気がよかったから汗もかいたもの。
ドレスを脱ぐと一気に身体が楽になった。ドレスのサイズは合っているけれど、出産して胸が大きくなったから少し窮屈だったのよね。お湯に浸かると身体のこわばりがゆるゆると解けていくのを感じた。華やかな場は心が躍るけれど、立場的に気が抜けないから昔のように楽しめなくなっている。無邪気に目を輝かせていたあの頃が懐かしいわ。だからと言ってこの立場を手放すつもりはないけれど。
今日は特に目立ったトラブルもなく終わってよかった。陛下の主催する最初の舞踏会、王妃の位に就かれたコルネリア様も随分前から準備に気を遣われていた。あの方も元々は伯爵家の出だから今日の緊張は私の比ではなかったでしょうね。それでも、一番高い席に着いた姿は王妃に相応しいものだったわ。
「今日の舞踏会はいかがでしたか?」
「大成功だったと思うわ。特に問題が起きたという話は届いていないし」
その辺はヴォルフ様も五侯爵家の当主も目を光らせていた。アーレント王妃のような困った方もいたけれど大きな騒ぎにはならなかった。アデライデ様のお陰かしら? アーレント王はアデライデ様の美貌にすっかり魅了されていたものね。アデライデ様は私から見てもため息が出そうなくらいお美しいわ。ヴォルフ様に興味を持たれなくてよかったと心から思う。
湯あみを終えて髪を軽く拭いて貰っていると、湯あみを終えたヴォルフ様がいらっしゃった。髪が短いから乾くのも早い。そこはちょっと羨ましいわ。
「アンゼルの元に行くのだろう?」
「ええ。ヴォルフ様も?」
「ああ」
あまり興味がおありでないかと思った時期もあったけれど、こうして要所要所で顔を見に行って下さる。今日のような大きな催しがある日はヴォルフ様も私もフレディも家を空けるから、よからぬ者が家を襲う可能性もなくはない。その点はティオやヴィムが抜かりなく守りに徹してくれるけれど、襲う側はそうだと知らないから行動に移す可能性がないとは言えないのよね。ヴォルフ様に手を引かれてアンゼルの部屋に向かう。つわりが始まった頃から移動する時は手を引いて下さるようになったのだけど、出産を終えて日が経った今でもこうしてくださる。もう大丈夫だと言えばお止めになるだろうけれど、嬉しいから自分から言うなんて出来ないわ。
「旦那様、奥様、お帰りなさいませ」
アンゼルの部屋を訪ねるとスージーが出てきた。聞けばアンゼルは少し前に眠ったそうで、乳母は食事をしに行っているという。彼女には無理をかけているわね。でも、真面目に仕えてくれるから助かっているわ。彼女は実家も婚家もゾルガー家の一門で、彼女の実父や実弟だけでなく夫も義父もゾルガーの騎士として務めている。ヴォルフ様は家格の高さよりも忠誠心と人柄を重視していた。誘拐の懸念があるだけに裏切らないという点はとても大事だから。
「ふふっ、すっかり夢の世界ね」
ベッドで眠るアンゼルはふっくらした頬を突いても目を覚まさないほどに熟睡していた。幸いにも意味もなく泣くようなことは殆どなく、育てやすい方だとスージーが言う。それはスージーをはじめとして世話をしてくれる皆のお陰だわ。私一人だったら余裕がなくてこんな風に穏やかに育てられなかったもの。ヴォルフ様も私の後ろからアンゼルを見ていた。結婚する前は子に興味がない人だと思っていた。あの頃はよく存じ上げなかったから、フレディ様にも興味がないように見えたのよね。この想定外が嬉しい。
その後、共に夫婦の寝室に戻った。ちょうどティオがテーブルの上に軽い食事を並べていたところだった。舞踏会では料理も出るけれど、私たちは挨拶に忙しくて食べている余裕がない。それに……万が一の可能性もあるからああいう場所にある物は口にしないようにしている。
「いい匂いね。一気にお腹が空いてきたわ」
「さぁ、簡単なものですが、ごゆっくりお召し上がりください」
そういうとティオがヴォルフ様にはお酒を、私には果実水を注いでくれた。飲み慣れた果実水が喉を通って身体を潤していくのを感じる。舞踏会や夜会ではどうしても水分を控えるから喉が渇くのよね。ヴォルフ様と即位の式典や舞踏会の話をしながら食事をいただいた。以前は向かい合って座っていたのだけど、何時からか並んで座るようになっていたわ。ソファは三人がかけても十分な大きさだからいいのだけど、ヴォルフ様は食べる量も多いから食べ辛くないかしら? いえ、こっちの方が距離は近いから好ましいのだけど。
「そういえば、アデライデ様に付いていきましたけれど、あの後アーレント王はどうでしたの?」
王妃が喧嘩腰だったけれど、あれからどうなったのか気になっていたわ。戻った時にはアーレント王夫妻の姿はなかったし。
「さぁな。知らぬ間に消えていた」
それって、居たたまれなくて逃げたってことかしら。王はルタ国の支援のこともあってか顔色がよくなかったし、アデライデ様がヴォルフ様に膝を折った姿を見たら何も言えないわよね。何もしなかったアーレントへの当てつけとも受け取れるもの。
「アーレントのことは問題ない。我が国を敵に回すなど出来ないからな」
グレシウス王孫を我が国の王太子殿下の婚約者に迎える話が決まりつつある今、アーレントは我が国と事を構えようとはしないはず。グレシウスはルタ国との関係を深めているから、最悪ルタ国がグレシウス寄りの政策に転じれば鉄鉱石が手に入らなくなって立場が一層悪くなる。そうなった時我が国との関係が悪ければ国の存続も危ぶまれるわ。ルタ国にとって国境を接していないアーレントは大して重要ではないのだから。
「それよりも、王太女の話は何だった?」
「それが……」
アデライデ様との会話と謝罪されたことをお話しした。マルティナ様がヴォルフ様に興味を持った理由も含めて。
「お前にはそう言ったか」
食事を終えたヴォルフ様は口元を吹きながらそう仰ったけれど……その言い方に引っ掛かりを感じた。
「それじゃ……事実はそうではないと?」
「あの娘を焚きつけたのはあの王太女だろう」
「ええっ?」
アデライデ様が? 何のために? そんなことをしてもアデライデ様やルタ国に何の得もないわ。このことが知られれば不信感を持たれるかもしれないのに……
「あの王太女は曲者だ。あれはあの娘を利用して俺やゾルガー家に揺さぶりをかけようとしたんだろう」
「ですが……いえ、それじゃ……」
「ああ、あの娘が思った以上に直情的だった上、直後に俺が送った物資が届いた。あの娘の件が明るみになれば恩を仇で返したと言われかねん。だからそうなる前に謝罪をしたんだ。そういう意図はなかったと」
そうだったのね。話題に上がっただけでマルティナ様がヴォルフ様に熱を上げるなんておかしいと思ったのよ。それも婿入りが不可能ともいえる相手を。
「以前、フレディにグレシウスの王族との話があっただろう?」
「え、ええ」
忘れもしないわ、煮え切らない態度だったフレディが重い腰を上げたのはその話があったからだもの。
「話があった令嬢はあの娘のいとこに当たる。そこから話を聞いたのだろう」
そうね、フレディとの婚姻を狙っていたのなら我が家のことは調べていたでしょうし、いとこで年が近ければ話を聞いていてもおかしくないわ。
「あの女は曲者だ。それが分かっていれば問題ない」
「わかりましたわ」
ヴォルフ様にとってアデライデ様は警戒の対象でしかないのね。あれだけ若々しくてお美しいから心配だったけれど、気にしなくてもいいかしら。そんな風に考えていたら急に抱き寄せられて大きな手に絡め取られていた。
「ヴォ、ヴォルフ様?」
「ダメか?」
耳元で囁かれてお腹の奥へと向かって走る何かがあった。それって……やっぱり閨のお誘いよね? 妊娠してからはヴォルフ様が心配してずっとご無沙汰だったし、出産して三月も経ったからそろそろだとは思っていたけれど……
「ひ、久しぶりなので、お手柔らかにお願いします」
「……善処する」
ええっ? その間は何なの? ちょっと? ヴォルフ様――?
「イルーゼ様、湯あみの準備は出来ていますわ」
「ありがとうロッテ。アンゼルは?」
「乳母とスージーさんが側にいらっしゃいますわ。そろそろお休みになった頃かと」
「そう。会いに行くなら眠った後がよさそうね」
寝る前だと興奮して眠れなくなってしまうかもしれない。今日は寝顔で我慢するしかないわね。ロッテと共に自室に向かった。アンゼルの部屋に行くなら湯あみをしないと。人が多く集まる場所は埃っぽくなるし、今日は天気がよかったから汗もかいたもの。
ドレスを脱ぐと一気に身体が楽になった。ドレスのサイズは合っているけれど、出産して胸が大きくなったから少し窮屈だったのよね。お湯に浸かると身体のこわばりがゆるゆると解けていくのを感じた。華やかな場は心が躍るけれど、立場的に気が抜けないから昔のように楽しめなくなっている。無邪気に目を輝かせていたあの頃が懐かしいわ。だからと言ってこの立場を手放すつもりはないけれど。
今日は特に目立ったトラブルもなく終わってよかった。陛下の主催する最初の舞踏会、王妃の位に就かれたコルネリア様も随分前から準備に気を遣われていた。あの方も元々は伯爵家の出だから今日の緊張は私の比ではなかったでしょうね。それでも、一番高い席に着いた姿は王妃に相応しいものだったわ。
「今日の舞踏会はいかがでしたか?」
「大成功だったと思うわ。特に問題が起きたという話は届いていないし」
その辺はヴォルフ様も五侯爵家の当主も目を光らせていた。アーレント王妃のような困った方もいたけれど大きな騒ぎにはならなかった。アデライデ様のお陰かしら? アーレント王はアデライデ様の美貌にすっかり魅了されていたものね。アデライデ様は私から見てもため息が出そうなくらいお美しいわ。ヴォルフ様に興味を持たれなくてよかったと心から思う。
湯あみを終えて髪を軽く拭いて貰っていると、湯あみを終えたヴォルフ様がいらっしゃった。髪が短いから乾くのも早い。そこはちょっと羨ましいわ。
「アンゼルの元に行くのだろう?」
「ええ。ヴォルフ様も?」
「ああ」
あまり興味がおありでないかと思った時期もあったけれど、こうして要所要所で顔を見に行って下さる。今日のような大きな催しがある日はヴォルフ様も私もフレディも家を空けるから、よからぬ者が家を襲う可能性もなくはない。その点はティオやヴィムが抜かりなく守りに徹してくれるけれど、襲う側はそうだと知らないから行動に移す可能性がないとは言えないのよね。ヴォルフ様に手を引かれてアンゼルの部屋に向かう。つわりが始まった頃から移動する時は手を引いて下さるようになったのだけど、出産を終えて日が経った今でもこうしてくださる。もう大丈夫だと言えばお止めになるだろうけれど、嬉しいから自分から言うなんて出来ないわ。
「旦那様、奥様、お帰りなさいませ」
アンゼルの部屋を訪ねるとスージーが出てきた。聞けばアンゼルは少し前に眠ったそうで、乳母は食事をしに行っているという。彼女には無理をかけているわね。でも、真面目に仕えてくれるから助かっているわ。彼女は実家も婚家もゾルガー家の一門で、彼女の実父や実弟だけでなく夫も義父もゾルガーの騎士として務めている。ヴォルフ様は家格の高さよりも忠誠心と人柄を重視していた。誘拐の懸念があるだけに裏切らないという点はとても大事だから。
「ふふっ、すっかり夢の世界ね」
ベッドで眠るアンゼルはふっくらした頬を突いても目を覚まさないほどに熟睡していた。幸いにも意味もなく泣くようなことは殆どなく、育てやすい方だとスージーが言う。それはスージーをはじめとして世話をしてくれる皆のお陰だわ。私一人だったら余裕がなくてこんな風に穏やかに育てられなかったもの。ヴォルフ様も私の後ろからアンゼルを見ていた。結婚する前は子に興味がない人だと思っていた。あの頃はよく存じ上げなかったから、フレディ様にも興味がないように見えたのよね。この想定外が嬉しい。
その後、共に夫婦の寝室に戻った。ちょうどティオがテーブルの上に軽い食事を並べていたところだった。舞踏会では料理も出るけれど、私たちは挨拶に忙しくて食べている余裕がない。それに……万が一の可能性もあるからああいう場所にある物は口にしないようにしている。
「いい匂いね。一気にお腹が空いてきたわ」
「さぁ、簡単なものですが、ごゆっくりお召し上がりください」
そういうとティオがヴォルフ様にはお酒を、私には果実水を注いでくれた。飲み慣れた果実水が喉を通って身体を潤していくのを感じる。舞踏会や夜会ではどうしても水分を控えるから喉が渇くのよね。ヴォルフ様と即位の式典や舞踏会の話をしながら食事をいただいた。以前は向かい合って座っていたのだけど、何時からか並んで座るようになっていたわ。ソファは三人がかけても十分な大きさだからいいのだけど、ヴォルフ様は食べる量も多いから食べ辛くないかしら? いえ、こっちの方が距離は近いから好ましいのだけど。
「そういえば、アデライデ様に付いていきましたけれど、あの後アーレント王はどうでしたの?」
王妃が喧嘩腰だったけれど、あれからどうなったのか気になっていたわ。戻った時にはアーレント王夫妻の姿はなかったし。
「さぁな。知らぬ間に消えていた」
それって、居たたまれなくて逃げたってことかしら。王はルタ国の支援のこともあってか顔色がよくなかったし、アデライデ様がヴォルフ様に膝を折った姿を見たら何も言えないわよね。何もしなかったアーレントへの当てつけとも受け取れるもの。
「アーレントのことは問題ない。我が国を敵に回すなど出来ないからな」
グレシウス王孫を我が国の王太子殿下の婚約者に迎える話が決まりつつある今、アーレントは我が国と事を構えようとはしないはず。グレシウスはルタ国との関係を深めているから、最悪ルタ国がグレシウス寄りの政策に転じれば鉄鉱石が手に入らなくなって立場が一層悪くなる。そうなった時我が国との関係が悪ければ国の存続も危ぶまれるわ。ルタ国にとって国境を接していないアーレントは大して重要ではないのだから。
「それよりも、王太女の話は何だった?」
「それが……」
アデライデ様との会話と謝罪されたことをお話しした。マルティナ様がヴォルフ様に興味を持った理由も含めて。
「お前にはそう言ったか」
食事を終えたヴォルフ様は口元を吹きながらそう仰ったけれど……その言い方に引っ掛かりを感じた。
「それじゃ……事実はそうではないと?」
「あの娘を焚きつけたのはあの王太女だろう」
「ええっ?」
アデライデ様が? 何のために? そんなことをしてもアデライデ様やルタ国に何の得もないわ。このことが知られれば不信感を持たれるかもしれないのに……
「あの王太女は曲者だ。あれはあの娘を利用して俺やゾルガー家に揺さぶりをかけようとしたんだろう」
「ですが……いえ、それじゃ……」
「ああ、あの娘が思った以上に直情的だった上、直後に俺が送った物資が届いた。あの娘の件が明るみになれば恩を仇で返したと言われかねん。だからそうなる前に謝罪をしたんだ。そういう意図はなかったと」
そうだったのね。話題に上がっただけでマルティナ様がヴォルフ様に熱を上げるなんておかしいと思ったのよ。それも婿入りが不可能ともいえる相手を。
「以前、フレディにグレシウスの王族との話があっただろう?」
「え、ええ」
忘れもしないわ、煮え切らない態度だったフレディが重い腰を上げたのはその話があったからだもの。
「話があった令嬢はあの娘のいとこに当たる。そこから話を聞いたのだろう」
そうね、フレディとの婚姻を狙っていたのなら我が家のことは調べていたでしょうし、いとこで年が近ければ話を聞いていてもおかしくないわ。
「あの女は曲者だ。それが分かっていれば問題ない」
「わかりましたわ」
ヴォルフ様にとってアデライデ様は警戒の対象でしかないのね。あれだけ若々しくてお美しいから心配だったけれど、気にしなくてもいいかしら。そんな風に考えていたら急に抱き寄せられて大きな手に絡め取られていた。
「ヴォ、ヴォルフ様?」
「ダメか?」
耳元で囁かれてお腹の奥へと向かって走る何かがあった。それって……やっぱり閨のお誘いよね? 妊娠してからはヴォルフ様が心配してずっとご無沙汰だったし、出産して三月も経ったからそろそろだとは思っていたけれど……
「ひ、久しぶりなので、お手柔らかにお願いします」
「……善処する」
ええっ? その間は何なの? ちょっと? ヴォルフ様――?
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