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第二部
思いがけない幸運
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(え?)
突然手を取られて驚いた。湖までは二歩はあるから落ちることはないと思うのだけど……
「あ、あの……ヴォルフ様?」
「こうしておけば落ちないだろう? それに、これは夫らしいことになるか?」
「え?」
無表情のまま真面目に問われたけれど……夫らしいこと、ってどういうこと?
「俺はお前が喜ぶようなことが言えない。手を繋ぐならと思ったのだが……」
まさかヴォルフ様が、あのヴォルフ様がそんなことを仰るなんて。しかも暗示をかけた直後に? 待って、何が起きているの? 突然降りかかってきた思いもしない事態をどう受け止めていいのかわからない。
「違ったか。すまん」
「い、いえっ! そんなことありませんわ。嬉しいです、とっても!」
離れそうになった手を両手で掴んでしまったわ。こんな展開を想定していなかったから心の準備が出来ていなかっただけ。こんな素敵な場所を手を繋いで歩くなんて、恋人同士みたいなことがヴォルフ様と出来るなんて……夢を見ているのかしら? 騎士服なのが残念だわ、どうせなら女性っぽい服装の時がよかった……って、そうじゃなくて……
「少し、歩くか」
「はい」
嬉しくて声が上ずってしまったわ。でも心が舞い上がったままどこかに飛んで行ってしまいそう。だめよ、この幸せな時間を一秒でも長く感じておかないと。もしかしたら生涯で最も幸せな時間になるかもしれないのだから。大きな手から伝わる体温に顔がどうしても緩んでしまう。会話がないけれどその分この至福をしっかりと噛みしめられる。このままずっと歩いていたい。終わりがこなければいいのに。
「どうした?」
「何が、ですか?」
急に立ち止まって周りの木々と同じ色の瞳が向けられる。どうって何が? もう少し説明が欲しいわ。
「急に黙り込んで。楽しくないか?」
楽しくないって……話さなかったのはそういう意味ではなかったのだけど……
「楽しくないなんてあり得ませんわ。嬉しすぎて……幸せを噛みしめていたんです」
「嬉しすぎて? どこにそんな要素があった?」
「手を……繋いで歩けたからです」
「そんなことが嬉しいのか?」
「はい、とっても」
そんな風に私を気にかけて下さることもよ。こんなことでと思うかもしれないけれど、こんなことが嬉しいのよ。それに……甘い言葉を吐いてベタベタしてくるヴォルフ様なんてヴォルフ様じゃないわ。無表情で無口で気の利いた会話が出来ないヴォルフ様がいいのよ。
「変な奴だな、お前は」
「ふふっ、私は世界で一番男性の趣味がいいんです」
そう言うとじっと見つめられたわ。意味不明だった? それとも期待するなと仰るかしら? それはちゃんとわかっているわ。でも、好きになるのは自由だし、期待しなければいいのでしょう? もう開き直っているから何を言われても平気よ。少しは傷つくけれど今は暗示という逃げ場があるから。少しは好きになってくれたらとは思うけれど。そんなことを思っていたら頭を撫でてまた歩き出してしまった。今のは何? どうして頭を? 触れられたところがじわりと熱い……思いがけないご褒美に顔が熱くなってきた。もう少しこのまま歩きたいわ。今は誰にも顔を見られたくないもの。
湖畔を一周するには広すぎるので程々のところで引き返したけれど、とても幸せな時間だったわ。これだけで来た甲斐があったと思える。皆のところに戻るとマルガとオリスだけだった。目でマルガに訴えると、私たちが向かったのとは反対側の湖畔に立つフレディとザーラの姿が見えた。
「フレディが誘ったの?」
「それが……」
マルガが困ったように眉を下げ、オリスが苦みのある笑みを浮かべた。オリスの話ではせっかくの機会だからとフレディがそれとなくザーラを誘ったのだけど、ザーラには全く通じていなかったという。それでオリスがマルガに相談がある、フレディを頼むとザーラに告げて森の方に向かった。離れたところから二人の様子を見ていると、フレディがザーラに話しかけ、二人は湖畔を歩き始めたという。
「でも、通じていないのね」
「ええ。ザーラはあくまでも務めとしてここに来ている意識が強くて……」
「真面目過ぎる相手は大変ね。でも、フレディも本気なら自分で動かないと」
「手厳しいですね、イルーゼ様ったら」
マルガが苦笑したけれど、フレディももう成人しているのよ。好きなら自分で何とかしなきゃ。
「私だって欲しいものは自分から取りに行ったもの……」
「旦那様ですね」
「そうよ。両親と姉から逃げ出したくて必死だったわ」
「ふふっ、あの時は屋敷で話題になっていたんですよ」
「お、おい、マルガ! それは……」
「でも本当のことじゃない。単身、それも成人前の令嬢がお一人で乗り込んで来たって。どこの猛女だと言われていましたよ」
「も、猛女……」
まさか屋敷の使用人たちの間で噂になっていたなんて。いえ、そうなるのは当然よね。実家だってお客様のことは使用人の間でよく話題に上がっていたから。それにしても猛女だなんて……私そこまで強くないわよ。
「そ、それでフレディはどうなの? 少しは……」
言葉を言い終える前にオリスとマルガが首を横に振った。進展がないのね。フレディは優しいし、使用人の立場のザーラを気遣っているから余計に動けないのでしょうけれど。でも、動かないと永遠にこのままだわ。ザーラももう二十四になるわ。子どものこともあるから結婚を考えるなら後がない。
「放っておけ。周りが騒げば余計にこじれる」
どうしたものかと悩む私たちにヴォルフ様が言った。その通りなのだけど、こうしてあの二人を見ていると何とかしないとと思ってしまうわ。もう、フレディも思い切っていけばいいのに。
「でも、旦那様……」
「何も出来ないならその程度のものだ」
オリスが何か言おうとしたけれど封じられてしまった。そう言われてしまうと何も出来ないけれど、仰る通りなのよね。何もしないのならその程度の想いってことだもの。フレディの頑張り次第ね。その時だった。彼らの方で小さく悲鳴が上がった。視線を向けると二人が抱き合っているわ。何があったの?
「フレディったら何をしているの。まさか無理やり……」
「そうではないだろう。悲鳴を上げてから抱きついている。何かあったんだろうが殺気は感じないな」
ヴォルフ様、殺気って……慌てた様子がないのなら問題ないのかしら? そう思っている間にもザーラがしきりに後ろを気にしていたけれど、直ぐに離れて何かを話している。ザーラが頭を下げたわ。謝っている? 何があったのかしら?
「護衛が付いている。問題ないだろう。マルガ、水をくれ」
「は、はい、ただいま」
ヴォルフ様が敷物の上に腰を下ろして水筒の水を喉に流した。そう言えば喉が渇いたわね。それなりに歩いたもの。ヴォルフ様の隣に腰を下ろすとマルガが焼き菓子を出してくれた。少しお腹が空いたから嬉しい。そうしている間に二人がこちらに向かって歩き出したわ。何となく妙な間があるわね。
「フレディ様、お帰りなさい。焼き菓子はいかがですか?」
「ありがとう」
戻って来た二人にオリスが声をかけた。横目で様子を伺ったけれど……特に変わりはないわね。ザーラもそう。さっき抱き合っていたのは何だったのかしら? 聞きたいけれど……
「フレディ」
「はい?」
「何があった?」
突然ヴォルフ様が声をかけたけれど、まさか……
「ザーラと抱き合っていただろう」
「あ、あれは!」
明らかにフレディが狼狽えたわ。そんなことを尋ねるヴォルフ様の方がずっと驚いたけれど、フレディも動揺し過ぎじゃないかしら?
「蜘蛛がいたのです」
応えたのはザーラだった。
「くも?」
「はい。私……子供の頃から蜘蛛が苦手で……」
「蜘蛛が?」
意外だわ。ザーラには苦手なものがないと思っていたから。
「そう言えばそうだったわね」
「ええ。さっき、見たこともない大きな蜘蛛がいて……」
マルガは知っていたのね。ザーラが思い出したのか眉をしかめた。
「フレディ様、申し訳ございませんでした」
「い、いや……謝って貰うような話ではないから」
ザーラが頭を下げて謝罪した。進展はなかったのね。残念だわ。そしてフレディ、それで終わってはだめなのよ。もっと行動に移さないと。
突然手を取られて驚いた。湖までは二歩はあるから落ちることはないと思うのだけど……
「あ、あの……ヴォルフ様?」
「こうしておけば落ちないだろう? それに、これは夫らしいことになるか?」
「え?」
無表情のまま真面目に問われたけれど……夫らしいこと、ってどういうこと?
「俺はお前が喜ぶようなことが言えない。手を繋ぐならと思ったのだが……」
まさかヴォルフ様が、あのヴォルフ様がそんなことを仰るなんて。しかも暗示をかけた直後に? 待って、何が起きているの? 突然降りかかってきた思いもしない事態をどう受け止めていいのかわからない。
「違ったか。すまん」
「い、いえっ! そんなことありませんわ。嬉しいです、とっても!」
離れそうになった手を両手で掴んでしまったわ。こんな展開を想定していなかったから心の準備が出来ていなかっただけ。こんな素敵な場所を手を繋いで歩くなんて、恋人同士みたいなことがヴォルフ様と出来るなんて……夢を見ているのかしら? 騎士服なのが残念だわ、どうせなら女性っぽい服装の時がよかった……って、そうじゃなくて……
「少し、歩くか」
「はい」
嬉しくて声が上ずってしまったわ。でも心が舞い上がったままどこかに飛んで行ってしまいそう。だめよ、この幸せな時間を一秒でも長く感じておかないと。もしかしたら生涯で最も幸せな時間になるかもしれないのだから。大きな手から伝わる体温に顔がどうしても緩んでしまう。会話がないけれどその分この至福をしっかりと噛みしめられる。このままずっと歩いていたい。終わりがこなければいいのに。
「どうした?」
「何が、ですか?」
急に立ち止まって周りの木々と同じ色の瞳が向けられる。どうって何が? もう少し説明が欲しいわ。
「急に黙り込んで。楽しくないか?」
楽しくないって……話さなかったのはそういう意味ではなかったのだけど……
「楽しくないなんてあり得ませんわ。嬉しすぎて……幸せを噛みしめていたんです」
「嬉しすぎて? どこにそんな要素があった?」
「手を……繋いで歩けたからです」
「そんなことが嬉しいのか?」
「はい、とっても」
そんな風に私を気にかけて下さることもよ。こんなことでと思うかもしれないけれど、こんなことが嬉しいのよ。それに……甘い言葉を吐いてベタベタしてくるヴォルフ様なんてヴォルフ様じゃないわ。無表情で無口で気の利いた会話が出来ないヴォルフ様がいいのよ。
「変な奴だな、お前は」
「ふふっ、私は世界で一番男性の趣味がいいんです」
そう言うとじっと見つめられたわ。意味不明だった? それとも期待するなと仰るかしら? それはちゃんとわかっているわ。でも、好きになるのは自由だし、期待しなければいいのでしょう? もう開き直っているから何を言われても平気よ。少しは傷つくけれど今は暗示という逃げ場があるから。少しは好きになってくれたらとは思うけれど。そんなことを思っていたら頭を撫でてまた歩き出してしまった。今のは何? どうして頭を? 触れられたところがじわりと熱い……思いがけないご褒美に顔が熱くなってきた。もう少しこのまま歩きたいわ。今は誰にも顔を見られたくないもの。
湖畔を一周するには広すぎるので程々のところで引き返したけれど、とても幸せな時間だったわ。これだけで来た甲斐があったと思える。皆のところに戻るとマルガとオリスだけだった。目でマルガに訴えると、私たちが向かったのとは反対側の湖畔に立つフレディとザーラの姿が見えた。
「フレディが誘ったの?」
「それが……」
マルガが困ったように眉を下げ、オリスが苦みのある笑みを浮かべた。オリスの話ではせっかくの機会だからとフレディがそれとなくザーラを誘ったのだけど、ザーラには全く通じていなかったという。それでオリスがマルガに相談がある、フレディを頼むとザーラに告げて森の方に向かった。離れたところから二人の様子を見ていると、フレディがザーラに話しかけ、二人は湖畔を歩き始めたという。
「でも、通じていないのね」
「ええ。ザーラはあくまでも務めとしてここに来ている意識が強くて……」
「真面目過ぎる相手は大変ね。でも、フレディも本気なら自分で動かないと」
「手厳しいですね、イルーゼ様ったら」
マルガが苦笑したけれど、フレディももう成人しているのよ。好きなら自分で何とかしなきゃ。
「私だって欲しいものは自分から取りに行ったもの……」
「旦那様ですね」
「そうよ。両親と姉から逃げ出したくて必死だったわ」
「ふふっ、あの時は屋敷で話題になっていたんですよ」
「お、おい、マルガ! それは……」
「でも本当のことじゃない。単身、それも成人前の令嬢がお一人で乗り込んで来たって。どこの猛女だと言われていましたよ」
「も、猛女……」
まさか屋敷の使用人たちの間で噂になっていたなんて。いえ、そうなるのは当然よね。実家だってお客様のことは使用人の間でよく話題に上がっていたから。それにしても猛女だなんて……私そこまで強くないわよ。
「そ、それでフレディはどうなの? 少しは……」
言葉を言い終える前にオリスとマルガが首を横に振った。進展がないのね。フレディは優しいし、使用人の立場のザーラを気遣っているから余計に動けないのでしょうけれど。でも、動かないと永遠にこのままだわ。ザーラももう二十四になるわ。子どものこともあるから結婚を考えるなら後がない。
「放っておけ。周りが騒げば余計にこじれる」
どうしたものかと悩む私たちにヴォルフ様が言った。その通りなのだけど、こうしてあの二人を見ていると何とかしないとと思ってしまうわ。もう、フレディも思い切っていけばいいのに。
「でも、旦那様……」
「何も出来ないならその程度のものだ」
オリスが何か言おうとしたけれど封じられてしまった。そう言われてしまうと何も出来ないけれど、仰る通りなのよね。何もしないのならその程度の想いってことだもの。フレディの頑張り次第ね。その時だった。彼らの方で小さく悲鳴が上がった。視線を向けると二人が抱き合っているわ。何があったの?
「フレディったら何をしているの。まさか無理やり……」
「そうではないだろう。悲鳴を上げてから抱きついている。何かあったんだろうが殺気は感じないな」
ヴォルフ様、殺気って……慌てた様子がないのなら問題ないのかしら? そう思っている間にもザーラがしきりに後ろを気にしていたけれど、直ぐに離れて何かを話している。ザーラが頭を下げたわ。謝っている? 何があったのかしら?
「護衛が付いている。問題ないだろう。マルガ、水をくれ」
「は、はい、ただいま」
ヴォルフ様が敷物の上に腰を下ろして水筒の水を喉に流した。そう言えば喉が渇いたわね。それなりに歩いたもの。ヴォルフ様の隣に腰を下ろすとマルガが焼き菓子を出してくれた。少しお腹が空いたから嬉しい。そうしている間に二人がこちらに向かって歩き出したわ。何となく妙な間があるわね。
「フレディ様、お帰りなさい。焼き菓子はいかがですか?」
「ありがとう」
戻って来た二人にオリスが声をかけた。横目で様子を伺ったけれど……特に変わりはないわね。ザーラもそう。さっき抱き合っていたのは何だったのかしら? 聞きたいけれど……
「フレディ」
「はい?」
「何があった?」
突然ヴォルフ様が声をかけたけれど、まさか……
「ザーラと抱き合っていただろう」
「あ、あれは!」
明らかにフレディが狼狽えたわ。そんなことを尋ねるヴォルフ様の方がずっと驚いたけれど、フレディも動揺し過ぎじゃないかしら?
「蜘蛛がいたのです」
応えたのはザーラだった。
「くも?」
「はい。私……子供の頃から蜘蛛が苦手で……」
「蜘蛛が?」
意外だわ。ザーラには苦手なものがないと思っていたから。
「そう言えばそうだったわね」
「ええ。さっき、見たこともない大きな蜘蛛がいて……」
マルガは知っていたのね。ザーラが思い出したのか眉をしかめた。
「フレディ様、申し訳ございませんでした」
「い、いや……謝って貰うような話ではないから」
ザーラが頭を下げて謝罪した。進展はなかったのね。残念だわ。そしてフレディ、それで終わってはだめなのよ。もっと行動に移さないと。
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