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第二部
新しい命
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社交シーズンの始まりは春、新年を祝う夜会から始まる。まだ冬の気配が風の中のかすかに残るけれど、日差しは確実に春のそれへと変わっていた。他の貴族家に比べると厳めしいとも古めかしいとも言われるゾルガー邸の庭にも春は確実に訪れ、早咲きの花々が既にその存在を主張していた。
「お生まれになりました! 嫡男のご誕生です!」
珍しく感極まった声を上げたのは常に冷静沈着だけど茶目っ気もあるティオだった。私はその声を扉越しに聞きながら終えたばかりの大仕事に深い安堵を噛みしめていた。お産は想像以上に痛くて辛くて長かった。命を落とすのも納得だわ、本気で死ぬかと思ったもの。それでも……治まった痛みと弱々しい泣き声に生まれたのだと実感した。無事に生まれてくれたわ……そして乗り切った。もう二度とこんな痛い目には遭いたくないから男の子でよかったと思う。何人も生んでいる女性を尊敬するわ。私は一人でも十分だと心の底から思った。
生まれた子は産湯へと連れていかれ、私の周りでも医師や産婆、侍女たちが何やら忙しく動き回っている。私はされるがままベッドに横たわって深く息を吐いた。ヴォルフ様との約束を果たせたことに深い安堵と達成感が胸を満たす。
「奥様、ご覧ください、何て愛らしいお子でしょう」
スージーが湯あみを終えた子を抱いて見せてくれたわ。今は柔らかそうな布に巻かれている子を見て息を呑んだ。さっきははっきりしなかった髪色は……銀色だった。王家の証の一つとも言われる銀色。この子が王家の血を引いていると、陛下の孫だという証。
まだ目も開かない子に乳を与える。ふにゃふにゃと柔らかくて温かいわ。まだ生まれたばかりなのに口元に胸の先を当てると初めてのことなのに口に含んだ。凄いわ、ちゃんと本能で知っているのね。胸に感じる重さに、これがさっきまでお腹の中にいたのかと不思議な気分になる。無事に生まれて来てくれて嬉しい。そこにヴォルフ様がいらっしゃった。少しお疲れかしら? いつもの覇気がないわ。ゆっくりとこちらに近付いてくる。
「イルーゼ、よく頑張った」
ベッドに横たわったままの私の頭を大きな手が優しく撫でた。無事に成し遂げたのだとの思いに胸の奥底から熱いものが込み上げてきた。
「ヴォルフ様……」
急に心細いような寂しいような、そんな感情が一気に溢れて来た。大きな手が目尻に触れて自分が泣いているのだと気付いた。
「よく耐えたな」
「……痛かった、です」
「ああ」
「……お腹が裂けるかと思っ……死んじゃうかと……もう、お会い出来な……」
最後は言葉にならなかった。自分で言葉にして、このままヴォルフ様にお会い出来ないまま儚くなったらと思っていたことを思い出した。そんなのは嫌だと、せめてもう一目お顔を見てからと思って頑張った。そうでなきゃ、死んでも死にきれないと……
「もう大丈夫だ。お前は強いし俺はどこにも行かん」
そんな風に仰るなんて反則だわ。余計に涙が止まらなくなっちゃうじゃない。侍女が差し出したハンカチを受け取ったヴォルフ様が涙を拭う。そうしている間に子が一際重くなった気がした。
「まぁ、お腹が膨れて眠くなったのですね」
そう言いながら笑顔のスージーが抱き上げると、子は僅かに口を開いたまま眠っていた。
「銀髪か」
「はい。王家の色ですね」
ヴォルフ様が陛下の実子だとの証でもある。社交界に出たら目立つわね。ぱっと見は王族に見えるもの。
「瞳の色はもう少し経ってからになりますわ」
「そうなの?」
「はい。暫く経つと色が変わることもあるのですよ」
スージーが子の顔を見つめながら教えてくれた。そうだったのね。今は私の瞳と同じ薄い青に見えたけれど。変わるとしたら濃くなるのかしら? それとも違う色になる?
「どの色でもいい。お前と俺の子だ」
「はい」
その言葉にまた胸が熱くなった。私との子を望んで下さったと思っていいのよね。いつの間にか涙は止まっていた。
「若様はお部屋にお連れしますね。暫くは私が側に下りますわ。乳母と専属の侍女も付けます」
「ありがとう。お願いね」
「お任せください。さぁ、奥様は少しお休みください」
そう言うとスージーは乳母と侍女を連れて部屋を出て行って、その後を護衛が付いていった。子は眠ったままなのか静かだったわ。スージーの代わりにロッテが側に来た。
「イルーゼ様、おめでとうございます。飲み物はいかがですか?」
「そうね。ずっと何も口にしていなかったわね」
陣痛が長引いたから、喉がカラカラだわ。
「水がよろしいですか? それとも果実水にしますか?」
「果実水がいいわ」
お腹も空いたけれど、今はそれよりも水分が欲しい。身体を起こそうとするとヴォルフ様が手を貸して下さった。ゆっくりと体を起こしてグラスを受け取る。あちこちが痛いわね。回復するまでにどれくらいかかるかしら。甘みのある果実水が身体に染みわたるよう。美味しいわ。つわりだった頃は匂いもダメだったのが嘘みたい。
「少し休め」
「だったら、ヴォルフ様も休んで下さい。ずっと寝ていないのでしょう?」
陣痛が始まってから一日半かかったけれど、ヴォルフ様も休んでいなかったはず。目の下に隈が出来ているもの。スージーからは近くの部屋でずっと生まれるのを待っていて下さっていると聞いたわ。
「ただ待っていただけだ」
「それでも、休んで下さい。ヴォルフ様が倒れては私も子も悲しみますわ」
そう言ってもヴォルフ様は動こうとしなかった。心配なのかしら? でも後産も終わってもう何の問題もないはずよ。
「旦那様、だったら奥様と寝室でお休みになってはいかがですか?」
声をかけて来たのはスージーと入れ替わりで部屋に入って来たティオだった。
「動かして大丈夫なのか?」
「元よりその予定でございました。旦那様が奥様を運んで下さると助かります」
「わかった」
担架に乗って移動すると聞いていたけれど、ヴォルフ様に抱きかかえられて近くの夫婦の寝室へと向かった。ヴォルフ様の寝室は真っ暗で私の様子が分からないからと、当分は夫婦の寝室を使うように言われている。ゆっくりと部屋を出ると使用人たちが気遣わし気な表情の中に喜びを滲ませていた。久しぶりの嫡男の誕生に屋敷中が歓喜に包まれていた。フレディもいるわ。
「叔父上、イルーゼは……」
「大事ないから部屋に戻る」
「そうでしたか。よかった。お二方ともおめでとうございます」
「ありがとう、フレディ。次はあなたの番ね」
そう言うと笑顔のまま固まって見る見る赤くなっていったわ。身体は大きくていい年なのに純情なのね。そんな顔をされるとからかいたくなっちゃうわ。って、そんなことをしたらザーラに叱られちゃうかしら。
夫婦の寝室は久しぶりだった。ここも私の出産に合わせて改装して、今は窓に細かく細い鉄がレースのように覆っている。日差しが入るように、でも侵入者も防ぐようにと考えられたそれは鍵で取り外しが出来るのだとか。普段はレースのカーテンがあって気にならない。これも暗殺を警戒するヴォルフ様がお考えになったものの一つ。これなら部屋が明るくていいわ。ちなみに私の部屋や子の部屋も同じようになっている。そっと優しく、まるで砂糖細工のように下ろされた。見慣れた景色に気が緩む。
「軽食を取られますか?」
「どうする?」
「お腹……空きました」
そう答えると既に準備してあったのか、直ぐに食事が運ばれたわ。パンに肉やチーズを挟んだものだけど、ベッドの上で食べられるのが有り難い。お腹が膨れるとあっという間に睡魔が訪れた。ゆっくりと寝台に身を倒すと、ヴォルフ様に包まれた。ティオがカーテンを閉めて部屋を出て行くのが聞こえた。
「ゆっくり休め」
「ヴォルフ様もですよ」
「わかった」
大好きな香りに安心感で満たされる。私よりも高い体温が眠気を誘う。でもその前に……
「名前は決められました?」
珍しく眉の間に微かな皴が刻まれた。幾つも候補があったけれど、迷っていらっしゃるのかしら。
「アンゼルがいいと、思います」
候補の最後に乱雑に加えられていた、神の加護という意味を持つ名前。たった一度だけ呼ばれたという、もう誰も呼ぶことのない名前。
「素敵な名前です。アンゼル=ゾルガー、響きも素敵です」
あの子はみんなに愛されて幸せになるわ。勿論ゾルガーとして生きるから苦労はさせるけれどその分たくさんの愛を注げばいい。抱きしめる太い腕に力が僅かに増すのを感じながら目を閉じた。銀の髪の私の可愛い子。目の前の愛しい人と共にあの子も一生愛すると誓うわ。
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「奥様、ご覧ください、何て愛らしいお子でしょう」
スージーが湯あみを終えた子を抱いて見せてくれたわ。今は柔らかそうな布に巻かれている子を見て息を呑んだ。さっきははっきりしなかった髪色は……銀色だった。王家の証の一つとも言われる銀色。この子が王家の血を引いていると、陛下の孫だという証。
まだ目も開かない子に乳を与える。ふにゃふにゃと柔らかくて温かいわ。まだ生まれたばかりなのに口元に胸の先を当てると初めてのことなのに口に含んだ。凄いわ、ちゃんと本能で知っているのね。胸に感じる重さに、これがさっきまでお腹の中にいたのかと不思議な気分になる。無事に生まれて来てくれて嬉しい。そこにヴォルフ様がいらっしゃった。少しお疲れかしら? いつもの覇気がないわ。ゆっくりとこちらに近付いてくる。
「イルーゼ、よく頑張った」
ベッドに横たわったままの私の頭を大きな手が優しく撫でた。無事に成し遂げたのだとの思いに胸の奥底から熱いものが込み上げてきた。
「ヴォルフ様……」
急に心細いような寂しいような、そんな感情が一気に溢れて来た。大きな手が目尻に触れて自分が泣いているのだと気付いた。
「よく耐えたな」
「……痛かった、です」
「ああ」
「……お腹が裂けるかと思っ……死んじゃうかと……もう、お会い出来な……」
最後は言葉にならなかった。自分で言葉にして、このままヴォルフ様にお会い出来ないまま儚くなったらと思っていたことを思い出した。そんなのは嫌だと、せめてもう一目お顔を見てからと思って頑張った。そうでなきゃ、死んでも死にきれないと……
「もう大丈夫だ。お前は強いし俺はどこにも行かん」
そんな風に仰るなんて反則だわ。余計に涙が止まらなくなっちゃうじゃない。侍女が差し出したハンカチを受け取ったヴォルフ様が涙を拭う。そうしている間に子が一際重くなった気がした。
「まぁ、お腹が膨れて眠くなったのですね」
そう言いながら笑顔のスージーが抱き上げると、子は僅かに口を開いたまま眠っていた。
「銀髪か」
「はい。王家の色ですね」
ヴォルフ様が陛下の実子だとの証でもある。社交界に出たら目立つわね。ぱっと見は王族に見えるもの。
「瞳の色はもう少し経ってからになりますわ」
「そうなの?」
「はい。暫く経つと色が変わることもあるのですよ」
スージーが子の顔を見つめながら教えてくれた。そうだったのね。今は私の瞳と同じ薄い青に見えたけれど。変わるとしたら濃くなるのかしら? それとも違う色になる?
「どの色でもいい。お前と俺の子だ」
「はい」
その言葉にまた胸が熱くなった。私との子を望んで下さったと思っていいのよね。いつの間にか涙は止まっていた。
「若様はお部屋にお連れしますね。暫くは私が側に下りますわ。乳母と専属の侍女も付けます」
「ありがとう。お願いね」
「お任せください。さぁ、奥様は少しお休みください」
そう言うとスージーは乳母と侍女を連れて部屋を出て行って、その後を護衛が付いていった。子は眠ったままなのか静かだったわ。スージーの代わりにロッテが側に来た。
「イルーゼ様、おめでとうございます。飲み物はいかがですか?」
「そうね。ずっと何も口にしていなかったわね」
陣痛が長引いたから、喉がカラカラだわ。
「水がよろしいですか? それとも果実水にしますか?」
「果実水がいいわ」
お腹も空いたけれど、今はそれよりも水分が欲しい。身体を起こそうとするとヴォルフ様が手を貸して下さった。ゆっくりと体を起こしてグラスを受け取る。あちこちが痛いわね。回復するまでにどれくらいかかるかしら。甘みのある果実水が身体に染みわたるよう。美味しいわ。つわりだった頃は匂いもダメだったのが嘘みたい。
「少し休め」
「だったら、ヴォルフ様も休んで下さい。ずっと寝ていないのでしょう?」
陣痛が始まってから一日半かかったけれど、ヴォルフ様も休んでいなかったはず。目の下に隈が出来ているもの。スージーからは近くの部屋でずっと生まれるのを待っていて下さっていると聞いたわ。
「ただ待っていただけだ」
「それでも、休んで下さい。ヴォルフ様が倒れては私も子も悲しみますわ」
そう言ってもヴォルフ様は動こうとしなかった。心配なのかしら? でも後産も終わってもう何の問題もないはずよ。
「旦那様、だったら奥様と寝室でお休みになってはいかがですか?」
声をかけて来たのはスージーと入れ替わりで部屋に入って来たティオだった。
「動かして大丈夫なのか?」
「元よりその予定でございました。旦那様が奥様を運んで下さると助かります」
「わかった」
担架に乗って移動すると聞いていたけれど、ヴォルフ様に抱きかかえられて近くの夫婦の寝室へと向かった。ヴォルフ様の寝室は真っ暗で私の様子が分からないからと、当分は夫婦の寝室を使うように言われている。ゆっくりと部屋を出ると使用人たちが気遣わし気な表情の中に喜びを滲ませていた。久しぶりの嫡男の誕生に屋敷中が歓喜に包まれていた。フレディもいるわ。
「叔父上、イルーゼは……」
「大事ないから部屋に戻る」
「そうでしたか。よかった。お二方ともおめでとうございます」
「ありがとう、フレディ。次はあなたの番ね」
そう言うと笑顔のまま固まって見る見る赤くなっていったわ。身体は大きくていい年なのに純情なのね。そんな顔をされるとからかいたくなっちゃうわ。って、そんなことをしたらザーラに叱られちゃうかしら。
夫婦の寝室は久しぶりだった。ここも私の出産に合わせて改装して、今は窓に細かく細い鉄がレースのように覆っている。日差しが入るように、でも侵入者も防ぐようにと考えられたそれは鍵で取り外しが出来るのだとか。普段はレースのカーテンがあって気にならない。これも暗殺を警戒するヴォルフ様がお考えになったものの一つ。これなら部屋が明るくていいわ。ちなみに私の部屋や子の部屋も同じようになっている。そっと優しく、まるで砂糖細工のように下ろされた。見慣れた景色に気が緩む。
「軽食を取られますか?」
「どうする?」
「お腹……空きました」
そう答えると既に準備してあったのか、直ぐに食事が運ばれたわ。パンに肉やチーズを挟んだものだけど、ベッドの上で食べられるのが有り難い。お腹が膨れるとあっという間に睡魔が訪れた。ゆっくりと寝台に身を倒すと、ヴォルフ様に包まれた。ティオがカーテンを閉めて部屋を出て行くのが聞こえた。
「ゆっくり休め」
「ヴォルフ様もですよ」
「わかった」
大好きな香りに安心感で満たされる。私よりも高い体温が眠気を誘う。でもその前に……
「名前は決められました?」
珍しく眉の間に微かな皴が刻まれた。幾つも候補があったけれど、迷っていらっしゃるのかしら。
「アンゼルがいいと、思います」
候補の最後に乱雑に加えられていた、神の加護という意味を持つ名前。たった一度だけ呼ばれたという、もう誰も呼ぶことのない名前。
「素敵な名前です。アンゼル=ゾルガー、響きも素敵です」
あの子はみんなに愛されて幸せになるわ。勿論ゾルガーとして生きるから苦労はさせるけれどその分たくさんの愛を注げばいい。抱きしめる太い腕に力が僅かに増すのを感じながら目を閉じた。銀の髪の私の可愛い子。目の前の愛しい人と共にあの子も一生愛すると誓うわ。
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